前提

内装下地・ボード工事では、発注のためだけに毎回割り付け図まで起こす現場は多くない

埼玉県を中心に内装下地・ボード工事を手がける30名弱の専門工事会社で、材料発注の精度をどう上げるかが話題になりました。

現場では、見積や原価管理のために数量は拾っていても、材料発注のためだけに、毎回すべての部位を細かく割り付ける運用にはなっていないことが少なくありません。

実際の発注は、見積数量や原価数量をもとに係数を掛けたり、現場を見ている職長が経験で調整したりする形が多くなります。

「材料発注するために、わざわざ割り付けまではしないんです。そこまで手間をかけないので、どうしてもざっくりになります」

たとえば、下地材が全体で1,000本必要だと見えている場合、5階建ての現場ならまず1フロア分として200本入れる、といった発注の仕方です。これは乱暴なやり方というより、現場の手間とスピードを考えると自然にそうなりやすい運用です。

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課題

積算数量をそのまま発注数量にすると、部位によって過不足の出方が変わる

材料発注の難しさは、積算で出た数量が、そのまま発注に使える部位と、使いにくい部位に分かれるところにあります。

ボード系の材料であれば、面積とロス率からある程度の枚数を出せます。壁の下地も、壁の長さや高さの情報があれば、比較的近い数量を算出しやすい領域です。

一方で、天井はそう単純ではありません。同じ1,000㎡でも、1部屋で1,000㎡なのか、10部屋に分かれて合計1,000㎡なのかで、必要なチャンネルやバーの本数は変わります。部屋の形、割り付け、端部の納まりによってロスや必要本数が変わるため、天井は係数だけで発注精度を高めようとすると限界が出やすい部位です。

床もまた別の性格があります。床は施工前に割り付けを行い、その割り付けを起点に材料を出すことが多いため、割り付け図から材料数量を出せれば、そのまま発注につながりやすい領域です。

つまり、材料発注の精度を上げるには、「積算データを発注に使うかどうか」ではなく、どの部位は係数で足りるのか、どの部位は割り付けが必要なのかを分けて考えることが重要です。

背景

ざっくり発注は怠慢ではなく、工期・手間・職長判断の中で成り立ってきた実務

材料発注がざっくりになる背景には、現場の実務があります。

内装工事では、見積段階、受注後、施工前、現場搬入のタイミングで必要な情報の細かさが変わります。見積段階では工事全体の数量を把握できればよくても、発注段階では「いつ、どの階に、どの材料を、どれだけ入れるか」が必要になります。

ただし、そのためにすべての現場で詳細な割り付け図を作ると、手間が大きくなります。結果として、次のような運用が現実的に選ばれます。

  • 見積・原価の数量をもとに、階や工区で按分して発注する
  • 現場を見ている職長が、必要量を判断して追加発注する
  • 経験のある担当者が、図面から本数を数えて調整する
  • 一部の部位だけ、割り付けを起こして数量を固める

この運用自体は、現場に合った知恵です。問題は、職長や担当者の経験に依存しすぎると、担当者が変わったときに精度が落ちたり、過不足の理由を振り返りにくくなったりすることです。

特に、積算ソフトや原価データを使って発注までつなげたい場合、精度が足りないまま材料数量を自動で出すと、かえってクレームや手戻りの原因になりやすい点には注意が必要です。

解決

積算データを発注に使う前に、割り付け領域と係数管理領域を分ける

材料発注の精度を上げる第一歩は、積算データをそのまま発注データに変換しようとしないことです。まずは、部位ごとに発注ロジックを分ける方が現実的です。

整理の進め方は、大きく4つあります。

1つ目は、部位ごとに「係数で足りるか」「割り付けが必要か」を分けることです。ボード系は面積とロス率、壁下地は長さ・高さ、天井は部屋形状や割り付け、床は割り付け図を起点にする、といった形で考えます。

2つ目は、発注単位を工事全体ではなく、階・工区・搬入タイミングで見ることです。全体で1,000本必要という情報だけでは、現場にいつ何本入れるべきかまでは決まりません。5階建てなら1フロア200本を基準にするなど、現場で使う単位に落とす必要があります。

3つ目は、ロス率や係数を現場別に見直せる状態にすることです。標準的な係数を一度決めても、部屋数が多い現場、変形の多い現場、天井が複雑な現場ではズレが出ます。過不足が出たときに「どの部位で、どの係数が合わなかったのか」を残せると、次の現場に活かしやすくなります。

4つ目は、職長の判断をなくすのではなく、発注ルールに反映することです。現場経験で調整している部分には、必ず理由があります。その理由を拾わずにシステム化すると、現場に使われない仕組みになりがちです。

最初から全材料を精密に発注しようとせず、まずは次のように分けると進めやすくなります。

  • ボード系:面積とロス率で発注数量を出す
  • 壁下地:長さ・高さをもとに係数管理する
  • 天井:複雑な現場から割り付けの必要性を判断する
  • 床:割り付け図から材料算出、発注連携を検討する

この順番で整理すると、積算データは単なる見積用の数量ではなく、発注精度を高めるための土台になります。

まとめ

内装工事の材料発注は、ざっくりになりやすい業務です。ただ、それは現場が粗いからではなく、発注のために毎回すべてを割り付けるほどの時間をかけにくいからです。

大切なのは、積算データを万能な発注データとして扱わないことです。

ボードや壁のように係数で精度を上げやすい部位と、天井や床のように割り付けが発注精度に直結しやすい部位を分けることで、無理なく改善を進められます。

材料発注の精度を上げるには、システム導入の前に、まず自社の発注実務を整理することが近道です。どの材料を、誰が、どのタイミングで、どの根拠で発注しているのか。そこが見えると、係数で済ませるべき領域と、割り付けまで踏み込むべき領域が見えてきます。

自社の発注精度を上げるための整理から始めたい方へ

材料発注の改善は、積算ソフトや発注システムだけで完結するものではありません。見積数量、原価管理、職長の判断、搬入タイミング、部位ごとのロス率をつなげて整理する必要があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・原価・組織・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。材料発注や積算データの活用について、「うちの場合はどこから見直すべきか」「係数管理と割り付けの線引きがわからない」という段階でも構いません。

無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の相手としてご活用ください。

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