受注余力はある一方、9名ほどの職人では仕事を受け切れない型枠工事会社の現在地
佐賀県を中心に型枠工事を手がける、9名ほどの専門工事会社があります。地場の建設会社3社ほどを主要取引先とし、集合住宅や商業施設、医療施設など、物件を限定せず幅広く施工しています。
会社の強みは、元請けから難しい相談を受けても、できる限り応えようとする柔軟さです。
「多少無理を言われても、どうにか納めることを考えています」
こうした対応力が取引先からの信頼につながっています。人員が整えば、受注を増やせる見込みもあります。将来的には15名を超える体制が理想です。
一方で、採用した人が残り、型枠職人として戦力になるまでには時間がかかります。求人から応募が来ることもあり、知人経由の入社もあります。それでも若手は長く続かないことがあります。
「入ってくることは入ってくるんです。でも、若い人が続かないですね」
外仕事のため、特に夏場の暑さが離職のきっかけになっています。ただし、課題は採用や定着だけではありません。社長や熟練者が持つ施工技術を、入社した人へどう伝えるかも問われています。
人がいれば仕事を受けられる会社ほど、採用人数ではなく、定着して戦力になる人数を増やす仕組みが必要です。
なお、ここでいう技術継承は、後継者への事業承継ではありません。社長や幹部が持つ型枠施工の技術、判断、段取りを、次の職人へ渡していく取り組みです。
1週間で 18件の相談 がありました
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
社長や熟練者の頭の中にある施工技術を、若手が習得できる形にできていない状態
少人数の建設会社では、技術指導が現場任せになりやすいものです。若手は熟練者の隣で作業し、「見て覚える」「一緒にやりながら覚える」ことになります。
この方法自体が悪いわけではありません。型枠工事には、図面や文章だけでは伝えにくい感覚があります。現場の条件も一つひとつ違います。
ただ、教える内容や順番が決まっていないと、若手の成長が配属先に左右されます。ある現場では墨出しや加工まで経験できても、別の現場では補助作業が続くかもしれません。指導する職人によって、注意する点や仕事の進め方が異なることもあります。
若手本人も、自分がどこまでできるようになったのかをつかみにくくなります。教える側も、「前に説明したはず」「まだ一人では任せられない」と感じます。双方に悪気はなくても、認識がずれていきます。
技術継承の問題は、熟練者に教える力がないことではなく、何を、誰が、どの順番で教えるかが共有されていないことにあります。
入社人数だけを増やしても、この状態は変わりません。むしろ指導の負担が増え、熟練者が自分の施工と若手への説明に追われます。忙しい現場ほど教育が後回しになり、若手が補助作業から抜け出せない状況も生まれます。
その結果、人を増やしたのに受注余力が広がらない、ということが起こります。
幅広い物件への柔軟な対応が、技術と判断を個人に集めやすい少人数体制
この会社は、特定の物件だけを施工しているわけではありません。集合住宅から商業施設まで、依頼に合わせて幅広く対応しています。この柔軟さが強みである一方、施工判断を標準化しにくい背景にもなっています。
同じ型枠工事でも、現場条件や工程、他職種との取り合いは異なります。熟練者は図面と現場を見ながら、過去の経験をもとに段取りを組み替えます。どこを先に確認するか。どの納まりに注意するか。手戻りを避けるために誰と調整するか。こうした判断は、本人にとって当たり前になっているほど言葉にされにくいものです。
さらに、9名ほどの会社では、教育だけを担当する人を置く余裕はあまりありません。社長や幹部も現場を動かしています。日々の施工を止めて研修をするより、その日の工程を納めることが優先されます。
「人さえいれば、仕事は取っていけると思います」
この言葉の裏には、受注不足より供給体制が成長の制約になっている事情があります。ただし、ここでいう供給体制は、単純な在籍人数ではありません。一定の品質と納期を守り、自社の柔軟な対応を再現できる職人の体制です。
また、若手の早期離職には夏場の外仕事という身体的な要因もあります。技術継承の仕組みだけで、暑さによる離職をすべて解決できるわけではありません。そこは分けて考える必要があります。
それでも、若手が「何を覚えれば次に進めるのか」「自分はどこまで任されているのか」を理解できる状態は、定着と戦力化を考えるうえで重要です。
少人数の会社では、研修制度を大きくつくるより、普段の現場そのものを育成の場として設計することが現実的です。
技能の棚卸しから現場別の育成計画まで、小さく回す技術継承の仕組み
技術継承は、分厚いマニュアルづくりから始める必要はありません。日常業務を止めずに進めるなら、現在の仕事を材料にして、必要な技能を少しずつ見える形にしていく方法が向いています。
1.一人前に必要な技能を棚卸しする
最初に整理したいのは、「自社では、何ができれば一人前なのか」です。
型枠工事であれば、作業名だけでなく、任せられる状態まで分解します。たとえば、次のような粒度です。
- 図面から施工箇所と寸法を確認できる
- 必要な材料と数量を判断できる
- 加工から組立までを手順どおり進められる
- 精度や締付けなどの確認項目を理解している
- 他職種との取り合いを事前に確認できる
- 異常や判断に迷う点を、施工前に報告できる
すべてを一度に洗い出す必要はありません。まずは手戻りが起きやすい作業、熟練者しか任せられない作業、若手がつまずきやすい作業から始めます。
