前提

東北で5名弱の住宅リフォーム会社が、元請け中心でも利益の残り方に悩んでいる状態

東北地方で住宅リフォームを手がける、5名弱の会社の話です。主な仕事は個人宅の屋根、外壁、防水、水回り、内装まわり。元請け比率は高く、売上の大半をエンドユーザー向けの工事でつくっていました。

売上規模は1億円台半ばで横ばい。年度によっては前期からの工事のずれ込みもあり、数字だけ見ると前年より伸びる見込みもありました。

ただ、社長の感覚は明るいだけではありません。

「数字だけ見ると増えそうなんですけど、肝心の中身、利益が全然担保できていないんです」

この言葉に、住宅リフォーム会社が感じているリアルがあります。契約は取れている。現場も動かしている。けれど、広告費、材料の遅れ、競争、細かな対応に追われ、最後に利益が残りにくい。ここをどう変えるかが、今回の出発点です。

課題

チラシ、ポスティング、Web、ポータルサイトに頼るほど費用対効果が見えにくくなる構造

住宅リフォームの集客は、どうしても個人向けの反響獲得に寄りがちです。チラシ。ポスティング。Web広告。比較サイト。ポータルサイト。どれも入口としては大事です。

実際、この会社もポータルサイトとは長く付き合いがあり、表彰を受けたこともありました。つまり、集客にまったく取り組んでいない会社ではありません。むしろ、真面目にやってきた会社です。

それでも社長は、こう話していました。

「チラシだ、ポスティングだっていう経費も毎年上がっていますし、インターネット系の集客もいろんな会社から連絡が来る。でも、そこにお金をかけるのは、もうちょっと見えないなと」

ここで起きているのは、単なる広告不振ではありません。問題は、売上の入口が個人反響に偏りすぎていることです。

個人向けリフォームは、相見積もりになりやすいです。問い合わせ数を増やすほど、見積もり対応も増えます。価格競争にも巻き込まれます。さらに、小規模な会社ほど、社長や少人数のスタッフが現調、提案、見積もり、段取りまで抱えます。

結果として、契約は取れているのに疲弊する。売上はあるのに利益が薄い。そんな状態になりやすいのです。

背景

住宅一本で積み上げてきた会社ほど、法人向けの入口をどう作るかで迷いやすい

この会社は、法人案件をまったく経験していないわけではありませんでした。身近な介護施設の改修工事や、不動産事業者が所有するアパート・マンションの塗装、防水工事など、まとまった案件も受けていました。

つまり、法人向けの仕事に対する拒否感はありません。

「個人のお客様専用で、そこしかやらないという考えは別にないです」

一方で、何でも受けたいわけでもありませんでした。

「うちは役員含めて4人くらいの会社なので、何でも屋さんみたいな案件には基本的に乗っかりたくないんです」

ここはとても大事です。小規模リフォーム会社が法人案件を増やすとき、やみくもに間口を広げると、逆に現場が乱れます。給湯器交換、エアコン交換、数万円の細かな補修、急な原状回復、内装、外構、防水。何でも拾いにいくと、自社の強みと利益設計がぼやけるからです。

この会社の場合、強みははっきりしていました。

  • 屋根、外壁、防水など外装系に強い
  • 水回りは単品よりもセット工事で提案している
  • 内装や修繕も一定範囲で対応できる
  • 個人宅だけでなく、介護施設や賃貸物件の改修経験もある

法人案件に広げるなら、この強みをそのまま使うのではなく、法人側が発注しやすい言葉に置き換える必要があります。

たとえば「屋根工事が得意です」だけでは、法人発注者には届きにくいです。管理会社や不動産オーナーに対しては、「賃貸物件の外装劣化診断から、防水・塗装・部分補修までまとめて見られます」のほうが伝わります。

ハウスメーカーや施工管理会社に対しては、「戸建て・賃貸物件の経年改修で、外壁、屋根、防水、水回りを組み合わせて対応できます」のほうが、任せる場面をイメージしやすくなります。

解決

個人向けを捨てずに、法人案件のターゲットと入口商材を絞って増やしていく進め方

法人案件を増やすときに、いきなりBtoB特化へ振り切る必要はありません。むしろ、住宅リフォームで積み上げてきた会社ほど、まずは個人向けと法人向けのミックスを目指すほうが現実的です。

