前提

65歳での承継まで約3年半、若手3人を残したい10名強の専門工事会社

中国地方で10名強の職人を抱える、ある専門工事会社では、後継者候補がすでに決まっています。社長自身も「65歳で辞める」と決めており、承継までの残り時間は約3年半です。

会社を大きくすることが目的ではありません。社長の言葉は、「自分が引退するまでに、次の代へ引き継げればいい」というものでした。ただし、代表者を交代するだけでは、承継後の現場は安定しません。

社内には20代もいる一方、建設業全体の年齢上昇を身近に感じています。次の代が現場を回していくため、社長は「一応、若手が3人は欲しい」と考えていました。

この会社に必要なのは単なる欠員補充ではなく、3年半後に後継者を支えられる若手3人を社内に残すことです。

採用の間口は比較的広く、「何もできない子でもいい。若手なら未経験でも構わない」という考えです。ベテラン職人がおり、未経験者を教えられる土台もあります。土曜日は原則休みで、残業もほとんどありません。若手へ伝えられる職場の良さは、すでに社内にある状態です。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
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  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
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  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
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  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
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  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
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  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
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課題

3人採用する計画ではなく、3年半後に3人が育って残る計画が必要

この会社では応募がまったくないわけではありません。ハローワークなどから「来るのは来る」ものの、若手が短期間で辞めてしまうことが課題になっています。

「若い子は、だいたい1年くらいすると飽きてくる」

「1年、3年ともてば、ほとんどの人は残るんだけどね」

入社後の早い段階で、トラック関係など別の仕事が良く見え、異業種へ移るケースもあるそうです。求人広告や人材紹介を使った際には、採用後1週間以内、場合によっては1日、2日で辞めた人もいました。採用費だけが残った経験から、有料媒体への警戒感が生まれるのも無理はありません。

ここで注意したいのは、「若手を3人採る」と「若手3人が承継時に戦力として残る」は別の計画だという点です。

承継に必要な人数は採用数ではなく、承継時点の定着人数と技能構成で決める必要があります。

過去に採用した若手のうち、1年後、2年後、3年後に何人残ったかを確認すると、必要な採用人数が見えてきます。3人採用して3人全員が残る前提ではなく、自社の実績に合わせて、何人へ声をかけ、何人を採り、何人の定着を目指すかを分けて考えます。

さらに、未経験者が入社しただけでは、後継者を支える戦力にはなりません。現場で一人前になるまでの教育、必要な実務経験、技能検定などの資格取得までを、3年半という期限に収める必要があります。

背景

自然に人が入る採用から、期限を決めて育てる採用への切り替え

これまでの採用は、知人からの紹介や、社員が別の若手を連れてくる縁故採用が中心でした。現場で一緒になった別職種の人から「この会社で働きたい」と言われ、入社につながったこともあります。

ただ、社長自身も「今後は、そういうことはめったにない」と感じています。現在はハローワークの求人を継続しているものの、採用へ強く力を入れているわけではなく、「来るもの拒まず」に近い状態でした。

紹介を待つ採用は期限のない補充には対応できても、3年半後の事業承継から逆算した人員づくりには向きません。

一方で、採用後の教育には強みがあります。ベテラン職人が複数おり、未経験者へ仕事を教えられます。また、一定の実務年数を満たした社員には技能検定を受けるよう促しており、資格を成長の目安として捉えています。

「資格を持っておかないと、どこへ行っても技量の判断材料がない」

この考え方は、若手の育成計画をつくるうえで重要です。ただし、社内では資格を持たない職人も一定数います。誰が教育を担当するのか、何をもって習得とするのかが曖昧なままでは、教える人によって内容が変わりやすくなります。

外国人材についても現地まで足を運んで検討しましたが、「一人入れたら、連れて歩く日本人も一人必要になる」と感じていました。採用人数だけを増やしても、教育担当者が足りなければ現場の負担が増えます。

若手採用の上限は求人予算だけでなく、現場で安全・品質・技能を教えられる人数によって決まります。

承継前に急いで複数人を採っても、ベテラン職人が通常業務と教育を同時に抱えれば、双方が疲れてしまいます。採用時期を分け、教育担当者の余力と合わせることが欠かせません。

解決

承継日から逆算し、採用・教育・資格・定着を一枚の計画にする進め方

最初に決めたいのは、募集媒体ではありません。承継時に必要な人材の状態です。この会社なら、「約3年半後に若手3人が残り、後継者のもとで現場を担える状態」が基準になります。

