前提

15名規模の電気通信工事会社が、約8年後の代表交代を見据えて進める承継準備

関西圏で電気通信工事などを手がける、社員15名ほどの建設会社があります。役員が2名、管理者が5名ほど在籍し、その下に現場リーダーと40〜50社ほどの協力会社がつく体制です。

創業者である代表は、現場の職人から一人で会社を立ち上げました。創業から数年で社員数を50名近くまで増やした時期もありましたが、現在は規模の拡大を追わず、利益を継続して確保できる体制を重視しています。

代表自身はすでに現場や個別事業の指揮から離れています。採用や事業運営の判断は管理者に任せ、自身は社員のマネジメントやケア、意欲を引き出す役割に軸足を移しています。

そして、代表を退く時期も決めています。

「あと8年ほどで代表を退く予定です。そのときに、承継したいと思ってもらえるのか。難しければ、第三者への譲渡も選べる会社にしておきたいです」

代表交代の時期が決まっていても、後継者が決まっていなければ、準備すべきことは候補者の指名だけではありません。誰が引き継いでも経営できる状態をつくることが、承継準備の中心になります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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課題

後継候補はいても、経営を任せられるかと本人が引き継ぎたいかはまだ分からない状況

この会社には、30代前半を中心に今後の経営を担う候補者がいます。ただし、現時点で「次の代表はこの人」と決めているわけではありません。

「候補はいますが、誰とは決めていません。今は教育している最中です」

ここで分けて考えたいのが、会社から見た適性本人の承継意思です。

管理者として現場や人員を動かせることと、代表として会社全体の収益、組織、取引関係を背負うことは同じではありません。会社側が後継者にしたいと考えても、本人が代表就任を望むとは限りません。

一方、本人に意欲があっても、日常の判断が代表に集まったままでは、実際に経営を担えるかを見極めにくくなります。

この会社では、すでに管理者が採用を含む各部門の優先順位を判断しています。代表が細かく指示するのではなく、「今後経営する人たちが考えること」として任せている点は、承継準備として大きな土台です。

ただし、権限を委ねるだけでは十分ではありません。何を任せ、どのような結果や判断過程を見て後継候補を評価するのかを決めておかないと、育成と見極めが曖昧なまま時間だけが進みます。

背景

創業者の経験で成り立ってきた経営を、管理者が再現できる形へ変える必要性

建設会社の承継が難しくなりやすい背景には、代表の頭の中に経営判断の基準が蓄積していることがあります。

この会社も、代表が職人として独立し、一人から組織をつくってきました。社員が社員を紹介する形で50名近くまで増えた経験があり、その後は規模を絞り、現在の管理者中心の体制へ移行しています。

取引についても、単純に売上を増やすのではなく、会社が動きにくくなる関係は避ける方針です。工事を受注する際も、将来の選択肢を狭めない取引構造を意識しています。こうした判断には、代表が長年の経営で得た経験が反映されています。

さらに、電気通信工事だけに依存せず、複数の事業を並行して育てています。各事業を完全に切り離せる段階ではなく、社員同士が協力して進めている状況です。

このような会社では、後継者に必要なのは工事の知識だけではありません。

  • 利益を残せる仕事かを判断する力
  • 管理者や現場リーダーに役割を任せる力
  • 協力会社との関係を維持する力
  • 複数事業の優先順位を整理する力
  • 会社を大きくすること自体を目的にしない判断力

これらを代表一人の感覚に残したままでは、社内承継でも第三者への譲渡でも引き継ぎにくくなります。

承継準備の本質は、創業者と同じ人物を探すことではなく、創業者が担ってきた判断を分解し、組織として再現できる状態に変えることです。

解決

経営判断を段階的に委ねながら、社内承継と第三者承継の両方を残す進め方

最初に整理したいのは、「誰に継がせるか」よりも「何を引き継ぐか」です。代表の仕事を一つの大きな役割として扱わず、現在担っている判断を分けていきます。

この会社であれば、すでに日常の事業判断は管理者へ移っています。次は、利益、組織、取引関係といった会社全体に関わる判断を、どこまで候補者へ委ねられるかが焦点になります。