近い規模のリフォーム会社でも、個人案件と法人案件を半々に近づけながら伸ばしている会社があります。個人向けの反響を大事にしつつ、不動産会社、賃貸オーナー、介護施設、管理会社、ハウスメーカー、施工管理会社などから継続的に相談が入る形です。

進め方は、次の順番で整理すると考えやすくなります。

まず、狙う法人を広げすぎないことです。候補は多くありますが、最初から全部に営業すると、提案内容も実績の見せ方も散らかります。屋根・外壁・防水が強い会社なら、最初は賃貸オーナー、管理会社、ハウスメーカー系の賃貸物件改修などが相性よくなりやすいです。水回りや内装を組み合わせられるなら、介護施設や小規模施設の改修も候補になります。

次に、入口商材を作ることです。法人発注者は、いきなり大きな改修を任せるより、最初は頼みやすい入口を探しています。

たとえば、次のような形です。

  • 賃貸物件の外壁・屋根・防水の簡易診断
  • アパート共用部やバルコニー防水の点検
  • 退去後の内装、水回り、部分補修のセット対応
  • 介護施設の小規模改修、手すり、内装、水回り更新
  • 戸建て・賃貸物件の経年改修パッケージ

ここで大事なのは、「何でもできます」ではなく、最初に頼まれる理由を絞ることです。入口が決まると、営業資料も作りやすくなります。過去実績も整理しやすくなります。

そして、実績の見せ方を変えます。個人向けでは、施工前後の写真やお客様の声が中心になります。法人向けでは、それに加えて、発注者が気にする情報を出す必要があります。

たとえば、工事金額帯、工期、入居者対応の有無、営業中施設での配慮、複数工種をまとめた段取り、防水や外壁の診断内容などです。法人発注者は、仕上がりだけでなく、任せたときに管理しやすい会社かを見ています。

最後に、紹介や人脈に頼る場合も、先に自社の型を整えておくことです。キーマンにつながる機会があっても、「何を頼める会社なのか」が曖昧だと、次につながりにくくなります。

小規模リフォーム会社の場合、法人開拓の最初の一歩は、派手な営業ではありません。自社の強みを、法人発注者の困りごとに合わせて言い換えることです。

「屋根と外壁が得意」から、

「賃貸物件の外装劣化を見て、塗装・防水・部分補修までまとめて対応できる」へ。

「水回りもできます」から、

「退去後や施設改修で、内装と水回りを組み合わせて短期間で整えられる」へ。

この言い換えができると、広告費をかけて反響を待つだけではなく、狙った法人に提案する動きが作りやすくなります。

まとめ

チラシやWeb集客は、住宅リフォーム会社にとって今も大切な入口です。ただ、そこだけに売上の入口が偏ると、広告費の上昇、相見積もり、見積もり対応の増加によって、利益が残りにくくなることがあります。

特に少人数の会社では、案件数を増やすだけでは解決しません。むしろ、どの案件を増やすかが大事になります。

法人案件を増やすときは、個人向けを捨てる必要はありません。まずは、既存の住宅リフォームを続けながら、賃貸物件、介護施設、管理会社、ハウスメーカー、施工管理会社など、自社の強みが活きる法人先を絞ることです。

そのうえで、屋根・外壁・防水・水回り・内装の対応力を、法人が発注しやすい入口商材に変えていく。ここから始めると、無理に何でも屋にならず、売上の分母と利益率を少しずつ安定させやすくなります。

法人案件を増やす前に、自社に合う入口を一緒に整理する

法人開拓は、「どこに営業するか」より先に、「何を入口にするか」を決めることが大切です。屋根・外壁・防水を前面に出すのか。賃貸物件の原状回復や内装まで含めるのか。介護施設や管理会社に向けた改修提案にするのか。会社ごとに、合う形は変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。法人案件を増やしたいけれど、何から整理すべきかわからない段階でも大丈夫です。

無理な営業はいたしません。うちの場合はどう考えるべきか、まずは壁打ちしたいという温度感でも、お気軽にご相談ください。

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