RC新築が売上の8割を占め、自社職人を抱えながら不動産事業の準備を進める30名弱の建設会社
神奈川県を中心にRC新築や内装工事を手がける、設立5年ほどの建設会社があります。売上は約4億5,000万円で、その8割前後をRC新築が占めています。
社員は30名弱。うち半数以上が職人で、クロスや軽量工事を中心に自社施工できる体制を整えてきました。建築一式にも対応できる協力会社網があり、不動産事業に必要な免許も取得済みです。
一方で、職人を増やせば、継続的に仕事を確保しなければなりません。資材費や人件費が上がるなか、工事売上だけで右肩上がりの成長を描くことにも難しさがあります。
そこで検討しているのが、自社で物件を買い取り、改修して販売する買取再販です。
「新築工事の金額はある程度読めます。ただ、買取再販はいくらで買えばよいのか、改修にいくらかかるのかをまだ判断できません」
施工力はあります。不動産事業を始める準備もできています。それでも、物件を買う判断はできない。この状態は、施工会社が買取再販へ進むときに起こりやすいものです。
買取再販への参入で必要なのは、施工力の有無だけではありません。仕入れから改修、販売、資金回収までを一つの事業として設計できるかが出発点になります。
1週間で 21件の相談 がありました
- 8月6日リフォーム会社千葉県高卒採用の相談
- 8月6日工務店兵庫県業務効率化システムの相談
- 8月6日総合建築広島県案件獲得の相談
- 8月6日内装工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月5日設備保全会社滋賀県人材確保の相談
- 8月5日プラント工事会社東京都協力会社探しの相談
- 8月4日プラント工事会社埼玉県利益率向上の相談
- 8月4日防水工事会社京都府原価管理の相談
- 8月4日造園会社群馬県原価管理の相談
- 8月3日総合土木愛知県案件獲得の相談
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
自社施工で改修費を抑えられても、「いくらなら買えるか」を判断できない状態
買取再販の難しさは、工事を完成させることよりも、利益が残る条件で物件を買うことにあります。
工事請負であれば、依頼された仕様をもとに原価を積み上げ、見積金額を提示できます。買取再販では順番が逆です。先に想定販売価格を置き、そこから必要な利益、改修費、資金調達に伴う負担を差し引いて、仕入れ上限額を決めなければなりません。
基本となる考え方は、次のように整理できます。
- 想定販売価格はいくらか
- 会社として確保したい利益はいくらか
- 改修にいくらかかり、どれほどの工期が必要か
- 自己資金と融資をどう組み合わせるか
- 以上を差し引いたうえで、いくらまでなら買えるか
相談企業の社長も、買取再販では10〜15%程度の利益を確保できなければ難しいのではないかと考えていました。ただし、利益率の目標だけを決めても、仕入れ上限額は出せません。販売価格と改修費を現実的に読めなければ、利益率も計算上の数字にとどまります。
特に注意したいのが、「自社施工だから安くできる」という見立てです。一般的な買取再販会社が改修工事を外注するのに対し、建設会社は自社職人や協力会社を使えます。外注先が見つからない、着工が1年先になるといった問題も避けやすく、確かに大きな優位性があります。
ただし、自社職人にも人件費がかかります。工期が延びれば、次の現場にも影響します。安く施工できることと、利益を安定して残せることは同じではありません。
仕入れ判断は「相場より安いか」ではなく、「想定販売価格から逆算して、自社の利益基準を満たすか」で行う必要があります。
物件情報、資金、改修原価、商品品質が別々のままでは仕入れ判断ができない構造
買取再販を始めにくい背景には、四つの要素がつながっていないことがあります。
物件情報は多くても、実際に買える案件は限られる
買取再販は、事業を始めると決めただけでは物件を買えません。利益が見込める物件には複数の買い手が集まるため、情報の川上に接点を持ち、短い時間で判断する必要があります。
投資家から持ち込まれる話もありますが、投資家向けの案件は利回りなどの条件が厳しく、話そのものが変わることもあります。資金の流れが不確実な案件に振り回されると、自社の事業計画を立てにくくなります。
そのため、買取再販は次の二つを分けて考えた方が整理しやすくなります。
- 投資家から依頼を受けて施工する事業
- 自社で資金を用意し、物件を買い取って再販する事業
施工受注と自社投資では、利益の取り方もリスクも異なります。買取再販を自社の収益基盤にするなら、自己資金と融資を組み合わせ、自社基準で買える体制をつくる方が計画を立てやすくなります。
仲介会社と競合すると、仕入れ情報が入りにくくなる
仕入れ情報を得るには、不動産仲介会社との関係設計も重要です。
自社が仲介や販売まで抱え込むと、仲介会社から見れば競合になります。物件を紹介しても得られるのが仕入れ時の仲介機会だけなら、販売も任せてくれる他社へ情報を回した方がよい、という判断になり得ます。
一方で、仕入れ時の仲介に加えて、改修後の販売も依頼すれば、仲介会社には二度の取引機会が生まれます。建設会社は施工と商品づくりに集中し、仲介会社には仕入れ情報と販売を担ってもらう関係です。
仕入れ情報を継続的に得るには、仲介会社の役割を奪うのではなく、紹介するメリットが残る事業構造をつくることが大切です。
改修原価だけでなく、工期を読めなければならない
一般の買取再販会社に対する建設会社の優位性は、改修費と着工時期を自社で調整しやすいことです。ただし、その優位性を利益へ変えるには、購入前に改修範囲を判断できなければなりません。
原状回復に近い工事で販売できる物件と、全面的なリノベーションが必要な物件では、必要な資金も工期も異なります。すべての物件に費用をかければよいわけでもありません。
「どこまで直せば売れる商品になるか」を見極め、必要以上の工事を増やさないことが、原価管理の中心になります。
