前提

東北の15名規模の建設会社が、鉄道・高速道路・内装改修を外注ネットワークで回している現在地

東北エリアのある建設会社では、社長を含めて15名弱の体制で、鉄道関連工事、高速道路関連工事、駅施設の改修、内装工事、解体工事などを幅広く請けています。

特徴的なのは、自社で全職種を抱えるのではなく、案件に応じて協力会社や外注職人と組みながら現場を収めている点です。社長の言葉を借りると、「うちで対応が難しければ、管理する人間を出して、協力会社をくっつける形でやっています」という運営です。

外注先は、昔からの後輩筋にあたる30代の職人も多く、年齢的にもまだ動ける層です。これは大きな強みです。一方で、正社員を一気に増やすことには慎重です。

「仕事がずっと続くのであれば社員を抱えるのもありですが、まだそこが怖いです」

この感覚は、多くの中小建設会社に共通します。目の前の仕事はある。増やせる可能性もある。ただ、2〜3か月仕事が薄くなっても耐えられる人数を考えると、正社員を20名、30名へ増やす判断は簡単ではありません。

だからこそ、この会社が目指している形は明確です。自社は現場管理者を出し、施工は協力会社と組んで収めるモデルです。

課題

仕事が続く保証がないため、正社員採用より外注活用に寄る成長判断

この会社の悩みは、「人がいない」だけではありません。むしろ本質は、仕事量の見通しと固定費のバランスにあります。

既存の取引先から一定の仕事はあります。ただし、年間を通じて常に仕事があるわけではなく、時期によって薄くなる期間もあります。既存取引先に対して「人を増やせば、その分だけ仕事量も増えるのか」と考えても、社長の感覚では見込みは強くありませんでした。

「一社の仕事だけで、人を増やした分だけ売上が増える感じではないです」

この状態で正社員を増やすと、仕事が薄い時期に固定費だけが重くなります。特に建設業では、採用した人がすぐに現場管理までできるわけではありません。未経験者を採用しても、管理・安全・品質・工程・元請け対応まで任せられるようになるには時間がかかります。

一方で、外注職人や協力会社を使えば、案件ごとに体制を組みやすくなります。社長が「だから外注が多いわけです」と話していたように、外注活用は単なる人手不足対策ではなく、仕事量の波に合わせるための経営判断でもあります。

ただし、外注活用にも限界があります。協力会社を増やせばよい、案件を増やせばよい、という単純な話ではありません。社長も「同じような取引先が3社、4社あっても、今度はこちらがキャパオーバーして迷惑をかける」と話していました。

つまり課題は、正社員採用をするかしないかではなく、外注ネットワークで伸びるための受け皿をどう設計するかにあります。

背景

「何でもやります」を支えるには、管理者と外注先の両方が必要

この会社は、もともと職人としてさまざまな現場を経験してきた社長が率いています。足場、型枠、鉄筋、内装、解体など、特定の一工種だけに閉じず、現場に応じて対応してきた背景があります。

現在も、鉄道関連では駅施設の改修が継続的にあり、高速道路関連ではトンネル工事などにも関わっています。内装では、クロス、下地、ボード、解体など、元請けや一次請けのニーズに合わせて部分的にも一式的にも対応しています。

ここで大事なのは、同社の強みが「自社職人だけで何でもできる」ことではない点です。強みはむしろ、元請け・一次請けの困りごとに対して、現場をまとめて収められることです。

社長は理想の形を、かなりはっきり言語化していました。

「Aの現場があったら、うちから管理者を出す。あとは協力会社を使って現場を収める。それが今、自分が思っている理想の形です」

これは、中小建設会社にとって現実的な成長モデルです。全職種を正社員で抱えるのではなく、管理機能を自社に残し、施工体制は信頼できる外部ネットワークで組む。元請けや一次請けから見ると、「頼めば何とか段取りしてくれる会社」になります。

ただし、このモデルは管理者がいなければ成立しません。外注職人がいても、現場を読める人、工程を組める人、元請けと話せる人、安全・品質を見られる人がいなければ、案件を受けても崩れます。

また、外注先が若く動ける層であっても、常に都合よく空いているわけではありません。単発の付き合いではなく、準専属に近い信頼関係を作っておく必要があります。

この会社の場合、成長の鍵は「正社員を大量採用すること」ではなく、まずは管理者人材を厚くし、若い外注職人・協力会社を束ねられる体制を作ることにあります。

解決

外注ネットワークで伸びる会社は、管理者・協力会社・継続案件・受注基準をセットで整える

外注ネットワーク型で成長する場合、打ち手は大きく4つに分かれます。

1つ目は、現場管理者を育てることです。

正社員を増やすとしても、最初から職人を大量に抱える必要はありません。優先すべきは、協力会社を束ねられる人材です。現場経験のある若手や中堅に、少しずつ管理業務を渡していく。最初は手元作業をしながらでも、工程確認、写真管理、職人手配、元請けとのやり取りを任せる範囲を広げていくことが大切です。

