前提

若手社員が増える一方で重要な判断と顧客対応が社長に集まる専門工事会社の現在地

ある中小の専門工事会社では、若手社員の採用が進み、社内の雰囲気も変わり始めていました。来社した取引先からも「若い人が入って、雰囲気が変わったね」と言われるほどです。

その一方で、組織の中心には依然として社長がいます。社員が言いにくいことも、判断に迷うことも、最後は社長のところへ集まります。顧客との打ち合わせでも、担当者の説明を待つより社長が話したほうが早く、気づけばほとんどを自分で説明してしまいます。

「結局、俺がずっとしゃべっちゃうんですよ。それだと育たないんですよね」

この状況を変えるため、社長の右腕となる幹部候補を外部から採用したいと考えていました。しかし、求める人物像を詰めていくと、30〜40代の業界経験者がよいのか、大企業で管理を経験した人がよいのか、異業種から柔軟な人を迎えたほうがよいのか、なかなか像が定まりません。

社内には、20代後半ながら若手社員を取りまとめ、マナー面も含めて指導を任され始めた社員がいます。本人にも意欲があります。つまり、外から幹部を採ることだけが選択肢ではなく、外部採用と生え抜き育成をどう組み合わせるかが本当の検討事項になっていました。

1週間で 19件の相談 がありました

  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

営業・業務改善・組織マネジメントが一つの幹部候補求人に混在している状態

幹部候補の採用が難しくなる大きな理由は、採用市場に人がいないことだけではありません。経営者が幹部に期待する複数の役割が、一つの求人にまとめられていることにもあります。

この会社で幹部候補に期待されていたのは、主に次の三つでした。

  • 社長に代わって顧客の前に立ち、自ら仕事を取ってくる営業
  • 会社全体を横から見て、業務上の問題に気づき、改善を進める役割
  • 若手社員をまとめ、日常の相談や指導を引き受ける組織マネジメント

どれも会社に必要な役割です。ただし、三つを同時に高い水準で担える人は限られます。

営業で成果を出せる人が、社内の若手から信頼されるとは限りません。大企業で管理職をしていた人が、中小企業のスピード感や役割の曖昧さに適応できるとも限りません。業務改善に強い人も、入社直後から既存社員の上司として受け入れられるとは限りません。

候補者を見るたびに「この人は年齢が高い」「大きな会社のやり方に当てはめそうだ」「若いけれど業界経験が足りない」と評価が揺れる場合、人物の問題というより、採用する役割の優先順位が決まっていない可能性があります。

幹部候補という肩書だけを先に置くと、候補者側も「入社後に何を任され、何をもって評価されるのか」が分かりません。会社側も面接のたびに評価基準が変わり、採用判断が難しくなります。

背景

外から来た人への期待と社内で積み上げた信頼は同じものではないという現実

組織マネジメントには、業務知識とは別の土台が必要です。誰がどの仕事を担い、どこでつまずきやすいのか。社長が何を大切にし、若手が誰なら相談しやすいのか。こうした情報は、社内で働く中で少しずつ蓄積されます。

実際、この会社では20代後半の社員に「若手を全部仕切ってほしい」と伝え、仕事だけでなくマナー面の指導も任せ始めていました。まだ管理職として完成しているわけではありません。それでも、既存社員との関係があり、本人にもやる気があります。

「組織の面倒を見るのは、社内から生え抜きを育てたほうがイメージしやすいかもしれない」

この見立ては、中小建設会社の幹部づくりを考えるうえで重要です。人をまとめる役割は、外部から完成された管理職を連れてくるより、社内の信頼を持つ人材を段階的に育てたほうが進めやすい場合があります。

一方、業務全体を見て改善するには、施工や見積もり、顧客対応、協力会社との関係など、建設業特有の流れを理解していることが有利です。この領域では、業界経験者を外から迎える意味があります。

ただし、業界経験者であっても、入社初日から幹部として既存社員を管理させるのは負担が大きくなります。既存社員から見れば、実力も仕事の進め方も分からない人が、突然上司になるからです。

外部人材に必要なのは、最初から肩書で組織を動かすことではなく、自分の専門領域で成果を出し、社内の信頼を得ることです。ここを飛ばして権限だけを渡すと、本人にも既存社員にも無理が生じやすくなります。

