前提

公共住宅の改修工事で品質を評価されてきた防水工事会社の現在地

千葉県を拠点に、防水工事を中心として公共住宅の改修案件に入っている専門工事会社があります。自社の施工部隊を持ち、入札で元請けになるのではなく、公共工事を受注した建設会社の協力会社として施工を担ってきました。

この会社が営業先として考えていたのは、公共工事や入札案件の比率が高い塗装会社です。ただ、先方から返ってきたのは「いまは協力会社にそれほど困っていない」という反応でした。

協力会社が足りない会社であれば、「すぐに人を出せます」という提案が入口になります。しかし、すでに施工体制がある会社には、それだけでは選ばれる理由になりません。

そこで出てきたのが、次の言葉です。

「価格で勝負するより、品質を求める現場で呼んでほしい。期待には応えられます。その代わり、コストは少し高くなります」

協力会社が足りている元請けに提案するなら、人手の補充ではなく、その会社が得たい工事結果への貢献を示す必要があります。

この会社の場合、その工事結果に当たるのが、公共工事における現場評価や表彰でした。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
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課題

「施工品質が高い」だけでは元請けの選定理由になりにくい状態

品質を強みにした営業で難しいのは、自社の良さを説明するだけでは提案になりにくいことです。

「丁寧に施工します」「公共工事の経験があります」「自社の職人が対応します」という説明は、会社紹介としては大切です。ただ、営業先から見ると、それによって自社にどのような利点があるのかまでは分かりません。

公共工事を扱う元請けが重視するのは、施工を無事に納めることに加え、現場の評価につながる品質を確保できるかどうかです。現場単位で評価や表彰が行われる案件では、施工品質が元請け側の成果に影響します。

相談企業には、「自社が入った公共住宅の現場では、2〜3現場に1回ほど高い表彰を受けている感覚がある」という実績がありました。一方で、次の情報は整理されていませんでした。

  • どの現場が表彰されたのか
  • 表彰や評価の正式名称は何か
  • 誰に対する表彰だったのか
  • 自社が担当した施工範囲はどこか
  • 外部に提示できる資料があるか

つまり、施工品質そのものが不足していたわけではありません。品質を示す経験はあるものの、営業先が判断できる客観的な根拠に変換されていなかったことが課題です。

この状態で「当社は品質に自信があります」と伝えても、先方には他社との違いが見えません。結果として、比較しやすい価格や動員人数の話へ戻りやすくなります。

背景

現場内で共有される評価を営業情報として回収できていない構造

施工会社は現場を納めることに集中するため、工事後の評価を営業情報として回収する機会が多くありません。

今回も、表彰された感覚はある一方で、「会社に聞かなければ分からない」「発注機関のホームページに載っているかもしれないが、調べたことはない」という状況でした。公開情報を確認しても、現場への評価なのか、現場代理人や監督個人への表彰なのかを見分ける必要がありました。

ここには、専門工事会社の営業で起きやすい分断があります。

  • 現場は、元請けから受けた評価を知っている
  • 経営者は、自社の施工品質に手応えを持っている
  • 営業担当者は、提案時に使える証拠を持っていない

現場で積み上げた信用が社内に残らず、次の受注に使える営業資産になっていない状態です。

もう一つの背景は、営業の入口が「協力会社に困っているかどうか」に偏っていたことです。この聞き方では、先方に既存の協力会社がいれば、その場で話が終わってしまいます。

しかし、元請けが常に求めているのは、単なる空き人員とは限りません。品質を重視したい現場、評価を確実に取りにいきたい案件、既存業者だけでは施工体制に不安がある案件など、協力会社を見直す場面はあり得ます。

そのため、営業では「業者を探していますか」と聞くよりも、品質を優先する案件があるか、自社の実績がどのような現場で役立つかを確認する対話へ切り替えるほうが、自社の強みを生かしやすくなります。

解決

表彰実績を根拠に、品質が必要な案件へ絞って提案する進め方

最初に行いたいのは、会社案内を作り込むことではなく、過去の現場評価を確認できる状態にすることです。ホームページや既存の施工実績資料でも、情報が整理されていれば十分に提案を始められます。

1.過去の評価・表彰を現場単位で洗い出す

まず、経営者や職長の記憶にある「評価が良かった現場」を一覧にします。最初から完全な資料を目指す必要はありません。

最低限、次の項目を確認します。

  • 工事の種類とおおよその時期
  • 発注者の区分
  • 元請け会社
  • 自社の施工範囲
  • 評価や表彰の名称
  • 表彰を受けた対象が会社、現場、現場代理人のどれか
  • 表彰状、評価資料、公開ページなどの有無
  • 営業先へ開示できる範囲

