公共案件を増やしたい一方で、少人数の技術者が遠方現場にも入っている九州北部の地域建設会社
九州北部で測量や土木関連業務を手がける、5名ほどの地域建設会社があります。県の競争入札参加資格を持ち、自治体案件と大手建設会社の現場を並行してきました。
今後は10名程度の体制を目指し、公共案件を増やしたい考えです。その足掛かりとして浮上したのが、自治体との地域防災協定でした。
「防災協定を結べれば、自治体との関係が深まり、公共案件にもつながるのではないか」
方向性としては自然です。防災協定の締結実績が、入札参加資格の審査や総合評価などで評価対象になる場合もあります。ただし、扱いは自治体や制度によって異なります。まずは対象自治体の要領を確認する必要があります。
それ以上に押さえたいのは、防災協定は自治体への営業材料ではなく、災害時に実際に動くための約束だという点です。
この会社では、一部の人員が遠方の長期現場に入っています。今後は技能実習生を含む既存メンバーの資格取得や、中堅人材の採用も検討しています。協定を公共案件への入口にするなら、こうした人員計画と切り離さずに考える必要があります。
1週間で 15件の相談 がありました
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
- 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
- 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
- 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
- 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
協定締結を先に進めても、災害時に出せる人員と測量・工事の範囲が曖昧な状態
防災協定で最初に問われるのは、会社の意欲よりも供給体制です。
「要請があったとき、何人が動けるのか」
「有資格者は誰で、どの地域まで対応できるのか」
「がれき撤去後の測量やインフラ周辺の調査など、何を提供できるのか」
ここが曖昧なままでは、自治体へ協定締結を打診できても、その先の具体的な協議が進みにくくなります。
特に少人数の会社では、平時の受注余力と災害時の動員余力が同じとは限りません。遠方の現場に複数人が入っていれば、地元で緊急要請を受けても、すぐには戻せない可能性があります。資格者が社長や一部の社員に集中している場合も同様です。
「仕事として受けられる」と「緊急時に確実に供給できる」は、別々に確認する必要があります。
協定締結だけを目標にすると、この違いを見落としやすくなります。締結後に動けない状態を避けるには、現在の人員、資格、機材、施工範囲を先に棚卸ししておくことが大切です。
入札資格はあっても公共案件への参加が限られ、人員増強も資格取得もこれからという移行期
この会社は、県の測量業務に関する入札参加資格を以前から更新していました。一方で、一般競争入札への参加は多くありませんでした。
背景には、地域特有の取引関係や過去実績の壁があります。それに加えて、入札情報の確認や提出書類などを社長が担っており、新しい案件に継続して手を挙げる余力が限られていました。
公共案件を増やすための資格がないというより、資格を受注につなげる社内体制が追いついていない状態です。
防災協定についても構造は似ています。協定書を用意するだけでは足りません。自治体との連携窓口、防災担当者、従業員教育、防災マニュアルなどを会社側で整える必要があります。
さらに、現場の供給体制にも時間がかかります。この会社では、既存メンバーに翌年以降の資格取得を予定していました。その後の増員も視野に入れていますが、中堅層を採用するのか、若手や技能実習生を育成するのかは検討途中です。
「いまは遠方の現場もある。人を増やし、資格も取ってもらってから次へ進みたい」
この考え方には現実味があります。防災協定の準備は、採用や資格取得が終わるまで待つのではなく、必要な体制を逆算する材料として使うと進めやすくなります。
自治体への打診前に「何を、誰が、何時間で提供できるか」を一枚にまとめる準備
最初に取り組みたいのは、立派な協定書をつくることではありません。災害時の提供能力を一枚で説明できる状態にすることです。
次の順番で整理すると、協定締結に必要な準備と、公共案件を増やすための組織づくりを重ねられます。
1.提供できる工事・測量業務を絞る
まず、自社が災害時に提供できる業務を書き出します。検討対象には、対話の中でも挙がった次のような業務があります。
- 被災箇所やインフラ周辺の測量・調査
- 復旧工事前後の位置、境界、高さなどの確認
- がれき撤去後の現況把握
- 道路、河川、橋梁周辺で対応可能な業務
- 保有機材や協力会社を使って提供できる作業
何でも対応できるように見せる必要はありません。判断軸は、自社だけで履行できる範囲と、協力会社を含めれば対応できる範囲を分けられるかです。
