前提

昼夜の現場を回す少人数の専門工事会社が、一人親方の社員化に取り組んでいる状況

関東圏で内装仕上げや修繕工事を手がける、5名ほどの専門工事会社があります。社員だけでは施工できる量に限界があるため、現場では一人親方とも連携しています。

会社としては施工体制を安定させるため、継続的に来てもらっている一人親方へ社員化を打診してきました。しかし、反応は簡単ではありません。

「社員にしようと思っても、個人事業主の人は社員になるのを嫌がるんですよ。お金の受け取り方も違うし、自由度も下がると思われてしまう」

一方で、会社には一般的な雇用制度を整える準備があり、夜勤手当や働いた時間に応じた残業代も支給する方針です。昼間と夜間の現場が同じくらいあり、働いた分を給与へ反映しやすい仕事でもあります。

それでも一人親方から見ると、毎月受け取る請負代金と給与の額面を比べた瞬間に、社員になる魅力が見えにくくなります。

一人親方の社員化では、月給の金額だけでなく、税・社会保険、収入の安定、休日、各種手当、働き方の自由度を一つの雇用条件として設計する必要があります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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課題

請負代金と月給の額面比較では、社員になる利点が伝わらない問題

一人親方が社員化を断る理由は、単純に「会社員が嫌だから」とは限りません。大きいのは、収入と自由度が下がるように見えることです。

この会社には、月に70万〜80万円ほどの売上を得ていた一人親方がいました。申告や納税にもきちんと向き合っており、税金などの支払いに備えて、受け取った金額のうち相当額を毎月残していたそうです。

本人や家族からすれば、口座には大きな金額が入るものの、すべてを生活費として使えるわけではありません。収入が多く見える一方で、将来の納税額を考えながら資金を管理する負担もありました。

その方は最終的に社員となり、現在は安定した収入を得られる働き方に納得しています。ただし、休日の取り方など、入社後も調整すべき点は残っています。

ここから分かるのは、社員化の比較対象を次のようにそろえる必要があるということです。

  • 一人親方として受け取る年間の請負代金
  • 必要経費や税金、社会保険料などを考慮した後の金額
  • 仕事が少ない月を含めた年間収入の変動
  • 社員として受け取る基本給、賞与、夜勤手当、残業代
  • 休日や休業時を含めた収入の安定性
  • 副業や働く時間・現場を選べる自由度

比較すべきなのは「一人親方の月商」と「社員の月給」ではなく、年間を通じて生活に使える金額と、その収入を得るための時間・負担・安定性です。

背景

給与が社長のさじ加減で決まり、役割と責任も曖昧なままでは組織を広げにくい構造

雇用条件だけを良くしても、社員化がそのまま定着につながるとは限りません。入社後の給与の上がり方や会社で担う役割が見えなければ、「一人親方の方が分かりやすかった」と感じやすいためです。

建設会社では、貢献してくれた職人へ報いるため、社長の判断で給与や賞与を大きく増やすことがあります。気持ちとしては自然ですが、基準が見えないまま人数が増えると、本人も周囲も次の昇給条件を理解できません。

「社員はいるけれど、実態は一人ひとりが別々の経営者のようになっている。誰が誰を見るのかも決まっていない」

この状態では、社員が増えても社長へ判断が集中します。職人同士の上下関係が曖昧なため、現場を任せる人、後輩を育てる人、品質や工程に責任を持つ人も定まりません。

さらに、この会社では社員の結婚生活や趣味、副業も尊重したいという考えがありました。

「仕事だけでその人の時間を全部使うのではなく、いろいろなことに挑戦できる方がいいと思っています」

一方、夜勤や残業を増やせば収入を上げやすいものの、本人の時間は減ります。会社としても労働時間を把握するために勤怠アプリを導入し、無理な働き方にならないよう管理を始めています。

社員化の本当の論点は、雇用契約へ切り替えることではなく、収入・時間・役割の納得感が続く組織へ切り替えられるかどうかです。

解決

年収シミュレーションと賃金・評価・役割の共通ルールをセットで整える進め方

一人親方の社員化は、採用条件の提示、入社後の評価、日々の定着支援を分けずに設計すると進めやすくなります。

1.額面月給ではなく、年間の収入と働き方を並べる

最初に、一人親方として働き続ける場合と、社員になる場合を年間単位で比較します。会社側に都合のよい数字だけを見せず、本人と一緒に条件を確認することが大切です。

社員側の条件として、少なくとも以下を明示します。

  • 基本給と想定年収
  • 賞与の有無と考え方
  • 夜勤手当、残業代などの支給方法
  • 休日数と休日出勤の扱い
  • 仕事が少ない月の給与
  • 社会保険を含む会社負担と本人負担
  • 副業の可否と認める範囲

