全国の店舗工事を8名で支えながら、社長自身も現場に出ている電気設備会社の現在地
千葉県にある8名規模の電気設備会社では、全国展開する小売店舗の防災設備工事を主力にしています。各地域の協力会社と連携しながら、全国数百店舗の施工や保守に対応してきました。
事務を担う社員は3名。現場側は社長を含む5名です。現場が重なる時期には、社長も週の大半を施工や管理に充てています。
社長が目指しているのは、現場から少しずつ離れ、経営や次の事業に時間を使える状態です。
「ほとんど現場のことばかり見てきました。手が空けば、経営のことや次の事業も考えたいです」
一方で、現在の社員は、図面作成、設計、発注、施工、現場管理までを一人で通して担当しています。担当者が一連の流れを理解しているため、判断は早く、責任の所在も明確です。
この会社の強さは、一人ひとりが設計から現場管理まで完結できることです。ただし、その強さが社長や社員の負担にもつながっています。
1週間で 14件の相談 がありました
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
- 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
- 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
- 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
- 7月16日内装工事会社群馬県案件獲得の相談
- 7月16日総合建築岐阜県原価管理の相談
設計から現場管理までを一人で抱える体制による残業と属人化
社長が現場から離れにくい直接の原因は、単純な人数不足だけではありません。仕事を「案件単位」で一人に任せ、業務工程では分けていないことが大きく影響しています。
案件が増えると、現場に出る時間だけでなく、図面作成や設計、発注といった机上業務も増えます。日中に現場を回り、戻ってから図面や発注に向き合えば、残業が増えやすくなります。
「一人が図面を描いて、設計して、発注して、現場に出て、現場管理までやっています。件数が増えると、机上で向き合う仕事の負担が大きくなります」
この状態で人を増やしても、すぐに社長の負担が減るとは限りません。同社では未経験者でも1年ほどで独り立ちできる見込みがある一方、教育は社長が直接担うことが多いためです。
採用直後は、社長の仕事が一時的に増えます。教育を続けながら自分も現場に出ていれば、現場を離れる時期はさらに先になります。
人を増やす前後で業務の持ち方を変えなければ、「社長が現場をこなしながら新人も教える体制」が残ります。
全国店舗の品質と責任を守るために育った一人完結型の仕事の進め方
一人完結型の体制は、非効率だから残っているわけではありません。長年にわたり、全国の店舗工事で品質と責任を守るために形成されてきたものです。
この会社は、設備の選定や施工方法、基本的なマニュアルづくりにも関わってきました。過去に不具合やトラブルが起きた際も、その都度対応を続けてきたことが現在の信頼につながっています。
「トラブルがなかったわけではありません。対応してきたから今があります」
担当者が設計から現場まで把握していれば、問題が起きたときも経緯を追いやすくなります。そのため、単純に工程を切り分けるだけでは、引き継ぎ漏れや責任の曖昧さが生まれる可能性があります。
また、社長には、人を増やすことで仕事に対する共通認識が薄まることへの懸念もあります。少人数だからこそ共有できている判断基準や責任感を、組織が大きくなっても残したいという考えです。
守るべきなのは「一人で全部やること」ではなく、設計意図、施工品質、問題発生時の責任を最後までつなぐことです。
分業を進める際は、作業を切り離すだけでなく、誰が最終判断を持つのかまで決める必要があります。
業務の棚卸しから責任者育成、教育役の移管までを段階的に進める体制づくり
社長が現場から離れるには、いきなり全案件を社員へ渡すのではなく、業務の棚卸し、机上業務の分担、責任者の育成、教育役の移管という順番で進めるのが現実的です。
1.まずは一案件の仕事を工程ごとに分解する
最初に、現在一人が担当している仕事を書き出します。同社であれば、少なくとも次の工程があります。
- 図面の作成・管理
- 設計と機器の選定
- 発注
- 協力会社との調整
- 現場での施工
- 現場管理