施工できることと、売れる品質に仕上げることは別
自社職人を活用できても、仕上がり精度が不足すれば、完成した物件の商品価値が下がります。スイッチの位置やクロスのずれなど、小さな違和感でも、購入者から見れば物件全体の印象につながります。
安く施工できても、販売時に品質面で選ばれなければ、買取再販の強みにはなりません。自社施工力を生かすほど、完成品質の基準を明確にする必要があります。
買取再販の商品は「工事が終わった物件」ではなく、「購入者が価格に納得できる状態まで仕上げた物件」です。
小規模案件で仕入れ基準と改修基準を検証し、年間件数を段階的に増やす事業計画
最初から都心の駅近物件や大型案件を狙うよりも、自社で判断できる規模から始め、仕入れと改修の基準をつくる進め方が現実的です。
相談企業も、将来的には大規模な案件を扱いたい意向を持ちながら、まずは小さなリノベーションで施工力と収益性を確かめる方向を検討していました。
1.最初に利益基準を決める
物件情報が来てから採算を考えるのではなく、先に会社としての合格条件を決めます。
最低限、次の項目を一枚の判断表にまとめます。
- 想定販売価格
- 目標とする利益額・利益率
- 仕入れ上限額
- 改修費の上限
- 想定工期
- 必要な自己資金と融資額
- 誰が仕入れ可否を決裁するか
重要なのは、販売価格から逆算することです。物件価格に改修費と利益を積み上げて販売価格を決めても、その価格で売れるとは限りません。
「買ってから利益を考える」のではなく、「利益が残る価格でしか買わない」という基準を先につくります。
2.購入前に改修範囲と工期を見積もる
建設会社の強みを生かすには、物件情報を受け取った段階で、施工担当者が改修内容を確認できる体制が必要です。
判断するのは、単なる工事費ではありません。
- 原状回復で商品化できるか
- 部分改修が必要か
- 全面的なリノベーションが必要か
- 自社職人で対応できる工種はどこか
- いつ着工し、いつ販売へ移れるか
営業側だけで購入を決め、施工側が後から現地を確認する流れでは、想定外の原価が出やすくなります。仕入れ判断の時点で施工の知見を入れられることが、建設会社ならではの優位性です。
3.仲介会社との役割を明確にする
仕入れ情報を得る仲介会社には、どこまで自社で行い、どこから先を依頼するのかを明確に伝えます。
たとえば、自社は次の役割に集中します。
- 物件の購入判断
- 改修計画
- 施工
- 完成品質の管理
一方、仲介会社には物件紹介と改修後の販売を依頼します。この役割分担であれば、施工会社と仲介会社が競合しにくくなります。
仲介会社にとって紹介しやすい会社になるには、「検討します」で止めず、買える価格、対象エリア、物件規模、回答までの流れを共有しておくことも欠かせません。
4.完成品質の基準を決める
改修品質は職人個人の感覚だけに任せず、販売商品として確認します。
特に、クロスなどの仕上がり、設備やスイッチの使い勝手、全体の見え方は、引き渡し前に確認する必要があります。高級な材料を使うことが目的ではありません。想定する販売価格に対して、購入者が違和感を持たない品質へ整えることが目的です。
自社施工で原価を抑える部分と、品質確保のために費用をかける部分を分けることで、安さだけに偏らない商品づくりができます。
5.1件目を単発で終わらせず、年間計画につなげる
買取再販は、1件成功しただけでは事業として安定しません。最初の案件で検証した数字を使い、年間何件まで増やせるかを考えます。
計画では、少なくとも次の点を確認します。
- 1件あたりに必要な資金
- 同時に保有できる物件数
- 自社職人をどの程度配置できるか
- 工事売上との人員配分
- 年間の仕入れ件数と販売件数
- 3年後に工事と買取再販をどの比率にするか
本業の工事を止めて買取再販へ移る必要はありません。まずは新築や改修工事で足元の収益を確保しながら、小規模案件で買取再販の判断精度を高めていく方が進めやすくなります。
小規模案件の目的は、売上を一気に増やすことではなく、自社で再現できる仕入れ基準、改修原価、工期、品質基準をつくることです。
まとめ
建設会社の買取再販には、自社施工によって改修費と工期を調整しやすいという明確な強みがあります。外注先が見つからず、価格も工期も合わない買取再販会社と比べれば、物件を商品化する力で差をつけられます。
一方で、施工力だけでは物件を買えません。必要なのは、次の要素を一つにつなげることです。
- 販売価格から逆算した仕入れ上限額
- 自己資金と融資の組み合わせ
- 購入前の改修費・工期の見積もり
- 仲介会社と競合しない役割分担
- 販売商品としての品質基準
- 小規模案件から年間件数を増やす計画
買取再販への参入は、不動産事業を新しく付け加える話ではなく、自社の施工力を利益へ変える仕組みをつくる取り組みです。
最初から大きな物件を買う必要はありません。まずは自社が判断できる規模で1件を動かし、その結果を次の仕入れ基準に反映する。この積み重ねが、工事請負とは異なる収益の柱につながります。
自社施工を買取再販の利益につなげる計画を整理したい方へ
買取再販を検討していても、「いくらまでなら買えるのか」「融資を含めてどの規模から始めるべきか」「本業の工事とどう両立するか」が決まっていない会社は少なくありません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価管理、資金、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。買取再販についても、仕入れ基準や改修原価、仲介会社との関係、年間件数の計画など、自社施工力を利益につなげる事業設計から整理できます。
「うちの場合は買取再販に向いているのか」「まだ物件を買う段階ではないが、何から準備すればよいか」という段階でも構いません。無理に話を進めることはありませんので、次の整理先としてご活用ください。































