自社職人ゼロで3大都市圏の施工を協力会社へつなぐ管理モデル
兵庫県に本社を置き、関東・中部にも拠点を持つ、売上2億円台の設備工事会社があります。自社職人はゼロです。太陽光発電設備や蓄電池などの案件をメーカーや販売会社から受け、各地域の協力会社へ施工を依頼しています。
関西・関東・中部の各エリアに、継続して付き合う協力会社が3社前後あります。会社が担うのは、案件の受け付け、協力会社の手配、申請業務、進捗確認、施工写真の回収、元請への完了報告です。
「案件が来たら、エリアに合う協力会社へ振る。基本的には右から左です」
一見すると、少人数でも拡大しやすいモデルに見えます。実際、協力会社にはまだ受注余力があります。案件を増やせば、売上を伸ばせる見通しもあります。
ただし、施工を外部へ任せても、管理までなくなるわけではありません。
自社職人を持たない会社の成長上限は、協力会社の施工能力だけでなく、自社が同時に管理できる案件数で決まります。
1週間で 19件の相談 がありました
- 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
- 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
- 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
- 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
- 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
- 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
- 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
- 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
- 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
- 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
- 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
- 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
- 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
- 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
- 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
- 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
- 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
- 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
月70件を回した経験があっても営業とトラブル対応が重なると件数を抑えざるを得ない状態
この会社では、以前、関西と関東を合わせて月70件前後の現場を回していました。1日あたりでは2〜3件です。代表者が全体を見ながら、現場経験のある担当者が補助に入っていました。
毎日の管理には、次のような対応があります。
- 朝、協力会社へ当日の確認を送る
- 施工中の進捗を確認する
- 途中経過の写真を回収する
- 完工後の写真をそろえる
- 元請へ完了報告を送る
- 不備やトラブルがあれば判断する
「朝に『本日もお願いします』と連絡する。途中で進捗を聞いて、写真を集める。終わったら写真を全部回収して、元請さんへ報告する。その一連の流れがあります」
標準的な現場だけなら、1日2〜3件を管理できる日もあります。しかし、代表者は営業活動も担っています。現場で想定外のことが起きれば、確認や判断に時間を取られます。
その結果、月70件前後まで回した実績がありながら、管理品質を保つために50件、40件と受注量を抑えるようになりました。
問題は案件がないことでも、協力会社がまったく足りないことでもありません。案件が増えたとき、誰がどこまで管理するかが決まっていないことです。
各エリアの協力会社に月10件ずつ依頼できると仮定しても、3社だけでは受け切れない時期が出てきます。協力会社を5社、6社と増やせば施工能力は上がりますが、連絡先や確認事項も増えます。
つまり、販路拡大と協力会社の拡充を先に進めるだけでは、代表者に管理業務が集中します。案件を取るほど忙しくなり、営業へ使う時間が減る状態にもなりかねません。
「案件を振るだけ」の裏側にある写真回収と例外判断の属人化
施工管理が詰まりやすい背景には、定型業務と判断業務が混ざっていることがあります。
この会社では、元メーカーや大手販売会社で事務を経験した人材を、在宅・時間単位で活用しています。月30時間ほどの契約で、設計や申請にも対応できる即戦力です。
「こちらが一から教えなくても、『以前やっていました』という人です。子どもがいるので、在宅で働いてもらっています」
業界経験があるため、案件情報を受けて協力会社へ展開することや、必要書類を確認することは任せやすい状態です。朝、昼、夕方に短時間ずつ確認してもらい、1日合計1時間半ほど稼働してもらう構想もあります。
一方で、在宅スタッフが常時パソコンの前にいるとは限りません。施工中の急な問い合わせが、契約時間外に入ることもあります。写真不足、施工条件の変更、協力会社からの相談など、即時判断が必要な場面もあります。
「戦力としては高い。でも、総合的に見てどう運用するかは考えないといけない。スタッフを統括する人が一人いれば、回せると思います」
