首都圏で30名弱を抱える内外装会社が、施工力はあるのに受注の波に悩んでいる状態
首都圏のある専門工事会社では、内装・外装を中心に、防水や周辺工種まで一定範囲で対応できる体制を持っていました。年商は6億円弱。自社職人に加え、優先的に動いてくれる協力会社もあり、集合住宅や大型物件の経験もあります。
特徴的だったのは、施工力そのものには大きな不安がないことです。担当者の言葉でも、「人数は集められます。どんな工事でも、ある程度は対応できます」という感覚がありました。
一方で、今年に入って人員を増やしたことで、経営の見え方が変わってきています。
施工力を増やした会社ほど、次に必要になるのは“仕事を取る力”ではなく、“人を遊ばせない受注の組み方”です。
小さい案件を拾えば売上は立ちます。けれど、手配も増えます。段取りも細かくなります。現場ごとの管理も重くなります。だからこそ、単に件数を増やすのではなく、法人顧客から中長期で任される大型案件をどう増やすかが論点になります。
1週間で 19件ダウンロード されました
- 7月16日外構工事会社東京都
- 7月16日塗装工事会社大阪府
- 7月16日内装工事会社群馬県
- 7月16日総合建築岐阜県
- 7月15日工務店東京都
- 7月15日内装工事会社神奈川県
- 7月15日塗装工事会社奈良県
- 7月15日内装工事会社鳥取県
- 7月14日配管工事会社高知県
- 7月14日配管工事会社広島県
- 7月14日防水工事会社神奈川県
- 7月12日配管工事会社京都府
- 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
- 7月12日リフォーム会社茨城県
- 7月11日総合建築福島県
- 7月11日総合土木大阪府
- 7月11日造園会社愛知県
- 7月11日外構工事会社茨城県
- 7月10日電気設備工事会社京都府
- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
既存取引先の工程ずれで1ヶ月空くと、職人を遊ばせないために小口案件を拾わざるを得ないこと
この会社の悩みは、受注がないことではありません。むしろ、一定の取引先はあります。大手企業や地場の会社との付き合いもあり、そこから派生した案件も入ってきます。
ただ、大手案件には別の難しさがあります。工程がずれることです。
「大手のデメリットでもあるんですが、工程がずれると補わないといけないんです。直前に変わって、1ヶ月空きます」
この一言に、職人を抱える会社のリアルがあります。
外注中心なら、仕事が薄い時期は発注量を絞れます。しかし、自社職人を増やした会社ではそうはいきません。人件費は固定費に近くなります。空いた1ヶ月を埋めるために、小さい会社や個人オーナーの案件を取りに行く。すると、今度は手配業務が増えます。
問題は“小口案件が悪い”ことではなく、“空きを埋めるための小口案件”が増えると、現場管理と手配に時間を取られ、利益が残りにくくなることです。
担当者も「個人オーナーさんから仕事をもらいたくないわけではないけど、ちゃんとした法人さんから長い付き合いで仕事をもらった方が、お金も回る」と話していました。
受注の量だけではなく、受注の質を変えたい。ここが今回の本質です。
自社職人と協力会社を抱えた会社は、キャパぴったりの受注ではなく余力を吸収できる案件量が必要になる
この会社は、内装だけでなく外装、防水、周辺工種まで対応できる幅を持っていました。設備系の一部は弱いものの、それ以外はかなり広く受けられる。協力会社のネットワークもあり、急な人員手配にも対応できる力があります。
そのため、経営側の感覚としては「キャパオーバーになるくらい取っておいても、外注できる人はいる」という見方になります。
これは乱暴な拡大志向ではありません。職人を抱える会社としては自然な考え方です。
自社職人を増やした会社にとって一番避けたいのは、仕事を取りすぎることよりも、施工できる人がいるのに現場がない状態です。
もちろん、無計画に受注を増やせば品質や安全に影響します。だから、重要なのは「どこまでなら協力会社を含めて吸収できるのか」を数字で持つことです。
たとえば、次のような整理が必要になります。
- 自社職人だけで確実に回せる月間施工量
- 協力会社を含めて対応できる最大施工量
- 急な工程ずれが起きたときに差し替えられる案件の種類
- 手配負荷が高すぎる小口案件の割合
- 利益率は低くても関係構築上、残すべき案件
この整理がないまま営業を強めると、「忙しいのに儲からない」状態になりやすくなります。
