複数現場の出面を事務員が電話で確認し、紙の出面表にまとめている専門工事会社
首都圏で複数の現場を動かす、ある専門工事会社では、自社職人や協力会社が「どの現場に行ったか」「何時に出て、何時に帰ったか」を事務員が電話で確認していました。
現場数が多い日は、確認だけで1時間近くかかることもあります。それでも出面を取るのは、単なる勤怠確認のためではありません。現場ごとの手間を見て、予算に対して何人工かかったのかを把握する必要があるからです。
「出面表がこれだけの量になるくらい、昔からちゃんと取っている。ただ、もう少し楽にできないかとは思っている」
この言葉にある通り、問題は出面管理そのものではなく、その集め方です。人工数は把握したい一方で、電話確認と紙への転記に手間がかかり、報告した・していないという認識違いも起きています。
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電話をWeb打刻に置き換えるだけでは、職長不在や協力会社の出面が抜ける問題
出面管理をデジタル化するとき、最初に決めるべきなのはシステムの機能ではありません。誰が、誰の出勤・退勤を、どのタイミングで登録するかという運用です。
たとえば、自社職人一人ひとりにスマートフォンから打刻してもらえば、事務員による電話確認は減らせます。しかし、全員が毎回入力できるとは限りません。職人ごとのデジタル操作への慣れにも差があります。
そこで職長が現場メンバーをまとめて代理入力する方法も考えられます。職長が「今日は3人来た」「一人だけ15時に帰った」と個人別に登録できれば、各職人の操作負担は軽くなります。一方で、職長が休んだ日は入力する人がいなくなります。
協力会社についても同じです。日常的に入る会社なら打刻ルールを共有できますが、毎回違う応援職人にまで同じ運用を求めるのは簡単ではありません。
整理すべき論点は、主に次の4つです。
- 自社職人は一人ずつ打刻するのか
- 職長による代理入力を認めるのか
- 協力会社にも直接打刻してもらうのか
- 職長が不在のときは誰が代行するのか
例外時の入力方法まで決めないまま導入すると、結局は事務員が電話で確認し、管理画面へ代理入力することになります。それでは、紙が画面に変わっただけで、仕事の進め方はほとんど変わりません。
必要なのは監視ではなく、現場別・職人別の人工数を後から迷わず集計できる状態
この会社が最も把握したかったのは、スマートフォンの現在地を常時追うことではありませんでした。必要だったのは、月末に紙を数え直さなくても、職人別・現場別の人工数を一覧で確認できる状態です。
具体的には、職人ごとに次の情報を見られる形が求められていました。
- 何月何日に、どの現場へ入ったか
- 何時に出勤し、何時に退勤したか
- 一定期間に、各現場へ何人工入ったか
- 自社職人と協力会社の誰が入ったか
カレンダーを一日ずつ開いて数えるのではなく、「この職人は今月、現場Aに何人工、現場Bに何人工入ったか」を一覧で見たいという要望です。
ここが曖昧なままでは、出勤、休憩、日報、位置情報などの機能を増やしても、実際に欲しい集計にはつながりません。出面管理のデジタル化は、入力画面より先に、月末にどの一覧表が必要かを決めるところから始まります。
位置情報についても、目的を絞る必要があります。取得できるのは、常時の追跡ではなく、出勤・退勤ボタンを押した地点です。端末や場所によって位置がずれる場合もあるため、完全な証明として扱うのは難しい面があります。
そのため、位置情報は「現場付近で打刻されたかを補助的に確認したい」場合には役立ちますが、人工数の集計だけが目的なら、必須とは限りません。取得できるから使うのではなく、何の確認に使うのかを決めてから採用することが大切です。
欲しい集計表から逆算し、最小限の打刻と例外処理を段階的に設計する方法
無理なく定着させるには、最初からすべての機能を入れるより、出面管理に必要な項目へ絞る方が進めやすくなります。
今回のような会社であれば、まずは次の順番で整理できます。
1.月末に必要な出面一覧を決める
最初に、管理側が最終的に見たい形を決めます。基本となるのは、職人名、所属会社、現場名、日付、出勤時刻、退勤時刻、人工数です。
