年商6,000万円前後、現場は埋まっているのに利益が蓄積しにくい電気・空調工事会社の現在地
東北地方で電気・空調工事を手がける、8名弱の専門工事会社があります。現場に入る職人は6名ほど。電気工事を中心に、業務用パッケージエアコンやルームエアコン、LED更新工事などに対応しています。
受注がなくて困っている会社ではありません。社長の人脈や既存取引先から依頼が入り、自社の職人はほぼ埋まっています。協力会社も6〜7社ほどあり、案件が重なれば応援を頼める状態です。
一方で、担当者からは次のような言葉が出ていました。
「仕事自体はないわけじゃないんです。ただ、単価がとても安くて、会社に利益があまり残らない状態です」
年間売上は6,000万円前後ありますが、社員の給与や会社の維持費を支払うと、手元資金が大きく増えるほどの利益は残りません。仕事量はあるため、一見すると順調に見えます。しかし、内訳を確認すると3次・4次請けの案件が多く、上位会社から提示された人工単価で動く仕事が中心でした。
仕事量が確保できていても、低い単価で人を動かし続けるだけでは、売上に比例して利益が増えるとは限りません。
今後は、利益につながりにくい工事を減らし、自社が技術に自信を持つ電気・空調工事を売上の9割程度まで伸ばしたい意向があります。施工エリアも遠方へ広げるのではなく、県内を中心に隣県までに収めたいという考えです。
この会社が目指しているのは、仕事をさらに増やすことだけではありません。現在と近い工事内容を続けながら、発注者との距離を1段、2段と縮め、利益が残る受注構造へ変えることです。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
3次・4次請けの低単価から抜け出そうとしても、待っているだけでは希望する発注者に届かない構造
課題は、既存取引先へ単価を上げてもらうことだけではありません。現在の商流そのものが、価格を決めにくい位置になっていることです。
「結局、うちは3次・4次受けくらいでやっていて、単価がぎりぎりなんです。もう1つ、2つ上の階層で仕事ができればというイメージはあります」
3次・4次請けでは、現場に入る段階ですでに複数社の利益が差し引かれています。施工会社が丁寧に対応しても、その価値を金額へ反映できる余地は限られます。さらに、人工出しが中心になると、自社で見積もりを組み立てる機会も少なくなります。
この会社では、1次請けとして入る案件もあるものの、3次・4次請けと単価が大きく変わらないことがありました。つまり、形式上の請負階層を上げるだけではなく、見積もりと施工条件を自社で組み立てられる取引へ移る必要があります。
案件紹介サービスにも掲載し、単価を上げてくれる取引先を探していました。ただ、数カ月利用しても、期待したほどの成果にはつながっていませんでした。
紹介型のサービスは、新しい会社と接点を持つ手段にはなります。一方、登録して待つだけでは、次の条件を満たす案件がいつ出るか分かりません。
- 自社が伸ばしたい電気・空調工事である
- 県内または隣県の現場である
- 業務用空調やLED更新の経験を生かせる
- 上位会社や発注者に近い立場から受注できる
- 自社で見積もりを出し、必要な利益を確保できる
商流を上げたい会社ほど、「来た案件から選ぶ営業」ではなく、「取引したい発注者を定めて近づく営業」が必要です。
安さで選ばれてきた受注経路と、元請けに近づくための準備不足が重なった状態
商流を上げにくい背景には、「営業先が少ない」という一つの問題だけがあるわけではありません。受注理由、施工体制、見積もり、許可、案件管理がつながっています。
まず重いのが、現在の選ばれ方です。
「うちに仕事を振ってくれるのは、きっと安いからだと思うんですよね。そんなことは言いたくないんですけど」
安さを理由に受注が続くと、現場は埋まります。ただし、その実績をそのまま営業材料にしても、次の取引先から同じ価格帯を期待される可能性があります。実績件数が増えても、「どの工事を、どの品質と管理体制で任せられる会社なのか」が伝わらなければ、商流は変わりません。
その一方で、空調工事については「満足してもらえるレベル」と手応えがあり、LED更新工事も社員が自信を持って対応できる領域でした。ここには商流を上げる足掛かりがあります。
