前提

三重県の老舗専門工事会社が営業代行や紹介サービスを使っても受注につながらなかった現在地

三重県を拠点に、仮設・足場まわりを中心とした専門工事を続けてきた老舗企業の話です。創業からは半世紀以上。以前は年商3〜4億円規模、良い時期にはそれ以上の売上もありましたが、直近では1億円を下回る年も出てきています。

取引先は、長年付き合いのある大手ゼネコンが中心です。多い時期には売上の6〜7割を占めていました。残りは地元の建設会社や、昔からの現場接点でつながった会社です。

一方で、新規元請け開拓にも手は打ってきました。顧問紹介、営業代行、電話代行、外部の紹介サービス。1年近く続けた取り組みもありました。店舗系や中堅ゼネコン、大手に近い発注者への接点づくりも試しました。

ただ、社長の実感ははっきりしていました。

「もう全然、1年経っても成果が上がらないんです。成果が上がらないのに、また同じことをやるのか、という感じです」

ここで見えてくるのは、営業努力が足りないという話ではありません。建設業の新規元請け開拓では、紹介件数を増やしても、既存業者が深く入り込んでいる現場では切り替えが起きにくいという構造です。

1週間で 9件ダウンロード されました

  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

紹介先に見積もりを出しても既存業者との価格競争で負けてしまう構造

新規開拓で最も大きな壁になっていたのは、見積もりの前にすでに勝負が決まっているような状態でした。

社長は、何社にも見積もりを出してきました。中堅ゼネコンや地場ゼネコンにも接点はありました。ところが、実際には既存業者がすでに入っており、価格もかなり低い水準で提示されていることが多かったそうです。

「何社も見積もりを出したけど、みんな負けちゃいます。先に入っているところが、どんどん下げてくるんです」

中には、自社の感覚では職人にきちんと払えるのか不安になるような単価もありました。場合によっては、自社の見積もりの半分に近い水準、あるいはそこからさらに大きく下げた条件が出てくる。そこまで行くと、受注できても現場で利益が残るかどうか分かりません。

また、別の形で入れる可能性があっても、既存業者の下に入るような形になるケースもあります。

「既存の業者の下に入る形ならあるかもしれない。でも、それだと美味しいところが残らないんです」

この状態で営業代行や紹介サービスを増やしても、同じ土俵で見積もりを出す限り、価格競争に巻き込まれやすくなります。問題は『紹介が少ないこと』ではなく、『勝てる局面と採算が残る相手を選べているか』にあります。

背景

長年の現場接点でできた関係は残りやすく紹介だけのつながりは残りにくい現実

この会社で印象的だったのは、長く残っている取引先の多くが、紹介サービス経由ではなく、現場で出会った人とのつながりだったことです。

社長はこう話していました。

「つながって残っているところは、ほとんど現場で会った人なんです。商品として頼んだ紹介は、ほとんど残らない」

建設業の取引は、単なる名刺交換やアポイントだけでは動きません。現場での対応、段取り、安全意識、急な変更への反応、担当者同士の相性。そうした積み重ねがあって、少しずつ発注の候補に入っていきます。

さらに、既存業者との関係には「情」もあります。何年も付き合っていれば、元請け側の担当者も簡単には切り替えません。多少の不満があっても、日々のやり取りに慣れている相手を使い続けることはよくあります。

「入り込んじゃったところに勝とうと思っても、なかなか無理です。いるところができないとなったら、頼みに来るんじゃないですか」

この言葉は、新規開拓の本質をよく表しています。既存業者を正面からどかす営業ではなく、既存業者が対応しきれない局面で声がかかる位置にいることが重要です。

もう一つの背景は、発注者層による採算の違いです。大手ゼネコンは単価が比較的高く、追加対応や精算も進めやすい。一方で、中堅・地場ゼネコンでは、契約以上の支払いに慎重で、追加分の単価も低くなりやすいという実感がありました。

もちろん会社ごとに違いはあります。ただ、専門工事会社にとっては、元請けの名前だけでなく、支払い条件、追加変更への考え方、現場担当者の裁量、既存業者との関係性まで見ないと、受注後に苦しくなります。

