前提

人員を大きく増やさず、地元の管工事・インフラ工事で売上と利益率を伸ばしたい現在地

鳥取県西部を中心に管工事やインフラ関連工事を手がける、ある専門工事会社では、今後の取引先として三つの候補が挙がっていました。

  • 自治体や公共インフラ関連の発注者
  • 大手・準大手ゼネコン
  • 設備系サブコン

目指しているのは、従業員を大きく増やさずに売上を伸ばし、現在2割程度の利益率を3割に近づけることです。

社長の希望は率直でした。

「どれか一つに絞るというより、できれば全部の取引先を伸ばしていきたいです」

気持ちはよく分かります。売上の柱は多いほうが安心です。一方で、現場を回す人員も、社長が営業に使える時間も限られています。県外進出についても、出張にかかる負担などを考えると現実的ではありませんでした。

人員を増やさずに売上と利益を伸ばすなら、開拓先を増やす前に「今の体制で利益を残せる取引先」を一つ選ぶ必要があります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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課題

自治体・準大手ゼネコン・設備系サブコンを同時に追うほど営業余力が足りない状況

三つの開拓先は、営業方法も参入条件も異なります。

自治体案件では、入札参加や登録の可否を確認しなければなりません。準大手ゼネコンでは、協力会社を求めている部署やキーパーソンへの接点が必要です。設備系サブコンでは、自社の施工体制が発注条件に合うかどうかが問われます。

自治体開拓の話になった際、社長からはすぐに疑問が出ました。

「今まで参加していなかった入札に入っていくということですか。それは、いろいろな意味で難しいのではないでしょうか」

準大手ゼネコンにも関心はありました。ただし、期待だけで進められる話ではありません。

「そもそも先方が協力会社を求めていて、うちが条件に合うかどうか。結局、そこがネックになると思います」

さらに、地域内にはすでに付き合いのある協力会社がいるはずです。新規参入すれば、既存会社との競合も起こります。

「取引できたら大きい会社」ではなく、「参入でき、受注後も今の人数で回せ、利益が残る会社」から優先することが大切です。

背景

過去の大手取引が偶然の引き継ぎから始まり、新規開拓の再現性が見えにくい事情

この会社には、すでに準大手クラスのゼネコンとの取引実績がありました。ただ、その取引は計画的な新規営業から始まったものではありません。

先代の時代、工事を担っていた別の会社が事業を継続できなくなり、その仕事を引き継いだことがきっかけでした。

「私が入社するよりずっと前です。もともと別の会社が受けていた工事を、うちが引き継いだと聞いています」

この経緯は、施工実績として大きな強みになります。一方で、同じ方法を使って次の取引先を開拓できるわけではありません。

また、周辺の規模が大きい管工事会社は、県外に商圏を広げる動きも見せていました。しかし、この会社では県外対応を現実的な選択肢と考えていません。

「この地域だけで増やすのはハードルが高いと思います。でも、県外に出られる体制でもありません」

つまり、営業先を広域に増やすのではなく、地元で発注可能性のある相手を深く見極める必要があります。

設備系サブコンや準大手ゼネコンへの参入では、会社名を知っているだけでは足りません。どの部署が工事を発注しているのか。誰が協力会社の選定に関わるのか。現在どのような会社を求めているのか。自社の実績と体制が条件に合うのか。こうした情報が必要です。

開拓先を決められない原因は候補不足ではなく、発注側の条件と自社の適合度を判断する情報が不足していることです。

解決

六つの判断軸で一社に絞り、参入可否の確認から小さく始める進め方

最初に行いたいのは、三つの候補へ一斉に営業することではありません。以下の六つの軸で比較し、最初に検証する一社を決めることです。

1.施工実績が発注内容と重なるか

過去に担当した管工事やインフラ工事が、相手の発注領域と重なるかを確認します。工事名を並べるだけでなく、どの範囲を担当したのかまで整理しておくと、参入可否を判断してもらいやすくなります。

2.現在の人員体制で受けられるか

受注できても、既存現場にしわ寄せが出れば継続できません。重要なのは最大受注額ではなく、現在の人員で安定して対応できる工事量です。

3.社長が営業に割ける時間はあるか

新規取引では、初回面談だけでなく、見積参加や受注後のフォローも必要です。社長が対応するのか、社内の担当者が動けるのかを先に決めておきます。

4.対応エリアが現実的か

地方の専門工事会社にとって、発注者の拠点が近くにあるかは重要です。県内に営業所があり、地域内で一定の工事が見込める相手なら、遠方対応より検証しやすくなります。

5.目標とする利益が残るか

売上規模だけではなく、移動や追加対応を含めて利益が残るかを見ます。人員を増やさない方針なら、受注量よりも一件当たりの負担と利益の釣り合いが優先です。

6.参入難易度を事前に確認できるか

自治体なら入札参加や登録の可能性、ゼネコンやサブコンなら募集状況、既存協力会社との関係、選定基準、接点を持つべき部署を確認します。

六つの判断軸のうち、対応エリア、人員体制、参入可否のどれかに大きな無理があれば、その開拓先は後のフェーズに回します。

この会社の場合、自治体案件は入札参加のハードルが高く、社長の営業余力も限られていました。そのため、自治体開拓は体制が整ってから再検討する候補です。

一方、県内に拠点があり、自社の管工事・インフラ工事の実績と重なる準大手ゼネコンは、最初の検証候補になりました。ただし、いきなり契約獲得を目指すのではありません。

まず、発注側の事情を知る人に自社情報を見てもらいます。そのうえで、次の点を確認します。

  • 現在、地域内で協力会社を求めているか
  • 自社の施工実績と人員体制が条件に合うか
  • 既存協力会社がいるなかで参入余地があるか
  • 接点を持つなら、どの部署や担当者が適切か
  • 継続受注まで見込める可能性があるか

社長も、この事前確認に価値を感じていました。

「そこで『そもそも取引は難しい』と分かるなら、それも自社を見つめ直すきっかけになりますね」

参入の可能性が見えたら、一社に絞って商談設計、キーパーソンとの接点づくり、見積参加まで進めます。最初の評価期間は、たとえば3カ月程度です。

見るべき成果は、受注額だけではありません。適切な部署と接点を持てたか。発注条件が分かったか。見積に参加できたか。初回受注後に継続の可能性があるか。段階ごとに確認します。

「できるか分からないまま複数社を追う」のではなく、「一社の参入可否を確かめ、見込みがあれば小さく進め、結果を見て次へ移る」ほうが営業投資を管理しやすくなります。

まとめ

人員を大きく増やさずに売上と利益を伸ばす場合、自治体、大手・準大手ゼネコン、設備系サブコンを同時に追う必要はありません。

最初に整理したいのは、次の六つです。

  • 施工実績
  • 人員体制
  • 営業余力
  • 対応エリア
  • 期待利益
  • 参入難易度

そのうえで、発注側の条件と自社の適合度を確認します。可能性があれば一社に絞って検証し、難しければ次の候補へ移ります。

開拓先を一つ減らせることも、経営上の成果です。限られた人員と時間を、受注と利益につながる可能性が高い相手へ集中できるからです。

自社に合う最初の一社を整理したい方へ

「ゼネコンとサブコンのどちらから動くべきか」「自社の実績で参入できる会社が分からない」といった段階では、営業を始める前の整理が役立ちます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、販路拡大の実行まで支援しています。開拓候補の比較や、自社の施工実績・体制の見せ方から一緒に整理できます。

まだ方向性が決まっていない段階でも問題ありません。無理に取り組みを勧めることはありませんので、自社の場合に何から考えるべきかを確認する場としてご活用ください。

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