ここに体制づくりの要点があります。
経験者を採用するだけでは管理体制になりません。定型業務を処理する人と、例外を判断して全体を統括する人を分ける必要があります。
もう一つの背景は、1人あたりの管理可能件数が明確になっていないことです。
過去に月70件を回した実績があっても、それが再現可能な上限とは限りません。標準的な現場が多かったのか、トラブルが少なかったのか、代表者がどれほど時間を使ったのかで、負荷は変わります。
単純に「70件を2人で回したから、1人35件」と割ることもできません。一人が同じ業務を半分ずつ担当したのではなく、代表者が全体の窓口となり、もう一人がサポートしていたからです。
管理可能件数は人数で割るのではなく、案件ごとの接触回数、所要時間、例外対応の発生数から把握する必要があります。
業務フローと判断基準を先にそろえ、在宅スタッフと統括責任者を段階配置する体制
案件を増やす前に整えたいのは、採用人数よりも管理業務の設計です。進め方は、大きく3段階に分けられます。
1.1件の施工管理で何をしているかを分解する
まず、案件を受けてから元請へ完了報告するまでを、同じ順番で並べます。
- 元請から案件情報を受け取る
- エリア、工種、日程から協力会社を選ぶ
- 協力会社へ案件情報を共有する
- 施工前日に必要事項を確認する
- 当日の開始・進捗を確認する
- 途中写真と完了写真を回収する
- 写真や報告内容の不足を確認する
- 元請へ完了報告する
- 未完了事項やトラブルを引き継ぐ
この流れごとに、「誰が行うか」「何を確認するか」「どの状態なら完了か」を決めます。
グループ連絡を使う場合も、担当者の経験に任せるのではなく、送る内容をそろえます。施工前に必要な情報、回収する写真、完了報告に入れる項目を定型化しておけば、担当者が増えても抜け漏れを抑えやすくなります。
標準化するのは施工そのものではなく、案件を受け、確認し、報告するまでの管理手順です。
2.管理可能件数を「通常案件」と「例外案件」に分けて測る
次に、2〜4週間ほど実際の業務時間を記録します。細かな分単位の管理でなくても構いません。
記録したいのは、次の4点です。
- 1件あたりの通常対応時間
- 1日に確認が必要な回数
- 写真不足や日程変更が起きた件数
- 代表者や責任者の判断が必要だった件数
たとえば、写真回収と完了報告まで予定どおり進んだ案件と、施工条件の変更が起きた案件では負荷が違います。両方を同じ「1件」として数えると、管理可能件数を見誤ります。
そのうえで、営業や打ち合わせに使う時間を除き、担当者が無理なく管理できる件数を設定します。過去の最大件数ではなく、通常月に再現できる件数を基準にするのが現実的です。
目標にするのは一度だけ回せた最大件数ではなく、写真・報告の品質を落とさず継続できる件数です。
3.処理担当と統括責任者を分けて配置する
業務が標準化できたら、人員を次の二層に分けます。
在宅・時間単位スタッフには、定型化しやすい業務を任せます。
- 朝・昼・夕方の進捗確認
- 協力会社への定型連絡
- 施工写真の回収
- 写真や書類の不足確認
- 元請への定型報告の作成
統括責任者は、全体を見ながら例外対応を担います。
- 各スタッフへの案件配分
- 協力会社の稼働状況の把握
- 日程変更や施工トラブルの判断
- 元請との調整
- 担当者が不在となる時間帯の引き継ぎ
- 代表者へ上げる案件の選別
すべてを正社員で抱える必要はありません。業界経験があり、設計・申請・施工事務を理解している人であれば、月30時間のような時間単位から始める選択肢もあります。
ただし、在宅スタッフを増やすほど、全体を束ねる役割が重要になります。誰も全案件を見ていなければ、個々の処理は終わっていても、トラブルが宙に浮く可能性があります。
在宅スタッフは処理能力を増やす配置、統括責任者は管理品質を守る配置です。両者をセットで考えると、代表者から業務を切り離しやすくなります。
最初から3エリアすべてを一気に変える必要はありません。まず一つのエリア、または特定の元請案件に絞り、標準フローで運用します。写真不足の件数、報告の遅れ、統括責任者への相談回数を確認し、問題がなければ対象を広げます。
この順番なら、「人を採ったものの任せ方が決まっていない」という状態を避けやすくなります。
まとめ
自社職人を持たず、協力会社の施工力を活用するモデルは、拠点や固定人員を大きく増やさずに案件を広げられる可能性があります。一方で、案件数が増えるほど、進捗確認、施工写真の回収、元請への報告、トラブル対応も増えます。
今回のように、協力会社には余力があり、元請案件も増やしたい会社では、施工能力より先に管理能力が上限になることがあります。
整理したいポイントは、次の3つです。
- 1人あたりの管理可能件数を、通常対応と例外対応に分けて把握する
- 案件受領から完了報告までの手順と完了基準をそろえる
- 経験者の在宅・時間単位スタッフと、全体を統括する責任者を分けて置く
「案件を振るだけ」に見える仕事ほど、その裏側の小さな確認が積み重なります。だからこそ、案件を増やす前に管理の流れを一度見える形にしておくと、次の採用人数や配置も考えやすくなります。
販路拡大と施工管理体制は、別々ではなく同じ成長計画の中で設計することが大切です。
案件増加に耐えられる管理体制を一緒に整理するために
「自社の場合、1人で何件まで管理できるのか」「在宅スタッフへどこまで任せられるのか」「統括責任者には誰を置くべきか」。こうした点は、現在の案件フローや協力会社との連絡方法によって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。業務フローがまだ言語化できていない段階や、何から整理すべきかわからない段階でも問題ありません。
ものづくりに集中できる体制へ向けて、現状の管理業務から一緒に整理できます。無理にサービスを勧めることはありませんので、社内だけでは整理しにくいときの次の相談先としてご活用ください。































