前提

正社員数名未満でも、50社を超える協力会社と連携して数億円規模の工事を動かす専門工事会社

関東圏を中心に外装改修を手がける、ある専門工事会社があります。創業時は防水・塗装などの外装工事が中心でしたが、数年前から内装工事にも対応するようになりました。

現在も外装工事が売上の大半を占める一方、店舗や施設の内装では、解体、仮設足場、電気、給排水衛生設備、タイル、内装仕上げ、大工、建具、ガラスなどを組み合わせて、一式で請け負うことがあります。新築建物の構造をつくる工事を除けば、かなり広い範囲に対応できる体制です。

特徴的なのは、これだけの工種を正社員で抱えているわけではないことです。正社員は数名未満で、施工の中心を担うのは協力会社です。

「正社員をこれ以上増やす気はありません。専門業種は、その専門業者にお願いしています」

日常的に依頼する協力会社は十社前後ですが、付き合いのある会社を合計すると50社を超えます。同じ工種でも、会社の規模、施工品質、得意な現場が異なるため、複数の選択肢を持っています。

数十万円規模の短期工事から、数千万円規模で数カ月かかる設備工事まで、案件に応じて対応チームを編成しています。

多工種への対応力は、自社で何人雇っているかだけではなく、案件ごとに適切な協力会社を組み合わせられるかで決まります。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
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課題

協力会社の社数を増やすだけでは、一式工事を安定して受注できない状態

協力会社との接点が多ければ、それだけで受注範囲が広がるわけではありません。実際に問われるのは、相談を受けた時点で「この条件なら、どの会社を組み合わせれば対応できるか」を判断できるかどうかです。

この会社でも、案件を受けられるかは一律に決めていません。

「話があった段階で、対応できるチームを組めるかどうかを判断します。条件さえ合えば、いろいろな工事に対応します」

小規模な緊急工事であれば短期間で動ける一方、数千万円規模で数カ月にわたる工事の場合は、着工までに1〜2カ月程度の準備が必要になることもあります。必要な工種、工期、現場の場所、協力会社の空き状況によって、編成できるチームが変わるからです。

また、一式工事の任せ方も案件ごとに異なります。

  • 工種ごとに分離して、複数の協力会社へ発注する
  • 一社にまとめて任せ、対応できない工種だけ別の会社が補う
  • 複数社が同じ現場に入り、工程を調整しながら施工する

どの形が適切かは、工事内容と協力会社の力量によって変わります。無理に一社へまとめると品質や工程に不安が残り、細かく分離しすぎると自社の調整負担が大きくなります。

協力会社ネットワークの本当の課題は「何社知っているか」ではなく、「誰に何を任せ、誰が全体を調整するか」を案件ごとに決められるかです。

背景

専門業者をつなぐ工程管理と、現場で繰り返し組める関係性が受注範囲を支える構造

この体制が機能している背景には、自社が施工会社を集めるだけでなく、工事全体の調整役を担っていることがあります。

「電気なら電気会社、内装なら内装会社に頼みます。ただ、どちらが先に入り、誰が何をするのかは、こちらで打ち合わせをして工程を組み、スケジュールを管理します」

つまり、自社の役割はすべての工種を施工することではありません。専門業者が力を発揮できる順序と役割を整え、一つの工事として完成させることです。

ここで重要になるのが、協力会社同士の関係です。この会社では、同じ会社同士が別の現場でも顔を合わせることがあり、「あの現場でも一緒でしたね」と話せる関係ができています。お互いの進め方が分かっているため、初めて組む会社だけでチームをつくるよりも調整しやすくなります。

一方で、対応工種が増えるほど、少人数の経営側に管理業務が集中しやすくなります。協力会社への発注、工種間の引き継ぎ、工程変更への対応、仕上がりの確認まで、誰かが全体を見なければなりません。

協力会社を増やすほど施工能力は広がりますが、同時に調整する組み合わせも増えます。案件を選ばずに受け続ければ、売上が増えても管理負担や手直しが増え、利益が残りにくくなる可能性があります。

この会社が「売上の大きさより、利益が残るかを重視する」と話していたのも、協力会社を活用した経営では大切な視点です。

少人数で多工種に対応する会社の中核機能は、施工人数ではなく、協力会社の選定・チーム編成・工程調整・品質確認です。

解決

工種別の名簿ではなく、案件条件から逆算してチームを組む運用づくり

協力会社ネットワークを受注力に変えるには、協力会社を増やす前に「案件をどう見極め、どう編成するか」を決めておく必要があります。次の順番で整理すると、少人数でも判断しやすくなります。

