前提

3年先まで現場は見えていても、夏から秋に仕事の谷が生まれる内装工事会社

関東圏で軽量下地や内装仕上げを手がける、売上高6,000万円から1億円ほどの専門工事会社があります。大手ゼネコンなどからの受注が中心で、向こう2〜3年の現場もある程度見えていました。

一方、年間を通して均等に仕事が入るわけではありません。特に8月から10月ごろは現場が薄くなり、売上にも波が出ます。

「大きく会社を広げたいというより、仕事が薄くなる時期を埋めたい」というのが、新規開拓を考えた理由でした。

この場合、営業の目的は売上の最大化ではありません。年間売上の下振れを抑えるために、既存現場と工程が重ならない仕事の相談先を増やすことが目的です。

目的が違えば、狙う会社も変わります。大型案件を持つ大手企業だけを追うより、自社の商圏内で継続的に分離発注している会社との接点を増やすほうが、安定受注にはつながりやすくなります。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
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課題

営業候補が約600社あっても、自社工種を発注しない会社では受注につながらないこと

対象エリアと建設関連業種だけで企業を抽出すると、候補は約600社に上りました。しかし、会社数が多いことと、営業先が多いことは同じではありません。

例えば、公共施設の改修を受注していても、内装工事を自社施工していれば発注先にはなりません。反対に、社員は施工管理を中心に担当し、実施工を協力会社へ分離発注している会社であれば、見積もりに呼ばれる可能性があります。

同じ「内装工事会社」でも、取引構造は異なります。

  • 自社職人で施工まで完結する会社
  • 内装一式で受注し、軽量下地やクロスなどを分離発注する会社
  • 元請けとして学校、病院、工場の改修を受注する会社
  • 管理を中心に行い、施工は協力会社を活用する会社
  • 自社と同じ立場で、同じ元請けから仕事を受けている会社

このうち営業対象になるのは、基本的に自社の工種を外部へ発注する立場にある会社です。所在地や売上規模だけでリストを作ると、発注権のない会社や競合に近い会社まで含まれてしまいます。

手当たり次第に電話をかけても、営業量は増えます。しかし、自社に合う案件の相談は増えにくいままです。営業先の選定では「何を施工している会社か」より、「受注した工事をどのように発注している会社か」を見る必要があります。

背景

既存取引との重複や企業規模によって、協力会社として入りやすい相手が変わること

候補企業を確認していくと、過去に取引した会社、現場で一緒になった会社、名前を知っている会社が複数含まれていました。また、既存の元請けと取引関係が重なり、新たにつながっても受注経路がほとんど変わらない会社もありました。

そのため、営業先は次の順番で整理する必要があります。

  1. 自社が対応できる施工分野か
  2. 無理なく動けるエリアか
  3. 自社工種を分離発注しているか
  4. 既存取引先や既存案件と重複していないか
  5. 協力会社として入りやすい企業規模か
  6. 過去の取引や現場接点を再活用できないか

今回の会社では、自社と同程度の売上規模の会社より、売上高3億円前後から10億円ほどで、内装一式や公共施設の改修を受注する会社のほうが候補になりました。自社と同規模だと受注階層や役割が近く、仕事を発注する側ではない可能性が高いためです。

一方、規模が大きければよいとも限りません。大手企業の本社を狙っても、取引開始までに時間がかかったり、求められる施工体制が合わなかったりします。地域の営業所や、そこから一次受けしている会社のほうが、自社の対応エリアや受注可能額に合う場合もあります。

企業データ上の売上増減も参考にはなりますが、それだけで除外するのは慎重に考えたいところです。中小建設会社の公開数値には精度のばらつきがあり、売上が下がっているから発注がないとは限りません。

企業規模や売上推移は足切り条件ではなく、発注形態を確認するための補助情報として扱うのが現実的です。

解決

分離発注の有無で候補を絞り、見積もり先への登録と定期連絡を積み重ねる進め方

新規取引先の開拓は、最初から工事を受注しようとするより、「次回から見積もりを依頼できる協力会社」として認識してもらうことから始めると進めやすくなります。

1.営業の目的と受けたい案件を先に決める

まず、どの時期に、どの工種で、どの程度の工事を受けたいのかを整理します。

  • 埋めたい時期
  • 対応できる工種
  • 対応エリア
  • 希望する工事規模
  • 必要な施工人数
  • 既存現場との工程調整が可能な範囲

ここが曖昧なままだと、紹介された案件を断ることが増え、せっかくの接点が続きません。繁閑差を埋める営業であれば、年間を通した大型案件より、工程や工区を分けて相談してもらえる相手が適しています。

