前提

施工管理が1人で12〜14棟を受け持つ住宅施工会社の現状

ある住宅施工会社では、施工管理が1人で12〜14棟を担当していました。

規格や施工手順がある程度決まっているとはいえ、現場ごとの確認はなくなりません。大工や協力会社から質問が入り、元請け側にも確認する。その返答を再び現場へ伝える。複数の現場で同時にこれが起きます。

担当者が変わった際の申し送りも十分ではありませんでした。新しい素材や部材、制度が導入されても、情報が施工管理や協力会社まで行き渡らないことがあります。

「これ、どうなっているの?」

現場から聞かれるたびに電話で確認します。同じ内容を別の現場から聞かれ、また電話する。こうした二度手間、三度手間に多くの時間を取られていました。

さらに、協力会社との打ち合わせは日中に設定しづらく、仕事が終わった後の電話や個別対応になりがちです。施工管理は、現場を回した後にも連絡業務を抱えます。

問題は担当棟数だけではなく、確認・申し送り・打ち合わせが施工管理個人に集中していることです。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

若手を採用しても担当棟数が増えた段階で続けにくくなる構造

この会社には、施工管理として入社した若手が2人いました。ベテランは「大事に育ててきた」と話し、まずは1棟を担当させていました。

ただ、その先に不安がありました。

「いまは1棟だから何とかできている。でも、2棟、3棟と増えたら潰れてしまうかもしれない」

本人たちは前向きな言葉を口にしていました。それでも、日々の仕事について聞いていくと、負担や迷いが随所に見えてきます。

既存の施工管理が12〜14棟を担当していると、それが社内の基準になりやすいものです。ベテランにとっての「普通」を、そのまま若手の到達点にしてしまうこともあります。

しかし、ベテランが経験と勘で処理している仕事には、表から見えない負担が含まれています。

  • 誰に確認すればよいかを探す時間
  • 担当変更前の経緯を調べる時間
  • 同じ質問へ繰り返し回答する時間
  • 協力会社と夜間に打ち合わせる時間
  • 電話の内容を別の関係者へ伝え直す時間

この状態で採用人数だけを増やしても、育成を担う側に余裕がありません。新人も、どこに情報があるのか分からないまま現場を持つことになります。

「採用できない」だけでなく、「採用しても育てる余白がない」ことが施工管理不足の根にあります。

背景

申し送り不足と電話中心の確認が見えない業務量を増やしている状態

負担が減らない背景には、業務量が担当棟数だけで管理されていることがあります。

同じ1棟でも、必要な確認回数は異なります。担当変更があった現場、新しい部材を使う現場、協力会社との調整が多い現場では、連絡業務が増えます。それでも管理上は、同じ「1棟」です。

この会社では、長い歴史があり、一定の仕組みも整っているように見えました。ところが実際には、担当者が変わったときの申し送りや、新しい部材・制度に関する共有が徹底されていませんでした。

「図体は大きくなったけれど、情報のつなぎ込みが追いついていない」

そんな状態です。

情報が一元化されていないため、最終的には電話で聞くしかありません。電話はその場の解決には向いています。一方で、内容が記録されなければ、次の担当者や別の現場では再利用できません。

協力会社との連絡も同様です。日中に話す時間を取れず、夜に一対一で打ち合わせる。施工管理ごとに説明する。変更事項があれば、また個別に伝える。これでは担当棟数が増えるほど、連絡先と確認回数も増えていきます。

施工管理を疲弊させているのは、現場数に比例して増える「記録に残らない調整業務」です。

解決

採用再開の前に連絡経路と育成ロードマップを小さく整える進め方

最初に取り組みたいのは、大規模なシステム導入ではありません。現在の仕事が、どこで重複しているかを見えるようにすることです。

1.担当棟数と連絡業務を一緒に可視化する

施工管理ごとに担当棟数だけを見るのではなく、確認や連絡の発生状況も整理します。

  • どの現場を担当しているか
  • 誰から、どのような確認が来るか
  • 誰に聞かなければ回答できないか
  • 電話や夜間連絡が何のために発生しているか
  • 同じ質問が別の現場でも起きていないか