解決

紹介件数を増やす前に狙う元請け・工種・利益条件・現場接点を決め直す進め方

新規元請け開拓で見直したいのは、営業手法そのものより先に、狙い方です。外部の営業支援を使うかどうかの前に、まず自社にとって勝ち筋がある案件を整理する必要があります。

特に、次の4つは先に言語化しておきたいところです。

  • 狙う元請けは、単価と支払い条件が合う相手か
  • 狙う工種・案件は、自社の品質、安全、特殊対応が評価されるものか
  • 既存業者が対応できない局面に入り込める余地があるか
  • 一度の受注で終わらず、継続接点を作れる現場か

この会社の場合、大手ゼネコンとの長年の付き合いがあり、安全や現場対応への理解も深い会社でした。逆に言えば、単価だけで競う案件よりも、安全対応、難しい段取り、急な調整、品質説明が必要な現場のほうが、自社の強みを出しやすい可能性があります。

営業代行に依頼する場合も、「とにかく元請けを紹介してほしい」では成果につながりにくくなります。依頼する前に、たとえば次のように条件を絞るほうが現実的です。

  • 既存業者が高齢化・廃業・人手不足で対応力が落ちている元請け
  • 安さよりも安全書類、現場対応、品質説明を重視する元請け
  • 繁忙期や特殊工事で既存業者だけでは手が足りなくなる元請け
  • 追加変更や精算の考え方が明確な元請け
  • 下請けのさらに下ではなく、直接または近い階層で入れる案件

ここで大事なのは、受注確度だけで判断しないことです。新規取引先が増えても、粗利が残らなければ会社は疲弊します。初回案件で利益が薄くても、次につながる設計があれば意味はあります。ただし、その場合も「次の現場担当者につながるか」「協力会社の確保に無理がないか」「価格是正の余地があるか」は見ておきたいところです。

営業活動の進め方としては、いきなり大量のアポイントを取るより、既存の現場接点を起点にするほうが建設業には合いやすいです。

たとえば、過去に一緒になった所長、工務担当、安全担当、協力会社経由で接点がある担当者を洗い出します。そのうえで、「今すぐ仕事をください」ではなく、既存業者が手薄になる場面を聞きに行く形にします。

聞くべきことはシンプルです。

  • 最近、どの工種で業者が足りていないか
  • 既存業者で困っている場面はあるか
  • 安全・書類・段取りで外せない条件は何か
  • 繁忙期だけでも応援が必要な現場はあるか
  • 見積もり前に確認すべき単価感や支払い条件は何か

建設業の営業は、案件を取りに行く前に『困ったときに思い出してもらう理由』を作る活動でもあります。 その理由が価格だけだと、さらに安い会社が出てきたときに負けます。安全、段取り、難しい現場への対応、既存業者の穴埋め。そうした理由を持てる相手に絞ることが、営業支援を使う前の土台になります。

まとめ

営業代行や紹介サービスを使っても成果が出ないとき、すぐに「営業が弱い」と考える必要はありません。建設業では、既存業者が深く入り込んでいる現場ほど、紹介だけで切り替えが起きにくいからです。

特に専門工事会社の場合、見積もり件数を増やすほど価格競争に巻き込まれることがあります。既存業者が大きく単価を下げてくる。既存業者の下に入る形になり、利益が残らない。追加変更の精算が合わない。こうしたことは、珍しい話ではありません。

見直したいのは、紹介件数ではなく営業の設計です。

狙う元請け、狙う工種、残したい粗利、入り込む現場接点、既存業者が対応できない局面。 ここを先に決めると、外部の営業支援を使う場合でも、依頼内容が変わります。

「どこでもいいから紹介してほしい」ではなく、「この条件なら勝てる」「この現場なら継続につながる」「この発注者なら採算が残る」という見方に変える。そこから営業活動を組み直すほうが、中小の専門工事会社には合っています。

新規元請け開拓を粗利と継続性から整理したいときに

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、組織、人材、原価管理、デジタル活用までを横断して整理し、実行まで伴走しています。

新規元請け開拓についても、単に紹介先を増やすのではなく、狙う発注者層、工種、利益条件、現場接点の作り方から一緒に整理できます。

「営業代行を使うべきか迷っている」「見積もりは出しているのに利益が残らない」「うちの場合、どの元請けを狙うべきか分からない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況の整理先としてご相談ください。

お問い合わせはこちら