北関東で新築中心に2億円台後半をつくる少人数工事会社の現在地
北関東で木造住宅の新築工事を中心に請けている、従業員7名ほどの専門工事会社の話です。社員は全員が現場職で、半数以上は外国人材。経験を積んだ特定技能人材も入り、現場としては即戦力が育ってきています。
売上は良い年で3億円を超え、直近は2億円台後半。主な取引先は、大手住宅会社と、近年伸びている工務店系ビルダーの2軸です。以前は一社への比重が高かったものの、最近はもう一方の受注が伸び、売上構成はだんだん半々に近づいてきました。
一方で、仕事の中身はかなり明確です。
「新築はほぼほぼです。リフォームはまずないです」
ここが今回の出発点です。
新築市場が少しずつ縮小していることは、現場感としても分かっている。空き家対策やリノベーションに国の施策が寄っていく可能性も感じている。けれど、今すぐリフォームへ進むべきかと言われると、簡単には踏み切れない。
この迷いは、かなり多くの新築中心の工事会社に共通します。新築が減るからリフォームに行く、という単純な話ではなく、リフォームで勝てる会社の条件が新築とは違うからです。
1週間で 11件ダウンロード されました
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
新築の先細りは見えていても、準備不足のリフォーム進出は会社の信頼を削りかねない
新築中心の会社にとって、リフォーム・リノベーションは将来の選択肢になります。ただし、既存事業で手一杯のまま入ると、売上の柱になる前に現場と信頼を傷める可能性があります。
この会社の社長は、拡大そのものに否定的ではありません。将来的には社員を2〜3名増やし、売上も3億円台を安定させたいという考えがあります。ただ、何より大事にしているのは施工品質です。
「広げすぎて目が行き届かなくなるのが一番怖いです」
「お客様にとって、一生に一度建てるかどうかの大事な家の仕事なので、できるだけミスはしないようにしたい」
この感覚は、新築でもリフォームでも変わりません。むしろリフォームのほうが、既存建物の状態、住みながらの工事、追加変更、施主対応など、読みにくい要素が増えます。
周囲にも、リフォームのような仕事に手を出してうまくいかなかった会社があったようです。
「周りを見ても、リフォーム工事みたいな真似事をやって、ちょっと失敗している会社さんも見受けられます」
ここで大事なのは、リフォームが悪いという話ではありません。新築で腕がある会社でも、リフォームでは別の勝ち筋が必要になるということです。
特に中小の工事会社がぶつかりやすいのは、次のような壁です。
- 大手リフォーム会社との価格競争に巻き込まれる
- 自社で案件を取る営業導線がない
- 現場を分かる人が提案・見積・説明まで担えない
- 既存の新築現場とリフォーム現場を同じ体制で回そうとして無理が出る
- 品質基準が曖昧な協力会社に任せてクレームにつながる
新築の下請け構造では、元請けから案件が来て、決まった仕様・工程の中で品質を出す力が重要になります。一方、リフォームでは、入口の相談対応から現地調査、提案、見積、施工中の説明、追加対応まで、会社側が前に出る場面が増えます。
「工事ができる」と「リフォーム事業として回せる」は別物です。
既存の新築仕事で手一杯な会社ほど、リフォームに必要な営業・提案・施工管理の余力が不足しやすい
この会社がリフォームに慎重なのは、消極的だからではありません。むしろ、自社のキャパシティをかなり正確に見ています。
現在は、大手住宅会社と伸びているビルダーの2軸で受注があります。ある年は主要取引先の受注減に連動して売上が落ちましたが、もう一方の伸びで回復しつつあります。つまり、販路を増やしたい気持ちはありながらも、目の前の新築仕事をきちんとこなせば一定の売上は見込める状態です。
社長自身もこう話しています。
「取引先を増やさなくちゃ、という状況ではないんですよね。現状はそれほど困っていない」
「目の前にある仕事をきちんとこなすことに毎日追われています」
この状態でリフォームに入ると、問題は売れるかどうかだけではありません。仮に案件が取れても、誰が現調し、誰が説明し、誰が見積を詰め、誰が現場のイレギュラーを判断するのか。ここが曖昧だと、既存の新築現場にも影響します。
