前提

創業50年前後・15名規模の電気工事会社が、公共住宅の柱を残したまま周辺領域を探している状態

神奈川県のある電気工事会社では、公共住宅の原状回復や共用部修繕を主力にしています。売上は5億円台。社員は15名弱です。

現場はかなり実務的に回っています。住戸側は「1人1台車」で動き、スイッチ、コンセント、照明器具、エアコン、分電盤、ブレーカー、インターホン、換気類まで対応します。1人あたり月30〜40件を回すような働き方です。

一方で、売上の大半が特定の公共住宅関連の仕事に寄っています。社長の言葉を借りると、「母体となる収益源が1個しかないので、不安を解消したい」という状態です。

新築の大きな現場に大きく振る考えは強くありません。「新築は割に合わない気がする。従業員が疲弊しそうで」という感覚があります。狙いたいのは、今の修繕体制と相性のよい小規模・中規模の改修です。

その延長で出てきたのが、消防設備業、特に防災点検などの周辺領域です。

「その仕事はしたい。ただ、うちからゼロで部署を作ったり、人を集めたりするのはものすごく大変で、時間がかかるだろうなと思っています」

この悩みは、多くの専門工事会社に通じます。既存事業の強みを活かして隣の領域へ広げたいが、自社で立ち上げるには人・資格・管理体制の壁があるという話です。

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  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

消防設備点検は近い仕事に見えても、電気工事の延長だけでは立ち上がりにくい

消防設備点検は、電気工事会社にとって遠すぎる領域ではありません。建物設備に関わります。既存顧客との接点も活かせる可能性があります。公共住宅、マンション、ビル、施設など、顧客の建物は重なりやすいです。

ただし、現場でやることは別物です。「近い業種」ではあっても、「同じ人員で明日から回せる仕事」とは限りません。

特に整理したいのは、次の点です。

  • 消防設備士や点検資格者など、必要資格を持つ人がいるか
  • 点検報告、是正提案、改修工事まで含めた業務設計ができるか
  • 法定点検の周期に合わせて、継続案件として管理できるか
  • 既存の電気工事チームと、誰がどこまで兼務できるか
  • 既存顧客に提案したとき、受け入れられるサービス設計になっているか

この会社でも、既存の住戸対応チームはすでにいっぱいです。動かせるとしたら共用部修繕の4名チーム。ただ、そのチームもLED化や絶縁不良の改修など、利益の出る仕事を持っています。

つまり、消防設備点検を始めるにしても、既存の稼働を削ってまでやるのか、別チームを作るのか、外から人と仕組みを取り込むのかを決める必要があります。

背景

採用で若手有資格者を増やすだけでは、部署立ち上げの時間軸が読みにくい

この会社では、採用も進めています。欲しい人材は明確です。20代〜30代で第二種電気工事士を持つ人を2〜3名。まずは辞めた1名の補充もあります。

ただ、採用は簡単ではありません。求人媒体を試しても、思ったような反響につながらない。応募が来ても50代、60代が多く、採用には至っていない。採用サイトも十分に動かし切れていない。

「減ったら入れて、減ったら入れてという感じだったので、先を見据えて考えてはいなかった」という言葉もありました。

これは責める話ではありません。中小の専門工事会社では自然なことです。社長が採用、面接、営業、現場判断を兼ねている会社も多いです。

だからこそ、新規事業をゼロから作る場合は、時間軸を甘く見ないほうがよいです。

消防設備点検を自社で立ち上げるなら、少なくとも次の時間がかかります。

  • 必要資格を持つ人材の採用、または既存社員の資格取得
  • 点検業務の経験者からの業務移管
  • 報告書、写真管理、顧客対応の型づくり
  • 点検後の是正工事を受ける体制づくり
  • 既存顧客への提案資料や価格表の整備

採用してから事業になるのではなく、採用後に業務を覚え、顧客に提案し、継続案件化して初めて事業になります。

ここに1年、2年とかかることは十分あります。既存事業が忙しい会社ほど、立ち上げの責任者が曖昧になりやすいです。

そのため、社長が「経営者がいない、後継者がいないような消防設備会社があれば、承継や買収も考えたい」と感じるのは自然です。時間を買う選択肢だからです。

解決

自社立ち上げとM&Aは、時間・人材・顧客・統合の4点で比べる

消防設備点検へ進む場合、自社で育てるか、近接業種の会社を承継・買収するか。どちらが正解というより、自社の制約に合う進め方を選ぶことが大切です。

まず、自社立ち上げの良さは、既存文化に合わせて小さく始められることです。無理に大きな固定費を抱えず、既存顧客への追加提案から始められます。既存の修繕チームと連携しやすい点もあります。