一人親方側についても、請負代金の全額を手取りとして扱わず、必要経費や税・社会保険への備え、繁閑による変動を含めて整理します。個別の税額などは条件によって異なるため、必要に応じて税理士や社会保険労務士と確認するのが確実です。

「月給はいくらか」ではなく、「年間でどの程度の生活を維持でき、どれだけ時間を確保できるか」を説明の中心に置きます。

2.収入を上げるための選択肢を複数用意する

すべての職人が同じ働き方を望んでいるわけではありません。夜勤や残業で収入を増やしたい人もいれば、一定の収入を確保しながら休日や副業の時間を取りたい人もいます。

そのため、雇用条件を一つに固定するよりも、会社が対応できる範囲で働き方の違いを示した方が納得を得やすくなります。

例えば、基本給を共通の土台にしたうえで、夜勤や時間外勤務は手当で反映します。ただし、高収入を得る方法が長時間労働だけにならないよう、現場管理、後輩育成、品質管理などの役割も評価対象に含めます。

収入と自由度を二者択一にせず、手当・休日・副業・役割によって本人が選べる余地を残すことが、社員化への抵抗を和らげます。

3.社長の感覚で決めていた給与を、共通の基準へ置き換える

人数が少ないうちは、社長が全員の仕事を見て給与を決められます。しかし、人が増えるほど「なぜこの給与なのか」を説明できる仕組みが必要になります。

評価項目は、複雑にしすぎる必要はありません。まずは会社が実際に求めている内容に絞ります。

  • 一人で担当できる工事の範囲
  • 品質と手直しの状況
  • 工程や時間の管理
  • 顧客、元請け、協力会社との対応
  • 後輩への指導
  • 現場責任者として担える範囲

各項目を、現在できること、次に任せたいこと、昇給に必要な状態へ分けます。賞与についても「社長が頑張りを見て決める」だけでなく、会社業績と個人の役割をどう反映するかを先に共有しておきます。

賃金制度の目的は給与を抑えることではなく、何ができれば収入と役割が上がるのかを職人本人が理解できる状態をつくることです。

4.入社後の役割と相談先を決める

社員になった後も、一人親方時代と同じように各自が単独で動いているだけでは、会社に所属する意味を感じにくくなります。

誰が現場をまとめるのか、誰が後輩を見るのか、問題があったときに誰へ相談するのかを明確にします。社長以外に相談先がなければ、人数が増えるほど社長の負担も大きくなります。

入社直後は、給与明細の見方、手当の計算、休日の取り方、副業の扱いなど、条件面の認識も定期的に確認します。社員化を決めた時点では納得していても、最初の給与を受け取った後に印象が変わることがあるためです。

採用後の面談では技術だけでなく、「想定していた収入と違わないか」「時間の使い方に無理がないか」まで確認することが定着につながります。

まとめ

一人親方に社員化を断られるとき、給与額だけを上げても解決しないことがあります。本人が気にしているのは、手元に残るお金だけでなく、収入の安定、休日、夜勤や残業の扱い、副業、自分で働き方を決められる感覚だからです。

社員化を進める際は、次の順番で整理すると話し合いやすくなります。

  1. 一人親方と社員の収入を年間単位で比較する
  2. 税・社会保険や収入変動を含めて説明する
  3. 夜勤手当、残業代、休日、副業の条件を明文化する
  4. 技術、管理、育成を反映する賃金・評価基準をつくる
  5. 入社後も収入と働き方の認識を確認する

社員化は、一人親方の自由を奪うためのものではありません。安定を加えながら、本人が大切にしてきた働き方をどこまで残せるかを一緒に設計する取り組みです。

自社に合う社員化の条件を整理したいときは

雇用条件は、他社の給与表をそのまま持ってきても機能しにくいものです。施工内容、夜勤の頻度、繁閑、現在の一人親方との関係、今後任せたい役割によって、整えるべき制度が変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題について、採用だけでなく、雇用条件、賃金・評価制度、役割分担、入社後の定着まで横断して整理し、実行を支援しています。

「うちの場合はどこまで条件を整えればよいか」「何から話し合えばよいか分からない」という段階でも問題ありません。状況を伺ったうえで、必要な整理先を一緒に確認します。無理にサービスを勧めることはありませんので、今後の判断材料をつくる場としてご活用ください。

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