前提

北関東の県境エリアで直請け8割、年商4,500万円規模のリフォーム会社が次の柱を探している状況

群馬県東部を拠点に、塗装・外装リフォーム・マンションやビルの補修を手がける、ある専門工事会社の話です。

社長自身は職人出身です。業界歴は十数年。現在は社長が中心となり、一人親方や協力会社に応援を頼みながら現場を回しています。

売上はおよそ4,500万円規模。将来的には1億円、できれば2億円も見据えたい。けれど、いまは福島、東京、埼玉、地元周辺を行き来しながら、現調も施工も段取りも社長が抱えています。

「先のことを考えることすら、ちょっと今はバタバタで。目の前にある仕事をやるのでいっぱいです」

この言葉に、近い感覚を持つ会社は多いと思います。

個人向けの直請けは魅力があります。粗利を取りやすい。地域で名前も残る。お客様との距離も近い。

一方で、相見積もりが増えています。塗料や資材も上がっています。価格を上げると、大手や知名度のある会社に負ける。価格を合わせると、利益が削られる。

直請けを伸ばしたい気持ちと、相見積もりで利益が残りにくい現実がぶつかっている状態です。

ここで考えたいのは、「直請けをやめるか続けるか」ではありません。

自社にとって、どの受注チャネルを主軸にし、どのチャネルを補完に置くかです。

1週間で 6件ダウンロード されました

  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

個人向け直請けは利益率が高い一方で、大手との相見積もりに巻き込まれると粗利が読みにくくなる

個人向けの住宅リフォームは、直請けで受注できれば利益率を確保しやすい仕事です。

相談企業でも、リフォーム案件は直請けが中心でした。比率でいうと8割ほど。下請けに比べれば、自社で価格を決めやすい。お客様に直接説明できる。地元で強くなりたい会社にとっては、非常に大事なチャネルです。

社長もこう話していました。

「個人向けのほうを伸ばしたいです。利益率もいいし、地域で強くなりたいので」

ただ、実際の収益は案件ごとにバラつきます。

塗料は上がる。人件費も上がる。現場の移動もある。にもかかわらず、個人客は複数社から見積もりを取ることが多いです。

「金額を上げていくと、大手メーカーに負けることが多くて。安くやりたいけど、そうすると利益率が下がるんです」

ここが難しいところです。

直請けは利益率が高い。けれど、相見積もりの土俵に乗り続けると、結局は価格勝負になりやすい。

個人向け直請けは“粗利が高いチャネル”である一方、“営業負荷と価格競争の影響を受けやすいチャネル”でもあります。

特に、社長が現場に残りたい会社では注意が必要です。

社長が営業、現調、見積もり、施工管理、現場対応まで抱えると、案件数を増やすほど忙しくなります。売上は伸びても、社長の可処分時間が減ります。

直請けを主軸にするなら、価格競争に巻き込まれない入口を持てるかが重要です。

背景

住宅メーカーの10年点検経由という新しい入口が、相見積もりを避ける受注導線になり始めている

この会社には、すでに新しい動きがありました。

住宅メーカーの点検業務です。

新築から3年、5年、10年と点検があり、10年保証が切れるタイミングで外部の劣化を確認する。屋根、外壁、シーリング、防水などを点検する。必要に応じて見積もりを出す。

