口コミ採用が機能する一方、10名弱の型枠工事会社で若手の早期離職が続く状況
九州北部を中心に型枠工事を手がける、10名弱の専門工事会社があります。地場の建設会社から継続的に仕事を受けており、「人さえいれば、仕事は取っていける」という状態です。将来的には、16名ほどの体制を目指しています。
採用への反応がないわけではありません。無料の求人媒体から応募が来たこともあります。中心となっているのは、地域や従業員のつながりを通じた口コミ採用です。
「知り合いが働きたいと言ってくれることはあります」
採用の入口はできています。それでも、入社した若手が長く続きません。
「入ってくるのは入ってくるんですけど、やっぱり続かないですね」
退職するのは主に若年層です。理由として見えているのが、屋外作業の暑さと体力的な負担でした。
「やっぱり外仕事なので、夏場が駄目ですね」
この会社の採用課題は応募数の不足だけではなく、採用した若手が最初の夏を越えられないことです。
1週間で 18件の相談 がありました
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
「外仕事だから仕方ない」で終えると、採用しても人数が積み上がらない構造
型枠工事をはじめとする屋外作業では、暑さそのものをなくすことはできません。ただし、若手の退職を「最近の若者は体力がない」「建設業だから仕方ない」とまとめてしまうと、改善できる部分まで見えなくなります。
知人からの紹介で入社しても、仕事の厳しさが想像を上回れば離職につながります。紹介者との関係があるから定着する、とも限りません。
見るべきなのは、本人の根性ではなく、次のような入社前後の接続です。
- 入社前に、夏場の作業環境をどこまで具体的に伝えたか
- 入社直後から、経験者と同じ作業量を求めていなかったか
- 休憩、作業時間、装備を暑さに合わせて変えていたか
- 体調や不安を言える相手と機会があったか
- 退職理由を本人の言葉で記録できているか
採用と定着を別々に扱わず、「入社前の期待調整から最初の夏を越えるまで」を一つの採用工程として見る必要があります。
若手が感じる厳しさと、会社が当たり前だと思っている働き方とのずれ
現場を長く経験してきた人にとって、夏場の暑さや体力的な負担は、仕事の前提になっています。一方、初めて屋外の建設現場で働く若手には、その前提がまだありません。
求人票に「屋外作業あり」と書くだけでは、実際の一日までは伝わりにくいものです。何時から作業し、どのような姿勢や動きがあり、どの程度の休憩を取り、暑い時期に何が変わるのか。ここが曖昧なままだと、入社後に「思っていた仕事と違った」というずれが生まれます。
また、体が暑さに慣れる前から通常の作業量に入れば、本人が仕事を覚えるより先に、毎日を乗り切ることで精いっぱいになりかねません。話しかける余裕もなくなり、「もう続けられません」と退職の意思が固まってから会社が知ることもあります。
今回の会社では、若手が辞めることと夏場の屋外作業との関係までは把握できていました。ただ、どの時点でつらくなったのか、作業量、休憩、装備、人間関係のどこに負担が集中したのかまでは、切り分けられていませんでした。
「暑かった」という退職理由を一段深く分けると、会社側で変えられる要因が見つかります。
最初の夏を一つの育成期間として設計し、離職理由を記録しながら改善する進め方
最初に取り組みたいのは、求人媒体を増やすことではありません。入社した若手がどこで離脱しているかを整理し、最初の夏を越えるための受け入れ方を整えることです。
1.過去の退職理由を同じ項目で振り返る
直近の若手退職者について、在籍期間、入社月、担当現場、退職前に出ていた言葉を一覧にします。「暑さ」を一つの項目で終わらせず、体力、作業時間、休憩、装備、仕事内容の認識差、相談のしやすさに分けて確認します。
すべての本人に聞き直せなくても、社長、職長、一緒に作業した社員が覚えている事実を持ち寄るだけで、共通点が見えやすくなります。
2.入社前に厳しさと対策をセットで伝える
仕事内容を良く見せることだけが採用ではありません。夏場の屋外作業があることや、一定の体力を使うことは、入社前に率直に伝えます。
