住宅元請けが9割の5名弱のリフォーム会社が、利益を立て直すために公共案件を見始めた状況
東北地方の県庁所在地近郊で、住宅リフォームを中心に手がける小規模会社の話です。役員を含めて5名弱の体制。売上はここ数年、1億円台半ばで推移しています。
元請け比率は高く、個人のお客様からの住宅リフォームが中心です。屋根・外壁、水回り、内装を組み合わせながら、単価と利益を確保しようとしてきました。
ただ、足元では資材や設備の納期遅れもありました。
「契約はいただいているんです。でも、現場が思うように動かない。数字だけ見れば前年より上がりそうでも、肝心の利益が全然担保できていないんです」
チラシ、ポスティング、Web集客、ポータルサイト。いろいろ試してきた会社ほど、広告費の重さも感じます。そこで目に入ってきたのが、公共案件の中でも役務提供や小規模修繕という領域でした。
公共工事の厳しい入札と、内装修繕などの役務提供が同じものに見えてしまうこと
公共案件と聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは、官公庁の大きな工事です。建設業許可、経営事項審査、点数、入札参加資格、実績、価格競争。小規模な住宅リフォーム会社から見ると、少し遠い世界に感じます。
相談の中でも、最初は同じ感覚がありました。
「入札イコール、すごい競争があって、資格だ、条件だ、点数だ、というイメージしかない方が多いみたいなんです」
一方で、検討していたのは、いわゆる大規模な公共工事だけではありませんでした。内装修繕、点検、調査、清掃、設備交換、給湯器交換、エアコン交換。数万円で終わるものもあれば、数百万円規模のものもある。そうした役務提供や小規模修繕の案件です。
ここで整理したいのは、公共案件には大きく分けて見方があるということです。
- 道路、橋梁、建築物などの公共工事としての入札
- 点検、調査、清掃、修繕、設備交換などの役務提供・小規模案件
- 自治体や外郭団体、公共性の高い施設から出る施設維持管理系の案件
もちろん、自治体や案件ごとに条件は違います。役務提供だから何でも簡単、という話ではありません。ただ、住宅リフォーム会社が最初に見るべき入口は、必ずしも大型工事の入札だけではない。ここが大事です。
住宅集客の広告費が重くなり、数を取っても利益が残りにくくなっていること
この会社は、住宅リフォームをやめたいわけではありません。むしろ、創業時の理想は「住宅リフォームでしっかり売上をつくること」でした。
ただ、現実には、1件1件のエンドユーザー対応だけで、過去から積み上がったマイナスや利益面の課題を一気に解消するのは難しい。そんな感覚が出ていました。
「住宅1件1件はもちろん大事です。でも、それだけでは簡単に打破できない。正直、いろんな意味で少し疲れているところもあります」
住宅リフォームは、問い合わせを得るまでのコストが年々上がりやすい領域です。紙の販促も、Web集客も、ポータルサイトも、一定の費用がかかります。相見積もりも多くなります。
一方、公共の役務提供や小規模修繕は、見方を変えると、広告費をかけて個人客を追い続ける以外の受注経路になり得ます。
ただし、ここで焦って「何十件も片っ端から出す」だけになると危ういです。案件数を打つこと自体は必要な場面もあります。けれど、会社が5名弱の体制であれば、見積作成、書類対応、現地確認、施工、完了報告まで、すべてが経営者や限られた社員に乗ってきます。
小規模会社にとって公共案件は、売上を増やす入口であると同時に、対応体制を試される仕事でもあります。
まずは公共工事ではなく、役務提供・小規模修繕として自社に合う案件を見極めること
最初にやるべきことは、「公共案件をやるか、やらないか」を決めることではありません。まずは、公共案件の中身を分けて見ることです。
特に住宅リフォーム会社であれば、いきなり大きな公共工事を狙うより、次のような領域から確認する方が現実的です。
- 公共施設や関連施設のクロス貼り替え、床材交換などの内装修繕
- 給湯器、エアコン、照明などの小規模な設備交換
- 建物や外装に関する点検・調査・軽微な補修
- 介護施設、賃貸物件、公共性のある施設の維持修繕
この会社も、すでに介護施設の改修や、不動産オーナーが持つマンション・アパートの防水、舗装、改修を経験していました。つまり、完全に未知の仕事ではありません。公共案件という名前になると遠く見えますが、実際の作業内容だけを見れば、これまでの修繕経験の延長線上にあるものもあります。
参入前に確認したいのは、主に次の5つです。
1つ目は、参加資格と登録区分です。自治体ごとに、物品・役務・工事などの名簿や登録区分があります。工事として扱われるのか、役務として扱われるのかで、必要な書類や条件が変わります。
2つ目は、建設業許可や資格の要否です。役務提供だから建設業許可が一切関係ない、とは言い切れません。工事内容、請負金額、施工範囲によって判断が変わります。ここは案件ごとに丁寧に見た方がよいです。
3つ目は、実績の見せ方です。住宅の屋根・外壁・水回り実績を、そのまま並べるだけでは伝わりにくいことがあります。公共施設に近い建物、法人所有物件、介護施設、賃貸物件などの実績があれば、優先して整理したいところです。
4つ目は、書類対応の体制です。見積、仕様確認、写真、完了報告、請求書類。住宅リフォームの感覚より、事務処理が固い案件もあります。社長だけで抱えると、現場と書類の両方で詰まりやすくなります。
5つ目は、利益率と手間のバランスです。数万円の案件でも、移動、現調、見積、書類、段取りに時間がかかれば、利益は薄くなります。逆に、小さくても繰り返し性がある案件や、得意工事に近い案件なら、経験値を積みやすくなります。
おすすめの進め方は、まず3か月ほどを「試験期間」として、案件を分類しながら見ることです。
- 自社の得意工事に近いか
- 現場距離は無理がないか
- 書類負担はどの程度か
- 粗利が残る見積にできるか
- 次回以降の実績として使えるか
この5つで見れば、「取れそうだから出す」ではなく、続けられる案件だけに絞る判断がしやすくなります。
まとめ
小規模なリフォーム会社にとって、公共案件は遠い世界に見えます。特に、経審や点数が必要な公共工事入札を想像すると、参入ハードルは高く感じます。
ただ、内装修繕、点検、調査、設備交換のような役務提供や小規模修繕まで視野を広げると、見え方は少し変わります。
大事なのは、公共案件を一括りにしないことです。大型工事の入札なのか。役務提供なのか。小規模修繕なのか。自社の施工経験に近いのか。書類対応まで回せるのか。
住宅リフォーム会社が無理なく試すなら、まずは自社の得意工事に近い小さな案件からです。そして、案件ごとに利益と手間を記録する。そこから、続けるべきか、広げるべきかを判断する。
公共案件は、魔法の販路ではありません。ですが、広告費をかけて住宅集客だけを追い続ける状況から、少し違う受注経路をつくるきっかけにはなります。
公共案件を自社で試す前に、受注経路と対応体制を一度整理してみる
「うちの規模で公共案件を見てもいいのか」「役務提供と工事入札の違いがまだ曖昧」「登録や書類、利益の見方から整理したい」。そう感じる段階でも、十分に相談の価値があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、原価管理、組織体制、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。公共案件や役務提供を検討する場合も、まずは自社の強み、施工体制、利益ライン、書類対応力を一緒に見ながら、無理のない進め方を考えることができます。
無理な営業はいたしません。まだ方向性が固まっていない段階でも大丈夫です。自社の場合は何から整理すべきか、話しながら確認したい方は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
































