建設関連の清掃需要はある一方で、従業員が敬遠しやすい工種を抱える地域密着の清掃会社
滋賀県を中心にビル管理や清掃を手がける、ある地域密着型の会社があります。清掃を主軸とし、一部では付き合いのある工務店から建設現場に関係する清掃も請け負っています。
ただし、会社としては建設関連の清掃を積極的に伸ばす考えはありません。
「建設業界に関係する清掃は、人員が少ないんです。結構嫌がる人もいますし、仕事のターンも早い。だから、これから伸ばす気は正直ありません」
会社全体で見れば、退職者が出ても一定の応募はあり、採用が完全に止まっているわけではありません。問題は、会社に人が来ないことではなく、特定の工種に安定して人を配置しにくいことです。
また、この会社は従業員を優先し、現場までの移動時間を通常時で片道1時間以内に抑えています。仕事があるという理由だけで遠方へ向かうことはなく、お盆や日曜日も、可能な限り従業員を休ませる方針です。
需要の大きさよりも、適正価格、移動負担、休日、工程の組みやすさを含めて仕事を選ぶ。この前提が、事業を伸ばすかどうかの判断にも表れています。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
受注できる仕事と、継続して人を配置できる仕事が一致しない状態
人手不足の工種は、競合する供給側も少なく、発注者から声がかかりやすいことがあります。しかし、受注機会が多いことと、自社が安定して利益を出せることは別です。
建設関連の清掃では、前工程の進捗によって作業日が動きやすく、限られた期間で対応を求められることがあります。相談企業でも、「ターンが早い」という言葉が出ていました。
その環境で受注を増やすと、次の負担が重なります。
- 配置できる従業員が限られる
- 新しく採用しても、その工種を希望するとは限らない
- 短い期間で作業を覚えてもらう必要がある
- 日程変更や工程の圧縮によって、既存案件との調整が増える
- 従業員が敬遠する仕事に配置が偏り、定着へ影響する
人員不足の工種を売上だけで拡大すると、受注量より先に配置と工程が不安定になります。売上が増えていても、教育や調整にかかる時間まで含めれば、利益が再現できない可能性があります。
「仕事があるから、どこにでも行くという考えは基本的にありません。従業員のこと、会社経営のこと、利益のことを考えて決めます」
この言葉が示す通り、検討すべきなのは「取れるか」ではなく、同じ品質、価格、働き方で繰り返し提供できるかです。
短い工程と下請け構造が、採用・教育・利益の負担を同時に大きくする事情
建設関連の清掃を伸ばしにくい背景には、人員不足だけでなく、取引構造と工程の主導権があります。
相談企業は元請けでの仕事を重視し、工務店の下に入る仕事を増やす意向を持っていません。前工程の都合で作業日を一方的に寄せられたり、入札や相見積もりによって価格だけを比較されたりする仕事にも慎重です。
「最初に清掃の工程をきっちり決めて、費用も決めていただく。流れの中で『日を寄せてほしい』と言われるような仕事なら、やる気はありません」
これは単なる仕事の好き嫌いではありません。工程を自社で調整できなければ、従業員の休日や移動、ほかの現場への配置まで崩れやすくなります。短納期の案件が増えるほど、現場だけでなく、配車や連絡、教育を担う側にも負担が集中します。
さらに、価格が案件ごとに大きく異なると、同じ従業員が同程度の作業をしても、会社に残る利益が安定しません。相談企業は「安い仕事をBランク、Cランクとして扱わず、すべて同じ基準の価格で受ける」という考えを持っています。
適正価格を守れない仕事は、教育や工程調整の負担を吸収できません。需要があっても人が集まらない工種には、仕事内容だけでなく、短い工程、移動条件、価格決定力、休日の取りにくさが重なっていることがあります。
そのため、「採用を増やせば伸ばせる」と単純には考えにくいのです。採用できても配置できない、教えても敬遠される、対応できても利益が残らないという順番で、拡大が止まる可能性があります。