ただし、「きつい仕事です」と伝えるだけでは不十分です。休憩の取り方、会社が用意する装備、体調不良時の対応、入社直後の作業量も一緒に説明します。
可能であれば、実際の現場や一日の流れを見てもらいます。本人にも判断材料が生まれ、入社後の認識差を小さくできます。
厳しさを隠さず、会社としてどう守り、どう育てるかまで伝えることが期待調整になります。
3.暑さに慣れるまで作業負荷を段階的に上げる
入社直後の若手を、経験者と同じ前提で配置しないことも重要です。特に暑い時期の入社では、初日から通常の作業量を求めるのではなく、短い作業時間から始める、負荷の低い作業を組み合わせる、経験者の近くに配置するといった調整が考えられます。
判断軸は、「何日たったか」だけではありません。顔色、食事、水分摂取、翌日まで疲労が残っていないかを確認しながら、作業量を上げていきます。
4.休憩・作業時間・装備を一つの対策として見直す
熱中症対策は、飲料を置くだけでは完結しません。休憩を取りやすい作業計画になっているか、暑い時間帯に負荷の高い作業が集中していないか、休憩場所を確保できているか、暑さを和らげる装備を使えているかを一体で確認します。
大切なのは、本人が「休ませてください」と言うまで待たないことです。経験の浅い若手ほど、周囲に遠慮して言い出せない可能性があります。職長側から決まった間隔で声をかけ、体調を確認する運用にした方が続けやすくなります。
5.入社後の短い面談を仕組みにする
面談は、退職の相談を受ける場ではなく、退職を考える前の変化をつかむ場です。入社1週間、1カ月、3カ月など節目を決め、10分程度でも話す機会をつくります。
質問は複雑にしなくても構いません。
- 想像していた仕事と違った点はあるか
- 体力的に最もつらい作業は何か
- 休憩や装備で変えてほしいことはあるか
- 誰に相談すればよいか分かっているか
- 来週も続けるうえで気になっていることはあるか
直属の職長には言いにくい場合もあります。社長や別の先輩など、相談先を複数示しておくと本音を拾いやすくなります。
6.採用人数ではなく「夏を越えた人数」で検証する
施策の効果は、応募数や入社人数だけでは判断できません。入社1カ月後、3カ月後、夏場終了後に何人が在籍しているかを確認します。退職者が出た場合も、理由を同じ項目で記録します。
一度にすべてを変える必要はありません。まずは退職理由で多かった項目から一つか二つを変え、次の採用者で反応を確認します。
定着率の改善は、採用人数ではなく「入社した若手が最初の夏を越え、仕事を覚え始めたか」で確かめます。
まとめ
応募や紹介があるのに若手が定着しない場合、採用手法だけを増やしても人数は積み上がりません。夏場の屋外作業が離職理由になっているなら、採用後の受け入れ方まで含めて見直す必要があります。
整理したいのは、次の4点です。
- 入社前に仕事内容と夏場の厳しさを具体的に伝える
- 暑さに慣れるまで作業負荷を段階的に調整する
- 休憩、作業時間、装備をまとめて見直す
- 定期面談と離職理由の記録で改善効果を確かめる
若手が辞める理由を本人の体力だけに置かず、会社で変えられる部分と分けて考える。その積み重ねが、採用した人を技術伝承までつなげる土台になります。
若手の定着は、本人に我慢を求めることではなく、仕事の現実を共有し、安全に慣れていける入口をつくることから始まります。
若手が最初の夏を越えられる受け入れ体制を整理したい方へ
「退職理由をどこまで深掘りすべきか」「現場を止めずに、何から変えればよいか」と迷うこともあると思います。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用課題だけでなく、入社後の教育、定着、組織体制まで横断して整理し、実行を支援しています。自社の場合にどこから整理すべきか分からない段階でも問題ありません。
無理にサービスを勧めることはありません。若手が定着できる現場づくりについて、状況を整理するところから気軽にお話しください。





























