5名弱のシーリング防水会社で、社長が現場と経営業務を兼務している現在地
中部地方の県庁所在地を中心に、大規模修繕や工場関連のシーリング防水を手がける、5名弱の専門工事会社があります。年商は4,000万円台。社員は全員が職人として現場に出ており、必要に応じて協力会社にも応援を頼む体制です。
仕事量は年間を通して確保できています。採用活動にも反響があり、直近では未経験者が1名入社しました。表面的には、大きな問題がある会社には見えません。
一方で、社長は今も現場作業に入っています。新入社員の初日も現場へ行き、「ここは危ないよ」と注意点を伝えた後、早めに現場を離れ、建設キャリアアップシステムやグリーンサイトの登録作業に取りかかっていました。
見積書や売上管理の仕組みも、以前に社長自身がExcelのマクロを組んで整えています。現場から帰った後、約1カ月かけてつくり込んだものでした。
社長の仕事は、施工だけではありません。採用、入社手続き、見積もり、管理業務、業務改善まで広がっています。そのため、次の構想があっても着手する時間を確保しにくい状態です。
社長の言葉は明確でした。
「僕が現場に出なくてもいいように、会社を整えていかなきゃいけない」
目指すべき状態は、単に社員を増やすことではなく、社長が現場にいなくても施工と指示が回る体制をつくることです。
1週間で 22件の相談 がありました
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
採用できても社長が教え続ける限り、経営に使える時間が増えない構造
未経験者を採用した直後は、社長や既存社員の負担が一時的に増えます。安全面を教え、作業を見せ、仕上がりを確認する必要があるからです。
同社でも、もう1名の未経験者を採用する案はありました。ただし、社長は同時採用に慎重です。
「今の人と同時になると、本当に作業が進まなくなってしまう。まず3カ月ぐらい様子を見たい」
これは採用意欲が低いのではありません。教育できる人数には限界があると分かっているからです。未経験者を一度に増やせば、教える側の手が止まり、現場全体の生産性が落ちる可能性があります。
さらに、人が増えても、現場の判断や指示がすべて社長に集まったままでは、社長の拘束時間は減りません。むしろ確認事項が増え、これまで以上に現場から離れにくくなることもあります。
「採用できたか」ではなく、「誰が教え、誰が判断し、社長がいなくても一日を終えられるか」まで設計しなければ、現場離れにはつながりません。
仕事の受け皿を先につくらなければ、新規事業や販路開拓へ進めない事情
社長には、将来的に現場の指示を既存社員へ任せ、複数の班で施工できる状態をつくりたいという構想があります。そのうえで、自身は新しい事業や取引先の開拓へ力を振り向けたいと考えています。
ただし、仕事を先に増やす考えではありません。
「受け皿がないことには、どれだけ仕事を持ってきても『受けられない』という話になる」
現在の取引先からの仕事は、今の人数でも十分にあります。新しい取引先を増やすと、既存顧客の依頼を受け切れなくなったり、協力会社への依存が想定以上に高まったりする可能性があります。そのため、まずは新しく入った人を育て、自社施工で対応できる範囲を広げようとしています。
社長が現場を離れたい理由も、現場が嫌だからという単純な話ではありません。
「全部が全部、僕が指示していてもしょうがない。指示は今後、既存社員に任せて、僕は違う方に力を入れたい」
つまり、社長個人の負担軽減だけが目的ではありません。施工を担う人、現場を動かす人、次の仕事をつくる人を分け、会社として役割を持てる状態に変えようとしています。
社長が現場を離れるには、採用、育成、権限移譲、複数班化を飛ばさず、会社の受注能力に合わせて順番に進める必要があります。
未経験者の習熟から指示権限の移譲へ進み、社長の現場稼働を段階的に減らす設計
進め方は、次の4段階に分けると整理しやすくなります。
1.採用人数ではなく、教育できる人数を基準にする
最初に見るべきなのは応募数ではなく、既存社員が無理なく教えられる人数です。同社のように、まず1名を採用し、3カ月ほど習熟状況を見る進め方には合理性があります。
確認したいのは、単に作業が速くなったかではありません。
- 基本的な安全ルールを理解しているか