現場を移動する日があるなら、一つ目の現場を退勤して、次の現場で再度出勤するのかも決めます。1日に複数現場へ入ることがある会社では、このルールが人工数の正確さを左右します。
管理項目は「取れる情報」ではなく、「集計や確認に使う情報」に限定します。
2.入力する人を現場の実態に合わせて分ける
全員に一律の方法を求める必要はありません。たとえば、次のように分けられます。
- 自社職人は本人が出勤・退勤を打刻する
- 操作が難しい現場は職長が代理入力する
- 日常的に入る協力会社は本人または代表者が入力する
- 単発の応援職人は職長が氏名と時間を登録する
自社職人が行かず、協力会社だけで動く現場では、協力会社側に入力を求めるのか、電話確認を例外として残すのかを決めます。すべてをデジタル化できない場合でも、電話確認が必要なケースを限定できれば、事務員の負担は減らせます。
3.職長不在と未登録現場の処理を決める
職長による代理入力を採用するなら、副担当者も決めておく必要があります。職長が休んだときだけ社長や事務員へ戻す運用では、電話管理が再び常態化しやすいためです。
急きょ予定外の現場へ入ることがある会社では、未登録の現場名を手入力できるようにしておく方法もあります。後から管理者が正式な現場名へ整理すれば、現場で打刻できない事態を減らせます。
4.権限と見える範囲を役割別に設定する
社長、事務員、番頭・職長、職人では、必要な画面が異なります。
職人は自分の現場予定と出勤・退勤だけ、職長は担当現場のメンバー入力まで、事務員や社長は全現場の出面一覧と集計まで、という分け方ができます。協力会社には、自社に関係する入力画面だけを渡す形も考えられます。
操作できる範囲を必要最小限にすると、誤操作を抑えながら画面も簡単にできます。
5.小さく試し、実際に使えた項目だけを残す
過去にシステムを導入しても、「使いこなせなくてやめた」という会社は少なくありません。避けたいのは、最初から多機能な仕組みを作り、現場が操作を覚えきれない状態です。
まずは一部の現場で、出勤、退勤、現場選択、代理入力だけを試します。そのうえで、次を確認します。
- 職人が迷わず打刻できたか
- 職長の代理入力が負担になっていないか
- 協力会社から必要な情報が集まったか
- 事務員の電話確認がどれだけ減ったか
- 現場別・職人別の人工数がそのまま集計できたか
画面の説明や短い操作確認の機会も必要です。導入の成否は機能数ではなく、現場が毎日続けられ、管理側が欲しい数字を取り出せるかで判断します。
まとめ
電話と紙による出面管理をやめるには、単に打刻システムを導入するだけでは足りません。
先に決めるべきなのは、現場別・職人別の人工数をどの形で見たいか、誰が入力するか、入力できない日はどう補うかです。
自社職人は本人入力、職長は代理入力、協力会社は会社ごとに運用を分けるなど、実態に合わせた設計で構いません。位置情報も、常時監視ではなく、打刻地点を補助的に確認するものとして必要性を判断できます。
すべてを一度に変えなくても、まずは毎日の電話確認を減らし、報告した・していないが残る状態をつくる。そのうえで、月末に人工数を数え直さずに済むところまで整えると、現場にも事務側にも無理のない出面管理へ近づきます。
自社に合う出面管理の範囲から整理してみませんか
出面管理は、職人の人数、職長の配置、協力会社との関係、1日に移動する現場数によって適した運用が変わります。「全員に打刻させるべきか」「職長入力で十分か」といった段階から整理して問題ありません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の業務を現場の実態に沿って整理し、必要な管理項目や権限、デジタル活用の進め方を一緒に組み立てています。ものづくりに集中できる建設業界に向けて、現場で続けられる運用から実行まで支援します。
まだ導入を決めておらず、「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でもご相談いただけます。無理にサービスを勧めることはありませんので、現在の出面表や電話確認の流れを整理するところから気軽にお声がけください。


























