前提

ガラス・サッシ工事の会社が、スーパーゼネコン案件では二次請け、地域案件では一次請けに近い形で動いている

専門工事会社が販路を広げるとき、「元請けに近づくべきか」「一次請けを増やすべきか」「二次請けでも利益を取れるならよいのか」は悩みやすいテーマです。

あるガラス・サッシ工事会社では、スーパーゼネコン案件には二次請けで入ることがありました。一方で、小規模な工事店や地域の建設会社では、一次請けに近い形で入ることもあります。

社長は、単純に上流へ行きたいとは考えていませんでした。むしろ「スーパーゼネコンは余計に利益率悪いからね」と話します。ここに大事な視点があります。上流ほど必ず儲かるわけではないということです。

課題

一次請けは利益機会が大きい一方で、管理責任とミス時の損失も大きくなる

一次請けに近づくと、利益を取りやすくなる場面があります。材料も扱い、工事も扱えば、利益の取り方は増えます。

社長も「工事だけなら利益率が20、30。材料もあれば、そこにも利益が出る」といった感覚で話していました。工事だけでなく材料も絡むと、利益の幅が広がるのは確かです。

しかし、同時に責任も増えます。段取り、品質、納期、協力会社の管理。現場でミスが出れば、その影響は大きくなります。

「儲かるよ。けどミスしたときはとんでもないことになる」。一次請けを考えるなら、この一言を外してはいけません。利益と責任はセットです。

背景

サッシは協力会社に任せることもあり、材料手配と施工体制で狙える商流が変わる

この会社の中心はガラス工事とサッシ工事です。社長の本音としては、ガラス工事を増やしたい。ただ現場では、ガラスとサッシがセットで求められることがあります。

「ガラスで行ったら、サッシできるかと言われるときもある」。こうした現場の流れは、専門工事会社ではよくあります。

サッシ工事については、協力会社に任せる体制もあります。自社ですべて抱えるのではなく、外部の力も使いながら対応する形です。また、材料を買う会社、工事に特化する会社など、役割を分けているケースもあります。

つまり、狙うべき商流は、看板や希望だけでは決まりません。自社の施工体制で受け切れるかが先です。

さらに、既存商流との関係もあります。すでに一次請けとして入っている会社を飛び越えて、元請けやゼネコンと直接つながるのは現実的ではありません。社長も「とんでもない」と反応していました。建設業では、商流を守ることも信用の一部です。

解決

元請け・一次請け・二次請けのどこを狙うかは、利益率だけでなく体制とリスクで決める

専門工事会社が販路を広げるときは、「一次請けを増やすかどうか」だけで考えないほうがよいです。見るべきは、どの立場なら利益が残り、無理なく責任を持てるかです。

判断軸は大きく5つあります。

  • その商流で利益率が見込めるか
  • 材料手配まで含めるのか、工事だけなのか
  • 自社職人と協力会社で施工体制を組めるか
  • ミス時の損失をどこまで負えるか
  • 既存取引先と商流がぶつからないか

たとえば、スーパーゼネコン案件でも二次請けで安定して利益が出るなら、無理に一次を狙う必要はありません。逆に、地域の建設会社や工事店で、材料と工事を含めて利益を取りやすいなら、一次請けに近い形を増やす価値があります。

大切なのは、“上に行くこと”を目的にしないことです。目的は、利益が残り、現場が回り、信用を積み上げられる取引を増やすことです。

進め方としては、まず既存案件を商流別に分けます。一次請け、二次請け、材料あり、工事のみ、協力会社活用あり。そこに利益率とトラブル時の負担を重ねます。すると、どの商流が自社に合っているか見えやすくなります。

そのうえで、新規開拓では、既存の一次請け先とぶつからない相手を探します。商流が空いている相手で、かつ自社の体制に合う先です。

まとめ

専門工事会社にとって、元請けや一次請けを目指すこと自体は悪いことではありません。ただ、それが常に正解とは限りません。

一次請けは利益機会があります。一方で、管理責任もミス時の損失も大きくなります。二次請けでも、利益率がよく、既存商流を守れて、現場が回るなら十分に価値があります。

判断すべきは、立場の高さではありません。自社に利益が残る商流かです。

ガラス・サッシのように工種がつながりやすい専門工事では、材料、施工、協力会社、既存取引先の関係まで含めて見る必要があります。販路を広げるなら、まずは自社が無理なく勝てる商流を見極めることから始めるのが現実的です。