複数現場の出面を事務員が電話で確認し、紙の出面表へまとめている専門工事会社の現状
関東圏で複数の現場を動かす、ある専門工事会社では、職人が現場に出ているかどうかを事務員が電話で確認し、紙の出面表へまとめていました。
出面は、現場ごとの手間や職人ごとの稼働を把握するうえで重要です。請負金額が決まっていても、実際に何人かかったかが分からなければ、現場の採算を振り返りにくくなります。そのため、アナログだからといって簡単にやめられる業務ではありません。
一方で、複数の現場へ毎日電話をかけ、「今日は誰が出ているか」「何時に帰ったか」を確認する作業には手間がかかります。確認した内容を事務員が入力するため、情報が一人に集まりやすく、その人が休むと処理が滞る可能性もあります。
この会社でも、電話確認に毎日どれほど時間を使っているか、正確には把握できていませんでした。ただ、現場数が多いため、「1日1時間くらいかかっているのではないか」という感覚はありました。
出面管理のデジタル化を考える出発点は、紙をなくすことではなく、電話確認や転記に何時間かかっているかを把握することです。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
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- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
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- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
多機能なシステムを入れても、職人や職長が使えず電話と紙へ戻ってしまう問題
この会社には、以前にも業務管理用の仕組みを導入した経験がありました。しかし、現場で使いこなせず、定着しなかったといいます。
「前にも似たものを入れたけれど、結局使いこなせなかった」「使い方の講習がないと難しい」という声から見えるのは、機能不足ではなく、運用設計の不足です。
業務管理システムには、出退勤、位置情報、日報、現場カレンダー、経費申請、資材搬入、案件管理など、さまざまな機能を載せられます。ただし、機能が多いほど現場で使いやすくなるとは限りません。
たとえば、この会社が最も把握したかったのは、次の情報でした。
- 誰がどの現場へ行ったか
- 何時に出勤し、何時に退勤したか
- 現場ごと、職人ごとに何人工かかったか
- 駐車場料金を会社側で支払う対象か
一方、経費申請はすでに別の方法で管理できており、差し迫った課題ではありませんでした。日報や位置情報も、どこまで細かく取るべきかを見極める必要があります。
こうした状況で、使える機能を最初からすべて載せると、職人の入力項目が増え、管理画面も見づらくなります。その結果、「電話のほうが早い」「紙のほうが分かる」と判断され、従来の方法へ戻りやすくなります。
システムが使われなくなる主な理由は、機能が足りないからではなく、利用者にとって不要な操作まで増えてしまうからです。
職人・職長・事務員で必要な情報が異なり、入力担当者が休んだときの流れも決まっていない状態
建設会社のシステム導入が難しいのは、同じ会社でも立場によって必要な情報が大きく異なるためです。
この会社では、職人は出勤と退勤を押せれば十分でした。現場名も管理側で事前に割り当てられるなら、職人が毎回選ぶ必要はありません。職人自身にしか行き先が分からない場合だけ、現場名を入力できれば足ります。
職長には、自分の出退勤だけでなく、その日に現場へ入った職人や協力会社のメンバーを登録する役割が想定されていました。先に帰った人がいれば、職人ごとに退勤時刻を記録する必要もあります。
事務員や社長は、職人別・現場別の出面を一覧で確認し、月間の人工数を集計できる状態を求めていました。番頭には、さらに資材搬入の予定や発注情報を見せる必要があります。
つまり、全員に同じ画面を渡すと、職人には不要な情報が多く、管理者には必要な情報が足りない状態になりかねません。
もう一つの論点が、入力担当者の不在です。職長が現場全員の出面を入力する運用は、職人一人ひとりに入力を求めなくてよい反面、職長が休むと止まります。
実際に「職長が休んだら、もう一人決めておかないといけない」という話が出ました。代わりに社長が電話で確認して入力する方法もありますが、それでは従来の仕事と大きく変わりません。
協力会社まで含める場合は、さらに運用が分かれます。
- 協力会社の職人にも入力画面を渡す
- 自社の職長が協力会社分をまとめて入力する
- 現場ごとに代理入力者を決める
どれが正しいかは、協力会社との関係や現場の管理体制によって異なります。大切なのは、システムを作ってから決めるのではなく、導入前に担当範囲を決めることです。
定着を左右するのは画面の見栄えよりも、「誰が入力し、誰が確認し、その人が休んだら誰が代わるか」という運用の設計です。
削減時間から必要機能を逆算し、最小構成のデモと役割別運用から始める進め方
業務管理システムは、現在の作業時間を測り、必要機能を絞ったうえで、小さく試すと定着しやすくなります。進め方は、次の順番で整理できます。
1.電話・紙・転記にかかる時間を測る
まず、事務員や番頭が現在の管理業務に使っている時間を把握します。
- 現場への電話確認にかかる時間
- 紙の出面表へ記入する時間
- 月末に職人別・現場別で集計する時間
