経営者が設計者や協力業者と直接やり取りしながら三つの現場を兼務する状態
内装工事を手がけるある建設会社では、経営者自身が三つほどの現場を並行して担当していました。現場監督として常駐するというより、協力業者に施工を任せながら、設計者や施設側の担当者との調整まで担うプロジェクト管理に近い動きです。
現場数だけを見れば、決して極端に多いわけではありません。経験のある監督なら、さらに複数の現場を持つこともあります。しかし、経営者は会社全体の業務も抱えています。そのため、現場が増えるほど図面、手配品、確認事項が頭の中に積み上がっていきます。
経営者から出てきたのは、「抜け漏れしかない。何が揃っていて、何が揃っていないのか分からない」という言葉でした。
問題は担当現場の数だけではなく、複数現場の情報が口頭と個人の記憶に集まっていることです。
1週間で 18件の相談 がありました
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
利益が残る案件でも図面・手配品・確認事項の不足が見えない状態
この会社では、案件単体の利益は残っていました。それでも現場管理には混乱があり、必要なものが揃っているかをすぐ確認できない状態でした。
施工管理で把握したい情報は、少なくありません。
- 最新図面を受領できているか
- 未確定の納まりや仕様が残っていないか
- 必要な資材や製作物を手配したか
- 設計者や施設側に確認すべきことは何か
- 誰の回答待ちで、いつまでに確認するのか
- 協力業者にどこまで共有できているか
これらが電話、口頭、メール、チャット、担当者の記憶に分かれていると、「確認したつもり」「誰かが手配したと思っていた」が起こりやすくなります。特に複数現場を行き来していると、前日に別の現場で話した内容と混ざることもあります。
利益が出ていることと、現場が安定して管理できていることは別です。 高利益の案件でも、図面の確認漏れや手配の遅れが施工品質に影響すれば、手直しだけでなく顧客からの信用にも響きます。
今回の案件は、お世話になっている相手から任された仕事でもあり、「失敗できない」という重みがありました。こうした重要案件ほど、個人の注意力だけで守るのではなく、抜け漏れが見える形にしておく必要があります。
経験者ほど現場を並行できる一方で情報管理が本人に集中する構造
複数現場の抜け漏れは、担当者の経験不足だけで起きるものではありません。むしろ、経営者やベテラン監督のように、設計者、施設担当者、協力業者の間を調整できる人へ仕事が集まることで起こります。
経験者は、図面を見ながら納まりを判断し、相手に合わせて確認を進められます。その場で話が前に進むため、情報を整理して残す作業は後回しになりがちです。ところが、現場が二つ、三つと重なると、本人の記憶だけでは全体を維持しにくくなります。
また、「現場が完全に混乱しているわけではない」という点も、仕組み化が遅れる理由になります。目の前の施工は進み、利益も残っているため、管理方法を変える優先度が上がりません。しかし実際には、経営者が都度確認し、抜けを拾うことで成り立っている可能性があります。
現場が回っているように見えても、特定の人が記憶と声かけで支えているなら、管理の負荷はすでに属人化しています。
この状態では、現場数を増やすほど経営者やベテランの確認時間も増えます。若手や別の担当者へ引き継ごうとしても、「何をどの順番で確認するか」が共有されていないため、任せにくさが残ります。
現場ごとの不足を共通フォーマットで見せて更新責任と確認時点を固定する進め方
最初に取り組みたいのは、高機能な施工管理システムの導入ではなく、各現場で確認すべき項目を同じ形で並べることです。
現場ごとに管理方法を変えず、「必要なもの・現在の状態・次の対応・担当者・期限」を一つの共通フォーマットで見えるようにします。
最低限、次の項目があれば運用を始められます。
管理項目 | 記載する内容 |
|---|---|
区分 | 図面、資材、製作物、顧客確認、協力業者への共有など |
確認事項 | 何を確認・手配する必要があるか |
状態 | 未着手、確認中、回答待ち、完了など |
担当者 | 誰が次の対応をするか |
期限 | いつまでに完了させるか |
根拠 | 最新図面やメールなどの保存先 |
次の対応 | 誰に何を確認するか |
ポイントは、完了したものだけでなく、「何が不足しているか」「誰の回答を待っているか」を表示することです。施工管理では、揃っている情報より、揃っていない情報のほうが次の工程に影響します。
次に、更新責任者を決めます。全項目を経営者が更新すると、管理表そのものが新たな負担になります。現場担当者、事務担当者、手配担当者など、実際に情報を受け取った人が更新し、経営者や責任者は重要項目を確認する形が現実的です。
確認のタイミングも固定します。例えば、次の三つです。
- 着工前に、図面・仕様・主要資材が揃っているかを確認する
- 工程が切り替わる前に、次工程に必要な確認事項を見直す
- 週に一度、全現場の未完了項目と回答待ちだけを確認する
更新する人と確認する時点を決めなければ、管理表は作られただけで止まります。 反対に、この二つが決まっていれば、表計算ソフトや既存の共有ツールでも十分に運用を始められます。
すべての業務を一度に仕組み化する必要はありません。優先順位は、次の観点で整理すると判断しやすくなります。
- 抜けると品質や顧客信用に影響するか
- 複数の現場で繰り返し発生するか
- 後工程や協力業者の作業を止めるか
- 経営者やベテランしか把握していないか
今回のような現場であれば、まずは最新図面、手配品、設計者・施設側への確認事項から始めるのが自然です。いずれも施工への影響が大きく、複数の関係者が動くためです。
仕組み化の優先対象は、記録しやすい業務ではなく、抜けたときの影響が大きく、複数現場で繰り返される業務です。
まとめ
複数現場で抜け漏れが増えるとき、担当者の注意力だけを高めても限界があります。設計者や施設担当者、協力業者とのやり取りが一人に集まっているなら、まず情報の置き場所と更新ルールを揃える必要があります。
現場ごとのタスク、必要書類、資材、確認事項を共通フォーマットにまとめ、更新責任者と確認タイミングを決めることが第一歩です。
案件の利益が残っていても、管理の混乱をそのままにしてよいわけではありません。重要な顧客の案件を安定して納め、次の担当者へ任せられる状態をつくるためにも、経営者やベテランの頭の中にある確認項目から少しずつ外へ出していくことが大切です。
複数現場の管理方法を自社に合う形で整理したい方へ
現場管理の仕組みは、会社の施工領域、現場数、担当者の役割、現在使っているツールによって適した形が変わります。「うちの場合は何から共通化すべきか」「管理表を作っても運用が続かない」といった段階から整理することもできます。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、採用、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。無理にシステム導入を勧めたり、強引な営業をしたりすることはありません。ものづくりに集中できる環境づくりに向けて、現在の管理方法を一緒に整理したい方はご相談ください。





