リフォームに必要な力は、大きく4つあります。
1つ目は、営業力です。新築の下請けが中心の場合、営業は取引先との関係づくりや受注調整に寄りやすいです。リフォームでは、個人施主や小規模元請けに対して、困りごとの聞き取り、提案、比較検討への対応が必要になります。
2つ目は、現場知識を持った提案力です。リフォームは、壊してみないと分からない部分、既存建物の癖、予算との折り合いが出やすい仕事です。営業担当が建物や工事を理解していないと、安く受けすぎたり、できない約束をしたり、現場にしわ寄せが来ます。
3つ目は、施工体制です。新築の工程に慣れた職人や協力会社が、リフォームの細かい段取りや施主対応にそのまま適応できるとは限りません。特に住みながらの工事では、養生、近隣対応、日々の片付け、説明の丁寧さも品質の一部になります。
4つ目は、品質を守れる協力会社の選別です。この会社でもホームページ経由などで協力会社の応募はあるものの、実際には「仕事の正確性が足りない」と感じるケースもありました。
「猫も杓子も誰でもいい、ではないです。やっぱり質を上げていかなくちゃならない」
この言葉は、リフォーム進出にもそのまま当てはまります。新しい事業ほど、最初に誰と組むかで評判が決まります。新築で積み上げた信頼を守りながら進むなら、協力会社の数よりも、基準の合う相手を見極めることが先です。
リフォーム進出は「市場があるか」より先に、自社が勝てる条件を満たしているかで判断する
リフォーム・リノベーションを検討するときは、「新築が減るからやるか」ではなく、自社がリフォームで勝てる条件をどこまで満たしているかで判断するのが現実的です。
特に新築中心の工事会社では、次の5つを確認すると判断しやすくなります。
1. 既存の新築仕事を、社長が見すぎなくても回せるか
リフォームに進むなら、社長や現場責任者の時間が必ず取られます。現調、見積確認、施工判断、クレーム対応など、最初は経験者が見ないと品質が安定しません。
そのため、既存の新築仕事が社長依存のままだと、リフォームはかなり重くなります。
判断軸はシンプルです。
- 新築現場の工程判断を任せられる二番手がいるか
- 協力会社の手配や品質確認を任せられる人がいるか
- 社長が半日抜けても、現場が止まらない日があるか
この会社では、親族の後継候補が現場の二番手として動き、伸びているビルダー側も担当しています。これは大きな土台です。ただし、それでも社長は外注先の調整や事務作業を担っており、余裕が十分にあるわけではありません。
既存事業が社長の目で保たれている段階では、リフォームは小さく試すにとどめるのが安全です。
2. 価格勝負ではなく、選ばれる理由を言語化できるか
社長が懸念していた通り、リフォームでは大手との価格競争があります。
「大手さんには、価格で勝負しても勝てないと思うんです」
この見立てはかなり重要です。中小工事会社が大手と同じ土俵で広告を出し、同じような水回りパックや外装パックで戦うと、価格・知名度・保証表現で不利になりやすいです。
だからこそ、リフォームに進むなら、価格以外の選ばれる理由が必要です。
たとえば、今回のような会社であれば、強みは「新築で積んできた施工品質」「在来木造への理解」「大手住宅会社の基準で仕事をしてきた経験」などにあります。ここから考えると、いきなり総合リフォームを掲げるより、既存の強みと近い領域に絞るほうが自然です。
大事なのは、何でもできますと言うほど、比較対象が大手になるという点です。逆に、得意な構造・工種・建物タイプを絞れば、提案の深さで勝負しやすくなります。
3. 営業担当が「売る人」ではなく「工事を説明できる人」になっているか
リフォーム営業は、単に案件を取る役割ではありません。現場を知らないまま契約を取ると、後工程で利益も品質も崩れます。
特に新築中心の工事会社がリフォームを始めるなら、最初の営業担当は、建物や工事を理解している人が望ましいです。現場経験者が営業に回る、または現場責任者が初期対応に同席するなど、営業と現場の距離を近くする設計が必要です。
すぐに専任営業を採るより、まずは次のような形が現実的です。
- 問い合わせ対応は事務側で受ける