- 記入漏れや報告漏れを確認する時間
1日、1週間、1か月の単位で計測すると、システムで削減すべき時間が見えてきます。その時間に人件費を掛ければ、導入後1年、2年、3年で費用に見合うかを判断しやすくなります。
導入効果は「便利そうか」ではなく、月に何時間の確認・転記・集計を減らせるかで判断します。
2.必要機能と不要機能を切り分ける
次に、「できること」ではなく「今回、解決したいこと」を並べます。この会社なら、優先順位が高いのは出退勤、現場名、人工数の集計です。駐車場料金の支払い区分は管理者側にだけ必要でした。
反対に、すでに別の仕組みで処理できている経費申請を無理に統合する必要はありません。位置情報も、打刻した場所まで確認したいのか、出退勤時刻だけでよいのかによって要否が変わります。
機能ごとに、次の3点を確認すると切り分けやすくなります。
- この情報は何の判断に使うのか
- 誰が入力し、誰が見るのか
- 入力の手間を上回る効果があるか
使わない機能を外すことは妥協ではなく、現場の操作を減らして定着率を上げるための設計です。
3.最小構成のデモを作り、少人数・一部現場で試す
初めから完成版を作るのではなく、最低限の画面をデモとして作り、実際に使う職人や職長に確認してもらいます。
たとえば、最初は次の構成で十分です。
- 職人:出勤、退勤のみ
- 職長:メンバーの出退勤登録
- 事務員・社長:職人別、現場別の一覧と人工数の集計
専用アプリのインストールを不要にし、スマートフォンでURLを開けば使える形にすることも、現場側の負担を下げる選択肢になります。
試験導入では、機能の正常動作だけでなく、「現場名を探しにくくないか」「押し忘れがどのくらい起きるか」「一覧表が月末の集計に使えるか」を確認します。そこで出た不便を直してから対象を広げます。
4.職人・職長・番頭・管理者で権限を分ける
利用者全員に同じ権限を渡す必要はありません。
職人には出退勤と自分の予定だけを見せ、職長には担当現場のメンバー管理を追加します。番頭には資材搬入や相談事項を見せ、事務員と社長は全体の集計を確認できるようにします。
現場の追加や削除、協力会社の登録まで職長に任せるのか、管理者側に限定するのかも決めておきます。権限を絞れば誤操作を減らせる一方、管理者へ作業が集中する可能性があります。現場変更が多い会社では、職長側に一定の変更権限を渡すほうが実態に合う場合もあります。
権限設定は役職名だけで決めず、「その人が現場でどの判断をするか」に合わせて設計します。
5.入力担当者が休んだ場合の代替フローを決める
職長による一括入力を採用するなら、休暇や別現場への移動に備えて代理担当者を決めます。
最低限、次の状態を事前に決めておくと運用が止まりにくくなります。
- 通常時の入力担当者
- 職長不在時の代理担当者
- 代理担当者も不在の場合の連絡先
- 後から修正する場合の承認者
- 押し忘れや現場変更があった場合の修正方法
社長が毎回電話で確認する状態を避けたいなら、各現場に第2担当者を置くか、職人本人が最低限の打刻をできるようにしておく方法があります。
6.操作講習と導入後のフォローを運用に組み込む
画面を渡すだけでは、使い方が分からない人ほど従来の電話や紙へ戻ります。導入時には、実際の画面を映しながら、職人、職長、管理者ごとに必要な操作だけを説明します。
講習で扱う内容も広げすぎないことが大切です。職人には出退勤、職長にはメンバー登録、管理者には一覧確認と修正方法というように分けます。
運用開始後は、押し忘れが多い場所や入力に迷う項目を確認し、画面やルールを調整します。導入直後に出る「やりづらい」「この項目はいらない」という声は、失敗ではなく改善材料です。
講習と導入後の修正までを一つの計画に含めておくことで、システムを作ることではなく、使い続けられる状態を目指せます。
まとめ
建設会社の業務管理システムは、多機能であるほど定着するわけではありません。現場に必要のない項目が増えると、入力の負担が上がり、電話や紙に戻りやすくなります。
今回のような出面管理では、まず電話確認や転記にかかる時間を測り、職人、職長、番頭、事務員、社長がそれぞれ必要とする情報を切り分けることが出発点です。
そのうえで、出退勤や人工数の集計など、効果が明確な機能から小さく試します。担当者が休んだ場合の代替フローを決め、役割別の講習と導入後の修正を続ければ、現場で使われる形に近づきます。
業務管理システムの定着には、機能の多さよりも、削減したい時間、利用者別の役割、代替フロー、導入後のフォローを先に決めることが重要です。
自社に必要な管理範囲から整理したいときに
「うちの場合は、職人本人に入力してもらうべきか、職長がまとめるべきか」「何からデジタル化すれば手間が減るのか」といった段階では、システムの比較より先に現状業務を整理する必要があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場運用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。出面管理にかかる時間や利用者ごとの役割を確認しながら、必要な機能と不要な機能を切り分けることも可能です。
まだ導入内容が固まっておらず、「何から整理すべきか分からない」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、自社の運用を見直すきっかけとしてご活用ください。


























