ホームページからの直接受注で、数名の従業員と専属職人の仕事を回す小規模工事会社
ある小規模の工事会社では、一般のお客様からホームページ経由で受注し、数名の従業員と専属職人で施工を回しています。現在の集客で必要な仕事量を確保できており、新しい取引先の開拓や採用を積極的に進める考えはありません。
大手企業から人手不足を理由に相談された場合は、時期が合えばスポットで受けることもあります。ただし、継続取引を増やすために営業活動を行うのではなく、あくまで既存の人員で無理なく対応できる範囲です。
経営者の考えは明確でした。
「今いる人が食べて生活していければいい。売上を上げるというより、利益率のよい仕事をこなし、従業員に還元できていればいい」
これは成長を諦めた経営ではありません。会社の目的を売上拡大ではなく、仲間の生活と仕事の継続に置いた判断です。
売上を増やさない経営でも、利益、稼働、還元を計画的に維持する必要があります。
1週間で 21件の相談 がありました
- 8月6日リフォーム会社千葉県高卒採用の相談
- 8月6日工務店兵庫県業務効率化システムの相談
- 8月6日総合建築広島県案件獲得の相談
- 8月6日内装工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
- 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
- 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
- 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
- 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
売上高を追わないからこそ必要になる、利益と稼働の「維持ライン」の設計
現状維持を目指す会社にとって、経営計画は売上目標を毎年引き上げるためのものではありません。重要なのは、今の従業員と職人が安定して働き続けられる最低限の利益と仕事量を明らかにすることです。
同じ売上高でも、外注費や材料費、施工に必要な日数が違えば、会社に残る利益は変わります。また、受注を増やしても既存の人員で対応できず、追加採用や固定費の増加が必要になれば、経営者が望む状態から離れてしまいます。
そのため、売上高だけを前年と比較しても、現状を維持できているかは判断できません。少なくとも、次の状態を確認する必要があります。
- 必要な粗利額を確保できているか
- 従業員と専属職人の稼働に過不足がないか
- 利益率の低い案件が工程を埋めていないか
- 従業員への還元原資が残っているか
- 新たな固定費を抱えずに運営できているか
- スポット案件を受けても既存案件に影響しないか
現状維持の経営計画では、売上目標より先に「守るべき粗利額」と「無理なく施工できる仕事量」を決めます。
新規開拓や採用より、今いる仲間への還元を優先したいという経営判断
この会社が新規開拓に消極的なのは、仕事が取れないからではありません。ホームページからの直接受注で仕事量が足りており、人を増やしてまで受注量を拡大する必要性を感じていないためです。
受注を増やせば、売上高は上がるかもしれません。一方で、採用や外注先の拡大、管理業務の増加が伴えば、固定費と経営負担も増えます。会社を大きくすること自体が目的でなければ、増収がそのまま望ましい結果になるとは限りません。
案件紹介サービスなどに対しても、毎月発生する固定費には慎重で、案件が成立した場合に費用が発生する仕組みであれば検討できる、という考えでした。ここにも、売上機会を増やすことより、先に固定費を増やさない姿勢が表れています。
また、大手企業からの依頼を一律に断っているわけではありません。既存案件の施工に余裕があり、時期と条件が合えばスポットで受ける余地は残しています。
つまり、閉じた経営を目指しているのではなく、恒常的な規模拡大は避けながら、既存人員の稼働を補える仕事は柔軟に受ける方針です。
「仕事を増やすか、増やさないか」ではなく、「固定費を増やさず、今の体制で利益を残せる仕事か」が受注判断の軸になります。
必要粗利と受注余力を先に決め、案件ごとに増やさない判断を持つ経営計画
拡大を前提としない会社では、売上目標を置かないのではなく、売上高を結果指標として扱います。先に決めたいのは、会社を維持するために必要な粗利と施工能力です。
1.今の体制を維持するための必要粗利を出す
まず、年間で最低限必要な粗利額を整理します。粗利は、売上高から材料費や案件に直接かかる外注費などを差し引いた金額です。実際の区分は、自社の会計処理に合わせて確認します。
必要粗利には、主に次の要素を含めます。
- 従業員の人件費と法定福利費
- 事務所、車両、保険、システムなどの固定費
- 従業員への還元に充てたい原資
- 繁閑差や入出金のずれに備える運転資金