このとき、「管理者になれる人だけ採る」と考えると採用の幅が狭くなります。現実的には、既存社員の中から管理寄りに育てる人を決め、外注職人の中にも将来的に番頭的な役割を担える人がいないかを見ていくほうが進めやすいです。

2つ目は、信頼できる外注先を確保し続けることです。

外注先は、人数が多ければよいわけではありません。大事なのは、現場の品質、レスポンス、約束を守る力、緊急時の対応、他業種との連携です。特に内装、解体、改修、夜間工事などは、現場ごとの条件が違います。単価だけで選ぶと、結果的に自社の管理負担が増えます。

外注先を増やすときは、次のような観点で見ておくと判断しやすくなります。

  • いつもの現場管理者と相性がよいか
  • 急な工程変更にどこまで対応できるか
  • 若い職人を抱えていて、今後も継続的に動けるか
  • 一式ではなく部分工事でも柔軟に入れるか
  • 自社の看板で出しても安心できる品質か

3つ目は、継続案件を持つ一次請けとの接点を増やすことです。

この会社にとって理想的なのは、既存の一次請けのように、年間を通じて一定量の工事を持ち、自社をパートナーとして使ってくれる会社がもう1社増えることでした。社長も「同じような会社がもう1社くらいあれば」と話していました。

ここで重要なのは、いきなり大手元請けを直接攻略しにいくことではありません。規模や許可、書類対応、管理体制の面でハードルが高くなりやすいからです。

現実的には、大手元請けや発注者の下で継続的に仕事を持っている一次請け・有力協力会社とつながることが有効です。鉄道、駅施設、商業施設、インフラ関連、店舗改修など、年間で改修・修繕・内装工事が発生しやすい領域にいる会社との接点を増やすイメージです。

4つ目は、キャパオーバーを防ぐ受注判断の基準を持つことです。

外注ネットワーク型の会社は、案件が増えるほど「受けられそう」に見えます。しかし、管理者の数には限界があります。協力会社の手配にも限界があります。ここを見誤ると、せっかくの紹介先に迷惑をかけ、長期的な信用を落としてしまいます。

そのため、受注前に少なくとも次の4点は確認したいところです。

  • 自社から現場管理者を出せるか
  • 主要協力会社の予定を押さえられるか
  • 夜間・緊急・短工期などの条件に無理がないか
  • 既存の重要取引先に影響が出ないか

特に、24時間対応や即時駆けつけが必要なメンテナンス系の仕事は、単価だけでは判断できません。ある店舗系案件では、工事そのものよりも電話対応・緊急対応の負担が重く、受けない判断をしたケースもありました。こうした判断は、むしろ健全です。

外注ネットワークで伸びる会社に必要なのは、何でも受ける勢いではなく、受けても崩れない案件を選ぶ基準です。

まとめ

正社員を増やすのが怖いという感覚は、後ろ向きなものではありません。仕事量の波があり、2〜3か月薄い時期も想定しなければならない中では、固定費を慎重に見るのは自然な経営判断です。

そのうえで、外注職人や協力会社を活かして伸びる道は十分にあります。特に、若い外注職人とのつながりがあり、現場管理者を自社から出せる会社は、元請け・一次請けにとって頼れる存在になれます。

ただし、外注活用だけで成長するには条件があります。管理者人材の育成、信頼できる協力会社の確保、継続案件を持つ取引先との接点、キャパを超えない受注判断をセットで整えることです。

「自社で全部抱える」のではなく、「自社が現場をまとめ、協力会社と一緒に収める」。この形は、中小建設会社にとって現実的で、強い成長モデルになり得ます。

まずは、今ある取引先の中で理想に近い会社を1社選び、その会社の何が良いのかを分解することです。案件量なのか、工種の相性なのか、管理者を出しやすいのか、外注先を組みやすいのか。そこが見えると、次に増やすべき取引先の条件も見えてきます。

外注ネットワークで伸びるための受け皿を整理したいときは

正社員を増やすべきか、外注先を増やすべきか、一次請けとの接点をどう作るべきかは、会社の現在地によって答えが変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。外注ネットワークを活かした成長、管理者人材の育成、継続案件を持つ取引先開拓なども、会社ごとの事情に合わせて一緒に整理できます。

「うちの場合は、社員を増やすべきなのか」「協力会社を増やしても回る体制なのか」「どんな一次請けとつながるべきか」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてお使いください。

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