6件の商談を獲得できても、専門工事会社にとっては多すぎることがある営業体制
ある専門工事会社の新規開拓では、想定以上のペースで商談を獲得できました。営業活動としては順調に見えます。しかし、社内から出たのは「正直、もう6件ある時点で驚いていました。4件でも十分な商談プールになります」という声でした。
建設会社の営業は、商談を取れば終わりではありません。相手が発注する工事の内容を確認し、施工実績を説明し、QCDをすり合わせ、必要に応じて現地確認や見積もりへ進みます。商談後の対応には、社長や工事責任者、積算担当者の時間が必要です。
そのため、商談数が多ければ多いほどよいとは限りません。対応できる人数が限られている会社では、短期間に商談が集中すると、見積もりや追客が遅れます。結果として、せっかくの接点を受注まで運べなくなります。
建設会社の営業で見るべきなのは、獲得した商談数ではなく、対応可能な商談数と受注につながる案件の質です。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
架電数とアポイント件数を追うほど、対応しきれない商談が増える構造
架電数やアポイント件数は、営業活動を把握しやすい指標です。「何件電話したか」「何件の商談を取ったか」は数字にしやすく、進捗管理にも向いています。
一方で、この数字だけを目標にすると、営業活動の目的が少しずつずれていきます。商談を増やすこと自体が成果になり、次のような案件も混ざりやすくなるためです。
- 対応できる工種や施工エリアが合わない
- 求められる工事規模が自社と合わない
- 発注時期が見えず、情報交換だけで終わる
- QCDの条件が合わず、見積もりまで進まない
- 見積もりを出しても受注確度が低い
実際、専門工事会社の初回商談では、「この施工事例と同じことはできますか」「納期はどれくらいですか」「費用感はどの程度ですか」といった確認が中心になります。施工事例、品質、納期、コストの条件が合えば、見積もりに進みます。逆に、ここが合わなければ商談件数だけが残ります。
さらに、架電数へのコミットを強めると、想定以上に商談が取れたときも活動を止めにくくなります。営業担当者は数字を達成していても、商談を受ける側の社長や現場責任者が追いつかない状態です。
アポイントが増えても、見積提出、追客、受注まで進まなければ、営業の成果が増えたとはいえません。
狙う企業の定義と商談後の評価が切り離されている営業運用
この問題の背景には、ターゲットリストの作成と商談後の結果が、別々に管理されていることがあります。
新規開拓を始める際は、地域、業種、企業規模などの条件でリストを作ります。ただし、「どの会社なら受注につながりやすいか」は、電話をかける前にすべて分かるわけではありません。実際に話して初めて、発注工種、案件規模、協力会社の募集状況、発注時期などが見えてきます。
だからこそ、最初から1社に絞り込んだ“必中リスト”を作ろうとするのも現実的ではありません。対象を狭くしすぎると母数がなくなり、新しい商圏や発注元の可能性を検証できなくなります。一方、広げるだけでは確度の低い商談が増えます。
必要なのは、一定の幅を持たせてリストを作り、商談結果を使って狙いを磨いていく運用です。
ところが、営業管理が架電数とアポイント件数で終わっていると、次の情報がリストに戻りません。
- どの属性の企業が見積もりに進んだか
- どの工事事例に反応があったか
- 工事規模やエリアが合わなかったのはどこか
- 販売先ではなく、協力会社や仕入れ先の開拓が必要だったか
- 受注しなかった理由は価格、納期、施工体制のどこにあったか
「広げるだけ広げて終わるのではなく、リストを広げる運用と、ブラッシュアップする運用の両方が必要」という整理が欠かせません。
ターゲットリストは一度作って完成する名簿ではなく、商談結果によって精度を上げ続ける営業資産です。
商談の上限を決め、案件品質と受注率をリスト改善へ戻す営業設計
営業設計を見直すときは、架電数をやめるのではなく、件数指標の後ろにある成果を一緒に管理します。進め方は、次の4段階に分けると整理しやすくなります。
1.自社にとっての「狙う企業」を言葉にする
最初に決めたいのは、社名のリストではなく、受注したい企業の条件です。少なくとも、次の項目をそろえます。
- 対応したい工種
- 施工可能なエリア
- 自社に合う案件規模
- 元請け、一次請け、協力会社などの取引形態
- 発注時に重視される品質、コスト、納期
- 自社の施工事例が生きる発注内容