流れはかなり具体的です。

月ごとに、10年前に建てた住宅のリストが届く。住所、名前、電話番号、契約時期がある。営業担当が電話をかける。

「そろそろ10年保証が切れるタイミングなので、一度点検に伺えれば」

そこから点検日を決める。現地を見る。点検報告書を作る。見積もりを持っていく。

受注単価はおおむね150万〜200万円。対象は外回り中心です。屋根、外壁、コーキング、防水など。

動き始めて数か月。20〜30件のリストから、点検に進むのは10件弱になることもある。それでも、その中から3件、4件と受注が出始めている。

社長はこう話していました。

「そういう舞台を作っちゃえば、すごくいいなと思ってます。今は1社ですけど、あと数社からも同じような話があります」

このチャネルの良さは、単なる紹介案件ではないところです。

個人客への工事ではあります。けれど、入口は住宅メーカーの点検です。お客様側にも「保証の延長」という明確な理由があります。

一般的なチラシやホームページからの問い合わせとは、温度感が違います。

住宅メーカー点検経由は、“個人向け直請けの粗利”と“リスト営業の再現性”を両立しやすいチャネルです。

もちろん、失注もあります。

過去のメーカー対応に不満があり、「もういいよ」となるお客様もいます。これは施工会社だけではコントロールしきれません。

ただ、リスト数が一定あれば、数件の失注は織り込めます。営業トークも比較的マニュアル化しやすい。新人営業でも、教育期間を短く始められる可能性があります。

ここは重要です。

社長が現場に残りたいなら、営業の入口はできるだけ型化したほうがよいです。

現場力を社長が担い、営業導線はリスト・点検・報告書で仕組みに寄せる。この分担ができると、直請けの伸ばし方が変わります。

一方で、地場ゼネコンや法人リピートのチャネルも検討対象にはなります。

ただし、この会社では地域事情がありました。

地元は昔からのつながりが強い。既存の塗装会社や協力会社が、地場ゼネコンと長く付き合っている。そこに後から入るのは、技術や価格だけの問題ではない。

「世間が狭いというか、みんな知っているところなんです。もともと付き合っている人たちがいるので、入っていけないのが現状です」

この感覚も、地方の建設業ではとても現実的です。

地場ゼネコンは安定します。大型案件もあります。3か月仕事を探さなくてもよい現場もある。

ただ、地域のしがらみがある場合、無理に主軸に据えると時間がかかります。

地場ゼネコンは魅力的でも、地域の既存関係に割って入る難易度を見誤ると、営業コストが重くなります。

下請け案件も同じです。

一定の仕事量を確保しやすい。社長が営業に追われにくい。協力会社を回すには便利です。

ただし、粗利は直請けより下がりやすい。元請けの工程や条件にも左右されます。

つまり、各チャネルには一長一短があります。

  • 個人向け直請け:粗利は高いが、相見積もりと営業負荷が重い
  • 住宅メーカー点検経由:個人客向けだが、リストと保証理由があり再現性を作りやすい
  • 地場ゼネコン・法人リピート:安定性はあるが、既存関係や地域のしがらみが壁になることがある
  • 下請け案件:仕事量を埋めやすいが、粗利と価格決定権は弱くなりやすい

大事なのは、どれが正解かではありません。

自社の体制と社長の働き方に合う順番で、チャネルを組み合わせることです。

解決

社長が現場に残る会社は、直請け一本ではなく“点検経由を主軸、法人・下請けを補完”で設計する

この会社のように、社長が現場に残りたい場合、受注チャネルの設計はシンプルに考えたほうがよいです。

まず見るべきは、粗利だけではありません。

粗利が高くても、社長が毎回営業し、毎回現調し、毎回価格交渉し、毎回相見積もりに対応するなら、拡大の限界が早く来ます。

見るべき軸は6つです。

  • 粗利が残るか
  • 案件数が安定するか
  • 営業を型化できるか
  • 施工体制に無理がないか
  • 地域のしがらみに左右されにくいか
  • 社長が現場に残れるか

この6つで見ると、今回の会社では住宅メーカー点検経由のチャネルがかなり相性のよい位置にあります。

理由は明確です。

1つ目に、入口がリスト化されています。

ゼロから問い合わせを作るのではありません。10年点検の対象者が毎月出てくる。電話の目的も明確です。

2つ目に、営業トークを型化しやすいです。

「保証が切れる」「点検が必要」「外部劣化を確認する」という説明ができます。飛び込み営業とは違います。

3つ目に、工事内容が自社の強みに合っています。

屋根、外壁、シーリング、防水。これまでやってきた塗装・外装補修の延長にあります。

4つ目に、単価が一定以上あります。

150万〜200万円規模の案件であれば、営業・点検・報告書作成の手間をかける意味があります。

この会社の場合、個人向け直請けを広げるなら、一般集客よりも住宅メーカー点検経由を太くするほうが先です。

では、一般の個人向け直請けはどうするか。

完全にやめる必要はありません。

地元で強くなりたいなら、ホームページや紹介から来る個人客は大切です。施工事例も地域ブランドも積み上がります。

ただし、すべての相見積もりに全力で付き合うと消耗します。

例えば、次のような基準を持つと判断しやすくなります。

  • 工事範囲が外装中心で、自社の得意分野に合うか
  • 価格だけでなく、保証・点検・施工品質の説明を聞いてくれるか
  • 現調や見積もりの手間に対して、受注確度があるか
  • 大手との比較で、価格だけを求められていないか
  • 地元で実績として残したい案件か