すべての工事を広く売るのではなく、自信と実績が重なる電気・空調工事へ営業資源を寄せることが、安さ以外の選定理由をつくる出発点です。
もう一つは、受注後の体制です。会社としては、将来的に協力会社へ施工を任せ、自社が管理する案件を増やしたい考えがあります。しかし現状は、自社の職人がほぼ埋まっており、施工管理を任せられる人も限られています。技術力の高い職人はいるものの、発注者や協力会社との調整には別の担当者が入る必要があります。
また、担当者からは次の率直な声もありました。
「元請けに近づきたいとは社長も言っていますが、図面を描ける人もいませんし、そんなに簡単ではないと思っています」
一定規模を超える工事を請けるには、対象工事に応じた建設業許可の確認が必要です。それだけでなく、元請けや上位会社から継続的に受注するには、少なくとも次の機能が求められます。
- 現地調査を踏まえて見積もりを作る機能
- 図面や施工範囲を読み取り、必要に応じて作成・修正する機能
- 工程、品質、安全、協力会社を管理する機能
- 材料費、労務費、外注費、移動費を踏まえて採算を判断する機能
- 着工から入金までの資金繰りを管理する機能
建設業許可を取れば自動的に商流が上がるわけではなく、見積もり・図面・施工管理・資金繰りを一つの受注体制として整える必要があります。
電気・空調に狙いを絞り、案件別採算と受注体制を整えて上位会社へ直接提案する進め方
商流を上げるときは、いきなり元請け案件を広く探すより、現在の強みから逆算して順番を決めるほうが進めやすくなります。
1.まず「残したい仕事」と「減らしたい仕事」を分ける
この会社の場合、伸ばしたいのは法人向けの電気・空調工事です。具体的には、業務用パッケージエアコン、ルームエアコン、テナントや共用部のLED更新などです。反対に、内装工事は単独で積極的に取るのではなく、空調工事に付随する範囲で対応したい考えでした。
営業先を考える前に、次の項目をそろえます。
- 主力にする工事
- 付帯工事として受ける工事
- 今後減らす工事
- 対応地域
- 日中・夜間などの施工条件
- 自社施工と協力会社施工の境界
「何でもできます」ではなく、「県内の法人向け空調とLED更新を増やしたい」と具体化するほど、探すべき発注者が明確になります。
2.案件別採算を出し、受けるべき単価の下限を把握する
商流を上げる目的は、請負階層の肩書を変えることではなく、利益を残すことです。そのため、既存案件を発注元、工事内容、地域、請負階層ごとに分け、採算を確認します。
最低限、材料費、社員の労務費、協力会社への外注費、交通費、現場管理にかかった時間を案件単位で整理します。遠方案件は交通費を発注者が負担していても、移動で職人の稼働時間が減ります。売上だけでは見えない負担まで確認することが大切です。
また、協力会社へ仕事を振った際に、自社の利益がほぼ残っていない案件もありました。自社が発注者との調整や手配を担うなら、その管理業務も原価として捉える必要があります。
現在の単価に利益を足すのではなく、必要な原価と管理負担から「この条件以下では受けない」という基準をつくることが先です。
3.狙う相手を「元請け」という言葉だけでまとめない
発注者候補は、自社が得意な工事を継続的に必要とする会社から考えます。この会社であれば、テナントが入るビルの管理に関わる会社や、電気・空調工事を発注する上位会社が候補になります。
重要なのは、大手企業へ無差別に営業することではありません。次の条件で絞り込みます。
- 県内を中心に現場を持っているか
- 電気・空調工事を継続的に発注しているか
- 自社の施工規模と合っているか
- 見積もりから入れる取引か
- 将来、許可取得や管理体制の整備に応じて取引を広げられるか
いきなり大規模案件の元請けを狙う必要はありません。現在の発注元より1段上の会社とつながり、小規模な改修や更新工事から取引を始める方法もあります。
商流改善は「一気に元請けになること」ではなく、自社で価格と条件を決められる取引を一つずつ増やすことです。
4.許可・見積もり・図面・施工管理を営業と並行して整える
