前提

設計・製作・取付を一貫して担う会社で、50代が中心となっている年齢構成

ある地域で長く事業を続ける金属製品の製作・施工会社は、住宅向けの門扉や手すり、フェンスなどを、設計から製作、現場での取付まで一貫して担っています。売上は2億円台後半で安定し、長年の取引関係もあります。

一方、社員の年齢構成を見ると、中心は40〜50代です。20代は数名いるものの、30代はほぼ不在。若手を迎える必要性について、経営者は次のように話していました。

「10年たったら、今の社員はみんな60代になります。若い人を育てておかないといけないと思っています」

現時点で仕事が回っていても、10年後まで同じ体制が続くとは限りません。特に、設計・製作・取付を社内で一貫して行う会社では、一つの工程で技能継承が止まると、受注から施工までの流れ全体に影響します。

備えるべきなのは単なる人数不足ではなく、特定の年代と特定の社員に技能や責任が集中している状態です。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 8月6日リフォーム会社千葉県高卒採用の相談
  • 8月6日工務店兵庫県業務効率化システムの相談
  • 8月6日総合建築広島県案件獲得の相談
  • 8月6日内装工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
  • 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
  • 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
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課題

若手を増やすだけでは「誰かが休むと回らない」状態を解消できない組織構造

この会社が求めているのは、受注量を増やすためだけの増員ではありません。経営者が重視していたのは、社員が無理なく休める余力でした。

「人材がカツカツだと、仕事に余裕がなくなります。自分がいなかったら回らないとなると、仕事のプレッシャーが強すぎます」

この発言から見えるのは、採用人数の問題と、業務の属人化が重なっている状態です。仮に若手を1人採用できても、その人が補助作業に固定され、熟練者だけが判断や段取りを担い続ければ、休みにくさは変わりません。

反対に、すべての社員へ一度にあらゆる技能を身につけてもらおうとすると、教育する側にも教わる側にも負荷がかかります。目指したい多能工化は、「全員が何でもできる状態」ではありません。

優先すべきなのは、会社を止める可能性が高い業務から、主担当者以外にも対応できる人をつくることです。

設計、製作、取付という大きな区分だけでなく、見積もり前の確認、製作上の判断、現場での納まりへの対応など、社内には経験者へ判断が集まりやすい仕事があります。まずは、その中から「この人が休むと止まる仕事」を特定する必要があります。

背景

20代は数名いる一方で30代がほぼおらず、技能を渡す時間が限られている状況

年齢構成の空白が難しいのは、人数だけでなく、技能継承の順番に影響するためです。

50代の熟練者から20代へ直接技能を渡すこと自体は可能です。ただし、その間をつなぐ30代がほぼいないと、若手が一人前になるまでの指導や日々の相談対応が、熟練者へ集中しやすくなります。数年後には、教える側の現場負担がさらに大きくなる可能性もあります。

この会社には、若手採用の入口がないわけではありません。20代の社員は、既存社員の出身専門学校にいる教員からの紹介で入社しました。経営者にも大学教員などとのつながりがあり、「いざとなれば若い人を集めることはできると思う」という感触があります。一方、有料の採用サービスは費用への納得感が得にくく、継続利用には至っていません。

つまり、採用経路には強みがあるものの、必要になったときに紹介を頼む形にとどまっています。

学校や既存社員とのつながりは有力な採用経路ですが、技能継承には時間がかかるため、「欠員が出てから採る」だけでは間に合いません。

また、採用後の受け入れ方も重要です。若手が入社しても、誰が何を教えるのか、どこまでできれば次の仕事へ進むのかが曖昧だと、教育は指導者の感覚に依存します。その結果、忙しい時期ほど教育が後回しになりやすく、若手が一部の作業だけを長く担当する状態にもなります。

採用、教育、責任分担は別々の課題ではありません。どの技能を、いつまでに、誰から誰へ移すかを決め、その計画に合わせて採用することが必要です。

解決

採用経路、技能表、複数担当制を一つの計画として動かす進め方

取り組みは、採用広告を出すところからではなく、10年後の仕事を誰が担うかを整理するところから始めます。現実的には、次の順番が進めやすいでしょう。

1.止められない仕事と属人化している判断を洗い出す

最初に、設計・製作・取付の各工程について、担当できる人を一覧にします。作業名を細かくしすぎると更新できなくなるため、まずは会社の工程に沿った単位で十分です。

各業務について、社員ごとの状態を次のように分けます。

  • 一人で判断して完了できる
  • 確認を受ければ担当できる
  • 補助として経験している
  • 未経験である

そのうえで、担当可能者が1人しかいない業務に印を付けます。ここが、採用と教育の優先順位になります。

技能の見える化は評価のためではなく、「次に誰を育てれば会社が休みやすくなるか」を決めるために行います。

2.多能工化の範囲を「隣の工程まで」に絞る

多能工化を進める際は、一人の若手に設計・製作・取付のすべてを短期間で任せる必要はありません。現在の担当業務を軸に、その前後の工程を理解してもらう方法が現実的です。