発注機関の公開情報だけで判断できない場合は、当時の元請けや現場担当者へ確認します。「あの現場は最終的にどのような評価でしたか」と聞くだけでも、曖昧だった実績が具体化します。

表彰件数だけでなく、自社が担当した施工範囲と評価結果をひも付けることが、品質提案の土台になります。

なお、「自社が入ったから表彰された」と言い切るには慎重さが必要です。公共工事の評価は、監督、書類、安全、工程、他工種の施工など複数の要素で決まります。

そのため、営業では「当社が評価を上げます」と断定するより、次のような表現が自然です。

当社が施工に入った公共工事では、高い評価や表彰につながった現場が複数あります。品質を重視される案件で、施工面からお力になれると考えています。

2.実績を一枚で説明できる形にする

次に、会社概要、対応工種、施工実績、評価・表彰を一枚の営業シートにまとめます。資料の役割は、見栄えを競うことではありません。営業の場で「どの課題に対して、何ができる会社なのか」を短時間で共有することです。

構成は、次の順番が使いやすくなります。

  1. 公共住宅や入札案件における施工経験
  2. 防水などの対応工種と施工体制
  3. 過去に評価・表彰された現場の実績
  4. 品質を重視する案件で提供できる価値
  5. 見積もりや現場確認へ進む条件

実績が2件程度でも、現場の種類、担当範囲、結果が具体的であれば、抽象的な品質説明より伝わります。

「品質が高い会社です」ではなく、「この種類の現場で、この範囲を施工し、この評価につながった会社です」と説明できる資料にします。

3.品質を必要としている案件かを見極める

すべての案件で品質訴求が優先されるわけではありません。予算が最優先の案件に対して品質だけを伝えても、価格差は受け入れられにくいものです。

営業時には、次の点を確認します。

  • 公共工事や入札案件の比率
  • 現場評価や表彰を重視しているか
  • 品質を特に求める案件があるか
  • 既存の協力会社で対応しにくい工種や現場があるか
  • 協力会社を選ぶ際、価格以外に何を見ているか

聞き方も、「協力会社に困っていますか」だけでは足りません。たとえば、次のように具体化します。

当社は公共住宅の改修工事を多く経験しています。価格より品質を優先し、現場評価も意識して進めたい案件があれば、施工実績をご覧いただいたうえでお見積もりできます。御社では、そのような案件はありますか。

この聞き方であれば、現在の協力会社が足りている元請けとも、品質を軸に話を続けられます。

4.価格差は施工品質と実績の根拠を示した後に説明する

価格が高くなる可能性は、隠さずに伝えたほうが認識のずれを防げます。ただし、最初から「当社は高いです」と伝えるだけでは、比較対象から外れかねません。

先に説明すべきなのは、対応する工事、施工体制、過去の評価実績です。そのうえで、価格差が生まれる理由を見積もりの前提として共有します。

伝え方としては、次の順序が分かりやすくなります。

  • 品質を重視する案件を対象としていること
  • 類似する公共工事の施工経験があること
  • 過去の現場で評価や表彰につながった実績があること
  • その品質を確保するため、最安値にはならない可能性があること

価格の高さを単独で説明するのではなく、元請けが得たい工事結果と、その実現に必要な施工体制をセットで示します。

品質を求めない案件まで無理に受注する必要はありません。自社の強みが生きる案件を見極めることは、元請けとの期待値を合わせ、施工後の評価を守ることにもつながります。

まとめ

公共工事の協力会社営業で価格競争を避けるには、品質を感覚的に語るのではなく、元請け側の成果につながる価値として整理する必要があります。

今回の会社には、公共住宅の改修経験や、施工に入った現場で高い評価・表彰を受けてきた実感がありました。足りなかったのは、新しい強みではありません。すでにある実績を確認し、営業先が判断できる形に整える作業でした。

進め方の要点は次のとおりです。

  • 過去の現場ごとに、施工範囲と評価・表彰を洗い出す
  • 公開情報や元請けへの確認によって、客観的な根拠をそろえる
  • 「品質が高い」ではなく、元請けの工事評価への貢献可能性を伝える
  • 品質を重視する案件かどうかを確認してから提案する
  • 価格差は、実績と施工体制を示した後に説明する

施工品質は、現場で発揮するだけでは次の受注につながりません。現場の評価を回収し、実績として蓄積し、品質が必要な案件に届けるところまでが営業づくりです。

品質を軸にした元請け提案を整理したい方へ

「表彰された現場はあるが、資料が残っていない」「価格以外の強みをどう説明すればよいか分からない」という段階でも、まずは過去の施工実績を棚卸しするところから始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大をはじめ、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで、経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。

自社の場合はどの実績を営業に使えるのか、どのような元請けや案件を狙うべきかといった整理からでも問題ありません。無理に営業を進めることはありませんので、今ある情報を確認する場として気軽にご活用ください。

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