余剰資材アプリを案内した5社のうち、登録を確認できたのは1社という状況
兵庫県のある専門工事会社では、建設現場で余った資材を業者間で売買できるアプリの利用を広げようとしていました。
関心は決して低くありません。40坪ほどの倉庫が余剰資材で埋まり、有料プランでの利用に前向きな会社もありました。複数社から利用の内諾を得て、アプリのURLや資料も送っています。
ところが、その後に確認すると、利用に前向きだった5社のうち、実際の登録を確認できたのは1社だけでした。
案内を受けた会社からは、「とりあえずインストールしておくね」という反応が返ってきます。しかし、会員登録やプロフィール写真の設定、最初の資材出品までは進みません。
この状況で見落としやすいのは、インストール数と利用者数は同じではないという点です。今回のアプリで本当に増やしたいのは、端末にアプリを入れた会社ではありません。余剰資材の写真を登録し、最初の出品まで終えた会社です。
導入の完了地点は「インストール」ではなく、業務上の価値を一度体験できる「初回利用」に置く必要があります。
1週間で 15件の相談 がありました
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- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
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- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
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- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
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- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
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インストール後の会員登録や写真登録、最初の出品まで進まない状態
表面上の課題は、登録後にアプリが使われていないことです。ただ、単に「利用者がITに不慣れだから」と整理すると、改善すべき場所を見失います。
アプリを案内していた相手は、主に40代から50代の経営者や担当者でした。アプリの登録に慣れている人から見ると、操作上の大きな問題は感じられません。それでも、実際の利用者は途中で止まっています。
特に目立ったのが、写真に関する入力です。
「名刺の画像を送る人は多いけれど、アイコン画像を登録する人はほとんどいない」
写真そのものを扱えないわけではありません。名刺画像は送れています。それでもアイコン画像は登録されないため、次のような点が伝わっていなかった可能性があります。
- どの写真を登録すればよいのか
- 何のために登録するのか
- 写真がなくても次へ進めるのか
- 登録後に何をすればよいのか
さらに、オンラインで案内した相手ほど、「インストールしておく」という返答で終わりやすい状況もありました。資料とURLを送り、操作を相手に委ねるだけでは、日々の現場業務に戻ったあとに優先順位が下がります。
使われない原因は操作能力だけではなく、入力内容の分かりにくさと、初回行動までの案内不足にあります。
「なぜ使うのか」と「最初に何をするのか」が利用者へ十分に届いていない状態
業務アプリは、機能を説明するだけでは定着しません。利用者が自社にとっての意味を理解し、最初の行動を具体的に想像できることが必要です。
この会社がアプリをつくった背景には、現場や倉庫に残る余剰資材を有効活用したいという考えがありました。実際、倉庫が資材でいっぱいになっている会社からは強い関心が寄せられています。
一方で、案内時に「すでに多くの会社が使っている完成済みのサービス」のように見せると、利用者数や出品数を気にされます。まだ利用者を増やしている段階では、期待とのずれが生まれます。
そこで出てきたのが、単なる利用者ではなく、最初のコアメンバーとして参加してもらうという伝え方でした。
「このアプリの考え方に共鳴してくれる、最初の仲間を増やしたい」
この目的が伝われば、登録後の行動も変わります。資材を出品することが、単なる入力作業ではなく、新しい仕組みを一緒につくる行動になるからです。
初回出品を後押しするため、出品者へギフトカードを送る案も用意されていました。ただし、特典があるだけで自動的に登録が進むわけではありません。特典を受け取る条件と、そこまでに必要な操作を一続きで案内する必要があります。
