前提

「本当はみんなに残ってほしい」と考えながら若手の定着に悩む専門工事会社

若手を採用できても、全員が長く残るとは限りません。ある専門工事会社の経営者からも、「本当はみんなに残ってほしい。でも、全員が定着するのは現実的ではないのかもしれない」という率直な声がありました。

建設業では、採用した時点では将来性を判断しにくかった人が、現場経験を積むうちに力をつけることも珍しくありません。だからこそ、入社時の見極めだけでなく、入社後に何を身につけ、どのような役割を目指せるのかを会社側から示すことが大切になります。

中部地方のある足場工事会社では、数名だった組織を長い時間をかけて80名超の規模まで広げてきました。その過程で整えたものの一つが、技能段階や評価、モデル年収を示すキャリアマップです。

現在の制度だけを切り取ると「人数が多い会社だからできる」と見えます。しかし、この会社も最初から制度が整っていたわけではありません。小規模なうちから、社長の考える成長像を言葉にし、社員の声を聞きながら少しずつ形にしてきた点が重要です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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課題

給与と休日だけでは「3年後にどうなれるか」が若手に伝わらない状態

若手の定着を考えるとき、給与や休日、福利厚生に目が向くのは自然です。ただし、それだけでは入社後の未来まで伝わりません。

若手が知りたいのは、待遇の良し悪しだけではなく、次のような具体的な見通しです。

  • 何年か働くと、どのような仕事を任されるのか
  • どの技能を身につければ、一人前として評価されるのか
  • 現場をまとめる立場を目指せるのか
  • 技能や役割が上がると、収入はどう変わるのか
  • 会社がどのように仕事を教えてくれるのか

「この会社に3年いたら、どんな人材になれるのか」。この問いに会社として答えられなければ、本人は成長していても実感を持ちにくくなります。

若手が辞める理由は、必ずしも給与が低い、休みが少ないという不満だけではありません。成長の道筋が見えず、このまま働き続けた先を想像できないことも定着を妨げます。

転職サービスなどで自分の市場価値や想定年収を手軽に確認できる今は、働きながら次の職場を探すことも一般的です。社内で将来像が見えなければ、社外に答えを探しに行く流れは止めにくくなります。

背景

「背中を見て覚える」教育と曖昧な評価が成長実感を持ちにくくしている構造

建設会社では、技能や評価基準がベテラン社員や社長の頭の中にあるケースが少なくありません。教える側には成長の順序が見えていても、若手本人には伝わっていないことがあります。

以前であれば、「先輩の背中を見て覚える」という教育も成り立ちました。しかし、それだけでは、若手は自分が今どの段階にいて、何が足りないのかを判断できません。

一方で、若手に成長意欲がないとは限りません。「細かく言うと嫌がられるのではないか」と周囲が遠慮するほど、本人は「何も言われないこと」に不安を感じる場合があります。実務経験が少ないため、自分から質問したり、次に学ぶべきことを特定したりするのが難しいだけかもしれません。

評価についても同様です。「一生懸命やっていれば給料は上がる」「仕事ができるようになれば任せる」という説明だけでは、判断基準が人によって変わって見えます。

技能、役割、評価、収入、教育が別々に扱われていることが、若手からキャリアを見えにくくする原因です。これらを一つの道筋としてつなぐ必要があります。

また、収入を重視する人と休日を重視する人が同じ条件で働くことにも無理が生じます。働き方の選択肢を設けること自体は有効ですが、給与差を曖昧にしたまま運用すると、「同じ会社なのになぜ待遇が違うのか」という不満につながります。

解決

技能・評価・モデル年収・働き方を一枚のキャリアマップにつなげる設計

必要なのは、立派な人事制度を一度に完成させることではありません。自社で一人前になるまでの道筋を分解し、社員が理解できる言葉で見えるようにすることから始めます。

長く働いている社員の声から定着理由を確かめる

最初に確認したいのは、会社側が考える魅力と、社員が実際に感じている魅力が一致しているかです。

長く勤めている社員に、「なぜこの会社で働き続けているのか」「どの仕事を覚えたときに成長を感じたか」「入社当時に何を教えてほしかったか」を聞くと、制度づくりの材料が見えてきます。

ある地方の建設会社では、15年以上勤める複数の社員が、そろって休日の過ごしやすさを定着理由として挙げました。社長にとっては当たり前だった地域環境が、社員にとっては長く働く理由になっていたのです。

