社長一人で営業・見積もり・現場管理を担い、数年以内に右腕が必要な専門工事会社の現在地
中国地方にある、社員数名と外部スタッフで工事を回す専門工事会社では、代表が営業、見積もり、材料の拾い出し、現場管理まで幅広く担っていました。今後は長期の大型プロジェクトも控えており、現場を進めながら次の体制をつくる必要があります。
代表の希望は、経験のない若手を一から育てることではありません。求めているのは、建設業の実務を理解し、代表と2〜3年ほど一緒に動きながら仕事を引き継げる30代の中堅人材です。
「もう来てもらって、これから2、3年は僕と一緒にやりながら覚えてほしい」
一方で、現在の代表と同じ働き方をそのまま引き継がせることには迷いがありました。
「自分は家庭を犠牲にした面もある。でも、今の若い人に同じことを求めるのは無理なんじゃないか」
この感覚は、多くの専門工事会社に共通するものです。創業者や現在の代表は、営業から現場まで一人でこなしてきました。しかし、同じ能力と働き方を一人の後継者に求めると、採用条件が極端に厳しくなります。
30代の右腕採用では、現在の社長を再現できる人を探すのではなく、今後どの仕事を任せたいのかを切り分けることが出発点です。
1週間で 17件の相談 がありました
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
求人媒体に掲載するだけでは、転職市場に出ていない30代の経験者に届かない状況
30代の施工管理経験者や幹部候補は、求人を出せば応募してくる層とは限りません。すでに勤務先で現場を任され、給与や役職が上がり始め、結婚や住宅ローンなど生活上の責任も抱えていることが多いからです。
実際に採用候補として名前が挙がった30代の監督も、大きな仕事を任され、これから仕事が面白くなる時期にいました。家庭があり、住宅ローンもあるため、転職には本人の希望だけでなく、家族が納得できる材料も必要です。
地域の求人を調べると、「建設」という広い条件では数千件が表示されました。工種を絞っても数十件が並び、月給は28万円から40万円ほど、日給は1万4,000円から1万8,000円ほどの募集が見られました。
ここで重要なのは、求人件数の多さだけではありません。候補者は、現在の勤務先に残る選択肢と、複数の転職先を比較できます。特に経験者は、給与だけでなく、担当する工事、会社の安定性、裁量、将来の役職まで見ています。
「求人サイトに載せたら来る、という話ではない」
まさにこの通りです。求人媒体は候補者と接点を持つ手段の一つですが、掲載そのものが採用戦略になるわけではありません。
求人を出しても応募がない会社ほど、媒体を増やす前に「誰に、何を任せ、なぜ自社へ移る価値があるのか」を整理する必要があります。
社長の仕事が分業されておらず、待遇と入社後の役割も見えにくい採用条件
幹部候補の採用が難しくなる背景には、採用市場の厳しさに加えて、社内の仕事が社長個人に集まっている事情があります。
この会社でも、代表が見積もり、営業、現場管理などを一人で担っていました。その姿を長く見てきた身近な人ほど、「自分には同じことはできない」と感じやすくなります。
「何もかも自分がやっていたら、会社は大きくならない。分業して、人に任せない限り限界がある」
採用する側が「右腕」「後継者」「幹部候補」という言葉だけで募集すると、候補者からは入社後の仕事が見えません。営業、見積もり、積算、現場管理、協力会社との調整、経営判断まで、すべてを任されるようにも受け取れます。
しかも、求める人物像が曖昧なままでは、給与水準も決めにくくなります。同業他社では賞与を年3回支給しているという話もあり、地域の有力企業やプラント関連会社では月給30万円前後が一つの基準として意識されていました。
ただし、中小の専門工事会社が給与だけで大手と競うのは簡単ではありません。そこで重要になるのが、その会社だから渡せる役割です。
この会社には、今後始まる大型プロジェクトがありました。代表の近くで工事の進め方を学び、将来は部長として残ることも、経営を担うことも検討できます。大きな組織では得にくい裁量や、新しい体制をつくる経験を提示できる会社です。
「社長になってもいいし、うちで部長をしてもいい。任せるから」
この言葉は大きな魅力になり得ます。ただし、求人原稿に「幹部候補募集」と書くだけでは伝わりません。どのプロジェクトに関わり、どこまで判断でき、何年後にどの立場を想定しているのかまで具体化する必要があります。
中小建設会社が経験者に提示できる強みは、給与だけではなく、裁量権、経営者との距離、新規プロジェクト、将来の役割を具体的に約束できることです。
役割・待遇・魅力・接点・求人原稿を順番に組み立てる幹部候補採用
30代の幹部候補を採用する際は、いきなり求人媒体を選ぶのではなく、次の順序で整理すると進めやすくなります。
1.社長の仕事を分け、採用する一人目の役割を決める
最初に行うのは、社長が現在担っている仕事の棚卸しです。この会社では、営業、見積もり、材料の拾い出し、現場管理が代表に集中していました。
これらすべてを一人の候補者に求めるのではなく、まず何を任せるかを決めます。例えば、現場管理を中心に任せ、営業は当面代表が担う形も考えられます。反対に、顧客対応や営業を任せ、積算や事務を別の人が支える形もあります。
採用要件を整理する際は、少なくとも次の点を明らかにします。
- 入社直後に任せる業務
- 代表と一緒に行う業務
- 1〜3年後に任せたい判断
- 必須となる工事経験や管理経験
- 入社後に学べるため、現時点では不要な経験
- 部長候補なのか、将来の経営候補なのか