利用目的、最初に行う操作、初回行動のメリットが分断されると、利用者は「あとでやる」と判断しやすくなります。
また、開発側の周囲では問題なく使えていても、その外側でどこにつまずいているかは見えにくいものです。今回も「見えていないところで、どのようにつまずいているのか分からない」という声がありました。
社内や身近な利用者だけで操作性を判断すると、初めて触る経営者や現場担当者の迷いを拾えません。アプリ側の問題なのか、案内方法の問題なのかを切り分けるためにも、実際の登録場面を見る必要があります。
登録から写真入力、初回出品までをその場で支援し、止まった箇所を改善する進め方
最初に変えたいのは、導入支援の完了条件です。「案内した」「URLを送った」「インストールしてもらった」ではなく、最初の出品まで進んだ状態を完了とします。
今回のような余剰資材アプリであれば、次の流れを一つの導入支援として扱います。
- アプリをインストールする
- 会員登録を完了する
- 名前や会社情報を入力する
- アイコン画像など必要な写真を設定する
- 出品する資材の写真を登録する
- 最初の出品を完了する
対面で案内できる場合は、その場で設定まで一緒に進めます。「ここはこの入力で大丈夫です」と確認しながら操作してもらえば、入力内容への迷いを減らせます。
オンラインの場合も、説明だけで終わらせず、会話の中に初回操作を組み込むことが大切です。「あとで登録してください」ではなく、「いまアプリを開けますか」「資材の写真を2枚登録できますか」と、次の行動を具体的にします。
そのうえで、途中で止まった場合は理由を記録します。確認したいのは、少なくとも次の点です。
- どの画面で止まったか
- どの入力項目が分からなかったか
- 写真を選べなかった理由は何か
- 初回出品まで進まなかった理由は何か
- 対面とオンラインで違いがあったか
「使ってくれなかった」で終わらせず、「どの画面の、どの入力で、なぜ止まったか」まで言葉にすることが改善の起点です。
判断軸は、利用者個人のIT習熟度ではなく、同じ場所で複数人が止まっているかどうかです。アイコン画像の登録で何人も止まるなら、入力欄の表現や案内方法を見直します。登録は終わるのに出品されないなら、初回出品への誘導や利用目的の伝え方を見直します。
進め方としては、まず短い期間を区切り、新規利用者と過去に案内した利用者の両方に同じ支援を行うと比較しやすくなります。今回の会社でも、2週間ほどはその場でインストールと登録を進め、つまずきがあれば内容を確認する方針になりました。
また、初回出品への特典を用意する場合は、案内を分けないこともポイントです。
「初回出品をすると特典があります。そのため、いま会員登録と資材写真の登録まで一緒に進めましょう」
このように、目的、特典、必要な操作を一続きにします。特典は登録を促すためだけでなく、利用者に最初の業務行動まで進んでもらうために使うと効果を確認しやすくなります。
まとめ
建設会社で業務アプリが定着しないとき、利用者の年齢やITへの苦手意識だけが原因とは限りません。
今回のケースでは、利用に前向きな会社が複数あっても、実際の登録は一部にとどまりました。インストール後も、アイコン画像の設定や資材写真の登録、最初の出品まで進んでいませんでした。
整理したいポイントは次の3つです。
- 導入の完了地点をインストールではなく初回利用に置く
- 対面やオンラインの場で、登録から最初の操作まで一緒に進める
- 止まった画面と理由を記録し、入力項目や案内方法を改善する
業務アプリの定着は、機能の多さだけで決まりません。使う目的が伝わり、最初の一歩を迷わず踏み出せることが大切です。
まずは一人の利用者が登録から初回利用まで進む場面を見届けると、改善すべき点が具体的に見えてきます。
自社のアプリ導入で止まっている場所を整理するために
「導入したものの現場で使われない」「登録までは進むが、その先の操作が続かない」といった状況では、システムそのものと導入方法を分けて整理する必要があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。業務アプリについても、導入目的、対象者、初回操作、定着までの支援方法を一緒に整理できます。
「うちの場合はどこで止まっているのか」「何から確認すればよいか分からない」という段階でも問題ありません。状況を伺いながら次の整理先を考えます。無理にサービスを勧めることはありませんので、気軽にお声がけください。

































