10名強から20名弱へ増えた電気工事会社で、若手採用の前に組織の受け皿が問われていた
首都圏のある電気工事会社では、もともと10名強だった体制から、1年半ほどで20名弱まで人員が増えていました。
現場監督を多く抱える会社で、工場設備まわりの点検から始まり、一般電気工事にも領域を広げている会社です。中途採用も進み、40代の一級施工管理技士を営業所長として迎えるなど、会社としては次の成長段階に入っていました。
ただ、採用が進むほど別の課題が見えてきました。
今まで会社を支えてきた既存社員と、新しく入ってきた20〜30代の若手社員との間に、コミュニケーションの溝が生まれていたのです。
経営側からは、こんな相談が出ていました。
「これから新卒も採っていきたい。ただ、今いる人たちと若い人たちの溝が埋まらないままだと、会社は大きくならない気がしています」
これは、採用に前向きな専門工事会社ほど起きやすい話です。
人を採る力がついてくると、次は採った人を受け入れ、育て、戦力化する力が問われます。採用人数だけを増やしても、社内の受け皿が追いついていなければ、若手は会社に馴染めません。既存社員も、どう関わればいいのかわからないまま現場を回すことになります。
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- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
若手が辞める理由は待遇だけでなく、仕事観と教え方のズレにある
若手の定着がうまくいかないとき、給与や休日、福利厚生の話に目が向きがちです。もちろん大切です。
ただ、専門工事会社ではそれだけではありません。
若手が続かない背景には、既存社員との仕事観の違いと、育成が現場任せになっている構造があります。
たとえば、昔からいる職人や社員は、仕事を見て覚えてきた人が多いです。朝集まって現場に出て、帰ってきて次の日の段取りを確認する。言葉にしなくても、背中を見て覚える。そういう文化で会社が成り立ってきました。
一方で、20〜30代の若手は、仕事の意味や成長の道筋を知りたい人が増えています。
「この作業は何につながるのか」 「いつまでに何ができればいいのか」 「誰に聞けばいいのか」 「自分はこの会社でどう成長できるのか」
こうした問いに答える仕組みがないと、若手は不安になります。既存社員側も悪気があるわけではありません。ただ、教え方を教わっていないので、どうしても「前にも言ったよね」「見て覚えて」という接し方になりやすいです。
ある内装系の専門工事会社でも、似た課題がありました。
新人を受け入れても、うまく教えられない。結果として辞めてしまう。
この悩みは、電気工事、内装、防水、塗装、足場など、職種を問わず中小の専門工事会社に共通しています。
採用活動を強める前に、まず見るべきなのは求人票だけではありません。社内に、若手を迎える準備があるかどうかです。
職人集団の強さが、若手には暗黙知の壁として見えている
専門工事会社の強さは、現場で積み上げてきた経験値です。
社長自身が職人出身で、創業から家族経営に近い形で会社を続けてきた。1階が事務所、2階が自宅。朝になると職人が集まり、現場へ出て、戻ってきてまた次の現場へ向かう。こうした会社は今でも多くあります。
この文化は、建設業を支えてきた大事な土台です。
一方で、会社を大きくしていく局面では、その強さが若手にとって壁になることがあります。
ベテランにとって当たり前の段取りや判断基準が、若手には言語化されていない情報に見えるからです。
対話の中でも、建設業の経営者には「口下手な人が多い」という話が出ていました。これは否定的な意味ではありません。現場で成果を出してきた人ほど、言葉より行動で示してきたということです。
ただ、若手採用や新卒採用では、それだけでは伝わりにくくなります。
特に新卒採用に入る場合は、社会人経験そのものがない人を迎えます。電気工事や専門工事の世界に関心を持つ若い人が出てきている一方で、会社側に教育の型がなければ、せっかくの関心を定着につなげられません。
実際に、ある採用の現場では、大学生が面接で「職人ができないなら辞めます」と話した例もありました。若い世代の中にも、手に職をつけたい、現場の仕事をしたいという人はいます。
だからこそ、会社側に必要なのは、若手を変えることではありません。
会社の仕事観、育て方、期待値を、若手にもわかる形に整えることです。
これがないまま採用を増やすと、既存社員は「最近の若い人は続かない」と感じます。若手は「何を求められているかわからない」と感じます。どちらも悪くないのに、すれ違いだけが積み上がってしまいます。
新卒採用に入る前に、理念共有・対話・育成計画を小さく始める
若手の定着を考えるなら、採用活動と同時に、受け入れ体制を整える必要があります。
特に10名から20名、20名から30名へ進もうとする専門工事会社では、社長の目が全員に届く前提が少しずつ崩れていきます。そこで必要になるのが、人が増えても会社の考え方が伝わる仕組みです。
首都圏の電気工事会社では、新卒採用に入る前段階で、企業理念に関する研修を2日間かけて実施しました。
