前提

年間400〜500件の工事を手がけ、住宅と工場・倉庫で求められる利益率が異なる会社の現在地

兵庫県で住宅、工場、倉庫の新築・改修を手がける、年商10億円前後の建設会社があります。年間の工事件数は、小規模なものから大型案件まで含めて400〜500件ほどです。

住宅では競合との価格勝負になりやすく、20%を切る利益率でなければ受注が難しい案件もあります。一方、工場や倉庫では20%台の利益率を確保できる案件があります。さらに、1億円を超える大型工事が入ると、その採算が全社の利益率を大きく動かします。

経営者の言葉を借りれば、「1億円、2億円の物件の利益率が高ければ、ほかの小さい工事も全体ではならされる」という状態です。

工事件数が多い会社ほど、案件ごとの利益率を単純に平均するのではなく、売上規模で重みづけした全社採算を見る必要があります。 全社の粗利率は、各工事の粗利率の平均ではなく、全工事の粗利額を全社売上高で割って把握するのが基本です。

なお、ここで扱う「案件ごとの利益率」は、売上高から工事原価を差し引いた粗利率を指します。会社全体の営業利益率とは分けて管理すると、現場ごとの採算と全社の経費構造が混ざりません。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
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課題

住宅は15%前後、工場・倉庫は20%台という違いを一律目標で管理できない難しさ

全案件に「粗利率20%以上」といった一律の目標を課しても、実際の受注環境とは合わないことがあります。

住宅は競合が多く、15%前後でも受注する意味がある一方、工場や倉庫では20%台を確保しやすい。この違いを無視すると、住宅では見積もりが通らず、工場や倉庫では本来取れたはずの利益を逃す可能性があります。

この会社でも、「住宅は15%でもよいが、倉庫系は20%台を基準にする」という考え方が出ていました。ただし、それも絶対条件ではありません。発注者との関係や競争状況によって、毎回同じ利益率を確保できるわけではないからです。

管理すべきなのは、全案件を同じ利益率にそろえることではなく、案件ごとに異なる採算を組み合わせ、全社で必要な粗利額を残すことです。

そのため、受注判断では利益率だけでなく、少なくとも次の3点を一緒に見る必要があります。

  • その案件でいくらの粗利額が残るか
  • 全社売上に占める案件の割合はどの程度か
  • 同じ時期に高利益率の案件をどれだけ確保できているか

小規模工事の利益率が数ポイント変わる場合と、1億円を超える工事の利益率が数ポイント変わる場合とでは、全社に与える影響がまったく異なります。大型案件ほど、受注前の採算確認と完工後の検証を厚くする必要があります。

背景

500件近い小規模工事の数字より、1億円超の大型案件が全社採算を左右する収益構造

採算管理が難しくなる背景には、工事件数の多さと案件規模のばらつきがあります。

数百万円規模の改修工事が多数ある一方で、1億円、2億円規模の工事もある会社では、件数だけを見ても全社の収益構造はつかめません。小規模工事の多くで目標利益率を達成していても、大型案件が薄利になれば全社利益率は下がります。反対に、大型案件で高い利益率を確保できれば、小規模案件のばらつきを吸収できます。

また、工事ジャンルによって価格の決まり方も異なります。住宅は競合との比較が強く働きますが、工場や倉庫では施工実績、納期対応、報告・連絡・相談を含む信頼関係が受注判断に影響します。そのため、同じ会社の工事であっても、適正な利益率は一つではありません。

「売上を取っても、金が残らなければ意味がない」という言葉は、この構造を端的に表しています。ただし、利益率だけを追って受注機会を失うのも現実的ではありません。新しい発注者との接点をつくるため、初回工事では利益率を抑える判断もあり得ます。

薄利案件そのものが問題なのではなく、なぜ薄利で受けるのか、どの案件で補うのかが決まっていない状態が問題です。 案件単体の採算と、全社の案件構成を同時に見られる仕組みが必要になります。

