前提

求人票の見直しと学校訪問を進めても、社内の役割が曖昧な地域密着型の専門工事会社

ある地域密着型の専門工事会社では、高校生採用の立て直しを進めていました。求人票を見直す。訪問先を選ぶ。大工の仕事の魅力を伝える補足資料をつくる。採用サイトの制作も検討する。施策そのものは、少しずつ具体化していました。

しかし、改善した求人票は提出されず、結果として以前の内容のまま出すことになりました。十数校を候補にして約10校を訪問したものの、追加で資料を送る段階でも社内確認が止まりました。

「これは誰が確認するのでしょうか」

「それはそちらがやることでしょう」

そんなやり取りが続き、求人票が二つ提出されてから、ようやく「どちらを使いますか」と確認が入る場面もありました。

もともと採用業務は会長が見ていました。その後、社長へバトンが渡りましたが、明確な申し送りはありません。実務は経理部門の担当者が担い、毎年決められた作業を実直に続けていました。

採用施策は用意できていても、意思決定者と実務責任者が決まっていなければ、実行段階で止まります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

会長・社長・採用担当者の間で「誰が決め、誰が動くか」が決まっていない状態

この会社で起きていたのは、採用ノウハウの不足だけではありません。採用に関する責任と権限の置き場所が曖昧なことが、より大きな課題でした。

会長は、従来の指定校だけでは難しいと感じていました。社長は採用業務を引き継いだものの、過去の経緯までは共有されていません。実務担当者は、これまでの手順を変えずに運用していました。

誰かが怠けていたわけではありません。それぞれが、自分の理解している範囲で動いていました。ただし、次の点が決まっていませんでした。

  • 求人票の内容を最終決定する人
  • 学校訪問や資料送付を指示する人
  • 採用サイトの方針を承認する人
  • 応募のメールや電話を受ける人
  • 判断に迷ったときの相談先
  • 相談や承認を終える期限

そのため、担当者は「勝手に変えてよいのか」と迷います。経営者側は「担当者が進めるものだ」と考えます。外から改善案を出しても、社内のどこへ渡せば決まるのかが見えません。

「メールの担当、電話の担当を渡せるのか聞いても、明確な答えが返ってこない」

この状態では、求人票や採用サイトを改善しても、応募が来た後に対応が止まる可能性があります。

採用の責任者とは、求人を出す人だけではなく、応募から面接、入社判断までを止めずにつなぐ人です。

背景

前任者からの申し送りがないまま、従来の採用業務だけが残った状態

採用施策が止まる背景には、人の問題というより、引き継ぎと相談の仕組みがないことがあります。

この会社では、過去の採用方針が十分に整理されないまま、会長から社長へ担当が移りました。

  • なぜ特定の学校だけを指定していたのか
  • 過去にどの学校から応募があったのか
  • 採用できなかった年に何が起きていたのか
  • 入社後に辞めた人は、どこでつまずいたのか
  • 誰が学校や応募者との窓口だったのか

こうした情報が残っていなければ、引き継いだ側も判断できません。実務担当者としては、前年と同じ進め方を守るのが安全です。

一方で、経営者と担当者の相談は、期限が近づいてから始まりがちです。理解が曖昧なまま時間が過ぎ、周囲から確認されて初めて大きな問題として表に出ます。求人票の提出や学校への資料送付には時期があるため、後から挽回しにくいのも採用業務の難しいところです。

さらに、この会社では、採用できても短期間で退職する時期がありました。社内の役割が曖昧なままだと、採用後も「誰が教えるのか」「困ったときに誰へ相談するのか」が定まりません。