一方で、この会社には大型案件を取りに行く理由がありました。過去にタワーマンションや大規模集合住宅の経験があり、「小さい規模より大きい物件の方が好き」という現場感もあります。大型物件に対する心理的な抵抗が少ない。これは大きな強みです。
大型法人案件を増やすには、営業先を広げる前に“どの空きを埋めたいか”から逆算すること
大型案件を取りに行くとき、最初に考えたいのは「どの会社に営業するか」ではありません。先に整理すべきなのは、どの空きを埋めたいのかです。
営業先選定は、会社の施工キャパと空きやすい時期から逆算すると精度が上がります。
今回のような会社であれば、営業先は大きく3つに分けて考えられます。
1つ目は、マンション管理会社やビル管理会社です。修繕・改修が中心になりやすく、継続的な関係を作りやすい領域です。担当者も「専属でやらせていただけるなら、力は最大限に発揮できる」と話していました。件数は爆発的に多くなくても、定期的に相談が来る関係を作れれば、職人の稼働を安定させやすくなります。
2つ目は、賃貸住宅や集合住宅を継続的に扱う法人です。新築・改修の両方があり、既存の施工実績とも近い領域です。すでに集合住宅の経験がある会社なら、実績の見せ方を整えることで、初回接点の説得力が出やすくなります。
3つ目は、大手ゼネコンや大手デベロッパー系の案件です。物件規模は大きい一方で、参入障壁も高くなります。いきなり本体へ入るより、関連会社、協力会社、部署単位の接点から実績を積み、上のレイヤーに上がっていく方が現実的です。
ここで大切なのは、全部を同じ温度で追わないことです。
大型案件の営業は、“取れそうな先”ではなく、“自社の職人稼働を安定させる先”を優先する方が長続きします。
進め方としては、次の順番が現実的です。
まず、直近1年の案件を並べます。案件名ではなく、規模、工期、粗利、必要人数、手配負荷、工程ずれの有無で整理します。すると、「売上は大きいが工程ずれが大きい案件」「小さいが利益は残る案件」「手配が重いわりに残らない案件」が見えてきます。
次に、理想の受注割合を決めます。たとえば、大型の法人案件を柱にし、管理会社系の修繕で谷を埋め、既存の小口案件は関係性や利益率で残すものだけに絞る。こうした組み合わせを作ります。
最後に、営業資料を“施工できます”ではなく“任せると何が楽になるか”に変えます。
この会社の強みは、人数を集められること、内外装に加えて周辺工種も一定範囲で見られること、協力会社を含めた対応力があることでした。ならば営業先には、次のように伝えるべきです。
- 工程ずれが起きたときも、一定の人員調整ができる
- 内装だけでなく、周辺工種の相談も受けられる
- 小規模な補修より、集合住宅やまとまった改修に強い
- 自社職人と協力会社を組み合わせて、現場に合わせた体制を組める
大型法人案件で選ばれる会社は、単に安い会社ではなく、発注側の手間と不安を減らせる会社です。
その意味では、施工力を営業資料に翻訳することが重要です。現場で当たり前にできていることほど、外からは見えません。人数を集められる。複数工種を見られる。急な相談に対応できる。こうした強みを、発注者のメリットとして言語化する必要があります。
まとめ
職人を増やした会社が次にぶつかるのは、採用ではなく受注設計です。
仕事がないわけではない。施工力もある。協力会社もいる。それでも、既存取引先の工程ずれで1ヶ月空くと、人を遊ばせないために小口案件で埋めることになる。ここに利益が残りにくい構造があります。
次に考えるべきことは、営業件数を増やすことではなく、職人の稼働を安定させる案件ポートフォリオを作ることです。
大型の法人案件を柱にする。管理会社系の修繕で谷を埋める。小口案件は利益率と手配負荷を見て選ぶ。協力会社を含めたキャパを数字で持つ。そこまで整理できると、「どこに営業するべきか」がかなり明確になります。
受注を増やすこと自体は目的ではありません。自社職人が力を発揮でき、協力会社にも仕事を回せて、会社に利益が残る受注の形を作ることが目的です。
自社の施工力をどう法人案件につなげるか整理したいときは
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで、建設業の経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちはどの営業先を優先すべきか」「今の職人体制だと、どのくらい受注を持つべきか」「大型案件を取りに行く前に資料や実績をどう見せればよいか」といった段階でも大丈夫です。
ものづくりに集中できる建設業界へ。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてご相談ください。