1.経営判断を段階ごとに分ける

いきなり代表権を渡すのではなく、判断の範囲を少しずつ広げます。

たとえば、現在管理者が担っている採用や事業運営の判断について、結果だけでなく「なぜその判断をしたか」まで確認します。そのうえで、複数部門にまたがる人員配置や利益の考え方など、より経営に近いテーマへ範囲を広げます。

見るべきなのは、代表と同じ答えを出せるかではありません。

  • 必要な情報を集めているか
  • 利益と現場負担の両方を見ているか
  • 周囲へ判断理由を説明できるか
  • 判断後の結果を振り返り、修正できるか

後継候補の見極めでは、判断の正解率だけでなく、情報収集、説明、振り返りまでを含む経営の進め方を見ることが重要です。

2.候補者の意思を早めに確認する

後継候補が複数いる場合、会社側だけで順位をつけても承継は進みません。本人がどのような責任を担いたいのか、代表就任を選択肢として考えられるのかを確認する必要があります。

このとき、「社長をやる気があるか」と一度だけ聞くより、経営判断を任せる過程で継続的に意思を確かめるほうが現実的です。実際の責任や仕事の範囲を経験しなければ、本人も判断できないためです。

承継意思は、役職を打診する時点で初めて確認するものではなく、権限移譲と並行して育て、確かめていくものです。

3.代表がいなくても説明できる会社にする

社内承継と第三者承継のどちらを選ぶ場合でも、会社の状態を第三者へ説明できることが欠かせません。

特に整理したいのは、次の4点です。

  • どの事業で利益を確保しているか
  • 役員、管理者、現場リーダーが何を担っているか
  • 主要な取引関係や協力会社との関係がどう成り立っているか
  • 代表個人に残っている判断や関係が何か

この会社は、すでに代表が現場から離れ、管理者が各部門を動かしています。これは属人化を減らすうえで有利な状態です。一方で、代表が人のケアやモチベーション維持を一手に担っているなら、その役割も引き継ぎの対象になります。

代表が現場に出ていないことと、代表への依存がないことは同じではありません。人のケアや最終判断を含め、代表が抜けたときに止まる機能を洗い出す必要があります。

4.社内承継だけに絞らず、会社の選択肢を増やす

後継候補が育ったとしても、本人が承継を望まない可能性はあります。反対に、第三者への譲渡を考えても、収益や組織、取引関係が代表個人に依存していれば、相手から見た引き継ぎの難度は上がります。

そのため、現段階でどちらか一方に決め切る必要はありません。

  • 社内では候補者へ経営判断を委ねる
  • 代表への依存を減らす
  • 収益と組織の状態を説明できるようにする
  • 代表交代までの節目を決める

この準備は、社内承継と第三者承継のどちらにも共通します。

後継者が未定の段階では、承継方法を決めることより、どの方法でも引き継げる会社に整えることが先です。

まとめ

代表を退く時期が決まっていることは、事業承継を進めるうえで大きな強みです。ただし、退任日だけでは準備の進捗を測れません。

まずは、現在代表が担っている判断と役割を分解します。そのうえで、管理者や後継候補へ段階的に委ね、判断の結果と進め方を確認します。同時に、本人の承継意思も確かめていきます。

社内の候補者が引き継ぐ場合でも、第三者へ会社を譲る場合でも、必要な準備の多くは共通しています。

「誰に継がせるか」が決まっていなくても、「誰が引き継いでも経営できる会社」に変える準備は始められます。代表交代までの期間は、後継者を待つ時間ではなく、会社の選択肢を増やす時間として使えます。

自社の承継準備をどこから始めるか整理したい方へ

事業承継は、後継者探しだけで完結する話ではありません。経営判断の移管、管理者の育成、収益構造、組織体制、取引関係などを横断して整理する必要があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合は社内承継がよいのか」「候補者へ何から任せればよいのか」「まだ承継方法を決められない」といった段階でも問題ありません。会社の現在地と代表交代までの期間を確認し、次に整理すべきことを一緒に考えます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、まずは状況の整理先としてご活用ください。

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