「人が入った後、今のばらばらな体制で育つイメージが湧きにくい」

採用活動と入社後の育成は、別々の話ではありません。

求人票の提出で起きている役割の曖昧さは、入社後の受け入れや育成でも繰り返されやすい問題です。

解決

採用施策ごとに意思決定者・実務責任者・期限を一枚にまとめる進め方

最初に整えたいのは、立派な採用計画ではありません。採用に関する役割と決裁ルールを一枚にまとめることです。

1.意思決定者と実務責任者を分けて決める

意思決定者は、採用方針や条件を最終的に決める人です。実務責任者は、学校への連絡、求人票の提出、応募者対応などを進める人です。

社長がすべての実務を担う必要はありません。ただし、誰が決めるのかは一人に絞ったほうが進みやすくなります。

役割を決めるときは、役職だけでなく次の三点で考えます。

  • 採用条件を決める権限があるか
  • 現場や仕事内容を説明できるか
  • 期限内に確認や返信ができるか

経営者が意思決定者となり、経理担当者が実務責任者となる形でも構いません。現場を説明できる取締役や職長に、学校訪問や面接だけ参加してもらう形も考えられます。

役職の高さではなく、「決められる人」と「動かせる人」を分けて置くことが判断軸です。

2.採用業務ごとに担当と承認期限を書く

求人票、学校訪問、採用サイト、応募対応を一括りにすると、担当の境界が曖昧になります。業務を分け、最低限の項目を明文化します。

採用業務

実務担当

確認者

最終決定者

承認期限

求人票の作成・修正

担当者

現場責任者

社長

提出日の前まで

学校訪問先の選定

担当者

採用責任者

社長

訪問調整前まで

採用サイトの内容確認

担当者

現場責任者

社長

制作工程ごと

応募メール・電話への対応

窓口担当

採用責任者

必要時のみ社長

受付後速やかに

面接・採否判断

採用責任者

現場責任者

社長

応募者へ伝える前まで

大切なのは、担当者名だけでなく期限を書くことです。あわせて、期限までに承認できない場合に誰へ相談するかも決めておきます。

「確認してください」ではなく、「誰が、いつまでに、何を決めるか」まで書くと採用業務は動きやすくなります。

3.前任者の頭の中にある採用情報を引き継ぐ

会長や前任者が持っている情報は、求人票だけではありません。学校との関係、過去の応募状況、採用できた人の特徴、早期退職の経緯も含まれます。

すべてを詳細な資料にする必要はありません。まずは、次の内容を経営者と担当者で揃えます。

  • 過去に訪問、送付した学校
  • 指定校求人と公開求人の扱い
  • 使用した求人票と補足資料
  • 応募者との連絡窓口
  • 面接に参加していた人
  • 入社後の配属先と教育担当

この会社でも、指定校求人の扱いをめぐって認識が食い違い、追加送付が止まりました。制度の解釈に迷った場合も、誰が確認し、誰が最終判断するかを決めておけば、担当者だけが抱え込まずに済みます。

引き継ぐべきなのは作業手順だけではなく、過去の判断理由と採用後の結果です。

4.応募後から育成までの受け皿を先に決める

求人を公開する前に、応募が来た後の流れも確認します。

  • メールと電話を誰が受けるか
  • 応募情報を誰へ共有するか
  • 面接日程を誰が調整するか
  • 仕事内容を誰が説明するか
  • 採否を誰が決めるか
  • 入社後に誰が仕事を教えるか
  • 本人が困ったときの相談先を誰にするか

ここまで決めておくと、採用と育成がつながります。採用人数を追う前に、受け入れ可能な体制があるかも見えます。

採用のゴールを入社に置かず、定着して仕事を覚えるところまで役割をつなげることが重要です。

まとめ

求人票の改善、学校訪問、採用サイトの制作を進めても、社内の決裁が曖昧なら施策は止まります。

今回のような状態は、担当者一人の力量だけで起きるものではありません。会長から社長への申し送りがなく、実務担当者には変更する権限がなく、相談期限も決まっていない。複数の要因が重なっています。

整理したいのは、次の四点です。

  • 意思決定者と実務責任者を一人ずつ決める
  • 採用業務ごとに担当者と承認期限を書く
  • 前任者から過去の判断理由と結果を引き継ぐ
  • 応募対応から入社後の育成まで役割を決める

採用施策を増やす前に社内の進め方を整えると、すでに用意した求人票や学校訪問の取り組みを成果につなげやすくなります。

自社の採用体制をどこから整理するか考えたい方へ

「社長と担当者の役割が曖昧になっている」「求人は出せても応募後の対応に不安がある」といった段階では、施策を追加する前に、現在の体制を整理することが近道になる場合があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、定着、育成、組織づくりまで横断して整理し、実行を支援しています。「うちの場合は誰を責任者にすべきか」「何から決めればよいかわからない」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、状況の整理先として気軽にご活用ください。

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