前提

年商6億円前後、30名弱でスポット工事を回す通信設備会社の現在地

関東圏で電気通信工事や弱電工事を手がける、30名弱の会社があります。年商は6億円前後。社員が現場の管理と指揮を担い、施工は既存の協力会社と連携して進めています。

目指しているのは、年々の増収増益です。ただし、仕事はスポット工事の集合体です。10月に突然忙しくなる年もあれば、見込んでいた案件が動かず、想定より落ち着く月もあります。冬場から年度末が忙しい年もあれば、夏場に集中する年もあります。

「大規模で利益が見込める案件は、なるべく受けるようにしています」

現状は、協力会社に応援を頼んだり、残業後に代休を取ったりしながら回せています。既存のパートナーも質が高く、直近で協力会社不足を理由に案件を断るケースは多くありません。

一方、数日後の週末に急きょ人を集めてほしいと依頼されるような案件は、現実的に対応できません。複数の大型現場が同時に動けば、今の体制では余裕がなくなります。

現在の案件を回せていることと、売上をさらに伸ばせる余力があることは、分けて考える必要があります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

協力会社や受注先を増やしても、現場を指揮する社員がいなければ売上にならない構造

この会社には、案件を増やせる見込みがあります。既存取引先への営業を深めれば、弱電工事やオフィス系工事の受注を増やせる感触もあります。施工できる領域も、LAN、光回線、防犯カメラ、アクセスポイントなど幅広く、数十万円から数千万円規模まで対応できます。

データセンター工事についても、複数の受注経路があります。協力会社候補を開拓する余地もあります。

それでも、受注拡大へ一気に踏み出せない理由がありました。

「やろうと思えば案件は増やせます。ただ、データセンター工事の旗振り役が社内にいないんです」

職人や協力会社が集まっても、現場を管理し、指揮する社員がいなければ、会社として受注できる現場数は増えません。営業先だけを増やしても、施工体制が追いつかなければ受注を見送ることになります。

反対に、協力会社だけを先に増やしても、継続して発注できる現場がなければ関係を維持しにくくなります。

売上拡大を止めているのは、案件数や職人数ではなく、工種ごとの「旗振り役」の人数である場合があります。

背景

データセンター工事と弱電工事で異なる施工余力が、会社全体の判断を難しくする状況

優先順位を難しくしていたのは、会社全体が一様に人手不足だったわけではないことです。

データセンター工事では、既存の協力会社を活用して複数現場を回せています。ただし、さらに現場を増やすための旗振り役が社内にいません。受注経路を4つ、5つと増やせても、管理側の余力が先に尽きます。

一方、弱電工事や一般電気工事は、社内で人を動かせる余地があります。既存取引先へ営業すれば、案件を増やせる見込みもあります。将来の受注増に備え、質のよい協力会社とつながっておきたいという意向もあります。

つまり、同じ会社の中でも状況が異なります。

工種

営業余力

施工余力

管理者

協力会社

データセンター工事

複数の受注経路がある

既存パートナーで現状は対応

追加現場の旗振り役が不足

現状分は確保できている

弱電・一般電気工事

既存取引先を深掘りできる

社内で動かせる余地がある

現状は対応可能

将来に向けて拡充したい

この状態で「全社的に採用を優先する」「まず協力会社を増やす」と一括りにすると、投資する場所がずれやすくなります。

「受注があってから発注するので、案件と協力会社は切り離せません」

まさにその通りです。ただし、そこに管理者という第三の条件が加わります。案件、管理者、協力会社のどれか一つが欠けても、受注可能な現場数は増えません。

営業、施工、管理を会社全体で見るのではなく、工種ごとに分けることで、本当に不足している経営資源が見えやすくなります。

解決

工種別の4項目を可視化し、最も細い部分から採用・育成・開拓を進める方法

最初に行いたいのは、工種ごとに次の4項目を並べることです。

  • 営業余力:追加受注を見込める取引先や案件があるか
  • 施工余力:社員と協力会社を含め、何現場まで施工できるか
  • 管理者数:現場を管理・指揮できる社員が何人いるか
  • 協力会社数:実際に声をかけられる会社が何社あるか

