前提

社員数名でも協力会社を含めると十数名が動く内装系専門工事会社のDX

関西圏のある内装系専門工事会社では、社員は数名規模でも、現場には協力会社や一人親方を含めて十数名が動く形で仕事を回していました。

現場ごとの出面、勤怠、日報、経費、資材の不足連絡、協力会社の稼働状況。こうした情報は、LINE、電話、Excel、紙、口頭確認などに分かれがちです。

社長から見ると、「今日どこの現場に誰が出ているのか」「どこまで進んでいるのか」「資材が足りない話はどうなったのか」を毎回確認しなければならない状態になります。

そこで現場管理システムや勤怠アプリを作りたい、という話は自然に出てきます。実際、現場ごとの粗利率、材料原価、進捗、協力会社、勤怠、日報まで一つの画面で見られれば便利です。

ただし、建設業DXは、システムを作ることよりも「現場で使われる形にすること」のほうが難しいです。

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  • 6月27日内装工事会社大阪府
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  • 6月26日配管工事会社三重県
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中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

社長が便利だと思う機能ほど、現場では入力されないことがある

現場管理システムでよく起きる落とし穴は、管理側が見たい項目を先に積み上げてしまうことです。

たとえば、社長や管理者から見れば、次のような情報は一画面で見たいものです。

  • 現場ごとの進捗
  • 出面、勤怠、打刻
  • 協力会社ごとの稼働
  • 材料費、経費、粗利率
  • 日報、相談事項、資材不足の連絡
  • 今後の現場予定

どれも経営や現場管理には大事です。

しかし、実際に入力するのは現場に出ている職人さんや協力会社です。そこにスマホ操作が苦手な人が多い、そもそもスマホを持っていない人がいる、入力項目が多い、現場で入力するタイミングが決まっていない、という状況があると止まります。

ある会社では、社長がシステムを作りたいと考えていました。ところが、現場で使う社員の年齢層を確認すると、60代、70代が多い。さらに「スマホを持っていますか」と聞くと、持っていない人もいる状態でした。

その場で出たのは、かなりシンプルな確認です。

「じゃあ、これできないじゃないですか」

ここが大事です。使う人が使えない設計のまま進めると、システムは完成しても業務は変わりません

背景

現場の情報は欲しいが、入力する人の状況まで設計されていない

建設業の現場情報は、もともと人に紐づいて流れてきました。

「今日どこまで終わった?」 「ボードが足りなくなりそうです」 「応援の会社は今日どこに入っている?」

こうしたやり取りが、電話やLINEや口頭で飛んできます。社長や担当者が覚えていれば回りますが、忙しい日は抜けます。聞いた、聞いていないも起きます。

実際に、ある現場管理の相談では「社長が確認しないと言わない」「電話で資材不足を言われるので忘れてしまう」という話が出ていました。

この状態を解消するために、日報や相談事項の入力欄を作る発想は有効です。たとえば、現場側が「相談あり」を押し、ボード不足を入力する。管理側がそれを見て発注する。会話が一つの場所に残る。これは便利です。

ただ、ここで見落としやすいのが、現場側にとっての入力負担です。

管理側は「入力してくれれば助かる」と考えます。一方で現場側は、作業の合間、移動中、休憩前後、帰り際に入力することになります。入力画面が複雑だと、最初の数日は使っても、だんだん元の電話やLINEに戻ります。

さらに協力会社が関わる場合、自社社員と同じルールでは動きません。勤怠管理アプリの中には、自社社員だけを前提にしたものもあります。協力会社にもURLを渡して打刻してもらうなら、ルールの説明、入力の範囲、誰が確認するかまで決めておく必要があります。

DXの失敗は、機能不足よりも「誰が、いつ、何を、どこまで入力するか」が曖昧なまま始まることで起きやすいです。

解決

最初から全部作らず、打刻と日報だけで回るかを見てから広げる

現場管理システムを考えるときは、最初に大きく作り込まないほうがうまくいきやすいです。

最初に確認したいのは、機能ではなく利用者です。

  • 実際に入力するのは誰か
  • その人はスマホを持っているか
  • 普段からスマホ操作に慣れているか
  • 現場で入力できる時間があるか
  • 協力会社にも入力をお願いできる関係性か
  • 入力されなかった時に誰が確認するか

この確認で「現場側が複雑な入力をするのは難しい」と分かったら、作るべきものは変わります。

たとえば、職人さんや協力会社が使う画面は、打刻と日報だけに絞る。出勤、退勤、今日の作業、相談事項だけにする。管理者側だけが、現場別の集計や出面、進捗、経費を見られるようにする。

この分け方は現実的です。

現場側の画面に、粗利率、原価内訳、協力会社一覧、申請状況、カレンダー、経費、日報、相談、進捗をすべて並べると、入力する側には重くなります。管理者が見たい情報と、現場が入力できる情報は分けて考えたほうがよいです。

進め方としては、次の順番が扱いやすいです。

  1. まず「現場で必ず取れないと困る情報」を3つ以内に絞る
  2. 現場側の入力は、打刻・日報・相談事項など最低限にする
  3. 協力会社に依頼する場合は、URL共有、入力タイミング、未入力時の確認者を決める
  4. 1〜2現場で試し、入力されない項目を削る
  5. 管理側の集計や粗利管理は、入力が定着してから広げる

ここで大事なのは、便利な機能を足すことではなく、毎日使われる項目だけを残すことです。

もし、現場の年齢層やスマホ環境から見て、そもそもアプリ運用が難しい場合は、システム導入より先に社内体制や人員配置を見直すほうがよいケースもあります。

たとえば、現場から情報を集める担当者を一人決める。協力会社からの連絡窓口を一本化する。社長が直接全部確認する状態を少しずつ減らす。そこが整ってから、入力や集計をデジタル化する。

「システムを入れれば整理される」のではなく、「整理した運用をシステムに乗せる」と考えるほうが失敗しにくいです。

まとめ

建設業DXで大切なのは、立派なシステムを作ることではありません。現場で使われることです。

社員数名、協力会社を含めて十数名で動く会社でも、出面、日報、資材不足、進捗確認がバラバラになれば、社長や担当者の負担は大きくなります。だからこそ、デジタル化は有効です。

一方で、現場の職人さんがスマホを持っていない、年齢層が高く入力に慣れていない、協力会社への依頼ルールが決まっていない状態では、作っても使われない可能性があります。

最初に見るべきは、機能一覧ではなく利用者です。

誰が使うのか。何なら入力できるのか。どの情報だけは毎日必要なのか。未入力のとき誰が拾うのか。

ここを整理すると、最初の一手はかなり見えやすくなります。打刻と日報だけで始めるのか。相談事項だけ残すのか。協力会社まで巻き込むのか。あるいは、システムより先に社内の役割分担を変えるのか。

DXは大きな投資に見えますが、入り口は小さくできます。まずは、現場が無理なく続けられる形まで削ることが大切です。

自社の現場で使われるDXにするために、最初の整理から始める

「うちの場合、アプリを入れても現場が使うか分からない」「日報や勤怠をデジタル化したいが、何から決めればいいか分からない」という段階でも、整理できることはあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。システムありきではなく、現場の動き方や人員体制を見ながら、何をデジタル化すべきかを一緒に考えます。

無理な営業はいたしません。まずは「今の現場だと何から整理すべきか」を確認する場として使ってください。

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