厳密な工数調査から始める必要はありません。まずは一定期間、電話や確認が発生した理由を残すだけでも、繰り返されている業務が見えてきます。

2.担当変更時の申し送り項目を固定する

引き継ぎは「前任者が知っていることを全部伝える」では抜けが出ます。最低限そろえる項目を決め、同じ場所に残します。

対象は、現場の進捗、未決事項、変更した部材、協力会社への伝達事項、元請けへの確認事項などです。口頭で補足する場合も、決まった内容は記録へ戻します。

電話を禁止するのではなく、電話で決まったことが会社の情報として残る状態をつくることが大切です。

3.現場情報の置き場所を一つにする

高機能なツールを一気に入れても、協力会社を含めて使えなければ定着しません。まずはメールや共有フォルダなど、現在使える手段から始めても構いません。

判断軸は、機能の多さではありません。

  • 施工管理が外出先から確認できるか
  • 担当変更後も履歴を追えるか
  • 最新の資料がどれか分かるか
  • 協力会社にも無理なく伝えられるか

この4点を満たす方法から選ぶと、導入そのものが目的になりにくくなります。

4.夜の打ち合わせを減らす連絡ルールを決める

「夜の打ち合わせをやめましょう」と伝えるだけでは、現場は回りません。まず、夜に連絡している内容を分けます。

昼間に共有できる連絡は、メールや共有先へ移します。緊急連絡だけは電話に残します。複数の協力会社へ同じ説明をしているなら、共通の資料や連絡文にまとめます。

昔から付き合いのある職人や協力会社ほど、急な変更には戸惑いが出ます。全社一斉ではなく、協力を得やすい相手や現場から試す進め方が現実的です。

5.担当棟数を段階的に増やす育成ロードマップをつくる

若手の育成は、入社年数だけで区切らず、どこまで自分で判断できるかで段階を分けます。

1棟を担当している期間に、工程管理、協力会社への連絡、変更事項の記録、問題発生時の相談経路を確認します。そのうえで2棟、3棟へ進めます。

大切なのは、単純に棟数を増やさないことです。担当を増やす前に、本人への面談と周囲の確認を入れます。困ったときに誰が支えるのかも決めておきます。

育成ロードマップは「いつ12棟を持たせるか」ではなく、「何ができれば次の1棟を任せられるか」で設計します。

こうした業務改善は、社長だけで決めても現場に合わない可能性があります。施工管理、事務担当、次の管理職候補から実態を聞き、役割と連絡方法を定例の場で合意しながら進める形が向いています。

まとめ

施工管理が多くの現場を抱える会社では、採用が必要に見えます。ただ、採用前に確認したいのが、現在の仕事の流れです。

担当変更時の申し送りがない。新しい部材や制度が共有されない。現場からの質問は電話で受ける。協力会社との打ち合わせは夜になる。この積み重ねが、12〜14棟という数字以上の負担を生んでいました。

若手を長く大切に育てたいという思いがあっても、仕事の仕組みがベテラン仕様のままでは、2棟、3棟と担当が増えたところで苦しくなります。

採用と定着を分けて考えず、業務量、情報共有、引き継ぎ、夜間連絡、育成段階を一つの課題として整えることが次の一手です。

すべてを一度に変える必要はありません。電話が多い理由を残す。申し送り項目を決める。情報の置き場所を一つにする。次の1棟を任せる基準を話し合う。変えられるところから小さく始めるだけでも、施工管理の働き方は見直せます。

施工管理を増やす前に、自社の業務と育成体制を整理したい方へ

「うちも担当棟数が多いが、何から見直せばよいか分からない」「若手を採用したいものの、育てる体制に自信がない」という段階でも、課題を整理することはできます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。施工管理の業務量や連絡経路、引き継ぎ方法、育成ロードマップについて、自社の場合はどう考えるべきかというところから一緒に整理できます。

無理に施策やサービスを勧めることはありません。ものづくりに集中できる体制づくりに向けて、次の整理先としてご活用ください。

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