ここでは、条件を狭めすぎないことも大切です。「最も受注しやすい企業」だけでなく、「条件次第で受注可能な企業」まで段階を分けます。
例えば、優先度をA・B・Cの3段階に分け、Aは積極的に商談化する対象、Bは仮説検証の対象、Cは情報収集の対象とします。これなら、リストの母数を確保しながら、商談の優先順位を変えられます。
ターゲットは一つの条件に固定せず、受注可能性に応じて優先順位を付けると運用しやすくなります。
2.架電数と商談数の両方に上限を置く
対応できる商談数が月4件なら、「一定の架電数に達する」または「商談を4件獲得する」のどちらかで、その月の新規アプローチを一区切りにします。
この設計にすると、商談が取れやすい月にアポイントが集中しません。余った時間を、事前準備、見積もり、商談後の追客に回せます。
商談数の上限は、営業側の都合だけでは決められません。次の3点から判断します。
- 社長や営業担当者が参加できる商談数
- 積算や見積もりを滞りなく処理できる件数
- 既存案件の施工体制を崩さずに受注できる量
商談上限は機会損失を生むための制限ではなく、受注まで丁寧に運ぶための処理能力の設計です。
3.アポイント後の指標まで一つの表で管理する
営業会議では、架電数と商談数に加えて、少なくとも以下を確認します。
段階 | 確認する指標 |
|---|---|
アプローチ | 架電数、接続数、担当者との会話数 |
商談 | 商談数、ターゲット区分、先方の発注ニーズ |
案件化 | 現地確認数、見積依頼数、見積提出数 |
受注 | 受注数、受注率、受注金額または工事規模 |
失注 | 価格、納期、工種、エリア、施工体制などの理由 |
特に重要なのは、「商談から見積もりに進んだ率」と「見積もりから受注した率」です。
商談数は多いのに見積依頼が少ない場合、ターゲットや商談の入り口にずれがあります。見積提出までは進むのに受注率が低い場合は、価格、納期、施工体制、提案内容などを確認する必要があります。
どこで止まったかを分けて見れば、リストの問題なのか、商談や見積もりの問題なのかを切り分けられます。
4.商談結果を翌月のリストへ戻す
月末には、商談結果をもとにターゲット条件を更新します。例えば、特定の工種を持つ元請けから見積依頼が続いたなら、その属性を翌月のリストで増やします。案件規模が合わない企業が続いたなら、売上規模や施工実績など、事前に確認できる条件を追加します。
反応が弱かった企業をすべて除外する必要はありません。時期が合わなかっただけなのか、そもそも発注構造が合わないのかを分けておくと、掘り起こしにも使えます。
営業活動を通じて「業者開拓のニーズが強い企業群」などの傾向が見つかれば、次のアプローチ効率も上がります。電話をかけるほど、どこに需要があるかという情報が社内に蓄積される状態です。
架電、商談、見積もり、受注、失注理由を一つの循環にすると、営業を重ねるほどターゲットリストの精度が上がります。
まとめ
商談数が増えても受注につながらないとき、単純に架電数や営業担当者を増やすだけでは、対応負荷がさらに高まることがあります。
まず確認したいのは、月に何件までなら見積もりと追客を丁寧に進められるかです。そのうえで、狙う企業の条件を段階分けし、架電数だけでなく、商談後の案件化率や受注率まで追います。
- 狙う企業の条件を言語化する
- ターゲットを優先度で分ける
- 架電数と商談数の両方に上限を置く
- 見積依頼率と受注率を確認する
- 失注理由を翌月のリストに反映する
営業の目的は商談を増やすことではなく、自社が受注し、無理なく施工できる仕事を継続的につくることです。
件数を追う営業から、案件の質を学習する営業へ切り替えると、少ない商談でも次の一手が見えやすくなります。
自社に合う営業指標とターゲット条件を整理したい方へ
営業活動を見直そうとしても、「自社なら月何件の商談が適正なのか」「どの企業を優先して狙うべきか」は、施工体制や得意工種によって変わります。架電数、商談数、見積もり、受注を一度並べるだけでも、詰まっている場所を整理しやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大を、ターゲット設計、案件獲得、商談後の運用まで横断して整理し、実行を支援しています。「うちの場合はどう考えるべきか」「何から数字を見直せばよいか」という段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、営業設計を整理する場としてご活用ください。

