「万能な後継者」ではなく、「最初にどの仕事を担う右腕か」まで絞ると、候補者も入社後を想像しやすくなります。
2.競合求人と現在の勤務先を踏まえて待遇を判断する
給与は、自社がこれまで支払ってきた水準だけでは決められません。候補者が現在受け取っている給与、地域の同職種の求人、賞与や休日、役職手当などを並べて判断します。
ここで見るべきなのは月給だけではなく、年収全体と転職に伴う負担です。30代では、家族や住宅ローンを抱えている場合もあります。試用期間中の条件、賞与の考え方、休日、出張の頻度、転居の有無まで説明できる状態が必要です。
競合より高い給与を必ず出すという意味ではありません。給与差があるなら、それを補う裁量や将来の役割が本当にあるかを確認します。条件を曖昧にしたまま「将来は社長も目指せる」と伝えても、候補者と家族は判断できません。
待遇は自社の都合だけで決めず、候補者が現在の会社を離れるリスクに見合うかという視点で設計します。
3.自社ならではの魅力を、実際の仕事に置き換える
「アットホーム」「やりがいがある」「将来性がある」といった表現だけでは、他社との違いが出ません。候補者が入社後に経験できることへ置き換えます。
今回のような会社であれば、次のような要素が魅力の材料になります。
- 長期の大型プロジェクトに初期段階から関われる
- 代表と直接動きながら、顧客対応や工事管理を引き継げる
- 現場の進め方や協力会社の編成について裁量を持てる
- 既存組織の一担当者ではなく、今後の体制づくりに関われる
- 将来は部長や経営を担う選択肢がある
ただし、実際に渡せない裁量を魅力として掲げるのは避けるべきです。代表がどこまで任せる覚悟を持てるかを先に決め、その範囲を求人原稿や面談で伝えます。
4.候補者がいる場所から接点を設計する
30代の経験者が転職サイトを毎日見ているとは限りません。今の会社に強い不満はなくても、「もっと裁量が欲しい」「新しい工事に挑戦したい」と考えている潜在層はいます。
そのため、求人媒体だけでなく、候補者が実際にいる接点を探ります。取引先や協力会社との人脈、同業者からの紹介、過去に一緒に仕事をした監督、自社サイトへの採用情報の掲載など、複数の経路を検討します。
媒体を使う場合も、先に「候補者は普段どこから情報を得ているか」を考えます。大手の求人媒体を見る人なのか、地域情報に強い媒体を見る人なのか、知人からの紹介を重視する人なのかによって、選ぶ接点は変わります。
採用媒体を先に決めるのではなく、欲しい人がどこにいて、誰の言葉なら話を聞くのかを起点に接点をつくります。
5.一度の掲載で判断せず、求人原稿を改善する
求人原稿は、一度作って終わりではありません。東北地方の点検工事会社では、自社の仕事が汚れやにおいを伴うため、「何を魅力として伝えればよいかわからない」という悩みがありました。
そこで無料掲載から始め、掲載と停止を繰り返しながら表現を変えました。21回目に「マンホールに入れる仕事」という、その会社でしか言えない切り口にたどり着き、その後は毎年3〜4名を安定的に採用できる状態になりました。
幹部候補の採用でも考え方は同じです。応募がなければ、すぐに「人がいない」と判断するのではなく、どこを見直すべきかを分けて考えます。
- 求める経験が広すぎないか
- 役割が重すぎるように見えていないか
- 給与や休日が比較できる形で書かれているか
- 裁量や大型プロジェクトの中身が具体的か
- 将来の役職だけでなく、入社直後の仕事が見えるか
- そもそも狙う候補者が利用する経路に出せているか
外部採用では、採用決定まで半年、長ければ1年ほどかかることもあります。大型案件が始まってから探すのではなく、代表と一緒に動ける期間から逆算して着手することが大切です。
幹部候補採用は一度の求人掲載で成否を決めず、反応を見ながら役割、条件、表現、掲載先を継続的に改善する取り組みです。
まとめ
30代の幹部候補や右腕人材は、求人媒体へ掲載するだけではなかなか採用できません。すでに他社で重要な仕事を任されており、給与、家庭、将来の役職を含めて転職を判断するからです。
一方、中小の専門工事会社には、大手にはない魅力があります。代表の近くで仕事を学べること、大型プロジェクトを動かせること、裁量を持てること、会社の次の体制をつくれることです。
採用を進める順序は、次の通りです。
- 社長の仕事を分け、採用する人の役割を絞る
- 競合求人と候補者の現職を踏まえて待遇を決める
- 裁量やプロジェクトなど、自社ならではの魅力を具体化する
- 候補者がいる媒体や人脈から接点をつくる
- 求人原稿と掲載先を継続的に改善する
右腕採用の成否を分けるのは、求人を出したかどうかではなく、入社後に任せる仕事と候補者が転職する理由を具体的に示せているかです。
自社に合う幹部候補の役割と採用経路を整理するために
「右腕が欲しいが、どこまで任せるべきかわからない」「給与相場や求人媒体をどう判断すればよいか迷っている」という段階でも、採用課題は整理できます。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。幹部候補の人物像づくりから、待遇の比較、自社の魅力の言語化、採用経路や求人原稿の設計まで、自社の状況に合わせて一緒に検討できます。
まだ具体的な採用計画が固まっていなくても問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、何から整理すべきかを確認する場としてご活用ください。































