80代の先輩技術者が担ってきた資格指導を、外部の技術顧問に引き継ぎたい設備工事会社の現在地
神奈川県で設備工事を手がける、社員30名弱の会社から、一級管工事施工管理技士の資格対策を担える外部人材について相談がありました。
これまで社内の若手や中堅に技術を教えていたのは、社長が若い頃からお世話になってきた80代の先輩技術者です。長年、ほぼ手弁当に近い形で支えてくれていましたが、年齢的な事情もあり、そろそろ退かれることになりました。
社長としては、技術指導の基盤を整えられれば、今後さらに人を受け入れ、組織を広げていく土台にもなるという感覚を持っていました。特に必要としていたのは、一級管工事施工管理技士の試験対策を、社内に入って講師のように支援してくれる人材です。
候補としては、大手設備会社で40年近く経験を積み、一級管工事施工管理技士や技術士の資格も持つ方が挙がりました。経歴だけを見れば、申し分ない人材です。社長も「実績もあるし、すごくいいなとは思う」と受け止めていました。
ただ、技術顧問は経歴だけで決めるものではありません。社内に入って社員と向き合う役割である以上、経験・相性・任せる範囲の3つを先に整理しておく必要があります。
1週間で 16件ダウンロード されました
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
- 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
- 6月5日内装工事会社長崎県
- 6月4日防水工事会社東京都
- 6月4日内装工事会社東京都
- 6月3日総合建築埼玉県
- 6月3日空調設備工事会社香川県
大手出身の有資格者でも、少人数の資格対策にそのまま合うとは限らないこと
技術顧問を探すとき、最初に目が行くのはどうしても経歴です。大手出身、現場経験が長い、国家資格を持っている、管理職や役員の経験がある。どれも安心材料になります。
しかし、今回のように「一級管工事施工管理技士の試験対策を、対象者3名に教えてほしい」という目的の場合、必要なのは単にすごい技術者ではありません。現場を知っていることと、試験に受からせる教え方ができることは、近いようで別の能力です。
たとえば、現場経験が豊富な方は、施工管理の考え方や品質・安全・工程の見方を深く伝えられます。一方で、資格試験では、出題傾向、記述対策、過去問の使い方、受験者ごとの理解度の見極めも重要になります。
さらに、中小建設会社では、指導対象が10名、20名いるわけではないことも多いです。今回も資格対策の対象は3名でした。社長は「社員がもっと多ければ費用対効果も出ると思うけれど、3人に対して重い顧問契約は難しい」という趣旨の話をしていました。
ここで見えてくる課題は、費用そのものというより、外部人材に何をどこまで任せるのかが曖昧なまま、顧問という大きな形から入ろうとしてしまうことです。
無償で支えてくれた先輩技術者の役割を、外部人材で置き換える難しさ
今回の背景には、建設業ではよくある「昔からのつながりで教えてくれていた人がいる」という事情があります。
社長にとって、その80代の先輩技術者は、若い頃から技術を教えてくれた存在でした。会社として正式な教育制度をつくる前に、人の縁で成り立っていた育成の仕組みです。こうした関係は、建設業では珍しくありません。
ただ、その役割を外部の技術顧問に引き継ごうとすると、急に難易度が上がります。なぜなら、先輩技術者が担っていたものは、単なる講義ではなかった可能性が高いからです。
たとえば、そこには次のような役割が含まれていたはずです。
- 現場で使う言葉に置き換えて教える
- 社員の性格や理解度を見ながら伝え方を変える
- 社長の考え方や会社の文化を踏まえて助言する
- 資格取得だけでなく、施工管理者としての育ち方も見守る
つまり、無償で長年支えてくれた人の役割を、外部人材にそのまま置き換えると、業務範囲が見えにくくなります。
また、外部人材が社内に入る場合は、相性も成果を左右します。どれだけ実績があっても、社員が質問しづらい雰囲気であれば、資格対策は進みにくくなります。逆に、経歴が派手でなくても、若手や中堅のつまずき方を丁寧に見られる人のほうが、少人数指導には合うこともあります。
