前提

関西圏で多い時は60名近くを現場へ出す人工出し中心の会社の現在地

兵庫県東部を拠点に、大阪府内の建設現場へ手元作業員を出している、ある建設会社の話です。

売上は2億円台前半。多い時は60名近くを現場へ送り出します。常時動いている人員も40名台。日雇いに近い働き方の人もいれば、長く付き合っている作業員もいます。

仕事の中心は、建設現場の手元作業です。生コン、土木、解体、造園、とび系の補助など、現場から「人が欲しい」と言われたところへ人を出す形です。

代表はこう話していました。

「今の仕事で、すぐ潰れるとは思っていないです。でも、このビジネスモデルがあと10年いけるかと言われると、ちょっと疲れてくると思うんです」

すでに社内には、頭となる人、役職者、指示系統があります。出面、請求、給与まわりも自社で仕組み化しています。AIも使い、事務作業はかなり軽くなっています。

資格取得も進めています。2級の電気・土木施工管理を持ち、土木の1級にも挑戦する予定です。

つまり、何もない会社ではありません。人員、指示系統、資格、事務処理の仕組みはある。足りないのは、請負工事として売り、見積もり、納める経験です。

1週間で 6件ダウンロード されました

  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

人工出しの強みを持ちながら、請負工事の責任をまだ経験していない状態

手元作業中心の会社が請負へ進む時、壁になるのは「工事ができるか」だけではありません。

むしろ大きいのは、請負として顧客に向き合う型がまだ社内にないことです。

代表の言葉にも、その不安が出ていました。

「一番下でしか行ったことがないので、うちの人間がお客さんのところに行って、ちゃんと対応できるのかという疑問はあります」

人工出しであれば、基本的には依頼された人数をそろえ、現場で指示を受けて動きます。もちろん人の手配力や現場対応力は必要です。ただ、責任範囲は比較的はっきりしています。

一方で請負になると、見積もり、段取り、品質、安全、工程、顧客対応まで自社の責任になります。

特に代表が気にしていたのは見積もりです。

「人工は出せるんです。5人ぐらいで動くなら班も作れる。でも、見積もりをどれぐらいで取らなあかんのかが分からない」

さらに、材料の読みも不安材料でした。

「工事代はだいたい計算できます。何日で何人いるかは分かる。でも材料がどれぐらいかかるか、みんな利益をどれぐらい乗せているかが分からない」

ここが、人工出しから請負へ移る会社のリアルな悩みです。

人はいる。動かせる。けれど、請負として値決めし、責任を持って完工するための情報と経験が足りない。

この状態でいきなり元請けを狙うと、負荷が大きくなりすぎます。最初に考えるべきことは、請負化の入口をどこに置くかです。

背景

解体は入りやすく、土木は伸ばしたいが、会社の価値観に合う工種選びが必要な段階

請負へ進む時、最初に悩むのが工種です。

この会社でも、候補はいくつかありました。

解体は参入しやすい。重機を使える人もいる。必要な道具や重機は、最初はリースで始める考えもあります。

ただ、解体は競合も多い。差別化しにくい面があります。

一方で、代表が強く見ていたのは土木です。

「市や国の仕事は取りやすいと思っていて、入札もしていきたいんです。そのために施工管理の資格も取っています」

公共工事や土木系の仕事は、今後も一定の需要があります。道路、橋梁、インフラ補修など、地域に根差した仕事も多いです。公共の実績ができれば、会社の信用にもつながります。

ただし、公共工事には書類、入札、行政対応、施工体制台帳、安全書類などの事務負荷があります。この会社の場合は、事務員がおり、管理職も書類対応をしています。自社システムで出面や請求も回しています。

公共や土木へ進むためのバックオフィス基盤は、まったくゼロではありません。

もう一つ、印象的だったのは工種に対する価値観です。

代表は、とび工事についてこう話していました。

「とびは、人の使い方が荒いところが多いんです。うちは社員を大事にしたいタイプなので、そういう使い方をするところは願い下げです」

ここは大事です。

請負化というと、単価が高い工種、需要がある工種、入りやすい工種に目が行きます。もちろんそれも必要です。

でも、長く続けるなら、自社の人の使い方や代表の価値観に合う工種を選ぶことも同じくらい大切です。

人工出し中心の会社は、人を抱えていることが強みです。だからこそ、人をすり減らす方向に進むと、強みそのものを失います。

解決

いきなり元請けではなく、5人班で任せられる小さな請負から始める進め方

人工出し中心の会社が請負へ進むなら、最初の一手は大きく取りすぎない方が進めやすいです。

目指す方向は、いきなり元請けではありません。まずは既存の人員と指示系統で管理できる、小さな請負工事を作ることです。

整理の順番は、次のようになります。

  • どの工種なら、人員・資格・道具の面で始めやすいか
  • どの取引先層なら、いきなり元請け責任を負いすぎずに入れるか
  • 5人前後の班を誰に任せるか
  • 見積もりの原価項目をどこまで分解できるか
  • 品質、安全、顧客対応を誰が見るか