業務ごとに、必要資格、必要人数、機材、対応可能地域、着手までの目安を記載します。これが自治体との協議の土台になります。
2.災害時に動ける人員と資格者を確認する
社員名簿だけでは、実際の動員力は分かりません。遠方現場への配置や、通常業務の継続も踏まえて確認します。
- 初動連絡を受ける担当者
- 現地判断を担う責任者
- 測量や施工に必要な資格者
- 地元で即応できる社員
- 遠方現場から戻す必要がある社員
- 協力会社へ応援を要請する手順
平日昼間、夜間、休日で動ける人数を分けると、供給能力が現実に近づきます。
不足が見えたら、「何人採るか」だけでなく、「どの資格と役割を補うか」まで採用・育成計画へ落とします。この会社であれば、既存社員の資格取得と中堅人材の確保を、協定締結までの工程に組み込む考え方が合います。
3.防災担当者と自治体の連携窓口を固定する
防災担当者は、肩書だけ決めても機能しません。少なくとも正担当と副担当を置き、どちらかが不在でも連絡を受けられるようにします。
担当者の役割は、自治体からの連絡受付、社内への招集、対応可否の判断、現場状況の報告です。連絡先が社長一人に集中している会社ほど、副担当まで決めておく意味があります。
誰に連絡すれば会社が動き出すのかを、自治体と社内の双方で揃えることが重要です。
4.防災マニュアルとBCPを同じ設計図でつくる
防災マニュアルには、自治体から要請を受けた後の動きを記載します。一方、BCPでは、自社も被災している状況で、どの業務を継続・復旧するかを整理します。
最低限、次の項目が必要です。
- 安否確認と緊急連絡網
- 指揮命令系統と代理者
- 出動可否の判断基準
- 車両、機材、燃料、通信手段の確認方法
- 自社の通常案件と災害対応の優先順位
- 対応内容を記録し、自治体へ報告する方法
協定用と社内用を別々につくると、内容が食い違いやすくなります。防災協定、防災マニュアル、BCPは一つの供給体制として整合させるのが進めやすい方法です。
5.従業員教育は短い訓練から始める
マニュアルを配るだけでは、緊急時に動けるとは限りません。最初から大規模な訓練を行う必要はありませんが、連絡と初動だけは試しておきたいところです。
たとえば「自治体から道路周辺の被災状況を確認してほしいと要請があった」という想定で、担当者への連絡、必要人員の確認、機材準備、報告までを確認します。
その結果、「有資格者が遠方現場にいる」「夜間に連絡がつかない」「機材の所在を一人しか知らない」といった課題が見えれば、協定締結前に修正できます。
6.自治体には完成品ではなく、供給体制案を持って相談する
体制案がまとまったら、自治体の防災担当部署などに相談します。その際は、「協定を結びたい」とだけ伝えるより、次の情報を添えたほうが協議しやすくなります。
- 自社が提供できる工事・測量業務
- 対応可能地域と初動時間の目安
- 動員できる人数と保有資格
- 防災担当者と連絡体制
- 今後の資格取得や増員予定
自治体が必要としている支援内容と、自社が供給できる内容が一致するかを確認します。あわせて、協定実績が入札や各種評価でどのように扱われるかも、対象自治体の制度ごとに確認します。
協定締結による加点を先に期待するのではなく、地域で果たせる役割を具体化した結果として評価につなげる。この順番なら、自治体との関係も継続しやすくなります。
まとめ
自治体との防災協定は、公共案件を増やすための有力な接点になり得ます。ただし、協定書への押印がゴールではありません。
準備の中心になるのは、次の5点です。
- 提供できる工事・測量業務の明確化
- 災害時に動ける人員と資格者の確保
- 防災担当者と連携窓口の固定
- 防災マニュアル、従業員教育、BCPの整備
- 自治体が求める支援内容とのすり合わせ
公共案件への参加体制と防災協定の供給体制は、別々につくらず、同じ人員・資格計画の中で整えることがポイントです。
少人数の会社であれば、最初から広い範囲を約束する必要はありません。「自社は何を、誰が、どの地域で提供できるのか」を明確にするところからで十分です。その整理が、自治体との信頼関係と次の公共案件に向けた土台になります。
防災協定に向けた社内体制から整理したいときは
防災協定を検討していても、人員配置、資格取得、自治体への説明内容まで一度に整理するのは簡単ではありません。「うちの場合は何を提供できるのか」「何から整えればよいのか」という段階でも構いません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、建設企業の持続的成長を支援しています。防災協定に向けた供給体制や教育体制、公共案件へ参加するための組織づくりについても、現状に合わせて次の整理先を一緒に考えます。
無理に施策や契約を勧めることはありません。まず状況を整理したいという場合は、以下からお声がけください。




