2.施工実績ではなく発注構造を確認する

候補企業のホームページや企業情報から、元請け実績、施工管理の体制、協力会社募集の有無などを確認します。

特に見たいのは、次のような会社です。

  • 内装一式を受注している
  • 学校、病院、工場などの改修を元請けまたは一次受けしている
  • 社員が施工管理を担っている
  • 協力会社を継続的に募集している
  • 複数の工種を扱い、専門工事を分離発注している

ホームページだけで判断できなければ、最初の連絡で「軽量下地や内装仕上げは自社施工でしょうか。それとも協力会社へ発注されていますか」と確認すれば、営業対象かどうかを早い段階で判断できます。

3.既存接点と重複企業を先に除外する

新規リストを作った後は、社長や現場責任者が会社名を確認します。過去の取引先、同じ現場に入った会社、既存元請けと取引関係が重なる会社を仕分けるためです。

過去に接点がある会社は、必ずしも除外対象ではありません。関係が悪くないのであれば、完全な新規営業より再接触のほうが話は早く進みます。

企業データだけで候補を決めず、社内にある取引履歴や現場で得た情報を重ねることで、営業リストの精度が上がります。

4.初回連絡では見積もり候補に入ることを目指す

初回から「仕事をください」と伝えるより、対応可能な工種、エリア、施工実績を簡潔に伝えます。

「内装仕上げの一部だけでも対応できます。案件があれば見積もりを出しますので、候補に入れてください」

この程度の入口で十分です。先方に今すぐ案件がなくても、協力会社が不足したときに思い出してもらえる状態をつくれます。

5.複数社と接点を持ち、定期連絡を仕組みにする

安定受注は、1社の新しい元請けを見つければ完成するものではありません。発注時期は相手の受注状況に左右されるため、複数社の見積もり候補に入り、相談の入口を分散させる必要があります。

接点を持った後は、1〜2か月に一度など無理のない頻度で、次の内容を連絡します。

  • 直近の稼働状況
  • 対応可能な時期
  • 対応できる工種やエリア
  • 新しい施工実績
  • 見積もり対応が可能であること

営業を社長だけで抱える必要はありません。候補企業、担当者、最終連絡日、先方の発注工種、次回連絡日を一覧化すれば、従業員へ引き継ぐこともできます。

「何社に電話したか」ではなく、「自社工種を発注する何社の見積もり候補に入り、継続連絡できているか」を営業の管理指標にすることが大切です。

なお、営業を始める前には、相談が来たときに受けられる施工体制も確認しておきます。見積もり依頼が続いても毎回断る状態になると、関係を育てにくくなるためです。受注可能な時期や工事規模を明確にしたうえで営業先を絞れば、無理な約束を避けながら接点を積み上げられます。

まとめ

下請け建設会社の新規開拓では、企業数を増やすことより、発注構造が自社に合う会社を見つけることが先です。

施工分野、対応エリア、分離発注の有無、企業規模、既存取引との重複、協力会社の活用状況を確認すると、営業先を現実的な数まで絞り込めます。

そのうえで、すぐに工事を求めるのではなく、見積もり候補として接点を持ち、定期的に稼働状況を伝えていきます。複数社から継続的に相談が入る状態をつくることで、特定の元請けに依存せず、仕事の谷を埋めやすくなります。

営業先選びの判断軸は、「有名な会社か」「売上が大きいか」ではありません。自社の工種を発注しており、対応可能な時期・地域・工事規模が重なるかどうかです。この軸が定まれば、営業活動の量を抑えながら、受注につながる接点を増やせます。

自社に合う元請け候補と営業の進め方を整理したい方へ

営業先を探し始めても、「どの会社が自社工種を分離発注しているのか」「自社の規模ならどこを狙うべきか」が見えにくいことがあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、現場体制、採用・組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。営業先の抽出だけでなく、既存取引との重複整理、アプローチ方法、定期連絡の仕組みづくりまで、自社の状況に合わせて考えられます。

「うちの場合はどの発注層を狙えばよいか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも差し支えありません。無理に営業を進めることはありませんので、次の一手を整理する場としてご活用ください。

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