まず工種は、参入しやすさだけで決めないことです。

解体は入りやすいかもしれません。ただ、競合が多く、価格勝負になりやすい場合もあります。土木は資格や入札、書類対応が必要ですが、施工管理資格や事務処理の仕組みがある会社なら、将来の柱にしやすい可能性があります。

判断軸はシンプルです。

「今いる人で安全に回せるか」「見積もりを分解できるか」「継続して取りたい相手がいるか」「会社の人の使い方に合うか」です。

次に、取引先層です。

最初から元請けとして直接受注するより、既存の中間工事会社や地場ゼネコン、元請け直の協力会社口座に近い位置から入る方が現実的です。

人工出しで付き合いのある会社に対して、いきなり大きな請負を提案する必要はありません。

たとえば、次のような入り方です。

  • これまで手元で入っていた現場の一部作業を、5人班でまとめて受ける
  • 土工・雑工の中でも、範囲が切り出しやすい作業だけ請負化する
  • 材料支給ありの条件で、まずは労務と段取りの請負経験を積む
  • 重機や道具は初期投資せず、リース前提で原価を見える化する

ここで重要なのは、現場責任者です。

代表も「シフトチェンジするときは、そこに長けている人間を頭につける」と話していました。

請負化では、この「頭」の役割が変わります。人を連れていくだけではなく、顧客と話し、工程を見て、安全を見て、追加や変更を拾う役割になります。

最初から完璧な施工管理者を置く必要はありません。ただ、班長を“人を連れていく人”から“現場を納める人”へ育てる設計は必要です。

見積もりも、最初から相場を完全に読む必要はありません。まずは自社の原価を分けることです。

人工出しであれば、人件費感覚はあります。そこに、次の項目を足していきます。

  • 人工数
  • 材料費
  • リース費
  • 運搬費
  • 外注費
  • 現場管理にかかる時間
  • 書類対応の時間
  • 諸経費
  • 利益

代表が作っている出面・請求・給与の仕組みは、この原価管理に転用できます。

人工を管理できている会社は、請負の原価管理に進む土台をすでに持っています。 あとは、材料、リース、管理時間、利益を同じ画面で見えるようにするだけです。

最初の請負案件では、利益を大きく取りに行くより、見積もりと実績のズレを残すことが大切です。

「何人で見たか」 「実際は何人かかったか」 「材料はどれだけ余ったか」 「リースは何日伸びたか」 「顧客対応でどこに時間を使ったか」

この記録が、2件目、3件目の見積もり精度になります。

請負化は、一発で当てるものではありません。小さく受けて、実績を残し、原価を直し、任せる人を育てる流れを作ることが近道です。

まとめ

人工出し・手元作業中心の会社が請負工事へ進む時、最大の強みは「人がいること」です。

ただし、人がいるだけでは請負にはなりません。

請負には、工種選び、取引先選び、見積もり、現場責任者、教育、品質、安全、顧客対応が必要です。

今回のように、すでに多くの人員を動かし、指示系統があり、施工管理資格の取得も進め、事務処理も仕組み化している会社であれば、請負化の土台はあります。

次に整理すべきなのは、次の3つです。

1つ目は、どの工種なら自社の人の使い方に合うか。

2つ目は、どの取引先層から入れば責任を負いすぎず経験を積めるか。

3つ目は、5人班を任せられる責任者をどう育てるか。

請負化は、会社を大きく変える話です。だからこそ、急に全部を変えなくていいと思います。

まずは、今ある人員、資格、管理体制を棚卸しする。次に、小さな請負を作る。そこで見積もりと実績の差を見て、原価と教育を直していく。

その積み重ねが、人工出し中心の会社を「人を出す会社」から「現場を任される会社」へ変えていきます。

請負化の進め方を、自社の人員と取引先から整理したい方へ

人工出しや手元作業を中心に走ってきた会社ほど、請負へ進む時に悩むポイントは具体的です。

「どの工種から始めるべきか」 「今の取引先にどう提案すればよいか」 「見積もりの作り方が分からない」 「現場を任せる人をどう置けばよいか」

この段階では、答えを急ぐより、まず自社の人員、資格、現場経験、取引先、原価の見え方を整理することが大切です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、会社ごとの現在地に合わせた進め方を一緒に考えます。

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