解決

工事ジャンル別の基準利益率と粗利額、売上構成比を一つの受注表で管理する進め方

最初に行いたいのは、過去の案件を工事ジャンルと規模で分け、実績に基づく基準利益率を置くことです。一律の目標ではなく、受注環境の違いを反映した基準にします。

今回のような会社であれば、次のような区分が考えられます。

  • 住宅の新築・改修
  • 工場の新築・改修
  • 倉庫の新築・改修
  • 小規模工事
  • 1,000万〜2,000万円規模の工事
  • 1億円を超える大型工事

各区分には、「目標利益率」だけでなく、「通常受注できる基準利益率」と「例外的に許容する最低利益率」を設定します。住宅は15%前後、工場・倉庫は20%台というように、まずは過去の実績から仮置きすれば十分です。

次に、見積もり段階で以下の項目を一つの表にまとめます。

  • 受注予定額
  • 予定原価
  • 予定粗利額
  • 予定粗利率
  • 工事ジャンルと案件規模
  • 競合状況
  • 全社売上に占める割合
  • 基準を下回って受注する場合の理由

受注判断では「利益率が何%か」だけでなく、「粗利額がいくら残り、全社採算をどれだけ動かすか」を確認します。 特に大型案件では、売上構成比が高いため、予定原価のわずかなずれも全社利益に響きます。

薄利案件を許容する場合は、例外条件を明文化しておくと判断がぶれにくくなります。たとえば、初回取引で次の見積もり機会につながる案件なのか、一定の粗利額は確保できるのか、同時期の工場・倉庫案件で全社粗利を補えるのか、といった条件です。

一方、競争が比較的緩やかで、過去の実績や信頼関係を評価されている工場・倉庫案件では、安易に住宅と同じ利益率まで下げないことが重要です。薄利を許容する案件と、高い利益率を確保すべき案件を分けることで、値付けに経営判断を反映できます。

受注後は、予定と実績の差を案件ごとに検証します。すでにAIなどを使って物件別の検証を始めている会社もありますが、重要なのはツールよりも、同じ項目で記録を積み上げることです。

  1. 見積もり時に予定粗利額と予定粗利率を登録する
  2. 完工後に実際の売上、原価、粗利を確定する
  3. 予定との差が生じた工事をジャンル・規模別に確認する
  4. 蓄積した実績から基準利益率を見直す
  5. 全社の売上構成比と粗利額を月次または四半期で確認する

この流れを続けると、「住宅はどこまでなら利益率を下げられるか」「工場・倉庫では何%を確保すべきか」「大型案件を何%で受けると全社目標に届くか」が、自社の数字で判断できるようになります。

まとめ

多数の小規模工事と一部の大型工事が混在する建設会社では、一律の利益率目標だけで全社採算を管理するのは難しいものです。

全社の利益率を安定させる鍵は、工事ジャンル・案件規模・競争環境ごとに基準を分け、利益率、粗利額、売上構成比を一緒に見ることです。

住宅のように競争が強い工事では、一定の薄利を許容する場面があります。一方、工場や倉庫のように20%台を確保しやすい工事では、全社の利益を支える役割を明確にします。さらに、1億円を超える大型案件は全社への影響が大きいため、受注前後の検証を厚くします。

最初から精密な基準を作る必要はありません。過去案件を数種類に分け、現在の実績から基準利益率を仮置きし、完工後の結果で更新していく。それだけでも、経験や感覚に加えて、数字を根拠に受注を判断しやすくなります。

目指すのは、すべての工事で同じ利益率を取ることではなく、受注する案件の組み合わせによって、全社で必要な利益を残せる状態です。

自社の工事構成に合う利益基準を整理したいときに

住宅、工場、倉庫など複数の工事を扱っていると、どの区分で基準利益率を設定すべきか、薄利案件をどこまで許容すべきかは会社ごとに異なります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理を、案件別採算、工事構成、原価管理、現場運営まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は何から数字を分ければよいか」という段階でも問題ありません。状況を伺ったうえで整理し、無理にサービスを勧めることはありません。

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