大切なのは、登録会社数や名刺の枚数ではありません。「来月、具体的な案件を相談できる会社が何社あるか」まで確認します。管理者についても、在籍人数ではなく、同時に担当できる現場数で捉えると実態に近づきます。

4項目を工種別に並べ、最も余力の少ない部分を次の投資先にします。

今回のような状況なら、工種によって順番を変えます。

データセンター工事は、受注開拓より旗振り役の確保を先にする

データセンター工事は、受注先と協力会社が一定程度そろっています。先に営業を強めても、管理者不足で現場を増やせない可能性があります。

この場合は、施工管理を担える人材の採用と育成が先です。ただし、採用しただけで翌月から受注枠が増えるとは限りません。採用後に既存現場へ入り、どこまで任せられるようになれば一つの現場を持てるのかを決めておく必要があります。

育成では、次の段階を置くと進捗を確認しやすくなります。

  1. 既存の旗振り役と一緒に現場へ入る
  2. 現場管理の一部を担当する
  3. 小規模な現場を主担当として回す
  4. 一定規模の現場を単独で管理する

採用人数ではなく、「何カ月後に何現場分の管理余力が増えるか」で計画することがポイントです。

弱電・一般電気工事は、営業と協力会社開拓を並行する

弱電工事は、社内で動かせる余地があり、既存取引先への営業でも受注増が見込めます。こちらは、管理者採用を待たずに営業を進めやすい工種です。

ただし、案件を増やした後に施工要員が不足しないよう、協力会社との接点づくりも並行します。いきなり発注を前提にする必要はありません。対応工種、エリア、人数、希望単価、動ける時期を確認し、案件が動いたときに声をかけられる状態をつくります。

協力会社は量だけで選ばないことも重要です。この会社でも「量より質がいい。質のよい人たちがついてくれている」という認識がありました。売上規模や人数だけでなく、得意工種、既存取引、施工品質、連携の取りやすさまで確認したほうが、実際の現場につながります。

施工余力がある工種では営業を先行させ、受注の見込みに合わせて質のよい協力会社を増やす進め方が現実的です。

優先順位は「今ある案件」ではなく「追加1現場を受ける条件」で決める

判断するときは、「現在、現場が回っているか」だけを見ないようにします。次の1現場を追加するために、何が必要かを確認します。

  • 旗振り役がいないなら、採用と育成を優先する
  • 旗振り役はいるが施工班が足りないなら、協力会社を開拓する
  • 管理者と施工班に余力があるなら、既存顧客の深掘りや新規販路開拓を進める
  • 複数が不足しているなら、受注時期から逆算して並行して準備する

すべてを一度に強化すると、費用も社内負担も大きくなります。まず一つの工種を選び、その工種で追加受注を止めている要因から着手するほうが、次の売上につながりやすくなります。

「営業、採用、協力会社開拓のどれが重要か」ではなく、「次の1現場を受けるために何が欠けているか」で順番を決めます。

まとめ

協力会社や受注先を増やすことは、売上拡大の大切な準備です。ただし、現場を管理・指揮する旗振り役が不足していれば、増えた案件を受けきれません。

一方で、すべての工種に同じ課題があるとは限りません。データセンター工事では管理者が不足していても、弱電工事では営業余力や施工余力が残っていることがあります。

そのため、会社全体の人数だけで判断せず、工種ごとに営業余力、施工余力、管理者数、協力会社数を整理することが有効です。

成長の順番は、工種ごとの最も細い部分を見つけ、旗振り役の採用・育成、協力会社開拓、受注開拓を組み合わせて決めます。

今の現場を無理なく回しながら、どの工種から受注枠を広げるか。そこが見えると、採用費や営業費をかける意味も明確になります。

自社の受注余力と旗振り役の人数を一度整理したい方へ

「案件は増やせそうだが、どこまで受けてよいか分からない」「採用、営業、協力会社開拓のどれから始めるべきか迷っている」という段階でも、整理できることがあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。工種ごとの受注余力や管理体制を確認しながら、ものづくりに集中できる成長の進め方を一緒に考えます。

まだ具体的な依頼内容が決まっていなくても問題ありません。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、自社の場合に何から整理すべきかを確認する場としてご活用ください。

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