6名規模で内外装の改修工事を一式受注し、売上は伸びても社内体制が追いついていない会社
ある改修工事会社は、6名ほどの少数体制で、ビルや店舗の内外装改修を手がけています。内装の解体から仕上げ、外装の全面改修まで対応でき、工事規模は1,000万〜2,000万円前後が中心です。
「何屋さんかと聞かれると、説明が難しいんです」
そう話すほど対応範囲が広く、顧客から見れば、複数の工種をまとめて任せられる会社です。一度現場に入ると、その後も指定業者に近い立場で継続的に声がかかります。
強みの土台にあるのは、社長が大型物件で培ってきた品質基準です。改修工事でも新築に近い仕上がりを求め、安全や周囲への配慮まで含めて品質をつくってきました。協力会社に適正な対価を払い、一人親方や小規模業者を育て、顧客との打ち合わせや現場管理まで任せられる関係も築いています。
その結果、売上は通常なら4億円前後で安定し、繁忙時には5億円を超える水準まで伸びました。ただ、現在の体制で無理なく回せるのは4億円前後、負荷をかけても6億〜7億円ほどが上限だと見ています。
社長の中には、5年ほどで10億円規模へ進みたいという構想があります。一方で、すでに数年間にわたってキャパシティーを超える状態が続いています。
少数精鋭で伸びてきた会社が次に越える壁は、受注量ではなく、社長以外が現場を管理できる体制です。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
社長と一部社員へ顧客対応と現場管理が集中し、受注できる仕事まで抑えている状態
この会社には仕事がありませんでした。むしろ既存顧客からの依頼が多く、案件を選ばなければならない状態です。
「仕事を取りにいこうと思えばいけます。ただ、今の工事がタイトで、怖くて営業活動ができないんです」
短納期や急ぎの改修工事が重なるなか、新しい仕事を増やせば、品質や納期を守れなくなる可能性があります。そのため、依頼を断ったり、積極的な営業を控えたりしていました。
施工そのものは、強化してきた協力会社によって一定程度まで対応できます。問題は、仕事を受けた後に「誰が現場を見るのか」です。
社内では、一人が別事業の責任者を務めています。女性社員は事務全般に加えて、ビルの原状回復工事も担当しています。別の30代社員も現場を見ていますが、採算面では数百万円単位の損失を許容しながら育てている段階です。
「現場はそれなりに見てくれます。ただ、やりたくない仕事をやらないこともあるんです」
任せたい気持ちはあっても、任せた結果として損失が増えれば、社長が再び現場へ入らざるを得ません。社員に経験を積ませなければ育たず、任せすぎれば品質や利益に影響する。この間で判断が難しくなっています。
ボトルネックは人数だけではありません。誰に、どの現場を、どこまで任せ、どの時点で社長が確認するかが決まっていないことです。
社長の品質基準が会社の信用をつくる一方、その基準と判断が十分に分解されていないこと
社長依存は、社長が仕事を抱え込みたいから生じているわけではありません。会社が評価されてきた理由が、社長自身の経験と判断に深く結びついているためです。
この会社では、仕上がりだけでなく、安全、周辺への配慮、顧客との調整まで含めて工事品質を考えています。現場ごとに条件が異なる改修工事では、図面や手順書だけで判断できない場面も少なくありません。
だからこそ、社長が現場から完全に離れると不安が残ります。一方で社長は、「意外と僕がやらないほうが育つこともある」とも感じています。
実際、協力会社の一部は、顧客との直接打ち合わせや現場管理まで担当しています。小規模な業者を引き上げ、その業者がさらに複数のチームをまとめる形もでき始めています。つまり、任せられる人がまったくいないわけではありません。
課題は、育成が個別対応になっていることです。社長が現場の状況を見て、その都度「ここまで任せる」「今回は自分が入る」と判断していると、本人以外には任せ方の基準が分かりません。
また、現場管理者に期待する役割も広くなりがちです。顧客との打ち合わせ、協力会社の編成、工程の管理、品質と安全の確認、急な変更への対応まで、すべてを一度に任せようとすると、候補者側の負担も大きくなります。
社長が手放すべきなのは「現場」そのものではなく、分解できる定型判断と、一定条件の中で任せられる管理業務です。
業務と権限を分け、損失の上限を決めながら現場管理を段階的に任せる仕組み
最初に行いたいのは、社長と社員、協力会社が現在担っている業務の棚卸しです。組織図をつくるより先に、実際の現場で誰が何を判断しているかを並べます。
この会社であれば、少なくとも次の業務に分けて整理できます。
- 顧客との事前打ち合わせ
- 現場条件と工事範囲の確認
- 協力会社と施工チームの編成
- 工程の調整と急な変更への対応
- 施工品質と安全の確認
- 顧客への進捗共有
- 完了時の確認と手直し対応
それぞれについて、「社長しかできない」「確認があれば任せられる」「すでに任せられる」の3段階に分けます。重要なのは、人を先に評価するのではなく、仕事を分けることです。
社長依存を減らす第一歩は、社長の仕事量を減らすことではなく、社長しかできない判断を特定することです。
