10名弱・売上約1.4億円まで成長し、創業期の取引先との間に規模のずれが生まれた専門工事会社
千葉県を拠点に、東京都内も商圏とする10名弱の専門工事会社があります。主にビル、マンション、福祉施設、学校、オフィスなどの電気設備工事と内装工事を手がけています。
創業から約8年。ここ数年で20代、30代の職人が増え、現場を任せられる人材も育ってきました。売上も少人数で経営していた頃より伸び、直近では約1.4億円です。
一方、主な取引先は会社がまだ小さかった頃から付き合ってきた企業です。相談者は現状を次のように表現していました。
「会社が少しずつ大きくなるにつれて、昔からの取引先だけでは物足りなくなってきました」
これは既存取引先に問題があるという話ではありません。会社側の人数、施工能力、対応できる案件規模が変わり、取引先との組み合わせが合わなくなってきたということです。
会社の成長に伴って、良い取引先の定義も変わります。創業期に支えてくれた取引先を大切にしながら、現在の施工能力に合う新たな発注元を加える段階に入っています。
1週間で 15件の相談 がありました
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
知名度の高い大手ではなく、自社が無理なく受け切れる元請け像の見極め
新規開拓というと、取引先の数や相手企業の規模を追いかけたくなります。しかし、取引先が大きければ、そのまま自社に合うとは限りません。
この会社では、売上6億〜12億円ほどの電気工事会社や地域サブコンを中心に開拓を進めていました。実際に付き合いやすい既存取引先も、おおむね同じ規模です。一方、売上数十億円を超える企業とも接点はあるものの、発注される物件が大きくなりすぎると、現在の体制では対応が難しくなる可能性があります。
自社の職人は増えていますが、施工管理や顧客対応の中心はまだ社長です。直接受注する案件では、社長自身が図面を描き、墨出しまで行うこともあります。そのため、受注金額だけでなく、管理負荷まで含めて「受け切れるか」を考えなければなりません。
狙うべき相手は、最も大きな会社ではなく、自社の施工能力、管理体制、商圏に対して適切な規模の案件を継続的に発注できる会社です。
また、企業情報を基に約60社をリストアップしても、それだけでは取引先開拓は進みません。候補企業ごとに、自社との相性や優先順位を付ける必要があります。
営業リストは開拓先の候補であり、営業戦略そのものではありません。誰に、どの工事を、どの条件で提案するかまで決めて初めて動ける状態になります。
仕事を選べなかった創業期から、タイミングと金額を比較できる段階への移行
創業期は、まず売上と施工実績をつくるために「いただける仕事は何でもやる」という動きになりやすいものです。この会社も、依頼された工事に幅広く対応しながら、取引先との関係を築いてきました。
ただし、人員が増えて固定費も大きくなると、仕事があるだけでは足りません。職人を適切に配置できる時期か、案件規模が自社に合うか、必要な利益を確保できるかを見て受注する必要があります。
相談者が目指していたのも、一社から大量の案件を受ける状態ではありませんでした。
「複数の会社と付き合っておけば、タイミングや金額を見て判断できます。大きな一社に依存すると、仕事が固まってしまいます」
大口取引先への依存度が高いと、売上は短期的に伸びても、着工時期が重なった際に断りにくくなります。反対に、その取引先の発注が減れば、空いた人員を埋める案件が見つからないこともあります。
取引先を増やす目的は、単純に仕事量を増やすことではありません。案件の時期、金額、規模を比較し、自社に合う仕事を選べる状態をつくることです。
この会社は数年後に売上3億円規模を目指しています。ただし、売上だけを追い、働く人に無理がかかる成長は望んでいません。だからこそ、受注量を一気に増やすより、複数の発注元を段階的に増やす考え方が合っています。
案件規模・商圏・取引条件を数値化し、相性のよい発注元を複数育てる進め方
取引先開拓は、企業名を集める前に「自社に合う取引先の条件」を決めるところから始めます。今回のような会社であれば、次の6項目を整理すると候補を比較しやすくなります。