一方で、弱点は時間です。資格者、経験者、管理の型を社内で作る必要があります。採用が予定通り進まなければ、部署化までの時間が読みにくくなります。

M&Aや事業承継の良さは、人、資格、顧客、業務の型をまとめて取り込める可能性があることです。すでに点検先があり、資格者がいて、報告書の流れもある会社であれば、立ち上げ時間を短縮できます。

ただし、M&Aにも注意点があります。買って終わりではありません。買収後に人が辞めないか、既存顧客が継続するか、自社の電気工事部門とどう連携するかが重要です。これがPMI、つまり買収後の統合です。

判断軸は、次の順番で見ると整理しやすくなります。

1つ目は、必要人材です。消防設備点検の責任者がいるか。資格者が何名いるか。社長が抜けても回る業務なのか。小規模会社では、実質的に社長1人が営業も点検管理も担っていることがあります。この場合、承継後にノウハウが抜けるリスクがあります。

2つ目は、資格・許認可・実務経験です。消防設備士、消防設備点検資格者など、業務に必要な資格者の在籍状況を確認します。資格だけでなく、点検報告、改修提案、行政対応、顧客説明の実務経験も見ます。

3つ目は、既存顧客との相性です。公共住宅、マンション、ビル、管理会社、法人施設など、自社がすでに接点を持てる顧客層と重なるかを見ます。既存顧客に追加提案できる領域であれば、M&A後の売上拡大が描きやすくなります。

4つ目は、案件の質です。単発の大きな案件より、定期点検のように継続する売上があるかを見ます。相談企業の社長も、「1,000万円で一発より、100万円でも月1回来るほうがいい」と話していました。消防設備点検は、この考え方と相性がよい可能性があります。

5つ目は、資金調達です。買収金額だけでなく、運転資金、引き継ぎ期間の人件費、設備やシステムの整備費も見ます。銀行がどこまで貸してくれるかも現実的な制約です。買収価格ありきではなく、買収後に無理なく返済できる利益が残るかを確認したいところです。

6つ目は、探し方です。後継者不在の会社は表に出ていないことも多いです。金融機関、士業、業界団体、取引先、地域の知人経由で情報が出る場合もあります。M&A仲介サイトだけで探すより、業種と地域を絞り、「消防設備点検」「防災設備」「弱電・設備保守」など近接領域で候補を広げるほうが現実的です。

進め方としては、いきなり買収候補を探す前に、まず自社側の条件を決めることです。

  • 欲しいのは点検売上か、資格者か、顧客基盤か
  • 対象エリアは既存商圏内か、少し広げるのか
  • 買収後、誰が責任者になるのか
  • 既存の電気工事部門と、どの案件で連携するのか
  • 銀行借入を使う場合、返済原資をどう見るのか

この整理ができると、自社立ち上げとM&Aを冷静に比べやすくなります。

まとめ

電気工事会社が消防設備点検へ広げるのは、十分に検討できる選択肢です。建物設備、改修、点検、是正工事という流れで、既存事業との接点もあります。

ただし、近いから簡単とは限りません。必要資格、経験者、点検管理、報告書、継続顧客の管理が必要です。

自社で育てるなら、時間を見込む。M&Aで広げるなら、買収後に人と顧客が残る設計まで見る。

この2つを並べて考えることが大切です。

特に、今の主力事業が忙しく、採用にも時間がかかっている会社では、M&Aは単なる拡大策ではなく、事業立ち上げの時間を短縮する現実的な手段になります。

一方で、資金調達やPMIを軽く見ると、既存事業に負担がかかります。まずは「どの領域なら既存顧客に追加提案できるか」「どの規模なら自社が統合できるか」から整理するのがよさそうです。

周辺領域への進出を、自社立ち上げとM&Aの両面から整理したいときは

消防設備点検、防災設備、設備保守などの周辺領域に進みたいとき、最初から答えが出ている会社ばかりではありません。

「自社で人を育てるべきか」「小さな会社を承継するほうが早いのか」「銀行借入でどのくらいまで考えられるのか」。この段階の整理からで十分です。

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