前提

首都圏の防水工事会社が、売上15億円規模と3〜5億円規模の営業先を比較した局面

首都圏で防水工事を手がける、ある専門工事会社では、新規の取引先候補として複数の建設会社を開拓していました。

候補のなかには、売上15億円を超える建設会社もあれば、売上3〜5億円ほどの住宅会社もあります。数字だけを見れば、売上規模の大きな会社ほど多くの案件を発注してくれそうに見えます。

ところが、施工実績や事業内容を確認すると、売上15億円規模の会社は都心部の新築工事が中心でした。住宅や事務所を新築する一方、改修工事は自社保有物件が中心です。

これに対して、売上3〜5億円規模の住宅会社は、戸建てや小規模アパートなどを数多く施工していました。

経営者から出たのは、次の言葉です。

「売上が大きくても、扱っている物件の規模や件数まで見ると、必ずしも仕事が多いとは限らないですよね」

営業先の売上高は会社全体の大きさを示しますが、自社に回ってくる案件数や工事内容までは示してくれません。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

売上高だけでは年間の発注件数と自社に合う工事量が見えない営業先選び

営業先選びで見落としやすいのは、同じ売上高でも、その売上をつくっている物件数が大きく異なることです。

たとえば、この防水工事会社の工種では、戸建て1棟あたりの受注額を80万〜120万円ほどと仮置きすると、住宅工事だけで数億円を売り上げる会社は、年間で相当数の物件を施工している可能性があります。

一方、1件数億円の新築工事を扱う会社なら、年間の施工数は数件でも同程度の売上になります。会社の売上は大きくても、防水工事を分離して発注する案件が少なければ、継続的な受注にはつながりにくくなります。

見るべきなのは、会社全体の売上ではなく、次の内訳です。

  • 売上の中心が新築か、改修か
  • 年間に何件の物件を施工しているか
  • そのうち自社の工種が発生する物件は何件か
  • 防水工事が単独で発注されるか、一式工事に含まれるか
  • 既存の協力会社が固定されているか

大学や大型施設のように、塗装・内装・防水を一式で発注する案件では、防水工事だけを請け負う会社が候補に入りにくい場合もあります。また、既存の下請会社との相見積もりが前提なら、受注できても価格競争が続く可能性があります。

営業先の売上規模より、「自社の工種が年間何件、どの単位で発注されるか」を確認するほうが、実際の受注量を判断しやすくなります。

背景

標準的な小規模案件が受注量の確保と若手職人の育成にもつながる事情

この会社が求めていたのは、高額な工事だけではありませんでした。戸建てや小規模アパートのような、比較的標準化しやすい現場にも価値を感じていました。

「今回のような小さめのアパートなら、標準的な施工を積み重ねられます。職人が育ってきたときに、任せられる現場の一つにもできそうです」

難易度の高い大型改修は、売上や施工実績をつくるうえで魅力があります。ただし、すべての案件に経営者や熟練職人の判断が必要になると、受注を増やしても施工体制が追いつきません。

その点、仕様や工程が比較的そろった小規模案件を継続的に受注できれば、経験の浅い職人に段階的に現場を任せやすくなります。案件の相性は、金額だけでなく、組織づくりとのつながりまで含めて考える必要があります。

また、防水工事では対応エリアも重要です。別の取引候補では、雨漏りが発生した施設まで会社から数分で行けることが強みになりました。既存業者の多くが県外で、現地まで1時間ほどかかるなか、「雨の日に連絡をもらえれば、すぐ見に行けます」と伝えられたことが評価されています。

一方、遠方の候補については、施工エリアを確認したうえで訪問するかどうかを判断していました。所在地が遠くても、自社に近い地域の案件を多く持っていれば取引候補になります。逆に、会社が近くても現場が遠方中心なら、移動負担が増えてしまいます。

自社に合う営業先とは、案件単価が高い会社ではなく、施工難易度、件数、育成への活用、移動負担まで含めて無理なく続けられる会社です。

解決

売上高を入口にしつつ5つの判断軸と試験施工で相性を確かめる進め方

営業先を選ぶ際は、売上高を候補抽出の入口に使い、その後に案件の中身を分解していくと判断しやすくなります。

確認したい判断軸は、次の5つです。

判断軸

確認する内容

工事の内訳

新築と改修の比率、自社保有物件の工事か外部案件か

年間物件数

年間の施工件数と、自社工種が発生する件数

工事の難易度

標準施工が中心か、熟練者の判断が必要な案件か

発注方式

工種別発注か一式発注か、相見積もりか継続発注か

対応エリア

営業先の所在地ではなく、実際の現場までの移動時間

特に大切なのは、年間物件数です。営業先との面談では、「年間売上はいくらですか」だけで終わらせず、次のように聞くと案件像が具体的になります。

  • 年間で新築と改修をそれぞれ何件施工しているか
  • 防水工事が必要になる物件はどの程度あるか
  • 戸建て、小規模集合住宅、大型施設のどれが多いか
  • 防水工事は単独で発注しているか
  • 現在の協力会社にどのような不足を感じているか
  • 主な施工エリアはどこか

ただし、最初から完全に相性を見極めるのは難しいものです。実際にも、図面を受け取って見積もりを出し、その後に施工を見てもらう流れが取られていました。

そのため、初回から年間取引を前提にするより、まず1件の見積もりと試験的な施工を通じて確認するほうが現実的です。振り返るポイントは、受注金額だけではありません。

  • 見積条件に無理がなかったか
  • 現場の難易度が事前説明と合っていたか
  • 工程や連絡方法に無理がなかったか
  • 次回も同じ体制で対応できるか
  • 若手に任せられる工程があったか

「売上高で候補を探す→案件構成を確認する→1件施工する→継続可否を判断する」という順番なら、規模の印象だけに引っ張られにくくなります。

営業先リストも、一度作って終わりではありません。面談や見積もりの結果から、「大型新築中心の会社は優先度を下げる」「小規模改修を多く持つ会社を増やす」と条件を更新していくことで、自社に合う候補が少しずつ明確になります。

まとめ

売上規模の大きな建設会社が、自社にとって良い営業先とは限りません。大型物件を年に数件扱う会社と、小規模物件を年間数百件扱う会社では、同じ売上高でも発注機会が大きく異なります。

営業先を判断するときは、次の点をセットで確認することが大切です。

  • 新築中心か改修中心か
  • 年間の物件数はどれくらいか
  • 自社の工種が単独で発注されるか
  • 工事の難易度が施工体制に合うか
  • 対応エリアに無理がないか
  • 受注量の確保や職人の育成につながるか

営業先選びの基準は「大きな会社か」ではなく、「自社が無理なく施工を続け、職人と会社の成長につなげられる案件があるか」です。

自社に合う営業先の条件を整理したいときに

営業先の売上規模は分かっても、年間物件数や発注方式まで公開情報だけで判断するのは簡単ではありません。「うちの場合は、どの規模・工種の会社を狙うべきか」「営業先リストを何から見直せばよいか」という段階から整理することもできます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大や元請け開拓を、現場体制や人材育成も踏まえて整理し、実行まで支援しています。無理に営業を進めることはありませんので、自社に合う案件の条件を確認したいときにご活用ください。

お問い合わせはこちら