- 対応できる工事規模
自社職人と協力会社で施工できる範囲だけでなく、図面、墨出し、現場管理、打ち合わせまで含めて無理なく完了できるかを見ます。
- 現実的に対応できる商圏
東京都、千葉県など対象地域を絞ります。候補を増やしすぎるより、移動時間や現場対応を考えて継続受注できる範囲を定めるほうが実務的です。
- 相手企業の規模
売上規模だけで判断せず、その会社が普段扱っている物件規模まで確認します。既存取引先の中で付き合いやすい企業を基準にすると、狙う規模を定めやすくなります。
- 利益を確保できる発注条件
請負金額だけでなく、材料費、外注費、必要人工、現場管理にかかる時間を踏まえて判断します。値決めの余地があるか、追加変更を協議できるかも重要です。
- 支払い条件
締日、支払日、立替負担などを確認します。売上規模の大きな案件でも、入金までの期間や材料費の先行負担が重ければ、資金繰りとの相性が悪くなることがあります。
- 受注時期と発注の継続性
特定の時期に案件が集中するのか、年間を通して相談があるのかを見ます。既存取引先の繁忙期を補える発注元であれば、受注基盤としての価値が高まります。
取引先候補は、売上規模だけでなく「受け切れる案件規模」「利益」「支払い」「時期」の4点を最低限そろえて比較することが大切です。
進め方は、次の順番が現実的です。
- 既存取引先のうち、付き合いやすい2〜3社の共通点を書き出す
- その共通点を基に、必須条件と避けたい条件を決める
- 候補リストを条件ごとに評価し、優先順位を付ける
- 相手企業のどの部署、どの担当者に接点をつくるかを決める
- 最初から大型案件を狙わず、受け切れる案件で取引条件を確認する
- 実際の利益、管理負荷、支払い、次回発注の可能性を振り返る
企業データから候補を抽出するだけでなく、既存の人脈、業界交流会、外部営業の紹介など、接点のつくり方も組み合わせます。ただし、手当たり次第に電話をかけるのではなく、優先順位の高い企業から狙うほうが、自社の評判と営業工数を守れます。
新規取引が始まった後も、すぐに依存度を高めないことが重要です。まずは一つの案件を通じて、見積もりの進め方、現場での連携、変更対応、支払い実績を確認します。そのうえで、継続して付き合う相手かを判断します。
複数の受注基盤は、一度に大口案件を獲得してつくるものではありません。小さく取引を始め、条件と相性を確認しながら、継続発注につながる企業を複数育てていくものです。
取引先ごとの理想的な売上比率に、すべての会社へ共通する正解はありません。まずは、どこか一社の都合だけで職人配置や受注判断が決まらない状態を目安にするとよいでしょう。
まとめ
人員と施工能力が増えた会社では、創業期からの取引先だけでは仕事量や案件規模が合わなくなることがあります。それは関係を切り替える合図ではなく、現在の会社に合う発注元を追加する段階に入ったということです。
次の取引先を選ぶ際は、知名度や売上規模だけでなく、対応可能な工事規模、商圏、利益、支払い条件、受注時期を確認します。既存取引先の中で付き合いやすい企業を基準にすると、自社に合う取引先像を具体化しやすくなります。
目指したいのは、仕事を増やし続ける状態ではなく、複数の発注元を持ち、タイミングと条件を見ながら受注を選べる状態です。
自社に合う元請け像と開拓の順番を整理したい方へ
取引先候補のリストがあっても、どこから動くべきか、どの企業規模が自社に合うのか、判断しにくいことがあります。特に、社長自身が営業と現場管理を担っている会社では、候補企業を増やすより、狙う条件と優先順位を絞ることが先になります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大を、施工体制、利益、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合はどの元請けを狙うべきか」「何から整理すればよいかわからない」という段階でも問題ありません。
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