たとえば、製作担当者が設計意図や現場での取付条件を理解できれば、確認待ちや手戻りを減らしやすくなります。取付担当者が製作上の制約を理解すれば、現場で判断できる範囲も広がります。

どこまで多能工化するかは、次の三つで判断します。

  • その社員が休んだとき、仕事が止まるか
  • 他の工程を理解することで、手戻りを減らせるか
  • 教育にかかる時間に対して、代替できる範囲が広がるか

全員を同じ職人にするのではなく、工程をまたいで助け合える範囲を少しずつ増やすことが、多能工化の実務です。

3.主担当と副担当を決め、責任を複数人で持つ

技能表を作っただけでは、担当者が休める状態にはなりません。属人化している仕事ごとに、主担当と副担当を決めます。

副担当は、名前だけ置くのではなく、定期的に実務へ入ることが重要です。主担当が出勤している間に一部の作業や判断を経験し、段階的に担当範囲を広げます。

進捗は、「教えた回数」よりも、次の状態で確認すると実務に結びつきます。

  • 資料や手順を見ながら対応できる
  • 主担当の確認があれば完了できる
  • 通常案件なら単独で対応できる
  • 例外時に相談すべき相手と基準が分かる

責任分担とは、若手へ急に重い責任を渡すことではありません。判断できる範囲と相談すべき範囲を明確にし、主担当が不在でも通常業務を進められる状態をつくることです。

4.学校や既存社員とのつながりを通年の採用経路にする

紹介採用に実績がある会社では、その強みを捨てて高額な採用媒体へ切り替える必要はありません。ただし、「人が必要になったら先生へ連絡する」だけでは、採用時期を選びにくくなります。

学校や紹介者には、次の内容を定期的に共有しておくと、候補者との接点をつくりやすくなります。

  • どのような製品を設計・製作・施工しているか
  • 若手が入社後に経験できる仕事
  • 誰が教育を担当するか
  • どのような人が仕事に合いやすいか
  • 次に採用したい時期と人数の目安

既存社員の出身校との関係も、個人任せにせず、会社として窓口と連絡時期を決めておくことが大切です。採用媒体は、それでも候補者が足りないときの補完手段として比較すれば、費用をかける判断もしやすくなります。

採用手段は応募数だけで選ばず、入社後に技能を引き継げる人材と継続的に接点を持てるかで選ぶ必要があります。

5.採用人数を売上だけでなく、休める余力から決める

仕事があるから人を採る、仕事が減れば採用を止めるという考え方だけでは、技能継承のための余力を持ちにくくなります。

この会社の経営者が話していたように、一定の「予備の人」がいることは、単なる余剰ではありません。休暇への対応、若手教育、技能継承の時間を確保するための体制です。

採用人数を考える際は、売上に対する必要人数に加えて、次の点を確認します。

  • 計画的な休暇を取っても工程が止まらないか
  • 教える社員が現場を離れる時間を確保できるか
  • 10年以内に引退や役割変更が見込まれる社員の技能を引き継げるか
  • 主担当が不在でも副担当で通常業務を回せるか

若手採用の目的を「忙しさの穴埋め」から「技能と責任を次の世代へ移すこと」へ変えると、必要な人数と採用時期が見えやすくなります。

まとめ

社員の中心が40〜50代で、30代がほぼ不在という状態では、今すぐ仕事が止まるわけではありません。しかし、10年後を考えると、熟練者が現場を担えるうちに技能を移し始める必要があります。

進める順番は、次のとおりです。

  1. 設計・製作・取付の技能と担当者を見える化する
  2. 一人しか担当できない仕事を特定する
  3. 主担当と副担当を決める
  4. 隣接工程から多能工化を進める
  5. 学校や既存社員とのつながりを通年の採用経路にする
  6. 売上だけでなく、休暇と教育の余力から採用人数を考える

若手採用、技能継承、多能工化、責任分担を別々に進めず、一つの人員計画としてつなぐことが、「誰かが休むと回らない」会社を変える近道です。

自社の年齢構成と技能継承を一度整理してみませんか

年齢構成への危機感はあっても、誰の技能から引き継ぐべきか、若手を何人採ればよいか、教育を誰に任せるかまで整理するのは簡単ではありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題を、採用だけでなく、技能の見える化、教育体制、役割分担、現場運営まで横断して整理し、実行を支援しています。「うちの場合は何から手を付けるべきか」という段階でも構いません。

ものづくりに集中できる組織をつくるための次の整理先としてご活用ください。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、現在の体制や今後の考えをお聞かせいただければと思います。

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