採用難度・教育負担・工程・既存事業との相性・利益の再現性による段階的な見極め
伸ばすかどうかは、市場の需要ではなく、受注を増やした後も自社の運営基準を守れるかで判断します。継続・縮小・撤退を決める前に、直近の案件を工種別に振り返ると整理しやすくなります。
確認したい判断軸は、次の6つです。
- 採用難度
会社全体の応募数ではなく、その工種へ実際に配置できる人数を確認します。応募があっても、仕事内容や勤務条件を伝えた段階で希望者が減るなら、拡大時の採用難度は高いと考えます。
- 教育負担
一人で任せられるまでに、誰がどれだけ同行・確認しているかを見ます。短いサイクルの仕事ほど、教育担当者が通常業務と新人対応を同時に抱えやすくなります。
- 離職・配置転換のリスク
退職者数だけでなく、その工種への配置を嫌がる人や、配置後に別業務を希望する人がいないかを確認します。離職に至る前の「敬遠されている状態」も、重要な経営情報です。
- 工程の安定性
作業日が事前に確定するか、発注者都合の変更がどの程度あるか、変更時に協議できるかを見ます。工程を守れない案件が多い場合、売上が増えるほどほかの現場への影響も大きくなります。
- 既存事業との相性
現在の清掃業務と人員、道具、移動範囲、勤務時間を共有できるかを確認します。既存案件と繁忙日が重なり、同じ従業員を取り合うなら、相乗効果よりも社内競合が起きています。
- 利益の再現性
売上から現場人件費を引くだけでなく、移動、日程調整、教育、手直しにかかる負担も見ます。相見積もりや入札で毎回価格が変わる仕事より、工程と適正価格を事前に合意できる仕事のほうが、利益を再現しやすくなります。
この6項目を確認したうえで、案件を一律に受けるのではなく、取引条件によって分けます。例えば、元請けとして工程を協議でき、通常時の移動が片道1時間以内で、適正価格を確保できる案件だけを残す方法です。
判断は、次のように整理できます。
- 条件を満たし、配置と利益を再現できるなら継続または限定的に拡大する
- 利益は出るものの、人員や工程が不安定なら受注量を絞る
- 価格、工程、移動の条件を協議できないなら縮小する
- 既存事業や従業員の働き方を継続的に崩すなら撤退を検討する
撤退は需要を捨てることではなく、自社が安定して価値を出せる仕事へ人員を戻す判断です。一方で、工種全体をやめなくても、取引先、移動範囲、曜日、価格、工程確定の条件を決めることで、負担の大きい案件だけを外すこともできます。
まとめ
需要がある工種ほど、伸ばしたくなるのは自然です。ただし、人員が集まりにくく、従業員に敬遠され、工程のターンも早い仕事では、需要の大きさがそのまま事業機会になるとは限りません。
事業拡大の判断基準は「仕事があるか」ではなく、「人を配置でき、工程を守り、適正価格で利益を繰り返し残せるか」です。
今回のような工種では、採用難度、教育負担、離職リスク、工程の安定性、既存事業との相性、利益の再現性を案件ごとに確認する必要があります。そのうえで、すべて受けるか、すべてやめるかではなく、自社の基準を満たす仕事だけを残す選択肢があります。
「仕事があるから行くのではなく、従業員と会社経営、利益を考えて決める」という姿勢は、消極策ではありません。伸ばさない工種を決めることも、持続的な成長に向けた事業戦略の一つです。
伸ばす工種と残す仕事の基準を整理したいときに
人が集まりにくい工種を継続すべきか、受注条件を見直すべきかは、採用だけでも売上だけでも判断しにくい問題です。工種別の人員配置、教育負担、工程、原価、取引条件を並べると、自社が残すべき仕事が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は何を基準に判断すればよいか」「まずどの数字から確認すべきかわからない」という段階でも問題ありません。
無理に事業拡大を勧めることはなく、ものづくりに集中できる事業体制を一緒に整理します。無理な営業はいたしませんので、自社の判断軸を確認したいときにお声がけください。

