営業を始める前にすべてを完成させようとすると、動きが止まりやすくなります。一方、受注体制がないまま案件だけ増やすと、現場を回せません。営業と体制整備は並行して進めます。
建設業許可については、今後請けたい工事の種類と規模を基準に、必要な許可や要件を確認します。そのうえで、社内に不足している機能を整理します。
この会社では、図面対応と施工管理が明確な論点でした。社内で担うのか、協力会社や外部人材の力を借りるのかを決めなければなりません。施工管理についても、技術力のある職人へすべてを背負わせるのではなく、発注者との連絡や協力会社との調整を誰が担うかまで決めます。
受注可否は、売上額ではなく「許可の範囲」「見積もり能力」「図面対応」「管理責任者」「施工余力」の5点で判断します。
5.実績は件数ではなく、発注者が判断できる形で見せる
空調やLED更新の実績を伝える際は、会社案内に工種を並べるだけでは不十分です。発注者が知りたいのは、自社と近い現場を任せられるかどうかです。
実績は、守秘義務に配慮しながら、次の単位で整理します。
- 建物や施設の種類
- 工事内容
- 対応地域
- 施工規模
- 夜間対応などの施工条件
- 自社が担当した範囲
- 協力会社を含む施工体制
「電気・空調・内装・清掃に対応できます」と広く見せるより、業務用空調やLED更新の実績を前に出すほうが、伸ばしたい仕事につながりやすくなります。
実績の見せ方は、過去に何をしたかの記録ではなく、次にどの仕事を受けたいかを示す営業資料です。
6.紹介待ちに加えて、狙った会社へ直接アプローチする
既存の人脈や案件紹介サービスをやめる必要はありません。ただし、それだけに依存すると、案件の種類、地域、単価、時期を自社で選びにくくなります。
社長が経営者の集まりへ足を運ぶ営業と、担当者が紹介サービスで案件を探す営業は、すでに行われていました。ここへ「条件に合う発注者を選び、直接関係をつくる動き」を加えます。
最初の接点では、大規模案件の受注を急ぐよりも、自社の得意工事、対応地域、施工体制、許可取得の見通しを伝え、小規模案件や応援工事から取引条件を確認します。受注後は採算と現場負担を振り返り、継続すべき取引かを判断します。
待つ営業と狙う営業を分け、後者では「どの会社から、どの工事を、どの条件で受けたいか」を先に決めることが重要です。
まとめ
仕事があるのに利益が残らない場合、案件数を増やすだけでは状況が変わらないことがあります。3次・4次請けが中心であれば、単価交渉と同時に、発注者との距離を縮める取り組みが必要です。
今回のような会社では、次の順序が現実的です。
- 利益を残したい電気・空調工事を明確にする
- 案件別採算から受注単価の下限を決める
- 地域、工事、発注者を絞る
- 建設業許可、見積もり、図面、施工管理の不足を埋める
- 得意工事の実績を発注者目線で整理する
- 紹介待ちだけでなく、上位会社へ直接アプローチする
「会社はボランティアではないので、売上と利益が必要です。下請けさんに利益の残る仕事を振れる環境もつくりたい」という言葉がありました。
自社だけでなく協力会社にも適正な金額で発注するには、まず上流側で利益を確保できる受注が必要です。商流を上げることは、単に会社の取り分を増やす話ではなく、社員と協力会社が継続して働ける受注構造をつくることでもあります。
自社に合う商流の上げ方を整理したい方へ
商流改善は、営業先を増やすだけでは進みません。狙う工事と発注者、案件別採算、建設業許可、見積もり・図面対応、施工管理体制をつなげて考える必要があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大や原価管理、組織体制、デジタル活用などを横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合はどの発注者を狙うべきか」「何から整えればよいか分からない」という段階でも構いません。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理にサービスを勧めることはありません。まずは現在の商流と利益構造を一緒に整理するところからお話しできます。


























