前提

応募は来ているが内定につながらず、積算・見積もり・出面管理のIT化もまだ動けていない専門工事会社の現在地

首都圏で内装・仕上げ系の工事を手がける、30名弱規模の専門工事会社の話です。採用活動はまったくのゼロではなく、複数の紹介会社や求人サービスを使い、面談予定も数名入っている状態でした。

一方で、社内では別の課題も見えていました。積算、見積もり、出面管理といった業務のIT化。新しい取引先の開拓。将来的には元請けに近い立ち位置で案件を増やすことや、協力会社を広げることも検討対象に入っていました。

ただ、担当者の言葉はとても率直でした。

「募集は結構あるんです。ただ、内定につながっていないところではあります」

「今、人がいないっていうのが、やっぱり一番うちにとって良くないところなので」

この状態では、DXも販路開拓も大事ではあるものの、最初に確認すべきは『新しいことを始めたときに、社内で受け止められる人と時間があるか』です。

建設業では、課題が一つだけという会社の方が少ないです。採用も必要、業務効率化も必要、営業先も増やしたい。どれも間違っていません。だからこそ、優先順位を間違えると、せっかくの施策が現場に定着しなかったり、取れた案件を回しきれなかったりします。

1週間で 8件ダウンロード されました

  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

人が足りない状態でDXや販路開拓を進めると、受け皿がないまま仕事と負荷だけが増える

この会社では、積算・見積もり・出面管理のIT化について「全然まだ進んでいない」「話してもいない」という状態でした。にもかかわらず、業務効率化への関心はありました。これは多くの建設会社で起きている自然な流れです。

紙、Excel、口頭確認、現場ごとの個別管理。こうした業務を少しでも楽にしたい。見積もりや出面を早く正確にしたい。社長や幹部が現場対応に追われる時間を減らしたい。そう考えるのは当然です。

ただ、IT化は「ツールを入れれば終わり」ではありません。実際には、使う人が業務の流れを理解し直し、入力ルールをそろえ、現場と事務所の間で運用を合わせていく必要があります。

人が足りない会社ほど、DXは“楽になる前に一度忙しくなる”施策です。

同じことは販路開拓にも言えます。新しい取引先を開拓したり、元請け案件を増やしたりすることは、会社の成長にとって大きな意味があります。ただ、受注できたとしても、施工管理、現場段取り、協力会社調整、見積もり対応、請求処理を担う人が足りなければ、社長や一部の幹部に負荷が集中します。

「仕事を取りたい」という相談に対して、まず見るべきなのは営業力だけではありません。

  • その案件を誰が見積もるのか
  • 受注後に誰が現場を回すのか
  • 社長がどこまで現場判断に入らないといけないのか
  • 協力会社を使う場合、管理できる人がいるのか
  • 追加案件が来たときに、既存案件の品質や納期を守れるのか

ここが曖昧なまま販路を広げると、売上機会は増えても、社内の疲弊も同時に増えることがあります。

今回のように「人がいないことが一番良くない」と社内で認識できている場合、DXや販路開拓を否定する必要はありません。順番を整理することが大事です。

背景

社長も幹部も忙しく、月1回の打ち合わせすら流れる会社では新施策を動かす余力を先に見る必要がある

この会社で印象的だったのは、採用支援や外部人材の活用そのものへの関心以上に、「本当に社内で動かせるのか」という不安が強かったことです。

担当者からは、こんな言葉もありました。

「部長も社長も忙しい中で、月の目標が進まなかったらどうなっちゃうのかなと」

「会計士さんや税理士さんとの月1回の会議でさえ、できていない時があるんです」

これは、建設業の中小企業ではかなり現実的な悩みです。社長は現場、見積もり、資金繰り、採用、取引先対応まで見ています。幹部もプレイヤーとして動いていることが多く、会議体を増やせば進むという単純な話ではありません。

新しい施策の成否は、施策の良し悪しだけでなく、社長・幹部がどれだけ時間を割けるかで大きく変わります。

DXであれば、導入前に業務の棚卸しが必要です。誰が何を入力しているのか、見積もりの根拠はどこにあるのか、出面の確認は誰が締めているのか。これを整理する時間が必要になります。

販路開拓であれば、営業先を増やすだけでは足りません。どの工事を取りに行くのか、単価条件はどこまで許容するのか、元請け寄りに動くなら誰が顧客対応を担うのか。これも社長や幹部の判断が欠かせません。

採用も同じです。ただし採用の場合は、他の施策と違い、今後のDXや販路開拓を進めるための“受け皿づくり”になる点が大きく違います。

今回の会社は、採用活動をすでに進めていました。応募もあり、面談予定もある。しかし内定にはつながりきっていない。ここで重要なのは、「応募が来ないから求人媒体を増やす」という話ではなく、次のような整理です。

  • どの職種を最優先で採るのか
  • 経験者の施工管理なのか、若手育成枠なのか
  • 入社後に任せたい役割はどこまで明確か
  • 面談で会社の魅力や期待役割を伝えきれているか
  • 採用後に現場へ定着させる体制があるか