そのうえで、それぞれを次の3つに分けます。
- 社長や担当責任者にしか判断できない仕事
- 手順や基準を共有すれば、他の社員へ移せる仕事
- 経験を積めば、新人にも任せられる仕事
ここで重要なのは、肩書きから考えないことです。「現場責任者を置こう」と先に決めるのではなく、どの業務が社長の時間を最も使っているかを確認してから、必要な役割を決めます。
2.現場作業より先に、机上業務を分けられないか検討する
同社では、案件数が増えたときに図面、設計、発注の負担が大きくなり、残業につながっています。そのため、現場を丸ごと任せる前に、机上業務の手分けから始める余地があります。
たとえば、設計上の最終判断は経験者が持ちつつ、図面作成や発注準備を分担できれば、責任を保ちながら負荷を下げられます。
判断軸は、「誰ならできるか」だけではありません。
- 判断基準を言葉にできるか
- 引き継ぎ時に確認すべき項目が決まっているか
- 最終確認者が明確か
- 分担によって手戻りが増えないか
分業は、仕事を人から切り離すことではなく、判断と作業を整理してつなぎ直すことです。
3.社長の代わりに責任を持てる人を一人ずつ育てる
現場責任者に必要なのは、施工技術だけではありません。全国の協力会社との調整や、問題が起きたときに最後まで対応する姿勢も欠かせません。
候補者を選ぶ際は、年齢や経験年数だけでなく、次の点を見る必要があります。
- 設計意図を現場へ伝えられるか
- 協力会社と必要な調整ができるか
- 不具合を放置せず、状況を報告できるか
- 自社の品質基準を守れるか
最初から「社長の右腕」を完成形で求める必要はありません。まずは一部の案件や工程を持たせ、任せられる範囲を広げていく方が、社内の共通認識も保ちやすくなります。
4.新人を増やすなら、社長以外にも教育役をつくる
同社には、基本的な施工方法やマニュアルがあり、未経験者でも1年ほどで独り立ちできる土台があります。次に必要なのは、その教育を社長だけの仕事にしないことです。
教育内容を、次のように整理します。
- 入社後に覚える業務の順番
- 一人で実施してよい作業の基準
- 判断に迷ったときの確認先
- 独り立ちを判断する人
社長が最初に基準を伝え、日々の確認や反復指導は別の社員も担える状態を目指します。
採用人数を増やすほど、採用活動より先に「誰が教えるか」を決めることが重要になります。
5.社長が現場を離れられたかを数字で確認する
体制変更の成果は、売上だけでは判断できません。少なくとも、次の変化を定期的に確認します。
- 社長が現場に出た日数
- 社員の残業時間
- 社長以外が責任を持って完了した案件数
- 図面や発注など、社長から移管できた業務
- 社長以外が新人教育を担当した時間
社長の現場日数が減っても、夜間の確認や教育が増えていれば、実質的な負担は変わっていません。
目指すのは、社長が現場に出ない会社ではなく、社長が出るかどうかを自分で選べる会社です。
まとめ
社長が現場から離れられない会社では、採用だけを先に進めても負担が減らないことがあります。設計、発注、施工、現場管理を一人で担う構造が残れば、新人教育まで社長に集まりやすいためです。
まずは、一案件の業務を工程ごとに棚卸しします。そのうえで、机上業務から分担できる部分を探し、最終判断を担う責任者を育てます。新人を採用する場合は、教育役も段階的に社長から移していきます。
社長の現場離れは、単なる作業の引き継ぎではありません。会社が守ってきた品質と責任を、組織で再現できるようにする取り組みです。
その基盤ができて初めて、社長は経営や新規事業に継続的な時間を使えるようになります。
自社に合った業務分担と責任者育成を整理したい方へ
「どの仕事から渡せばよいか分からない」「任せたい社員はいるが、責任者としてどう育てるべきか迷っている」という段階では、採用や役職配置を急ぐ前に、現在の業務と役割を整理することが大切です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。社長の業務棚卸しや現場責任者の育成、教育体制の設計についても、自社の規模や仕事の進め方に合わせて検討できます。
「うちの場合は何から整理すべきか」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の体制を考えるための整理先としてご活用ください。




