- 会社に残しておきたい利益
この合計を年間、月間に分ければ、売上高とは別に「下回りたくない粗利額」が見えてきます。
利益率だけを見るのではなく、案件ごとの粗利額と必要工数も確認します。利益率が高くても粗利額が小さく、現場の手間が大きければ、従業員への還元にはつながりにくいためです。
案件は、利益率に加えて「粗利額」と「一人一日あたりの粗利」で見ると、少人数経営に合う仕事を選びやすくなります。
2.ホームページ集客は、問い合わせ数より受注内容を管理する
ホームページから必要な仕事を取れているなら、無理に問い合わせ数を増やす必要はありません。確認したいのは、集客量ではなく、入ってくる案件が現在の体制に合っているかです。
案件ごとに、次の情報を簡単に残しておくと判断しやすくなります。
- 問い合わせの経路
- 工事内容と受注金額
- 見込み粗利額と利益率
- 必要な施工人数と日数
- 受注または辞退した理由
この記録があれば、ホームページ経由の中でも、利益を残しやすい工事と工程を圧迫しやすい工事を分けられます。集客を拡大しなくても、受注する案件の組み合わせを整えることで、利益の安定性は高められます。
3.スポット案件は「空いているか」だけで判断しない
大手企業などから急な依頼が来た場合は、その時点で人が空いているかだけでなく、既存案件への影響まで確認します。
受けるかどうかの判断軸は、次のように揃えておくとよいでしょう。
- 既存の直接受注を後ろ倒しにしないか
- 現在の従業員と職人だけで施工できるか
- 新たな採用や継続的な外注が必要にならないか
- 自社が必要とする粗利額を確保できるか
- 一度の受注が継続的な固定費につながらないか
条件を満たす案件だけ受けるのであれば、スポット受注は規模拡大ではなく、稼働の谷を補う選択肢になります。
スポット案件は、売上の上積みではなく、既存人員の余力を利益に変えられるかで判断します。
4.固定費は、導入後に必要となる追加粗利から考える
月額制の案件紹介や業務サービスを検討するときは、料金の高い安いだけでなく、その固定費を回収するために毎月どれだけ追加粗利が必要になるかを見ます。
利用しない月にも費用が発生するサービスは、受注量を増やし続ける理由になりやすいものです。現在の集客で足りている会社であれば、成果に応じて費用が発生する仕組みや、必要な時だけ使える仕組みのほうが経営方針に合う場合があります。
ただし、成功報酬であれば必ずよいわけでもありません。紹介料を差し引いた後の粗利と、既存案件を圧迫しない施工条件を確認することが大切です。
5.従業員への還元を「残ったら行う」状態にしない
従業員への還元を経営の目的に置くなら、利益が偶然残った時だけ還元するのではなく、必要粗利の計画に組み込んでおくと考え方がぶれにくくなります。
まず、会社の運転に必要な資金を確保し、そのうえで還元に使える範囲を決めます。給与、賞与、手当など、どの方法が自社に合うかは資金繰りや利益の安定性によって異なります。
大切なのは、売上高の増加を還元の条件にしないことです。売上が横ばいでも、案件選別によって粗利が改善し、必要な資金が残れば、還元は可能です。
従業員への還元は売上拡大の結果ではなく、必要粗利の配分として経営計画に入れておきます。
まとめ
売上拡大を目指さないことと、経営計画を持たないことは別です。今いる従業員と職人の生活を守り、無理のない規模を続けるためには、拡大企業とは異なる物差しが必要になります。
確認したいのは、売上高の伸び率ではなく、次の4点です。
- 現在の体制を維持できる粗利が残っているか
- 既存人員の稼働に合う案件を選べているか
- 固定費を増やさず運営できているか
- 従業員への還元原資を確保できているか
ホームページからの直接受注を土台にしながら、余力がある時だけ条件の合うスポット案件を受ける。その際も、売上額ではなく、粗利、施工日数、固定費への影響から判断します。
現状維持とは、同じ売上を守ることではなく、今の仲間が無理なく働ける利益構造を守り続けることです。
自社に合う「維持ライン」を整理するために
拡大を目指さない場合でも、「いくらの粗利が必要なのか」「どの案件まで受けられるのか」「従業員への還元をどう計画に入れるのか」は、会社ごとに異なります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理、現場の稼働、固定費、デジタル活用などを横断して整理し、ものづくりに集中できる経営体制づくりを支援しています。
「うちの場合はどの数字を見ればよいのか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも構いません。状況を伺いながら次の整理先を一緒に考えます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、気軽にお声がけください。