- 初回の現地確認は現場を分かる人が行く
- 見積は過去の新築単価ではなく、リフォーム用に別管理する
- 契約前に「できること・できないこと」を明確に説明する
リフォームは、契約前の説明不足がそのままトラブルになります。営業力とは、強く売る力ではなく、工事の前提を正しく伝える力です。
4. 協力会社を増やす前に、品質基準と試し方を決めているか
リフォームでは、小回りの利く協力会社が必要になる場面が増えます。ただし、数だけ増やしても安定しません。
この会社でも、協力会社からの応募はあるものの、一度現場を見ないと分からないという実感がありました。これは多くの会社で同じです。
そこで必要なのは、協力会社を「採る・採らない」で見るのではなく、小さく試して、基準に合う相手だけを残す仕組みです。
具体的には、次のような進め方が考えられます。
- 最初は小規模でリスクの低い現場だけ依頼する
- 施工後に、仕上がり・報連相・時間管理・片付けを確認する
- 改善依頼への反応を見る
- 既存の元請けに迷惑がかからない範囲で試す
- 合わない場合は無理に継続しない
リフォーム事業を始める前に、協力会社の評価軸を持っておくことが大事です。人手が足りないから誰でも入れる、という判断は、リフォームでは特に危ういです。
5. いきなり事業化せず、既存取引先や紹介案件でテストできるか
リフォームを始めるときに、最初から広告費をかけて一般施主向けに大きく出る必要はありません。むしろ、新築中心の会社なら、まずは既存取引先や近い関係先から小さく試すほうが現実的です。
たとえば、既存の住宅会社や工務店から部分的な修繕・改修相談が来る場合、その中で自社の得意領域に近いものだけ受ける。そこで見積、現調、施工、引き渡し後の反応までを確認する。
この段階で見るべきなのは、売上額ではありません。
- 想定より現調・見積に時間がかからないか
- 新築現場の工程に影響しないか
- 利益が残る単価設計になっているか
- 施主対応に向いている担当者がいるか
- 協力会社の品質が保てるか
この確認をせずに、いきなり「リフォーム事業部」をつくると、社内が疲れます。最初は事業化ではなく、検証として扱うくらいがちょうどいいです。
まとめ
新築市場の縮小を見据えると、リフォーム・リノベーションは多くの工事会社にとって避けて通れない選択肢になっていきます。ただし、今すぐ進むべき会社と、まだ準備を優先したほうがいい会社があります。
進んでもよい会社は、既存の新築仕事が社長だけに依存せず、現場品質を守れる二番手や協力会社がいて、営業・現調・提案・見積を担う人の役割が見えている会社です。さらに、価格勝負ではなく、自社の施工品質や得意領域を言葉にできていることも大切です。
一方で、まだ早い会社は、目の前の新築で手一杯で、社長が抜けると現場判断が止まり、協力会社の品質基準も曖昧な状態です。この段階でリフォームを広げると、新しい売上をつくる前に、既存の信頼を削ってしまう可能性があります。
今回の会社のように、
「やるからには、きちんと準備して、他に負けない戦略でやらないと」
と考えられているなら、その慎重さは弱みではありません。むしろ、リフォーム進出を成功させるための大事な前提です。
新築が減るからリフォームへ、ではなく、新築で培った強みを崩さずにリフォームへ入れる状態をつくる。 その順番で考えると、次の一手はかなり見えやすくなります。
うちがリフォームへ進むべきタイミングを整理したいときは
リフォーム・リノベーションへの進出は、販路の話だけでは決まりません。既存の新築仕事、職人・協力会社の体制、現場を分かる営業担当の有無、価格競争を避ける打ち出し方まで、まとめて整理する必要があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、今の会社の状態に合わせた次の打ち手を一緒に考えます。
「うちの場合は、まだ新築に集中すべきなのか」「リフォームを試すなら、どこから始めるべきか」「営業や協力会社の体制が足りているのか」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてお使いください。
