1.自社が受ける工事の境界を明確にする

最初に整理したいのは、対応可能な工種の一覧だけではありません。どの条件なら一式で請けられるのかという境界です。

たとえば、次の項目を案件ごとに確認します。

  • 必要な工種と施工範囲
  • 一式発注か、工種ごとの分離発注か
  • 着工までに確保できる準備期間
  • 工期中に必要となる人数
  • 現場エリアと移動・宿泊条件
  • 工程管理を自社で担えるか
  • 協力会社への発注後に利益が残るか

短期工事と数カ月の大型工事では、必要な準備も管理負担も異なります。「何でもできます」と受けるのではなく、案件条件を見て、対応可能なチームを組めるかを判断することが受注の起点になります。

2.協力会社を工種だけで分類しない

協力会社の一覧を「電気」「内装」「設備」といった工種だけで管理すると、実際の発注時に判断しきれません。同じ工種でも、会社ごとに得意な規模や品質、対応速度が異なるからです。

少なくとも、次の観点で各社の特徴を整理しておくと使いやすくなります。

  • 対応工種と得意な施工内容
  • 対応しやすい工事規模
  • 短期工事や緊急工事への対応力
  • 数カ月の現場に入れる体制
  • 施工品質と確認が必要なポイント
  • 一式で任せられる範囲
  • 組みやすい協力会社
  • 過去に一緒に入った現場

協力会社の名簿を、連絡先一覧ではなく「案件に応じて選ぶための判断材料」に変えることが重要です。

3.一括発注と分離発注を使い分ける

チーム編成では、一社にまとめて任せる方法と、工種ごとに分ける方法のどちらが適しているかを判断します。

一社にまとめると、自社の連絡先が減り、工程調整もしやすくなります。一方、その会社が対応できない工種まで無理に任せると、再発注によって責任範囲が見えにくくなることがあります。

分離発注は、各工種に合った会社を選びやすい反面、自社が工種間の工程と引き継ぎを細かく管理する必要があります。

判断するときは、発注価格だけでなく、次の点まで含めて比べます。

  • 自社が調整に使う時間
  • 工種間の取り合いの多さ
  • 工程変更が起きたときの対応力
  • 不具合が出た場合の責任範囲
  • 完成までに必要な確認回数

発注先の数を減らすことではなく、工事全体の管理負担と品質リスクを抑えられる編成を選ぶことが判断軸です。

4.着工前に役割と工程の境目をそろえる

複数の専門業者が入る現場では、自社と各社の役割を着工前にそろえる必要があります。特に曖昧になりやすいのは、工種と工種の境目です。

誰がどこまで施工するのか、次の業者へどの状態で引き渡すのか、変更が出た場合は誰へ連絡するのかを確認します。工程表をつくるだけでなく、各社が入る順番と前後工程への影響まで共有することが大切です。

現場全体の窓口も明確にします。各社が個別に判断すると工程がずれやすいため、全体の変更を集約し、各社へ伝える役割を自社側に置きます。

5.品質は完成時だけでなく、工種間の引き継ぎ時に確認する

多工種の一式工事では、完成後にまとめて確認するだけでは、どの工程で問題が生じたのか分かりにくくなります。各工種の完了時と、次の業者へ引き渡す時点で確認するほうが、手直しを抑えやすくなります。

確認した結果は、次のチーム編成にも反映します。施工品質だけでなく、工程の守り方、変更時の連絡、他社との組みやすさも含めて整理すると、案件ごとの選定精度が上がります。

同じ会社同士が別の現場でも組めるようになると、毎回ゼロから関係をつくる必要がありません。協力会社同士の相性も施工力の一部として扱い、うまく機能した組み合わせを次の案件でも活用することが、ネットワークを強くします。

まとめ

正社員を増やさずに受注領域を広げるには、多数の協力会社とつながるだけでは足りません。

必要なのは、案件の規模、工種、工期、エリア、品質、管理負担、利益を見ながら、対応できるチームを組む力です。そのうえで、役割分担、工程の順序、工種間の引き継ぎ、品質確認までを自社がまとめます。

  • 自社が受けられる案件条件を明確にする
  • 協力会社を工種・規模・品質・対応力で整理する
  • 一括発注と分離発注を使い分ける
  • 着工前に役割と工程の境目をそろえる
  • 機能した会社同士の組み合わせを蓄積する

少人数経営で受注範囲を広げる鍵は、固定的な組織を大きくすることではなく、案件ごとに最適な施工体制を組み直せる仕組みを持つことです。

自社に合った協力会社体制を整理したい方へ

協力会社は増えてきたものの、「一式工事としてどこまで受けるべきか」「自社が担う管理範囲をどう決めるか」「案件ごとのチーム編成を仕組みにしたい」と悩むこともあると思います。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社ネットワークの整理や、少人数で多工種に対応するための業務設計についても、「うちの場合は何から整理すべきか」という段階から一緒に考えられます。

無理にサービスをおすすめすることはありません。ものづくりに集中できる体制をつくるための次の整理先として、気軽にお声がけください。

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