15名弱で幅広い土木工事を担い、10年以内にベテランの退職を見込む会社の現在地
兵庫県南部で公共・民間の土木工事を幅広く手がける、15名弱の建設会社があります。自社の社員だけですべてを施工するのではなく、年間を通じて現場に入る協力会社の職人とも連携しながら、施工と管理の両方を担っています。
案件がないわけではありません。人材が増え、部門を任せられる体制ができれば、受注を広げる余地もあります。一方で、社内の社員や現場を支える職人は徐々に高齢化しています。
経営者が見ているのは、直近2〜3年だけではありません。
「60歳以上になると、いずれ辞めていく。今のうちに教育してもらわないと、次を育てられない」
退職が集中するのは少し先でも、若手を採用して現場を任せられるまでには時間がかかります。採用できた人が必ず長く残るとも限らず、「1カ月で辞める人もいれば、半年、3年で辞める人もいる」という現実もあります。
さらに、求人媒体や職業紹介、学校への働きかけなどを続けても、数年間で面接まで進んだのはごくわずかでした。外国人材も受け入れていますが、3年、5年先に在籍しているかは確定していません。
技術承継は、退職者が出る時期ではなく、採用と育成に必要な期間を含めて10年単位で考える課題です。
1週間で 15件の相談 がありました
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
- 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
- 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
- 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
- 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
退職人数ではなく「失われる技能」が見えないまま進む採用と育成
技術承継で最初に整理したいのは、将来何人減るかだけではありません。誰が辞めたとき、どの工事や管理業務が回らなくなるのかを把握する必要があります。
土木工事全般を扱う会社では、同じ「作業員」「施工管理者」という職種でも、対応できる仕事は一様ではありません。現場の施工だけでなく、管理、図面、見積もり、安全関係の処理など、経験によって担える範囲が変わります。
そのため、「10年以内に数名が退職する」という人数の把握だけでは、採用計画として不十分です。確認すべきなのは、次のような技能の偏りです。
- 特定のベテランだけが判断できる工事や工程は何か
- 単独で現場を任せられる社員は誰か
- 若手に教えられる人と、本人にしかできない人は誰か
- 自社社員が担う仕事と、協力会社に依存している仕事は何か
- 施工以外の管理・見積もり・安全関係の業務を誰が持っているか
たとえば、社員数としては足りているように見えても、施工管理を担える人が退職すれば、現場の受注量を維持できない可能性があります。反対に、作業を担う若手を採用しても、教える側のベテランに時間がなければ、技能は十分に移りません。
技術承継の本当の不足数は「退職予定者の人数」ではなく、「将来不足する技能ごとの人数」で捉える必要があります。
採用難と早期離職、職人の高齢化が同時に進む地域の人材構造
技術承継を難しくしている背景には、採用、定着、育成を別々に扱えない事情があります。
この会社では、施工管理者と土木作業員を中心に採用を続けてきました。しかし、関西圏でも郊外部は通勤できる範囲が限られます。地図上で会社を中心に円を描けば採用圏になるわけではなく、道路事情や生活圏、知人とのつながりなどによって、応募先の選ばれ方が変わります。
若手や中途人材は、知人がいる会社へ流れることもあります。複数の求人手段に費用と手間をかけても、そもそもの候補者が少なければ、短期間で必要人数を確保するのは困難です。
また、採用は入社がゴールではありません。入社後すぐに辞める人もいれば、一定期間を経て退職する人もいます。そのため、「退職予定者が3人だから3人採用する」という計画では、承継が間に合わないことがあります。
現場では70代、80代の職人に頼らざるを得ない場面もあります。長く現場を支えてきた職人の存在は大きい一方、その状態が将来も続くとは限りません。自社社員だけでなく、継続的に現場へ入る協力会社の年齢構成も、供給体制を左右します。
外国人材についても同様です。一定期間の戦力として期待できても、3年後、5年後に在籍しているかは分かりません。永続的な定着を前提に技能を集中させると、帰国や転職によって再び承継が途切れる可能性があります。
採用難の会社ほど、採用できてから教育を考えるのではなく、採用できない期間や途中退職も織り込んで承継計画を持つことが重要です。
年齢・技能・習熟期間を可視化し、採用と教育の開始時期を逆算する進め方
技術承継は、採用人数を先に決めるよりも、退職見込みと技能の棚卸しから始めると整理しやすくなります。進め方は、大きく4段階です。
1.10年分の年齢構成と退職見込みを並べる