目的は、立派なスローガンを覚えることではありません。
既存社員と若手が、同じ会社で働く意味や、大事にしたい仕事観を同じテーブルで話せる状態をつくることです。
採用前に整えたい受け入れ体制は、大きく4つあります。
1. 企業理念を「現場の言葉」に戻す
理念や方針は、額に入れて飾るだけでは若手に届きません。
「うちは何を大事にしている会社なのか」 「お客様からなぜ選ばれてきたのか」 「安全、品質、段取り、人間関係で譲れないことは何か」
こうした内容を、現場の具体例に戻して共有することが大切です。
たとえば、工場設備の点検を大事にしてきた会社なら、「止めてはいけない設備を守る仕事」という言い方ができます。一般電気工事へ広げている会社なら、「施工だけでなく、管理や段取りまで担える会社になる」という方向性も伝えられます。
若手は理念そのものよりも、理念が日々の仕事にどうつながるかを知りたいのです。
2. 既存社員と若手が話す場を、偶然に任せない
若手とのコミュニケーションを、飲み会や現場の移動時間だけに任せるのは限界があります。
既存社員と若手の対話は、意識して設計した方がうまくいきます。
たとえば、月1回でも構いません。
- 最近できるようになったこと
- 現場で困ったこと
- 先輩から見て成長している点
- 次の1か月で任せたいこと
このようなテーマで話すだけでも、若手の不安は減ります。先輩側も、何を見て声をかければいいかがわかります。
ポイントは、若手だけに話させないことです。
既存社員にも、会社が何を目指していて、若手にどう関わってほしいのかを伝える必要があります。
「若い人を採ったから、あとは現場でよろしく」では、現場の負担が増えるだけです。
3. 入社後の育成計画を、最初から決めておく
採用前に、入社後の育成計画を決めておくことも重要です。
細かい制度でなくても構いません。まずは、入社後3か月、6か月、1年で何を覚えてほしいかを整理します。
たとえば電気工事会社であれば、次のような粒度です。
- 最初の1か月は、現場での安全ルールと道具の名前を覚える
- 3か月で、先輩同行のもと基本作業の流れを理解する
- 6か月で、簡単な段取りや報告ができるようにする
- 1年で、資格取得や担当領域の方向性を決める
大切なのは、完璧な教育資料を作ることではありません。
若手本人、教育担当、社長の間で「今どこにいて、次に何を目指すか」が見える状態をつくることです。
この見える化がないと、若手は「自分は成長しているのか」と不安になります。先輩は「どこまで教えたらいいのか」と迷います。
4. 教育担当を決め、現場任せをやめる
若手が辞めやすい会社では、教育担当が曖昧なことがよくあります。
現場ごとに先輩が変わる。忙しい人に聞くしかない。社長は採用したものの、日々の育成までは見切れない。こうなると、若手は相談先を失います。
教育担当は、必ずしも一番腕のいい職人でなくてもよいです。
むしろ、次のような人が向いています。
- 若手の話を最後まで聞ける
- できていない点だけでなく、できた点も伝えられる
- 社長の考えをある程度理解している
- 現場の忙しさを理由に放置しない
教育担当の役割は、技術を全部教えることではなく、若手が会社の中で迷子にならないようにすることです。
技術は複数の先輩から学んでも構いません。ただ、育成の窓口は決めた方がよいです。
まとめ
若手採用がうまくいかない会社は、採用力だけが足りないわけではありません。
採用した後に、若手が会社の考え方を理解し、先輩と関係をつくり、成長の道筋を持てる受け入れ体制が必要です。
特に専門工事会社では、既存社員の経験値が大きな財産です。ただ、その経験値は若手にとって暗黙知になりやすいです。
だからこそ、新卒採用や若手採用を強める前に、次の4つを整えておくと進めやすくなります。
- 企業理念を現場の言葉で共有する
- 既存社員と若手の対話の場をつくる
- 入社後3か月、6か月、1年の育成計画を決める
- 教育担当を決め、現場任せにしない
採用は入口です。
会社を大きくするには、入口の先にある受け皿を整えることが欠かせません。若手が続く会社は、特別に器用な会社ではなく、若手が迷わないように少しだけ仕組みを持っている会社です。
若手採用の前に、自社の受け入れ体制を整理したいときは
若手を採りたい、新卒採用にも挑戦したい。けれど、今の社内で本当に受け入れられるのか不安がある。
その段階では、求人媒体を増やす前に、まず社内の状態を整理するのがおすすめです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。若手採用や定着についても、理念共有、教育体制、既存社員との対話設計など、会社の状況に合わせて一緒に考えることができます。
「うちの場合は、何から整えるべきか」 「採用を始める前に、社内で何を決めておけばいいか」
そうした整理の段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要なタイミングでお気軽にご相談ください。


