技能の棚卸しは、作業を並べるだけでなく「どの状態なら一人で任せられるか」まで決めることがポイントです。
2.習熟度を3〜4段階で見えるようにする
技能を整理したら、各職人の習熟度を簡単な表にします。評価を細かくしすぎると更新できなくなるため、最初は次のような段階で十分です。
- 説明を受けた
- 指導を受けながらできる
- 一人でできる
- 他の職人へ教えられる
この表があると、「何年働いたか」ではなく、「何を任せられるか」で成長を確認できます。次に経験させる作業も決めやすくなります。
評価は処遇を決めるためだけのものではありません。現場配置と育成のために使います。若手本人と月に一度など短時間で確認し、できるようになった項目と次に覚える項目をそろえると運用しやすくなります。
評価制度は完成度よりも、若手と指導者が次の課題を同じ言葉で確認できることを優先します。
3.写真・短い動画・チェックリストで標準化する
技術を文章だけで残そうとすると、作成にも閲覧にも時間がかかります。施工中の写真や短い動画を使ったほうが伝わりやすい作業も多くあります。
残す対象は、次のようなものです。
- 良い施工状態と、注意が必要な状態の写真
- 作業の手順が分かる短い動画
- 施工前に確認する項目
- 作業後に確認する寸法や精度
- 手戻りにつながりやすい注意点
- 熟練者へ確認すべき判断の境界線
重要なのは、すべての現場を同じ方法で施工することではありません。変えてはいけない基本と、現場条件に応じて判断する部分を分けることです。
チェックリストには、熟練者の判断そのものを置き換える役割はありません。確認漏れを減らし、若手が質問すべきポイントを分かるようにする役割があります。
4.指導担当者を決め、教え方のばらつきを抑える
「手が空いた人が教える」という状態では、指導の責任が曖昧になります。若手一人につき、育成状況を確認する担当者を一人決めたほうが進めやすくなります。
担当者がすべてを教える必要はありません。別の熟練者と現場に入る場合でも、どの作業を経験したか、どこでつまずいたかを担当者へ戻します。
指導担当者を選ぶ際は、施工技術の高さだけでなく、次の点も見ます。
- 若手の質問を受け止められるか
- 作業の理由を短く説明できるか
- できた点と改善点を分けて伝えられるか
- 現場の工程と育成を両方見られるか
教える負担を一人へ集中させないことも大切です。社長や熟練者がそれぞれ違う内容を教える場合でも、技能表とチェックリストを共通の土台にします。
5.現場ごとに「何を覚える現場か」を決める
若手の育成は、会社全体の年間計画だけでは動きにくいものです。現場へ入る前に、その現場で経験させる技能を一つか二つ決めます。
たとえば、「今回は加工を一人で進める」「この現場では施工前確認を担当する」といった形です。工程に余裕がない現場で、新しい作業をいくつも任せる必要はありません。
現場の難易度や工期、指導できる職人の配置を見ながら、任せる範囲を決めます。終了後は5分でもよいので、できたことと次回の課題を記録します。
育成計画は現場とは別につくるのではなく、各現場で一つずつ任せられる仕事を増やす形にすると続けやすくなります。
進める順番は、事業への影響度で決める
最初から全技能を標準化しようとすると、現場が止まりかねません。取り組む順番は、次の3つで判断します。
- その技能を持つ人が社内に何人いるか
- できる人が不在になったとき、受注や施工にどれだけ影響するか
- 若手が習得するまでにどれくらい時間がかかるか
社長しかできない判断、熟練者一人に集中している作業、手戻りや品質に直結する工程から優先します。1か月に一つの作業を整理するだけでも、半年後には会社の技術資産が見えるようになります。
まとめ
受注余力がある専門工事会社では、人員不足が成長のボトルネックになりやすくなります。ただし、採用した人数がそのまま施工力になるわけではありません。
若手が定着し、任せられる仕事を増やして初めて、受けられる工事の幅が広がります。そのために必要なのは、大がかりな研修施設や分厚いマニュアルではありません。
- 一人前に必要な技能を棚卸しする
- 習熟度を段階で見えるようにする
- 写真・動画・チェックリストで基本を残す
- 若手ごとに指導担当者を決める
- 現場ごとに習得する技能を設定する
- できるようになった仕事を段階的に評価する
この流れを、日々の現場の中で小さく回していきます。
技術継承とは、熟練者の技をすべてマニュアル化することではなく、若手が次に何を覚え、どこまで任せられるかを会社で共有することです。
社長や幹部が積み上げてきた施工技術を会社の力として残せれば、採用した若手が育ちやすくなります。人を増やすことが、受注力の向上へつながる体制もつくりやすくなります。
自社に合う技術継承の進め方を整理したい方へ
技術継承を始めようとしても、「どの技能から棚卸しすべきか」「現場を止めずにどう進めるか」「誰を指導担当にするか」で迷うことがあります。会社の人数、施工領域、熟練者の配置によって、適した進め方は異なります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。技術継承や教育体制について、まだ課題が明確になっていない段階でも構いません。
「うちの場合は何から整理すればよいか」というところから、一緒に状況を確認できます。無理にサービスを勧めることはありませんので、社内だけでは整理しにくいときの相談先としてご活用ください。





























