紹介で決裁者に会えても、受注先の頭数がなかなか増えない首都圏の専門工事会社
首都圏に営業拠点を置く、売上20億円台のある専門工事会社では、新しい取引先を増やすため、建設業界に人脈を持つ顧問からゼネコンや元請会社の紹介を受けていました。
紹介先では、所長や社長など意思決定に近い相手との面談が実現しています。「協力してもらいたい」という前向きな返答を得た会社もあり、時間をかければ受注につながりそうな感触もありました。
一方、経営側には次のような実感がありました。
「紹介で面談まではできても、仕事につながるまでには時間がかかります。既存業者との比較もあるので、成約できるかは半々くらいだと思っています」
紹介営業が機能していないわけではありません。むしろ、通常なら会いにくい相手と接点を持てる点では、確度の高い営業です。ただし、会社が目指していたのは一件の大型受注だけではなく、受注の波を抑えられるように取引先の頭数を増やすことでした。
紹介営業は「会える確度」を高めやすい一方、「商談の分母」を短期間で増やす手法ではありません。取引先数を増やしたい会社では、紹介先を育てる営業とは別に、種まきの量を確保する必要があります。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
紹介先を深く追うほど、商談母数を増やす動きが後回しになる構造
紹介営業では、紹介者の顔を立てながら、相手との関係を一社ずつ丁寧につくっていきます。決裁者との面談後も、案件が出る時期を待ち、連絡を重ね、条件や施工体制をすり合わせる必要があります。
この進め方は確度を上げやすい反面、紹介できる企業数と紹介者の動きに商談数が左右されます。面談できても、すでに付き合いのある施工会社と比較され、すぐには発注先を変えてもらえないこともあります。
相談企業からも、「もう少し分母があれば、確率の問題としてスピード感が出るのではないか」という声がありました。ただし、単純に電話件数や商談数を増やせばよいわけでもありません。
「数を当て込みすぎても、アフターフォローまで手が回らないと思います」
ここが建設会社の新規開拓で詰まりやすい点です。面談を増やしても、その後の現場確認、見積もり、案件時期の確認、再連絡が止まれば受注にはつながりません。
必要なのは商談数の最大化ではなく、自社が追客できる範囲で、受注につながる商談母数を継続的に増やすことです。
高確度の紹介営業と能動的なリスト営業では、役割も時間軸も異なるという整理
紹介営業とリスト営業は、どちらが優れているかを比べるものではありません。それぞれの役割が異なります。
紹介営業は、紹介者が事前に相手との関係をつくり、一定の確度まで引き上げたうえで接点を渡してくれます。大手企業や重要な決裁者など、通常の電話では接点をつくりにくい相手に向いています。ただし、案件化までの期間は相手の発注予定や既存業者との関係に左右されます。
一方のリスト営業は、自社と相性がよさそうな企業を一定数抽出し、能動的に接点をつくる方法です。相談企業では、デベロッパーの元請を担う会社、民間案件を元請で受ける解体会社、その下で専門工事会社を必要とする一次会社など、狙いたい企業像が少しずつ明確になっていました。
ただ、業種分類や建設業許可だけでは、取引候補と同業者を正確に分けられません。解体工事の許可を持ちながら、実態は相談企業と競合する専門工事会社もあります。反対に、一見すると同業に見えても、大手ゼネコンの案件を元請に近い位置で受けており、協力会社として入れる企業もありました。
そのため、約2,000社の候補リストを最初から完璧に仕分けようとして、経営者が一社ずつ目視確認する状態になっていました。しかし、これではアプローチを始める前に時間がかかりすぎます。
リストは最初から完成品を目指すのではなく、既存取引先や明確な競合先を除外した「バージョン1」で動き、反応を見ながら精度を上げるものです。
別の専門工事会社では、工種、企業規模、施工エリア、発注者か協力会社候補かといった条件で対象を絞り、約250件に電話して5件ほどの面談につながりました。重要なのは、この数字だけではありません。「ちょうど業者を探していた」「数カ月後に案件がある」といった反応から、狙った企業像が合っていたかを確認できた点に意味があります。
紹介先を温めながら、小さな営業母数で仮説検証を回す二つの営業ライン
確度と商談数を両立するには、紹介営業を止めてリスト営業へ置き換えるのではなく、役割の異なる二つのラインとして管理するのが現実的です。
- 紹介営業は、すでにつながった決裁者との関係を深め、案件化まで丁寧に追う
- リスト営業は、狙いたい企業群へ一定数アプローチし、相性のよい属性を見つける
紹介営業を「高確度ライン」、リスト営業を「検証と分母づくりのライン」と位置づけると、両者の成果を同じ物差しで比べずに済みます。
進める際は、次の順番で整理すると動きやすくなります。
1.新規開拓の目的を取引先数まで落とす
売上を増やしたいという目的だけでは、狙う企業が広がりすぎます。相談企業では「一社当たりの受注額にばらつきがあっても、取引先の頭数を増やしたい」という目的がありました。
この場合は、単発の大きな案件だけでなく、継続的に声がかかる可能性がある元請会社や一次会社も対象になります。まずは、次のどれを優先するのかを揃えます。