反対に、無難な社員インタビューだけでは本音を拾えません。良い面だけでなく、教え方や評価への違和感も含めて確認することが必要です。

キャリアマップは、社長の理想だけで作るものではなく、実際に定着している社員の経験と照らし合わせて作るものです。

技能段階ごとに評価と収入を結びつける

次に、現場で求める成長を段階に分けます。キャリアマップには、少なくとも次の項目を同じ表の中に置きます。

  • その段階で担当できる仕事
  • 習得しているべき技能や資格
  • 現場で求められる役割
  • 次の段階へ上がるための評価基準
  • 誰が、どのように教えるか
  • その段階のモデル年収

評価は、上司だけで決めるのではなく、本人の自己評価と上司評価を照らし合わせる方法も考えられます。認識のずれが分かれば、次に取り組む技能を面談で具体的に話せます。

モデル年収を示す際は、金額だけを独立させないことがポイントです。「この仕事ができる」「この役割を担える」「この働き方を選んでいる」という条件とセットにします。

何をできるようになれば、どの役割と収入を目指せるのかがつながると、評価は会社から与えられるものではなく、本人が目標を立てるための基準になります。

「見て覚える」を残しつつ、教える内容を明確にする

現場を見ながら覚えること自体が悪いわけではありません。建設業には、実際の施工を経験しなければ身につかない技能があります。

ただし、見た後に何を確認するのか、どこまでできれば次の作業へ進めるのかが曖昧では、教育が先輩との相性に左右されます。

キャリアマップには、技能段階だけでなく、次のような教育方法もひもづけます。

  • 現場で見せて教える内容
  • 本人に実際に任せる範囲
  • 作業後に確認する評価項目
  • 次に経験させる仕事

これにより、先輩も「何から教えればよいか」を判断しやすくなります。若手に対しても、足りない点を感覚ではなく具体的に伝えられます。

収入重視と休日重視の働き方は待遇差まで先に示す

働き方を複数用意する場合は、それぞれの条件と待遇差を入社前から明示します。

前述の足場工事会社では、収入を重視して働くコースと、毎週土日を休むプライベート重視のコースを設けていました。収入重視のコースは日曜日と会社カレンダーによる休日で、休日重視のコースより給与が高くなります。

重要なのは、休日数が違えば給与も違うことを最初から説明し、本人が理解したうえで選べるようにしたことです。条件差を隠さないため、入社後に他の社員の給与を知っても、「なぜ自分と違うのか」という行き違いが起こりにくくなります。

さらに、入社時の選択を固定せず、年1回の面談を通じてコースを変更できる運用にしていました。最初は休日を重視していても、欲しい車や将来の目標ができて収入重視へ変わる人がいます。反対に、一定期間しっかり働いて貯蓄した後、プライベートを重視したいと考える人もいます。

複数の働き方を設ける際は、次の点まで決めておくと運用しやすくなります。

  • 各コースの休日と給与の違い
  • コース変更を申請できる時期
  • 変更を決める面談の方法
  • 変更後の給与と勤務条件
  • 現場配置への影響

制度を魅力的に見せることより、実際の受注や現場体制で継続できるかを優先します。選択肢の多さではなく、会社が守れる条件を分かりやすく提示することが判断軸です。

まとめ

若手の定着を考えるときは、給与や休日の見直しだけで終わらせず、「この会社で働くと、数年後にどうなれるのか」まで伝える必要があります。

キャリアマップに必要なのは、技能段階、役割、評価基準、教育方法、モデル年収のつながりです。収入重視と休日重視など複数の働き方を設ける場合は、待遇差を入社前に明示し、入社後の変更ルールまで決めておきます。

若手が定着しやすい会社は、将来を約束する会社ではなく、将来に向けて何を積み上げればよいかを見せられる会社です。最初から大がかりな制度を作る必要はありません。まずは長く働いている社員の声を聞き、自社における「一人前」の姿を言葉にするところから始められます。

自社らしいキャリアの道筋を一緒に整理するために

「一人前の基準が社長やベテランの頭の中にしかない」「技能と給与をどう結びつければよいか分からない」という段階でも、整理は始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。若手の定着についても、社員の声を踏まえた評価基準や教育体制、キャリアマップの設計など、自社に合った進め方を一緒に考えます。

まだ制度化するか決まっていない場合や、「うちの場合は何から整理すべきか」を確認したい段階でも構いません。無理に取り組みを勧めることはありませんので、今の状況を整理する場としてご活用ください。

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