社員と継続的に現場へ入る職人について、現在の年齢と今後の働き方を一覧にします。定年年齢だけで機械的に区切らず、本人の意向や体力面、担当業務も踏まえて、次の3段階に分けます。
- 退職時期の見込みが比較的明確な人
- 継続勤務の可能性はあるが、現場負担を減らしたい人
- 時期は未定でも、10年以内に働き方が変わる可能性がある人
ここでは退職年を確定させることより、承継を始める順番を決めることが目的です。
年齢表は人員管理のためではなく、「誰から何を引き継ぐか」を決める起点として使います。
2.現場ごとの技能を「できる・補助があればできる・未経験」で整理する
次に、社員と職人が担っている技能を工事・業務別に分解します。細かくしすぎると更新できないため、まずは経営判断に必要な単位で十分です。
分類 | 確認する内容 |
|---|---|
施工 | 対応できる工種、使用できる機械、単独で任せられる作業 |
現場管理 | 工程・品質・安全の管理、発注者や協力会社との調整 |
書類・図面 | 図面確認、施工書類、安全関係の処理 |
見積もり | 工事内容の把握、数量確認、条件変更への対応 |
教育 | 若手への説明、作業確認、独り立ちの判定 |
各項目を「単独でできる」「補助があればできる」「未経験」の3段階にすると、特定の人に集中している技能が見えます。
重要なのは、仕事ができる人と教えられる人を分けて捉えることです。高い技能を持っていても、日々の現場が忙しく、教育時間を確保できない場合があります。技能保有者だけでなく、指導役を誰にするかまで決めておく必要があります。
3.独り立ちまでの期間から採用時期を逆算する
技能を整理したら、各業務を単独で担えるまでに必要な期間を社内で見積もります。ここで全国平均を当てはめる必要はありません。自社で過去に育った社員が、どの仕事を何年目から任されていたかを基準にします。
逆算の考え方は次のとおりです。
採用開始時期 = 退職見込み時期 − 募集期間 − 習熟期間 − 引き継ぎ期間
採用活動を始めてもすぐに入社が決まるとは限りません。さらに、早期離職が起こる可能性もあります。そのため、採用人数は一つの数字に固定せず、次のように複数の想定を置きます。
- 採用が予定どおり進む場合
- 入社までに数年かかる場合
- 入社後に一部が離職する場合
「何人採用したいか」ではなく、必要な技能を承継できる人が最終的に何人残る必要があるかから、採用活動の量と開始時期を決めます。
4.ベテランと若手を組み合わせ、教育内容を共通化する
採用できた人を単に現場へ配置するだけでは、経験は断片的になりがちです。承継対象の技能ごとにベテランと若手を組み合わせ、一定期間は同じ仕事を経験できるようにします。
その際、教え方をベテラン個人に任せきりにしないことが大切です。最低限、次の内容を共通化します。
- 最初に教える作業と順番
- 一人で行わせる前に確認する項目
- 現場で起きやすいミスと注意点
- 単独で任せられると判断する基準
- 月ごとの習得状況と次に経験させる仕事
分厚いマニュアルを最初から作る必要はありません。工事や業務ごとに、教える項目と確認結果を一枚にまとめるところから始められます。
外国人材を配置する場合は、想定される在籍期間内で何を習得してもらうかを先に決めます。同時に、教えた技能や手順を社内へ残し、特定の一人だけに集中させない設計が必要です。
技術承継は「人から人へ教えること」に加え、「誰が教えても一定の順番で育つ状態」をつくることで安定します。
まとめ
ベテランの退職が10年先であっても、採用難、早期離職、習熟期間を考えると、準備を始める時期として早すぎることはありません。
進める際の要点は、次の4つです。
- 10年分の年齢構成と退職見込みを整理する
- 人数ではなく、将来失われる技能を可視化する
- 募集・習熟・引き継ぎに必要な期間から採用時期を逆算する
- ベテランと若手を組み合わせ、教育内容と独り立ちの基準を共通化する
すべてを一度に整える必要はありません。まずは、10年以内に働き方が変わりそうな社員・職人と、その人しか担えない仕事を書き出すだけでも、採用と教育の優先順位が見えてきます。
退職者が出てから欠員を埋める採用ではなく、技能が社内に残るまでの時間を確保する採用へ切り替えることが、10年先の施工体制を守る一歩です。
自社の技術承継をどこから整理するか迷ったときに
技術承継は、採用だけ、教育だけで解決するものではありません。社員や職人の年齢構成、現場ごとの技能、採用可能性、独り立ちまでの期間をつなげて考える必要があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の持続的成長に向けて、現場・採用・組織を横断しながら、人材課題や教育体制の整理から実行まで支援しています。「うちの場合は誰の技能から整理すべきか」「採用と育成をどう結びつければよいか」という段階でも構いません。
建設業界の経営者の懐刀として、無理に施策や契約を勧めることはありません。まずは現在の年齢構成や教育状況を整理する場として、お気軽にご活用ください。




