- 売上全体を増やしたいのか
- 特定取引先への依存を下げたいのか
- 元請や一次会社との取引を増やしたいのか
- 継続して見積もり依頼が来る取引先を増やしたいのか
目的が違えば、企業規模、工種、取引構造、優先する相手も変わります。
2.リスト全件ではなく、除外先を先に確定する
数千件のリストを経営者が一社ずつ確認する必要はありません。最初に精度を上げるべきなのは、狙う企業よりも「電話してはいけない企業」です。
- すでに深い取引がある会社
- 関係上、こちらから営業電話をかけるべきではない会社
- 明確な競合会社
- 過去の経緯からアプローチを控えたい会社
社内の顧客情報を出力し、候補リストと突合すれば、目視確認の負担を減らせます。業種分類だけで見抜けない競合については、経営者や営業責任者の知識を使って優先的に確認します。
経営者が見るべきなのは2,000社すべてではなく、機械的に判別できない重要な除外先と、優先順位の判断が必要な企業です。
3.追客可能件数から最初の商談数を決める
アプローチ件数を先に決めるのではなく、その後に追える商談数から逆算します。面談後に必要な再連絡、訪問、見積もり、案件時期の確認を、誰が何社まで担当できるかを確認します。
管理表には、少なくとも次の項目を置いておくと状況を把握しやすくなります。
- 面談相手の役職
- 相手が求めている工事や協力体制
- 案件が発生しそうな時期
- 見積もりや現場確認の有無
- 次回連絡日と担当者
- 紹介案件かリスト開拓か
次回連絡日が未設定の商談が増え始めたら、商談を取りすぎている可能性があります。反対に、すべての商談で次の動きを設定できているなら、母数を広げる余地があります。
4.案件化率と受注までの期間を分けて検証する
リスト営業の初期段階では、受注件数だけで良し悪しを判断しないことが大切です。建設工事は発注時期に左右されるため、面談直後に受注が決まらないケースが少なくありません。
2週間から1カ月程度の単位で、次の数字と反応を確認します。
- アプローチ件数と面談件数
- 決裁者や工事責任者と会えた割合
- 具体的な案件時期が確認できた件数
- 見積もりや現場確認へ進んだ件数
- 面談から案件化、受注までにかかった期間
- 予算、工種、企業規模が合わなかった理由
たとえば、面談は取れても予算が合わないなら企業規模の条件を見直します。特定の工種や取引構造を持つ会社で反応がよければ、その属性を次のリストで増やします。反応の薄い層は減らし、相性のよい層はエリアや件数を広げます。
リスト営業の初期成果は受注だけではなく、「どの企業群なら自社が選ばれやすいか」が明らかになることです。
5.紹介営業とリスト営業の切り替え時期を数字で判断する
紹介先への追客を続けながらリスト営業を並行できる会社もあれば、担当者の余力を考え、一定期間ごとに重点を切り替えた方がよい会社もあります。
判断基準は、紹介者との契約期間や感覚ではなく、営業全体の状態です。
- 紹介先との面談後、次のアクションが設定されているか
- 受注までの見通しと期間が把握できているか
- 目標とする取引先数に対して候補企業が足りているか
- 新しい商談が増えても追客できる担当者と時間があるか
紹介先が十分に温まり、あとは案件時期を待ちながら追える状態になったら、リスト営業の比重を高めるタイミングです。逆に、紹介先への対応だけで次の連絡が滞っているなら、商談数を増やす前に管理方法を整える方が先です。
まとめ
紹介営業は、通常では会いにくい決裁者との接点をつくれる有効な方法です。ただし、案件化までに時間がかかり、既存業者との比較で受注に至らないこともあります。取引先数を増やしたい場合、紹介だけに商談母数を委ねると、営業の速度を調整しにくくなります。
紹介先を丁寧に育てながら、追客できる範囲でリスト営業を動かし、反応を基に対象企業を絞り込む。この二つの営業ラインを持つことが、確度と商談数を両立する基本です。
最初から完璧なリストをつくる必要はありません。既存取引先と明確な競合を除外し、一定数へアプローチし、案件化率や受注までの期間を確認します。その結果を使って、企業規模、工種、取引構造、エリアを見直していけば、自社に合う新規開拓の型が少しずつ見えてきます。
自社に合う営業の分母と追客体制を整理するために
紹介先はあるものの受注までの見通しが立ちにくい、候補リストはあるもののどこから当たるべきかわからないという段階では、営業手法を決める前に、目標とする取引先像や追客できる件数を整理することが先になります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の案件獲得や元請開拓について、既存の取引構造、紹介営業の状況、ターゲットリスト、営業後のフォロー体制まで横断して整理し、実行を支援しています。「うちの場合は紹介と新規開拓をどう組み合わせるべきか」という段階でも問題ありません。
状況を伺ったうえで、合わない方法を無理に勧めることはありません。建設業の経営課題を解決し、未来をつくるパートナーとして、次の整理先を一緒に考えます。

