採用が進まない原因は、応募数だけでなく、採りたい人物像・口説き方・入社後の受け入れ体制が曖昧なことにもあります。

特に施工管理経験者のような人材は、採用難易度が高いです。給与や条件だけで勝とうとすると、大手や近隣の競合と比べられます。中小の専門工事会社ほど、「何を任せるのか」「どんな現場で力を発揮できるのか」「社長や幹部との距離感」「将来のポジション」まで言語化して伝える必要があります。

解決

採用を先に置くかどうかは、受注余力・社内時間・人材緊急度の3点で判断する

DXや販路開拓より採用を優先すべきかは、会社によって答えが変わります。ただ、判断軸はかなりシンプルです。

まず見るべきは、いま新しい仕事や新しい仕組みを受け止められるだけの人員と時間があるかです。

整理する順番は、次の3つです。

1. 受注余力|仕事を増やしたときに誰が回すのか

販路開拓を進める前に、追加で案件が来た場合の受け皿を見ます。

既存の現場で手一杯なのか。施工管理が足りないのか。職人が足りないのか。協力会社はいるが管理者が足りないのか。ここを分けて考える必要があります。

たとえば、社長が「仕事は取りたい」と考えていても、現場を見られる人が不足しているなら、先に採るべきは営業人材ではなく施工管理や現場を任せられる右腕かもしれません。

受注余力がない会社にとって、販路開拓は採用後の成長施策です。

2. 社内時間|DXを入れる前に運用を決める時間があるか

積算・見積もり・出面管理のIT化は、導入すればすぐ効率化するものではありません。最初に、現在のやり方を洗い出し、どこを標準化するか決める必要があります。

社長や幹部が月1回の打ち合わせ時間も取りにくい状態であれば、いきなり大きなシステム導入を始めるより、まずは業務整理に参加できる担当者を決めることが先です。

採用で事務・管理・施工管理のどこかを補強できれば、DXの推進役を置ける可能性も出てきます。

DXは、人手不足を解消する手段であると同時に、進めるための人手も必要な施策です。

3. 採用緊急度|応募があるうちに内定・定着までの流れを整える

今回の会社のように、すでに応募や面談がある状態なら、採用活動はゼロから作る段階ではありません。むしろ、内定につながらない理由を早めに見直す段階です。

見るべきポイントは、求人媒体の追加だけではありません。

  • 面談前に候補者へ何を伝えているか
  • 面談で会社の魅力を誰がどう話しているか
  • 候補者が不安に思う点に答えられているか
  • 入社後の役割、評価、育成の説明ができているか
  • 社長・幹部が採用に割く時間を確保できているか

「ご縁があれば」という感覚は大切です。建設業の採用では、無理に採っても定着しないことがあります。ただ、応募が来ているのに決まらない状態が続くなら、ご縁を待つだけでなく、ご縁を逃さない選考設計に変えることが必要です。

そのうえで、進め方としては次の順番が現実的です。

  1. まず採用職種と優先順位を決める
  2. 応募から内定までの流れを見直す
  3. 採用後に任せる役割と育成体制を整理する
  4. 人員の目処が立った段階で、業務効率化の対象を絞る
  5. 現場を回せる体制が見えてから、販路開拓や元請け化を進める

採用、組織体制、DX、販路開拓はバラバラの課題ではなく、順番につながっている経営テーマです。

採用で人を増やす。増えた人が動けるように役割と育成を整える。整った体制で、見積もりや出面管理を効率化する。そこで生まれた余力を使って、新しい取引先や元請け案件に挑戦する。

この流れで考えると、今やるべきことが見えやすくなります。

まとめ

人手不足の建設会社が、DXや販路開拓より先に採用を優先すべきか。答えは、会社の受注余力と社内体制によって変わります。

ただし、今回のように「人がいないことが一番良くない」と感じており、応募はあるが内定につながっていない状態であれば、まず採用の整理に向き合う価値は大きいです。

人が足りないまま仕事を増やすと、売上機会と同時に現場負荷も増えます。 人が足りないままDXを入れると、定着する前に運用負荷で止まりやすくなります。 採用は、DXや販路開拓を後回しにするためではなく、次の施策を成功させるための土台づくりです。

すでに応募がある会社なら、求人媒体を増やす前に、採りたい人物像、面談での伝え方、入社後の役割、社長・幹部が採用に割ける時間を見直すことから始めるのが現実的です。

そして、人員の目処が立ったら、次は組織体制の整備です。誰が現場を見るのか。誰が見積もりを担うのか。誰が出面や原価を締めるのか。そこまで整理できると、DXも販路開拓も「やりたいこと」から「動かせる施策」に変わっていきます。

うちの場合は採用・DX・販路開拓のどこから始めるべきかを整理する

採用、積算・見積もり・出面管理のIT化、新規取引先の開拓、元請け化、協力会社づくり。どれも大事だからこそ、今の会社にとってどの順番がよいか迷うことがあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、今の体制で何から動くべきかを一緒に確認することもできます。

「うちは採用が先なのか」「DXを入れる前に何を整えるべきか」「販路開拓しても回せる体制なのか」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてご活用ください。

お問い合わせはこちら