個人向け直請けは“全部取りに行く”のではなく、“自社が勝ちやすい案件を選ぶ”ことが利益を守る第一歩です。

地場ゼネコンや法人リピートは、主軸ではなく補完でよいと思います。

地域の既存関係が強いなら、真正面から取りに行くより、タイミングを見たほうがよいです。

例えば、既存業者が手一杯のとき。特殊補修や小回りの利く対応が必要なとき。短納期で外装まわりを頼みたいとき。

そうした場面で、無理なく入れる関係を少しずつ作るほうが現実的です。

地場ゼネコンは“今すぐの主軸”ではなく、“仕事量を平準化する補完チャネル”として持つと使いやすいです。

下請け案件も同じです。

協力会社に流せる体制があるなら、空き工程を埋めるには有効です。

ただ、粗利が薄くなりやすいので、点検経由や直請けで利益を作り、下請けで稼働をならす。この順番が合います。

施工体制も同時に考える必要があります。

この会社では、未経験の職人をすぐ増やすのは難しい状況でした。特殊な補修や調色が必要な現場も多い。社長が教える時間もない。

そのため、職人を急いで社員化するより、まずは営業側を型化し、受注見込みを増やす。施工は協力会社も使いながら回す。受注量が読めてきた段階で、社員職人を増やす。

この順番のほうが無理がありません。

人を増やす前に、どのチャネルからどのくらい案件が来るかを見える化することが先です。

具体的には、月次で次の数字を見ます。

  • 点検リスト数
  • 架電数
  • 点検アポ数
  • 点検実施数
  • 見積提出数
  • 受注数
  • 平均単価
  • 粗利率
  • 協力会社に出した件数
  • 社長が現場に入った日数

難しい管理表でなくて構いません。

まずは1枚で十分です。

チャネルごとの数字を見ると、“売上が足りない”ではなく、“どこを太くすべきか”が見えるようになります。

今回のような会社であれば、受注チャネルの優先順位は次の形が考えやすいです。

  1. 主軸:住宅メーカーの10年点検経由案件

リストがあり、営業を型化しやすく、外装工事との相性がよい。

  1. 育成軸:地元の個人向け直請け

地域ブランドを作る。ただし価格勝負の相見積もりは選別する。

  1. 補完軸:法人リピート・地場ゼネコン

しがらみに配慮しながら、空き工程や大型案件の受け皿として関係を作る。

  1. 調整軸:下請け・協力会社活用

稼働調整や施工キャパの補助として使う。粗利管理は必ず見る。

“粗利の高い直請け”だけを追うのではなく、“再現性のある入口”を主軸にすることが、相見積もりから距離を取る方法です。

まとめ

個人向け直請けは、リフォーム会社にとって大きな武器です。

利益率も取りやすい。地域で名前も残りやすい。社長の施工品質や人柄が伝われば、紹介にもつながります。

ただし、相見積もりが前提になると、資材高騰分を価格に乗せにくくなります。大手と比較され、価格を下げるほど利益が削られます。

直請けを伸ばすなら、“どこから入ってくる直請けか”まで分けて考えることが大切です。

一般集客の直請け。住宅メーカー点検経由の直請け。紹介の直請け。法人からのリピート。下請け。

同じ売上でも、粗利、安定性、営業負荷、施工体制への負担はまったく違います。

社長が現場に残りたい会社なら、なおさらです。

社長がずっと相見積もり対応に追われる形では、現場の強みが薄れます。

社長が現場で価値を出す会社ほど、営業チャネルは型化しやすいものを主軸に置くほうが伸ばしやすいです。

今回の会社では、住宅メーカーの10年点検経由が有力な主軸でした。

そこに、地元の個人直請けを育てる。法人・ゼネコンは補完として持つ。下請けは稼働調整として使う。

このように役割を分けると、売上を追いながら利益も守りやすくなります。

受注チャネルは、増やせばよいものではありません。

自社の粗利、営業負荷、施工キャパ、地域事情、社長の働き方に合う順番で選ぶことが重要です。

うちの受注チャネルをどう組むか迷ったときの整理先

「個人向けを伸ばしたいけれど、相見積もりで利益が残りにくい」

「法人やゼネコンも気になるけれど、地域のつながりが強くて入りにくい」

「点検や紹介のような入口を作れそうだが、営業や施工体制が追いつくか不安」

こうした悩みは、会社ごとに答えが変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、原価管理、人材確保、組織づくり、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

受注チャネルについても、いまの案件構成、粗利、営業負荷、協力会社体制、社長が現場に残るかどうかを一緒に見ながら、無理のない組み方を考えます。

「うちの場合は何を主軸にすべきか」「まだ整理できていない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況の整理先としてご活用ください。

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