解決

業界経験者には専門成果を、生え抜き社員には人のマネジメントを任せる段階配置

幹部候補を採用する前に、まず「幹部」という大きな箱を、具体的な役割へ分ける必要があります。外部採用か内部育成かは人物の優劣ではなく、任せたい仕事の性質で判断します。

外部採用を優先しやすい役割

業界経験や社外での実績をすぐに生かしたい仕事は、外部採用との相性がよい領域です。

  • 施工や受注の流れを踏まえた業務改善
  • 社長以外でも進められる顧客対応の型づくり
  • 特定分野の営業や案件開拓
  • 業界知識を使った若手への実務支援

特に会社全体の業務を見る役割では、建設業の経験が判断速度に影響します。「何が非効率なのか」だけでなく、「現場ではなぜその手順になっているのか」まで理解できる人であれば、現場と衝突せずに改善を進めやすくなります。

生え抜き育成を優先しやすい役割

日常的に社員と関わり、関係性を土台に進める仕事は、社内人材を育てる選択が現実的です。

  • 若手社員の相談対応
  • マナーや仕事の進め方の指導
  • 社内ルールの浸透
  • チーム内の役割分担と進捗確認

社内で信頼されている若手に、いきなり部門全体の責任を負わせる必要はありません。まずは若手数名の取りまとめ、社内窓口、小さな業務の責任者など、現在の延長線上にある役割から任せます。

実際にこの会社でも、若手社員に外部サービスの社内窓口を任せ、ほかの社員へ指示する機会をつくろうとしていました。小さな責任を持たせ、周囲との調整を経験させることが、生え抜き幹部を育てる具体的な一歩になります。

入社直後から管理職に据えない進め方

外部から採用する人には、最初の半年から1年程度で達成してほしい専門的な成果を一つ定めます。営業なら特定顧客への同行や案件化、業務改善なら一つの業務領域の整理など、既存社員にも成果が見える仕事が向いています。

進め方は、次の三段階に分けると整理しやすくなります。

  1. 専門領域で成果を出してもらう

最初から部下を持たせず、経験を生かせる仕事に集中してもらいます。

  1. 既存社員との協働を通じて信頼を得てもらう

若手への実務支援や社長との同行を重ね、仕事の進め方と人柄を互いに確認します。

  1. 実績と社内の受け止めを見て権限を広げる

プロジェクト責任者、業務領域の責任者、部門管理という順に範囲を広げます。

「入社したから幹部」ではなく、専門成果、社内での信頼、会社のやり方への適応を確認してから管理権限を渡す流れです。これなら、採用時点で完璧な幹部を探す必要がなくなります。

求人票をつくる際も、「将来の幹部候補」だけで終わらせず、少なくとも次の点を決めておくと候補者像が明確になります。

  • 入社後1年間で最も優先する仕事は何か
  • 営業、業務改善、組織管理のうち、最初に任せるものはどれか
  • 業界経験がなければできない仕事は何か
  • 人の管理を任せる前に、どのような実績と信頼を確認するか
  • 社内で育てる役割と、外部から補う役割をどう分けるか

一つの求人で三つの課題を解決しようとせず、最初のミッションを一つに絞ることが、幹部採用を前に進める起点になります。

まとめ

幹部候補の採用が難航しているときは、採用条件を広げる前に、経営者が期待している役割を分解することが大切です。

営業、業務改善、組織マネジメントは、それぞれ必要な経験と信頼のつくり方が異なります。業界知識を生かして会社全体の業務を改善する役割は外部人材、若手をまとめて日常の組織運営を担う役割は生え抜き社員というように、分担して考える余地があります。

また、外部から迎えた人を入社直後から管理職に据える必要はありません。まず専門領域で成果を出してもらい、社内の信頼を得た後で権限を広げるほうが、本人も既存社員も力を発揮しやすくなります。

幹部採用とは、完成された右腕を一人で探すことだけではありません。外から補う力と、社内で育てる力を組み合わせ、社長に集中している仕事を段階的に移していく取り組みとして捉えると、次の一手が見えやすくなります。

幹部候補の役割と育成の順番を一緒に整理するために

「営業も改善も組織管理も任せたいが、何を優先すべきか決めきれない」「外部採用と社内育成のどちらから進めるべきか分からない」という段階でも、整理は始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。幹部候補に任せたい仕事の分解、求人要件の整理、生え抜き社員の育成や権限移譲まで、会社の現在地に合わせて一緒に考えます。

無理に採用や施策を勧めることはありません。「うちの場合は、何から整理すればよいだろう」という段階で構いません。

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