任せる範囲は現場の難易度に合わせて変える
現場管理者の候補に、最初から一式工事をすべて任せる必要はありません。任せる現場は、次の条件から選ぶと進めやすくなります。
- 過去にも施工したことがある顧客や施設か
- 工事内容が既存案件に近いか
- 緊急対応や変更が起こりやすいか
- 協力会社との関係ができているか
- 問題が起きたときに社長が支援できるか
- 赤字が出た場合に会社が許容できる範囲か
慣れた顧客、慣れた工種、関係の深い協力会社という条件がそろう現場から任せれば、品質と損失の振れ幅を抑えられます。反対に、新規顧客、短納期、複数工種、変更の多い現場をいきなり任せると、本人の能力とは別の要因でつまずきやすくなります。
「同行」「部分担当」「現場責任者」の順で権限を広げる
育成は、役職を付けて一気に任せるより、権限を段階的に広げたほうが実務に合います。
- 同行段階:本人が顧客との打ち合わせ内容や社長の判断理由を記録する
- 部分担当段階:協力会社の調整や進捗共有など、担当範囲を限定して任せる
- 確認付き責任者段階:現場全体を担当し、節目だけ社長が確認する
- 例外報告段階:通常判断は本人に任せ、変更や問題が起きた場合だけ報告する
ここで必要なのは、社長の確認回数を増やし続けることではありません。確認するタイミングをあらかじめ決めることです。着工前、工程変更時、完了前など、会社の工事に合った節目へ絞ります。
育成とは失敗をゼロにすることではなく、大きな損失になる前に確認できる範囲で判断経験を増やすことです。
損失額だけでなく、損失が生まれた工程を見る
育成中の社員が年間で数百万円の損失を出している場合、単に「赤字を出した」と評価すると、本人も会社も次の改善点をつかめません。
確認したいのは、どの段階で採算が崩れたかです。顧客との工事範囲の確認だったのか、協力会社の編成だったのか、工程変更への対応だったのか、手直しだったのかを分けます。
評価も、最終利益だけでなく、次の観点を併せて見ます。
- 品質と安全を守れたか
- 顧客への報告が適切だったか
- 協力会社へ明確な指示を出せたか
- 問題を抱え込まず、決めた時点で報告できたか
- 同じ原因の損失を繰り返していないか
損失を育成費として許容するなら、上限と期間も決めておきます。許容額を超えた場合は担当範囲を戻し、原因を整理してから再度広げます。任せ続けるか、すべて取り上げるかの二択にしないことが大切です。
採用と内部登用は「不足している役割」で判断する
中堅の現場管理者を採用するか、既存社員や協力会社から育てるかは、人数だけでは決められません。
既存社員が会社の品質基準を理解しており、課題が経験不足や確認方法にあるなら、内部登用の余地があります。顧客との打ち合わせまで担っている協力会社も、役割と責任を明確にすれば、管理体制の一部を担える可能性があります。
一方で、社内に育成を受け持つ時間がなく、すぐに複数現場を管理する必要があるなら、経験者採用を優先する判断もあります。ただし、経験年数だけで採用すると、自社の品質基準や協力会社との関係づくりが合わないこともあります。
採用時には、「現場管理経験があるか」だけでなく、次の点まで確認したいところです。
- 改修工事の変更や緊急対応を経験しているか
- 顧客と直接調整できるか
- 小規模な協力会社をまとめられるか
- 品質、安全、採算を同時に見られるか
- 自分で判断する範囲と、報告すべき範囲を分けられるか
内部登用か経験者採用かは、誰が優秀かではなく、会社に不足している判断経験を誰が最も早く補えるかで決めます。
まとめ
少数精鋭の建設会社では、施工を担う協力会社を増やすだけでは売上の壁を越えられません。顧客対応や現場管理を担う人が増えなければ、社長の時間が受注上限になります。
今回の会社も、協力会社の施工体制は整いつつあり、仕事の引き合いもあります。それでも営業へ踏み出せないのは、受注後の管理責任が社長と一部社員へ集中しているためでした。
進め方は、次の順番が現実的です。
- 社長、社員、協力会社の業務と判断を棚卸しする
- 社長しかできない判断と、確認付きで任せられる仕事を分ける
- 慣れた顧客と工種から段階的に任せる
- 損失の上限と確認時点を決める
- 不足する役割を内部登用と経験者採用のどちらで補うか判断する
成長の壁を越える鍵は、社長の代わりを一人探すことではありません。社長が担ってきた判断を分け、複数の人が再現できる形へ変えることです。
自社の現場管理体制をどこから整理するか迷ったときは
社長がどの仕事を手放すべきか、既存社員を育てるべきか、それとも現場管理者を採用すべきかは、会社の工事内容や顧客構成、協力会社との関係によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合はどう分ければよいか」「何から整理すべきか分からない」という段階でも問題ありません。
無理にサービスを勧めることはありません。まずは、現在の業務分担や現場管理の詰まりを一緒に整理するところからお話しできます。