- 指示された作業を一人で進められるか
- 分からない状態で勝手に判断せず、確認できるか
- 手直しや再説明が減っているか
- 現場の流れを見て次の準備ができるか
次の採用時期は、在籍期間ではなく、教える側の負担がどこまで下がったかで判断します。
2.社長の作業を渡す前に、指示する役割を渡す
社長が現場作業から抜けても、電話で細かな指示を出し続けていれば、実質的には現場を離れられていません。先に移すべきなのは、作業そのものよりも日々の指示です。
同社には、長く現場を経験してきた既存社員がいます。まずはその人に、次のような範囲から任せていく方法があります。
- 当日の作業順序を決める
- 未経験者へ担当作業を割り振る
- 危険箇所と注意事項を共有する
- 作業後の仕上がりを確認する
- 社長へ報告すべき事項を整理する
いきなりすべての判断を渡す必要はありません。「通常の施工は任せる」「追加工事や工程変更は社長へ確認する」など、判断の境界を決めておくと移行しやすくなります。
権限移譲では、誰に任せるかだけでなく、本人だけで決めてよい範囲と、社長へ戻す範囲を明確にすることが重要です。
3.人数がそろったら、二つの班を同時に動かす練習をする
将来的に二班体制をつくるなら、人がそろった瞬間に完全分業するのではなく、短期間の試運転を挟みます。
たとえば、既存社員が率いる班と社長が率いる班に分け、別々の現場を動かします。その際、社長側の現場が問題なく終わるかより、既存社員側の班がどこまで自走できたかを確認します。
見るポイントは、施工量だけではありません。
- 朝の指示だけで作業が進んだか
- 未経験者への説明が現場内で完結したか
- 社長への確認が何回発生したか
- 工程、安全、品質の確認に漏れがなかったか
- 終了時に必要な報告がそろったか
確認連絡が多かった場合も、任せる相手の能力不足と決めつける必要はありません。判断基準が共有されていない可能性があります。質問の内容を残し、次回から現場側で判断できるものを一つずつ増やしていきます。
複数班化の判断軸は人数ではなく、社長がその場にいなくても、指示・安全・品質・報告が一つの班の中で完結するかどうかです。
4.社長の現場稼働は、ゼロにするのではなく段階的に減らす
現場離れは、ある日突然ゼロにするより、現場へ出ない日や時間帯を少しずつ増やす方が進めやすくなります。
最初は朝の指示と危険箇所の確認まで行い、その後は現場を任せる。次に、終日のうち半日だけ現場を離れる。問題なく回るようになったら、社長が現場へ行かない日を設ける。この順番です。
空いた時間は、何となく事務処理に使うのではなく、経営側の業務に先に割り当てます。同社の場合は、入社手続きや管理業務を処理しながら、将来的な新規事業や販路開拓を検討する時間です。
社長の現場稼働を減らす目的は休むことではなく、会社の次の受け皿と仕事をつくる時間へ振り替えることです。
まとめ
社長が現場を離れるために、最初から大人数を採用する必要はありません。むしろ、教育できる範囲を超えて採用すると、社長と既存社員の負担が増えます。
進める順番は明確です。
- 未経験者を一人ずつ育てる
- 既存社員へ日々の指示権限を移す
- 社長がいなくても動く班をつくる
- 二班体制を試運転する
- 社長の現場稼働を段階的に減らす
そのうえで、自社の施工能力に余裕ができてから、新しい仕事や事業へ進みます。
人を増やすことは出発点です。社長が現場を離れられるかどうかは、育成と権限移譲を通じて、現場の判断を社内に残せるかで決まります。
自社に合った現場離れの順番を整理したい方へ
社長が現場を離れたいと思っても、誰を先に育てるのか、どこまで指示を任せるのか、何人になったら班を分けるのかは、会社ごとに異なります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題や教育体制、役割分担を、現場の仕事量や今後の事業構想と合わせて整理し、実行まで支援しています。
「うちの場合は、採用と権限移譲のどちらから進めるべきか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、現場と経営を分けていく最初の整理先としてご活用ください。




