採用計画は、承継日、必要な定着人数、一人前までの期間、教育可能人数の順に整理します。

1.承継時に必要な「3人」の役割を具体化する

同じ若手3人でも、全員が補助作業の段階なのか、資格を持ち、一定の作業を任せられるのかでは意味が変わります。まず、承継時点で求める状態を役割ごとに定めます。

  • 一人で任せたい作業は何か
  • 後継者や職長の指示のもとで担当できればよい作業は何か
  • 承継までに取得してほしい資格や技能検定は何か
  • 安全、品質、現場での振る舞いを誰が確認するか

技能の到達点が決まれば、採用期限も決めやすくなります。資格受検に実務年数が必要なら、その期間を承継日から差し引き、いつまでに入社してもらう必要があるかを確認します。

2.3人を一度に採らず、教育できる単位に分ける

未経験者を受け入れる場合、採用数と同時に教育担当者を決めます。「ベテランが多いから誰かが教える」ではなく、若手一人に対して主に誰が見るのかを明確にする形です。

確認したいのは、次の3点です。

  • 教育担当者が通常の現場と両立できるか
  • 最初に教える作業や安全面の基準がそろっているか
  • 一定期間ごとに習得状況を確認できるか

外国人材を検討した際に出た「日本人とセットで増やさなければ難しい」という感覚は、未経験の日本人にも一部共通します。付き添いや確認が多い初期ほど、教育側の時間が必要です。

採用時期は求人の反応ではなく、教育担当者が一人を受け入れられる時期に合わせて分散させます。

3.未経験者を前提に、資格取得までの道筋を見せる

経験者に限定すると、若手の母集団は狭くなります。この会社のように「経験がなくてもよい」と考えられるなら、未経験者を採り、社内で育てる方が現実的です。

その際は、求人にも入社後の流れを載せます。たとえば、最初は何を担当し、誰から教わり、必要な年数を経た後にどの技能検定を目指すのかを言葉にします。

資格は会社側が技能を確認するだけでなく、本人が「ここまでできるようになった」と実感する材料にもなります。仕事に慣れ始める1年前後で別の職種が良く見えるのであれば、その時期までに次の目標を示せる設計が必要です。

4.入社前の期待と実際の働き方をそろえる

同社には、土曜日の休みや残業がほとんどないという特徴があります。実際、残業が大きく減ってから人が増えたという実感もありました。

ただし、働きやすさは社内にあるだけでは応募者に伝わりません。ホームページを見て応募した人がいたように、若手は応募前に会社を調べます。本人だけでなく、家族が会社情報を確認することもあります。

求人やホームページでは、次のような事実を具体的に伝えます。

  • 土曜日や日曜日の勤務状況
  • 残業の実態
  • 未経験者を教えられるベテランがいること
  • 資格取得を勧めていること
  • 入社後に担当する仕事と成長の流れ

定着率を上げる第一歩は、良く見せることではなく、入社前に聞いた話と入社後の現実をそろえることです。

5.最初の1〜3年を定着期間として管理する

この会社では、1年から3年を越えれば残る人が多いという実感があります。ならば、採用活動の完了を入社日に置かず、3年後まで追う必要があります。

少なくとも入社後は、仕事を覚えているかだけでなく、次の点を定期的に確認します。

  • 想定していた働き方とのずれはないか
  • 教育担当者との関係で困っていないか
  • 次に覚える仕事や資格が見えているか
  • 他職種へ関心が移っている場合、その理由は何か

退職理由は人それぞれでも、話を聞く時期を決めておけば、会社側で対応できるずれは早めに見つけられます。後継者にも面談や育成へ加わってもらえば、承継前から若手との関係をつくれます。

まとめ

後継者候補がいても、次の世代を支える職人がいなければ、円滑な事業承継にはなりません。特に期限が約3年半と決まっている場合、求人を出して応募を待つだけでは時間が足りなくなる可能性があります。

事業承継に向けた若手採用では、「何人採るか」より「承継時に何人が、どの技能と資格を持って残っているか」を計画の中心に置きます。

整理する順番は、承継日、必要な定着人数、技能の到達点、育成期間、教育担当者、採用時期です。そのうえで、未経験者にも伝わる求人内容をつくり、入社後1〜3年の定着まで確認します。

社長が築いてきた働き方や教育の土台は、採用で伝えられる大切な資産です。それを次の代へ渡せる形に整えることが、承継前に進めたい人づくりになります。

承継後も現場が回る若手採用の計画を整理するために

「承継時期は決めているが、採用人数や育成の順番までは決まっていない」「未経験者を採った後、誰がどう育てるべきかわからない」という段階でも、課題は整理できます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、組織、現場、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。事業承継に向けた若手の必要人数、採用経路、教育担当者、資格取得、定着施策を一つの計画にまとめたい場合もご相談いただけます。

無理にサービスを勧めることはありません。自社の場合は何から整理すべきかを確認する場として、お気軽にお声がけください。

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