技術顧問を迎える前には、候補者の経歴を評価するだけでなく、自社が求めているのは「技術の権威」なのか、「試験対策の伴走者」なのか、「現場教育の相談役」なのかを分けて考えることが大切です。
初回面談では経歴確認より先に、対象者・育成ゴール・任せる範囲をすり合わせること
技術顧問をうまく活用するには、いきなり顧問化するよりも、まず小さく試せる形を考えるのが現実的です。特に資格対策の対象者が数名の場合は、月額で大きく抱えるより、講義・面談・模擬添削など、目的を絞った入り方のほうが判断しやすくなります。
初回面談で確認したいのは、候補者の立派な経歴だけではありません。むしろ、次のような点を先にすり合わせると、相性と成果の見立てがしやすくなります。
- 対象者は何名で、どの資格をいつ受けるのか
- 受講者は現場経験がどの程度あり、どこでつまずいているのか
- 依頼したいのは講義なのか、過去問解説なのか、記述添削なのか
- 現場での施工管理力まで見てほしいのか、試験合格に絞るのか
- 月1回の集合研修で足りるのか、個別フォローが必要なのか
- 社員が質問しやすい雰囲気をつくれそうか
ここで重要なのは、「何でも教えてほしい」ではなく、「今回の半年間で何を達成したいか」まで落とすことです。
たとえば、一級管工事施工管理技士の合格を目指すなら、最初の支援範囲は次のように絞れます。
- 初回に受講者3名の理解度を確認する
- 過去問の取り組み方を決める
- 記述問題の書き方を添削する
- 月ごとの学習進捗を確認する
- 試験後に次年度の育成計画へつなげる
この形であれば、候補者も自分が担う役割を理解しやすくなります。会社側も、顧問として継続すべきか、資格対策のスポット支援で十分かを判断できます。
また、大手出身者を迎える場合は、現場経験の中身も確認したいところです。大規模現場のマネジメントに強いのか、若手教育に強いのか、資格試験の指導経験があるのかで、任せ方は変わります。「すごい人かどうか」よりも、「今の自社の3名に合う教え方ができるか」を見ることが、技術顧問選びの実務的な判断軸です。
社内側の準備も欠かせません。外部人材に会う前に、受講者ごとの状況を簡単に整理しておくと、面談の質が上がります。
- 受験予定の資格
- 現場経験年数
- 過去の受験歴
- 得意・苦手分野
- 会社として期待する役割
- 合格後に任せたい業務
この整理があるだけで、候補者は具体的な提案をしやすくなります。会社側も、候補者の話が自社に合っているかを判断しやすくなります。
まとめ
中小建設会社が技術顧問を迎えるとき、経歴は大事です。大手出身で、長い現場経験があり、一級施工管理技士や技術士を持っている方であれば、安心感があります。
ただし、資格対策や社内教育を任せる場合は、それだけでは十分ではありません。成果を分けるのは、経歴そのものではなく、自社の受講者に合う教え方ができるか、任せる範囲が明確か、社員との相性が良いかです。
特に、これまで人の縁で支えられてきた教育機能を外部化する場合は、先に次の3つを整理しておくと進めやすくなります。
- 何の資格・技術を、誰に、いつまでに身につけてほしいのか
- 外部人材に任せるのは、講義・添削・個別相談・現場教育のどこまでか
- いきなり顧問化せず、小さく試して相性を確認できる形はないか
技術顧問は、会社の外から来る人でありながら、社内の育成に深く関わる存在です。だからこそ、最初から大きく構えすぎず、対象者・目的・期間・成果物を小さく区切って始めることが、中小建設会社には合いやすい進め方です。
技術顧問を迎える前に、自社の育成課題を一度整理してみる
「今の社員に資格を取らせたい」「現場を任せられる人を育てたい」「これまで教えてくれていた人が退くので、次の形を考えたい」という相談は、設備工事会社や専門工事会社でも増えています。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。技術顧問を入れるべきか、まず社内の教育体制を整えるべきか、資格対策だけを切り出すべきかといった段階から、一緒に考えることができます。
うちの場合はどう考えるべきか、何から整理すべきかわからないという段階でも構いません。無理な営業はいたしませんので、状況の整理先として使っていただければと思います。






























